コーピングとは?意味や導入法を理解しストレスと上手に向き合おう

ストレスを良い方向に転換させるコーピングは、心身ともに健康に働くために覚えておきたい行動です。

企業としては社内教育に取り入れることで、社員のパフォーマンス向上に期待できるでしょう。

しかしながら、一体どんな風に取り組めば良いのか、そもそもコーピング自体がよくわからない、といった方も多いかもしれません。

本記事では、コーピングの基礎知識や効果的な方法について解説します。

人材管理に携わる方や、部下のマネジメントを行う方はぜひお役立てください。

コーピングとは

メンタルヘルス用語であるコーピングは、ストレスを対処するための行動を指します。

英語では「coping」と表記され、「問題に対処する、対応する」という意味の「cope」から派生された言葉です。

ストレス要因の解決もしくは負担を減らすことを目的として、問題に対して何かしらの行動を起こすことを意味します。

コーピングの活用は自身が感じるストレスを管理でき、仕事のパフォーマンスやモチベーションが向上されるメリットに期待できます。

コーピングが注目される背景 

国内では仕事へストレスを抱えている人が多い背景から、コーピングへの注目が高まっています。

平成29年に厚生労働省より発表された「労働安全衛生調査」の報告書によると、「仕事や職業生活に強いストレスとなっていると感じる事柄がある」という労働者割合は58%でした。

この結果から、全体における半分以上の割合の人が、仕事へのストレスを抱えていることがわかっています。

社員が抱える仕事へのストレスを解消させるために、近年ではコーピングを取り入れた施策を立てる企業も増えています。

具体的には、コーピングをハラスメント対策に取り入れる事例などが挙げられます。

社員が安心して働ける職場の実現に向けた取り組みは、職場環境の改善だけでなく、社外に対してポジティブなイメージを発信できることにも期待できます。

労働人口の減少や雇用の流動性が加速化する中で、「安心して働ける職場」として社外から認識されると、人材の獲得や離職率の低下につながるでしょう。

適応機制(防衛機制)との違い

適応機制とは、欲求が満たされようにないときや自らに不都合な事態になる場合を避けたいときに、心身の緊張や不安を和らげ、心の安定を保とうとする働きです。

無意識に自分を守ろうとする仕組みであるため、防衛機制とも呼ばれます。

コーピングと適応機制は、「意識」に違いがあります。

適応機制は無意識で自らを防衛する働きであり、コーピングは意識的にストレスを管理しようとする働きです。

そのためコーピングは、手法や内容を学ぶことで意識的に行えます。

2021/02/10
自己肯定感とは?自己肯定感が低い人の特徴や高めるための方法も紹介
最近よく聞く、「自己肯定感」という言葉。自己肯定感は高い方が良いと言いますが、そもそも、自己肯定感とはどのような感覚のことでしょうか? この記事では、自己肯定感について詳しく解説するほか、上司として理解しておきた...
続きを見る

