人事評価制度の作り方は、人事や担当者にとって思い悩むことが多い業務の1つです。しかし適切な内容の作成によって社員のモチベーション向上や、生産性向上、ひいては企業の成長にもつながる重要な取り組みでもあります。
それゆえ、
「社員が納得するような人事評価制度を目指したい」
「制度の見直しにはどんな点に気をつければいいんだろう」
「せっかく作るなら失敗しない方法を知りたい」
と考える方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は人事評価制度の作り方の基本、失敗しない作り方のポイントを紹介します。また人事評価制度の運用時に抑えておきたいコツも解説しています。
これから人事評価制度の導入や見直しを考えている方は知識を増やすことで、より良い制度の作成に役立ちます。また運用方法についてもポイントをまとめているので、効果的な運用を目指す方もぜひ参考にしてください。
1. 人事評価制度の作り方の基本:社員の意見に耳を傾ける
人事評価の見直しや導入の際には、まず現場の不満をヒアリングしましょう。なぜなら人事評価制度の目的は、人材育成と社員のモチベーションの向上、そして企業の成長であり、社員の意見に耳を傾けることで問題点を見出せるためです。見出せた問題点を人事評価制度に反映させることで、人材育成や社員のモチベーション向上に必要な評価項目や基準を作成できます。その結果、業務効率の改善や生産性向上となり企業の成長につながるでしょう。
反対に、社員の意見を取り入れないことで「職場の雰囲気が悪くなる」というマイナスな影響が考えられます。なぜなら評価制度に公平性や納得性が感じられず、社員は不当な評価を受けていると感じるためです。場合によっては他社員への贔屓を疑い不満が募ることによって、職場全体の雰囲気が悪くなる可能性があるでしょう。そのため、社員の意見に耳を傾けることは、人事評価制度の作り方の基本であり最も重要な点でもあります。
2. 中小企業でも大丈夫!失敗しない人事評価制度の作り方
人事評価制度の作り方は以下の通りです。4段階の流れに沿って自社に合った人事評価制度を作成しましょう。
1. 人事評価制度の目的を明確にする
2. 評価基準・項目を設ける
3. 評価方法を設定する
4. 評価反映方法を選定する
1つずつ詳しく紹介します。
1. 人事評価制度の目的を明確にする
まずは明確な目的を設定しましょう。目的が明確である人事評価制度は、社員も目的を把握しやすいため会社の方向性が社員一人ひとりに浸透し、スムーズな導入に期待できます。人事評価制度の目的は昇給や昇格などの処遇への反映と思われがちですが、それだけではないのです。
内容が明確な評価制度は、企業から社員に期待している成果や行動を伝えることにつながります。そのため、明確な目的を伝えることで社員は仕事の目標を立てやすく、適切な評価が行われるとモチベーションも高まるメリットがあります。
2. 評価基準・項目を設ける
目的が定まったら評価基準や項目を設定します。項目基準は、企業が目指す方向性を示した全社員共通のものがあると、社内の意識統一を図ることが可能です。さらに職種や部署、役職などそれぞれの業務遂行に必要な知識や技能の項目基準を設けることで、人材育成の効果も期待できます。
例えば、営業職であれば売上や契約数、管理職であればマネジメント能力の項目も必要です。評価基準が社員にとって明確な目標となり成長を促すことにつながるでしょう。
3. 評価方法を設定する
次に評価方法の設定に進みましょう。どんな評価方法を選択すべきかは企業によって異なります。そのためさまざまな方法を比較し、企業の方針や風土に沿った自社に最適な方法を選択すると良いでしょう。代表的な方法として以下3つを紹介します。
- MBO評価
- 目標を社員自ら設定しその達成度合いを評価する方法
- コンピテンシー評価
- 高い業績を上げる社員の行動特性である「コンピテンシー」を評価基準として評価する方法
- 360度評価
- 上司のみからの評価ではなく、業務上関わりのある先輩や同僚、部下など多方面の社員から評価を受ける方法
4. 評価反映方法を選定する
評価がしっかりと反映されることを社員に伝えるために、反映方法や内容を選定し決定しましょう。具体的な例としては、昇級や降格の基準の設定、各等級ごとの給与テーブルの作成などがあります。
また数値で成果を示せる職種であれば、ある基準値の成果を達成した際に受け取れる賞与内容なども設定すると、社員のモチベーション向上にも期待できるでしょう。
