世界中の企業で注目されている「心理的安全性」とは?

心理的安全性という言葉を知っていますか?効果的なチームを作り上げる際に最も重要だとGoogleが発表し、国内外で大きな注目が集まった概念です。とはいえ、

「聞いたことはあるけど結局何なのかわからない」

「チームにどう影響するんだろう」

と疑問に感じる方も多くいるかもしれません。

そこで今回は正しい概念をわかりやすく解説し、心理的安全性がもたらすメリットや測定方法までまとめて紹介します。

あなたにとって必要な項目を読み進め、心理的安全性を上手に活用するきっかけにしてください。

心理的安全性とは

心理的安全性とは、本来「psychological safety」と呼ばれ、ハーバード大学にて組織行動学の研究を進めるエイミー・エドモンソン氏によって提唱された概念です。

心理的安全性は、「不安や恐怖を抱くことなく自分が思った発言や行動ができる状態」を指します。具体的には、自らの言動によって人間関係に歪みが生じるのではないかという心配やストレスがない状態を言います。

この概念に注目が集まった理由は、Google社による研究結果である「効果的なチームの条件」において最も重要な概念であると発表されたためです。効果的なチームとは、業績や成果などの高い結果だけでなく、チーム内の文化や風土といった居心地の良さも併せて加味され、総合的に優れていると評価されたチームを指します。

研究結果によると、心理的安全性の高いチームのメンバーには特徴があり、Google からの離職率が低く、高い収益性を生み、マネージャーから高い評価を得られる機会が 2 倍多いことが判明しました。心理的安全性の高さはその人自身の能力を高め、チームにとっても高い効果を生み出す重要な要素であることが伺えます。

心理的安全性が注目される背景とは?

2016年に「心理的安全性が生産性に影響する」という趣旨のGoogleの研究結果が発表されたことがきっかけです。

Googleの発表で心理的安全性という言葉が広く知られるようになったのはもちろん、テクノロジーの発展に伴い、効率や生産性アップを図りたいと思う企業が増えたことも関係すると考えられています。

心理的安全性 提唱される4つの不安

心理的安全性は、適切な風土を持ち、優れた業務の結果を生み出す「効果的なチーム」作りに重要な概念です。一方、心理的安全性が低いチームにおいては大きく4つの不安が生まれることもエイミー・エドモンソン氏によって提唱されています。その4つの不安がこちらです。

・無知だと思われる不安
・無能だと思われる不安
・邪魔をしていると思われる不安
・ネガティブ思考だと思われる不安

1つずつ詳しく解説していきます。

無知だと思われる不安

わからないことを尋ねた時に「こんなことも知らないのか」と失望や見損なわれたような反応されることで生まれる、恥ずかしさや焦りの気持ちが入り混じった不安を言います。このような不安を抱えると、誰かに何かを尋ねることへの恐怖を覚えてしまい、わからないことが不明なまま解決されない問題として蓄積されてしまいます。仕事においては、問題に対し的確なアドバイスを取り入れられる機会が失われるため、ミスの発生や適切な問題解決に至らない影響が考えられます。

無能だと思われる不安

例えば業務上ミスが発生した際に、自らの愚かさに対する失望や非難の声に怯える不安を指します。このような不安は、誤りや失敗を自ら報告できない心理を生み出します。不安な気持ちからミスの未報告や隠蔽が癖づいてしまう可能性もあるでしょう。初めは小さなミスであっても報告されず改善されないままでは後々大きな損失や問題にもなり得ます。 

邪魔をしていると思われる不安

自分の言動は相手にとって迷惑かもしれないという不安な気持ちは、積極性や個性を失う状況を生み出します。例えば課題に対する新しい策をひらめいたとしても、面倒に思われることや業務の妨げになるのではないかと不安を感じます。このような不安が発生してしまうと、様々な人が集められ意見を出し合い問題を解決するチームとしての問題解決能力を失います。

ネガティブ思考だと思われる不安

例えばミーティングの場において、思い浮かんだ意見が本来適切なものであっても「それはネガティブな考え方だ」と批判される可能性を考え不安に陥る状態を指します。このような不安は、自らの言動で人間関係に歪みが生まれることを恐れるあまり、否定的な意見と捉えられそうな発言を慎む状態を生みます。実は前向きで的確であったかもしれない意見も埋もれてしまうため、チームとして正しい問題解決から遠のいていく影響も考えられます。

心理的安全性がもらたらす効果

心理的安全性_効果

高い心理的安全性がもたらすメリットは、優れた結果を生み出す効果的なチームを作ることだけではありません。心理的安全性が保たれることによって、企業と個人に対し様々なメリットをもたらします。それぞれ詳しく紹介します。

心理的安全性がもたらす「企業」への効果

心理的安全性が保たれているチームは、多角的な視点を活かした問題解決に取り組めることで、結果として企業の成果を生み出します。高い心理的安全性がもたらす、言動を起こしやすい雰囲気はそれぞれの特性や強みを引き伸ばす効果からチームに多角的な視点を持たせます。また自らの強みを自覚でき、何かあった時にはメンバー同士支え合い助け合うことで困難に強いチームを作り上げます。自分らしさを活かした働き方は居心地が良く、働きがいを感じられるため、人材の流出を防げるという点でも企業にとっては大きな効果が見込めます。