コーピングの具体的な内容

ストレスを管理する行動であるコーピングは、ストレスをどのように対処するのでしょうか。

その具体的な内容を知るために、まずはストレスそのものについて理解を深めましょう。

ストレスが生じるしくみ 

ストレスとは、自身の心や体に対して、外部から圧力や負担を受けた際に生じる緊張状態です。

社会で働き生きていく上では、多種多様な人との交流やさまざまな経験など、外部との関わりなくしては成り立ちません。

そのためストレスは日々生まれ、内容によっては心身の負担として蓄積されてしまいます。

そのため働く人の多くが、さまざまなストレスを抱えているのです。

ストレスの原因には「ストレッサー」と呼ばれる、ストレスの原因となるものがあります。

例えば、「レジに並んでいる際に列が長く、待ち時間にストレスを感じた」という場面では、「列」である「他者」がストレッサーです。

ストレッサーには他にも、温度や湿度などの物理的なもの、人間関係や業務内容などの社会的なものなどがあります。

ストレッサーによって引き起こされる心身への影響は「ストレス反応」と呼ばれ、心理的・身体的・行動面の3つに分かれます。

具体的には、心理的なものとしては不安状態になることや、身体的なものとしては動機、行動面としてはアルコール依存などです。

人間はストレッサーに対し、自らにどれだけ「悪」であるのかを判断します。

判断の方法としては、「そのものに対する評価や受け止め方(認知的評価)」と「そのものへの対処(コーピング)」によって異なります。

この2つの段階を経ることで、ストレッサーをストレスとして捉えるため、ストレスへの対処には「認知的評価」と「コーピング」がカギとなるのです。

そして「認知的評価」には2つのステップがあるため、それぞれ解説します。

一次的認知評価 

一次的認知評価とは、ストレッサーをストレスかどうかを判断するプロセスです。

このプロセスでストレッサーを「自らと無関係だ」と捉えた場合、ストレスを感じることはありません。

一方で「自らにとって悪である」と捉えた場合には、第2プロセスである二次的認知評価に進みます。

二次的認知評価

一次的認知評価で「自らにとって悪である」と捉えたストレッサーに対する「対処」を検討するプロセスです。

具体的には、「ストレッサーへの対処法を把握しているか(結果期待)」、「対処法は実現可能か(効力期待)」を検討します。

どちらかの期待が叶わないと判断された場合にストレスが高まります。

このように人間は、ストレスの原因となる「ストレッサー」に対する「受け止め方」や「対処法」によって、ストレス反応が異なります。

そのため、「対処が可能」と判断できた場合、つまり「コーピングが可能」と捉えられるとストレス反応は抑えられることが可能です。

人間が社会で生きていく上ではストレッサーを完全に避けることはできません。

しかしコーピングについて理解し学ぶことによって、ストレスを和らげながら生活していけるのです。

ストレスを放っておくとどうなるか 

ストレスは解消されないまま蓄積されることで、心身へ悪影響を及ぼします。

やる気の低下や体調不良などが引き起こされると、業務への集中力が欠け本来の能力が発揮できないこともあるでしょう。

またストレスは疾患の原因にもなる場合もあり、種類としては精神疾患能性だけに限りません。

具体的には、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる重大な病にも影響を及ぼす可能性があるのです。

ストレスは適度なものであれば適切な緊張感として、判断力や行動力を高める場合もあります。

しかし過剰で慢性的なストレスは、蓄積されることで心身への悪影響へ悪影響を及ぼすため注意が必要です。

関連記事:【管理職向け】社員の心と向き合うストレスマネジメント

コーピングの種類 

コーピングにはさまざまな種類がありますが、大きく2つに分類されます。

・問題焦点型コーピング

・情動焦点型コーピング

どちらも問題への対処を目的とするコーピングです。

状況に応じてそれぞれを使い分けることや、併用することで上手に問題を対処する行動を促します。

また、目的が異なるコーピングとしては次のものがあります。

・ストレス解消型コーピング

先ほどの2種類とは異なり、問題から離れ発散させるコーピングです。

それぞれのコーピングの特徴や具体例について、さらに詳しく解説します。

問題焦点型コーピング

問題に対して、自身の努力や周囲の協力によって解決や対策に取り組む行動です。

例えば「長時間労働がつらい」と感じた場合、業務効率を改善する方法を考え取り入れることや、上司に訴え担当業務を振り分けてもらうなどの行動が挙げられます。

特徴として、問題に焦点を当て解決法や対策に取り組むため、ストレスを根本的に解消できる可能性が高いです。

社会的支援探索型コーピング

問題焦点型コーピングの一種であり、周囲にアドバイスや協力を求めるコーピングです。

上司や同僚に助けを依頼するだけでなく、家族や友人に相談するなどの行動も当てはまります。

例えば「職場の人間関係で悩んでいる」と友人に打ち明け、アドバイスや対処法を助言してもらうことが挙げられます。

アドバイスや協力を求める相手によっては、つらい気持ちや苦しい状況を共感してもらえるため、精神的なストレスが緩和されやすい特徴があります。

情動焦点型コーピング

問題そのものに焦点を当てるのではなく、問題を捉える自分自身の感情に焦点を当てる方法です。

例えば「新たな部署で働き始めるのがつらい」と感じた場合、「今回の異動は自分の能力が期待されているからだ」と、捉え方を変換し自らに言い聞かせます。

特徴として、問題そのものの解決が難しい場合や、解決に時間がかかる場合などに適しています。

問題の捉え方は人それぞれであるため、情動焦点型コーピングにはさまざまな方法がありますが、大きく分類すると次の2つです。

認知的再評価型コーピング  

周囲の人に話を聞いてもらうことによって、問題への認識を改める方法です。

例えば医師やカウンセラーへの相談を通して、問題に対する新たな見解や気づきを得ることで、意識を前向きに変化させます。

相談や話をする相手には専門家だけでなく、家族や知人なども当てはまります。

例えば、目標を達成できなかった際に友人に相談すると「今回の挑戦でいろんなことを経験できたね」と声をかけてもらいました。

すると「新たな経験ができ着実にステップアップできている」と捉えられ、ポジティブに問題を受け入れられるのです。

情動処理型コーピング

問題への捉え方を見直し、意識を変化させる方法です。

例えば、「担当する顧客を増やされた」とストレスを感じた場合、「自分はチームの中でも大きな数字を任されている」と責任感の意識へと転換します。

意識を変化させ気持ちに整理をつけることで、ストレスの解消が可能です。

ストレス解消型コーピング

問題から離れることや、ストレスの緩和などで対策を取る行動です。

例えば、気持ちを他の事柄に向けることや、落ち着ける環境に身を置くことなどが挙げられます。

ストレス解消型コーピングは普段から無意識に行っている場合が多い行動で、大きく2つの種類があります。

気晴らし型コーピング

ストレスから離れ他のことで気分を晴らすことで、ストレスを緩和する方法です。

例えば友人との食事や旅行、また運動や読書などの趣味の時間も当てはまります。

平日のストレスを休日の気晴らし型コーピングで発散し、翌週からまた意欲的に業務に励むという取り組みは、無意識のうちに取り入れている方が多いでしょう。

リラクゼーション型コーピング

心身がリラックスできる状態を整えることで、緊張状態を和らげるコーピングです。

具体的は、ヨガや瞑想、マッサージなどが挙げられます。

あらかじめ自らがリラックスできる環境を把握できていると、心身の負担を感じた際は即座にストレスの緩和を実現できます。

関連記事:【管理職向け】社員の心と向き合うストレスマネジメント

効果的なコーピングを行う方法 

効果的なコーピングを行う方法

効果的なコーピングを行う2つの方法を紹介します。

それぞれ詳しく解説するので、取り組みの参考にしてください。

コーピングリストの作成

コーピングリストとは、ストレスの軽減や解消ができる方法や行為をまとめたものです。

リストの作成によって対処法が明確になり、ストレスの種類や状況に応じてスムーズな行動が可能となります。

作成方法としてはまず、自分にとってポジティブな項目を書き出します。

気分が晴れること、相談ができる人、信頼できる人など、自分に良い影響を与える友人や家族も挙げると良いでしょう。

併せて自分の内面として、自身の性格や思考で良いところ、好きな食べ物や状態などプラスの面を挙げます。

次に検証として、実際にストレスを感じた際に、書き出した項目を対処方法として実践します。

例えば、先輩に嫌みを言われた際に「友人に相談する」、「ケーキを食べに行く」などの行動を起こしましょう。

行動後には、どの対処方法がストレスに対し効果的であったかを検証します。

「友人に相談する:80点」、「ケーキを食べに行く:50点」など、行動ごとに点数をつけ数値化すると、比較検討しやすくなるのでおすすめです。

また、行う対処方法は感じたストレスの種類によって効果が異なるため、状況ごとに適切な対処方法を把握できるとより的確なリストとなります。