心理的安全性がもたらす「個人」への効果

心理的安全性が高いメンバーは自己肯定感を強められ、職場における働きがいを感じやすい効果があります。周囲の反応を気にかけ思った言動が起こせない状況では、ネガティブになりやすく自己肯定感が高まることはありません。自らの言動を受け止めてもらえる安心感は自信にもつながり、仕事へのやりがいを生みます。同様のメンバーが周囲にいることで、新しい発見や気づきを得ることができパフォーマンスの向上にも期待できます。自らの心理的安全性を高めることは、自分自身の心身の健康を保ち将来への希望を持てるだけでなく、周囲のメンバーにも同様の効果をもたらす波及効果も期待できます。

心理的安全性が高いチームの強み

心理的安全性が高いチームは、働きがいのある風土を持ち優れた成果を生み出し、個人と企業それぞれに良い効果をもたらします。では、そのようなチームは具体的にどんな強みを持っているのでしょうか。様々な強みが考えられていますが、今回は代表的な以下2つの強みについて紹介します。

・厳しい指摘や忖度ない話し合いが可能
・反対意見が活発に飛び交う

それぞれ理由も併せて解説します。

厳しい指摘や忖度ない話し合いが可能

1つ目の強みは「厳しい指摘や忖度ない話し合いが可能」であることです。心理的安全性が高いチームは、不安や恐怖がなく思ったことを周囲に伝えられ行動を起こせる状態が保たれています。そのため、ミスや誤りに対し指摘を受けることや、相手の言動を基準としない忖度ない話し合いが行われます。このことから「安全性を感じられない厳しい環境なのでは」と思う方もいるかもしれません。しかし、厳しいながらも安全性は保たれています。なぜなら、誰にでもミスや誤りはあり、それを大切な問題として気づかせるきっかけとして指摘をしているためです。あくまでもミスによって罰することや評価を下げるようなことではありません。失敗は成功のもとという言葉がある通り、失敗から成功に近づける気づきを与えてくれる指摘は、個人の成長の機会となりチームの強みに寄与します。また話し合いにおいても、意見を受け入れてくれるチームの安全性を感じられ、忖度ない意見交換が行われます。忖度ない話し合いは、それぞれの強みを活かした視点での意見交換を可能にし、より精度の高い問題解決ができる強いチームとなります。

反対意見が活発に飛び交う

2つ目の強みは「反対意見が活発に飛び交う」ことです。自分らしい考えを持ち発言できる、高い心理的安全性を持つ人々が集まる話し合いの場においては、必然的に反対意見が飛び交う機会も多くなります。一見厳しく恐怖を感じる方もいるかもしれませんが、反対意見は新たな気づきを与えてくれるきっかけとなります。逆に考えると、周囲を伺い不安な気持ちから思ったことが言えず、トップダウン的に結論に進む話し合いで得られる気づきは少ないでしょう。人は新たな気づきや発見があってこそ能力が高まり、チームとして考えるとお互いに気づきを与えられる関係だからこそ問題解決能力の精度も高まります。そのため、反対意見が活発に飛び交う強みはチームの成果を上げる強みと言えるでしょう。

チームの心理的安全性を測定する「7つの質問」

チームにおいてどれくらい心理的安全性が保たれているか「7つの質問」で確認することができます。メンバーには匿名で「7つの質問」に回答してもらうことで、より現状に近いチームの心理的安全性を測ることができるでしょう。「7つの質問」は心理的安全性を提唱したエイミー・エドモンソン氏が論文中で発表しており、内容は以下の通りです。

1.If you make a mistake on this team, it is often held against you.
 もしあなたがこのチームでミスをしたら、批難されることが多い。

2.Members of this team are able to bring up problems and tough issues.
このチームのメンバー達は、困難な課題も提起することができる。

3.People on this team sometimes reject others for being different.このチームの人たちは、異質なモノを排除する時がある。

4.It is safe to take a risk on this team.
 このチームなら、安心してリスクを取ることができる。

5.It is difficult to ask other members of this team for help.
このチームのメンバーに対して、助けは求めにくい。

6.No one on this team would deliberately act in a way that undermines my efforts.
このチームには私の成果をわざと無下にするような仕事する人は誰もいない。

7.Working with members of this team, my unique skills and talents are valued and utilized.
このチームのメンバーと仕事をする中で、私個人のスキルと才能は、尊重され役に立っている。

心理的安全性を高める5つの方法

メンバーがお互いに不安を抱えず、自由に発言できる組織にするための5つのポイントを紹介します。

全員が発言できる場にする

    安心してコミュニケーションをとったり発言できたりすると、積極的なコミュニケーションや何かを主張・提案する時の心配が小さくなります。

しかし、誰もが自由に発信できる環境を整えたとしても、一部の人ばかり発言していることもあります。入社・異動してきたばかりの人や、自分から発言するのが苦手そうな人に話題を振るなど、意見を言える機会を誰にでも用意する工夫をしましょう。