対処法をリストとして視覚的に確認できると、日頃から意識しやすくなり、ストレスが生じた際にもスムーズに解消や軽減に向かえます。

輪ゴムテクニック 

輪ゴムテクニックとは、意識の転換を仕組みとして自らに取り入れる方法です。

まず、輪ゴムを片方の手首にはめておきます。

そしてストレスを感じた時や、思い悩み気分が晴れない状態になった時に、はめていた輪ゴムを引っ張り、手首に痛みを与えましょう。

痛みを感じた際に「マイナスな気分になるのはおしまいだ」と自らに言い聞かせ、習慣づけます。

ストレスを感じた際に輪ゴムを引っ張り、痛みをきっかけにストレス状態を断ち切るよう心がけるのです。

自身で意識的に気分の転換を行えるようになると、ストレスを抱え続ける状態は減り、心身への負担の軽快に近づくでしょう。

企業におけるコーピングの導入方法 

企業としてコーピングを導入する際には、次の6つの方法があります。

・メンター制度

・1on1

・心理カウンセリング

・研修の定期開催、e-ラーニング

・ランチ会

・オフィス環境の工夫

それぞれの特徴を紹介します。

メンター制度

メンター制度とは、「相談者」の設定により幅広い面での精神的なサポートを受けられる体制です。

新卒社員を対象として実施されることが多く、一人ひとりに「メンター(相談者)」として先輩社員をつけます。

メンターにはなんでも相談ができ、新卒社員にとっては慣れない職場での心強い味方を得られます。

自らが相談できる人を明確にできると不安や不満を解消しやすく、問題への適切な対処が可能です。

1on1

1on1とは、部下の成長を目的とし、上司と部下が1対1での面談などを通して部下が抱える悩みや課題、経験などを共有する機会です。

特徴として、上司から話をするのではなく、部下自身が話をすることに重きが置かれています。

上司には部下の気持ちや悩みに寄り添うことが求められているため、部下にとっては日々の業務で感じたことや解決したい問題など、幅広く自身の状況や感情を話せます。

部下は1on1を通して感情や問題の整理がつきやすく、前向きな意識への転換やストレスの軽減が可能です。

心理カウンセリング

専門家によるアドバイスや知識によって、的確なサポートが得られるのが心理カウンセリングです。

カウンセラーは専門知識や技術を駆使し相談者の話を受け入れてくれるため、安心して話ができます。

専門家への相談は新たな気づきが得られやすく、問題への認識を改めることにつながるでしょう。

企業の取り組みとして、社員が気軽に相談できる窓口の設置や、定期的なカウンセリングの機会を設けられると良いでしょう。

研修の定期開催、e-ラーニング

研修の実施や個々で学習できるe-ラーニングの導入は、社員が定期的にコーピングについて学べる機会となります。

心理的なトレーニングは内容を意識しなければ身につかないため、定期的に繰り返し学べる機会があると効果的です。

さらに育成研修制度としてコーピングを取り入れると、社員個々が「組織全体としてストレスを適切に対処しようとしている」と捉えられるため、安心して働ける環境が整いやすくなるでしょう。

ランチ会

職場の人との会話や食事を楽しめる機会は親睦を深められ、和やかな雰囲気でストレスの解消にもつながります。

就業時間以外であればプライベートの話をしやすく、相手の思考や性格などを深く知れます。

その結果、業務中に気軽な相談がしやすくなりストレスが過剰になる前に解消される環境が整います。

定期的に和やかな雰囲気でランチ会ができると、ストレスから離れる気晴らしの機会にもなるでしょう。

オフィス環境の工夫

社員の希望を取り入れた働きやすい職場環境は、社員のストレス軽減につながります。

反対に、隣の部屋の声が筒抜けの職場や冷房が効きすぎている職場など、働く環境として適切ではない場合、業務に集中できずストレスが蓄積されやすいでしょう。

社員が集中してパフォーマンスを発揮しやすい職場であれば、ストレスを感じにくくなります。

具体的には、業務に集中したいときの専用スペースを設けることや、職場の温度は一律に保つよう定めるなど、社員から不満や希望を聞き取るとより効果的な工夫に取り組めます。

社員のメンタル状態の可視化に役立つツール ラフールサーベイ

「ラフールサーベイ」は、社員のメンタル状態を可視化することのできるツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくり、メンタルへルスケアのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

141項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で141項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約84項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

まとめ

近年では、職場におけるストレスによって心身の疲弊を感じている方が多くいます。

しかし社会で生きていく上では外部との関わりが不可欠であり、さまざまな負担やストレスは避けて通れないものです。

このような現実を踏まえると、ストレスや問題を良い方向に転換させるコーピングは社会人に欠かせないものでしょう。

企業にとっては社員がコーピングを身につけることで、業務効率の改善や人材確保にもつながります。

まずは自社でどんな取り組みができるのか、不足している点はないか、現状と照らし合わせながら検討してみましょう。

ラフールサーベイ

ストレスチェックから働き方改革まで
ラフールサーベイなら対策を立てやすい。

多角的なオリジナルサーベイで、ハラスメントリスク、離職リスク、エンゲージメントなど、組織の様々な課題を可視化できる事で、具体的な対策に繋がっていきます。
オンラインセミナーも開催中。