双方がアサーションを心がける

    アサーションとは、アサーティブコミュニケーションの略で、相手の考え方を大切にしながら、自分の意見や感情を伝えるコミュニケーションです。

相手のことを聞いてばかりで自分の考えや気持ちを主張できないことは、不満・不安が蓄積される原因です。反対に、自分の主張ばかりで相手の考え方などを受け止めないと、相手がストレスを抱え、発言を控えてしまうかもしれません。

誰もが自分の意見を言えるようにするには、「自分も相手も主張する権利がある」というアサーションの考え方が大切です。

DESC法(デスク法)や「アイメッセージ」を心がけましょう。

デスク法とは、下記の頭文字をとったものです。

  • Describe:描写する
  • Explain:説明する
  • Specify:提案する
  • Choose:選ぶ

上記を意識してコミュニケーションをとるようにすると、アサーションが身に付きます。

たとえば、仕事が立て込んでいる時に別の仕事を頼まれて断りたい時。

まずは、「他の仕事を抱えているので今はできません」と、自分の状況を伝えます。はっきり伝えることが描写のポイントです。回りくどい言い方だと、相手に伝わらないことがあるためです。

同時に、「これ以上仕事が増えるといっぱいいっぱいになる」のように、自分の気持ちを伝えます。

次に、「今週末に終えれば良いのであればお受けできます」など、どうすれば解決しそうか提案します。相手に妥協させないように代替案を出すことがポイントです。

そして、相手の話を聞いた上で、自分の行動を選びます。自分で引き受けるなら「今週中に終わるよう取り組みます」、他にできそうな人に頼みたいなら「〇〇さんが得意そうなのでできるか聞いてみましょうか?」などと伝えます。

自分のことを伝える時、「アイメッセージ」も大切です。アイメッセージとは、主語を私にして伝えることです。相手を否定せず、自分の気持ちなどを伝えるのに役立ちます。

先ほどの今すぐに仕事を受けられない状況を例にご説明します。「今はできません」だけでは、誰かに仕事を頼みたいという相手の要望を却下するだけです。一方、本当は忙しくて難しいにもかかわらず嫌々引き受けるのは、無理していることになります。

「私は今忙しいけど、あなたの役に立ちたい」ニュアンスを伝えるのに、アイメッセージが使えます。自分を主語にすると「私は他にも仕事があるので今は難しいです。今週末まで待っていただけますか?」「他にも仕事があって今は難しいので、他の人に頼んでもらうことはできますか?」といった伝え方になります。

チーム全体で定着させるなら、アサーションのテクニックを学んだり、ロールプレイングで伝え方を体験できる研修がおすすめです。

メンバー同士が交流機会を作る

    仕事以外での交流は、リラックスした状態でのつながりを期待できます。リラックスしていると会話しやすく、心理的安全性を高めやすいです。

飲み会や食事会などは、一緒に仕事をするメンバーのことを深く知ったり、関わりの少ないメンバーともコミュニケーションをとるのに役立ちます。

チームで協力して仕事をする環境を作る

    協力し合えるチームは仕事への不安が溜まりにくいので、安心して働けるでしょう。困っているメンバーをすぐにサポートできるようにするには、お互いの進捗を把握できる仕組みが必要です。

たとえば、進捗を共有できるシートを使う、チームで使うコミュニケーションツールに進捗を報告するグループをつくるなどです。

評価項目や評価基準を見直す

    何が評価されているか分からないと、「反対意見を言ったら印象が悪くなって評価が下がるのでは」などと不安になるもの。自分の意見を主張できないだけではなく、昇給・昇格のポイントが分からないままでは、モチベーションを保ち続けるのも難しいです。

誰にでも分かりやすい評価項目か、客観的に評価できる基準になっているかチェックし、理由を説明できる評価ができなそうなものは、変えても良いでしょう。

ただし、従業員をランク付けするような評価は注意が必要です。「失敗できない」「他のメンバーに負けたくない」といった意識が、チームの雰囲気を悪くするかもしれないためです。

ランク付けの代わりに、良かったこと・今後の課題を部下にフィードバックすることをおすすめします。フィードバックの際、分かりやすい基準はアドバイスの参考になります。

心理的安全性を高めるために役立つツール 

経営者・人事担当者の方は、「社員の心理的安全性は高いだろうか?」と考えることもあるのではないでしょうか。しかし、本人が普段意識していないケースも多いため、把握することは困難です。

ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、心理的安全性を把握、高めるのに最適なサーベイツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、社員の心理的安全性を高めるためのいわば土台です。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

154項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック 

スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。

適切な対策案を分析レポート化

調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。

部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化

集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。

  • 部署
  • 男女
  • 職種
  • テレワーク

対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。

まとめ

優れた結果を生み出す組織を作るために社員の心理的安全性を高めることは必要不可欠です。社員の精神状態を可視化でき、改善点を定量的に測定できるラフールサーベイを使用すれば、企業全体にとって大きなメリットがあるでしょう。

https://survey.lafool.jp/
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