3. 人事評価制度運用時に抑えておきたいポイント
人事評価の運用時に抑えておきたい2つのポイントがこちらです。
・上司からのフィードバックを必ず実施する
・評価者が陥りやすい人事評価エラーを把握しておく
1つずつ理由を含め紹介します。
上司からのフィードバックを必ず実施する
人事評価の手順には必ず上司からのフィードバックを含めるようにしましょう。評価の客観性や根拠を示すフィードバックによって、社員は評価内容に納得することができます。その結果、社員は自分自身の課題に向き合うことができ、改善に取り組む行動を促すことにつながります。
ただ単に評価を伝えるだけでは社員の不満不平を生みやすいため、フィードバックは必ず時間を取って行うよう努めましょう。
評価者が陥りやすい人事評価エラーを把握しておく
人事評価エラーは評価者によって無意識で行われることが多く、完全に防ぐことが困難です。そのためあらかじめいくつか把握しておくことで、エラーの発生にいち早く気づけるよう心がけましょう。代表的な人事評価エラー4つの概要と対策方法を紹介します。
ハロー効果
優れている点や良い部分に影響され、同じように他の部分も良い評価をしてしまうエラーです。ハロー効果の対策としては、評価項目ごとに評価が適切であるかを見極めることです。評価項目全体と被評価者を照らし合わせるのではなく、1つひとつの項目ごとに適した評価ができているかを判断するよう心がけましょう。
論理的誤差
評価者独自の見解や論理で評価をつけてしまうエラーです。論理的誤差の対策としては、事前に評価者に対し想像や推測での判断を排除するよう明確に伝えます。また人事や担当者が伝える評価基準の定義や関連性について、理解を深め納得してもらう取り組みも重要です。
中心化傾向
自分が下した評価で被評価者がどう感じるかを気にするあまり、どの項目においても平均的な評価をつけてしまうエラーです。中心化傾向の対策は状況によって2つ考えられます。
まず1つ目は、被評価者の能力や行動を把握できていない場合です。この場合は被評価者とコミュニケーションを取る機会を増やし、幅広い視点を持って被評価者の特性を見れるよう努めます。
2つ目は、評価基準が曖昧で分かりづらく理解できていない場合です。この場合はまず評価項目や基準をより明確な内容になるよう改善します。そして評価の実施前に内容に関して不明点はないかどうか確認するため、評価者が気軽に質問できる機会を設けましょう。
寛大化傾向・厳格化傾向
被評価者に良い印象を持たれない心情から、適切な評価ではなく全体的に甘い評価をしてしまうエラーです。寛大化傾向・厳格化傾向の対策としては、感情による評価を行わないよう実施前に評価者に徹底した説明を行います。必ず事実や根拠に基づいた評価を行い、そのような評価が被評価者の成長にもつながることを伝えましょう。
4. 社員の心理状態把握に役立つツール
上で説明したように、人事評価制度の作る際は現場の意見に耳を傾けることが重要となります。面談などでは見えにくい本音もあるかと存じますので、まずはサーベイツール等を用いて、社員の心理状態を把握することからはじめましょう。
ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、社員の心理状態把握に最適なサーベイツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。
社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック
スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。
適切な対策案を分析レポート化
調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。
部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化
集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。
- 部署
- 男女
- 職種
- テレワーク
対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。
5. まとめ
今回は人事評価制度の作り方の基本、失敗しない作り方のポイント、そして運用時に押さえておきたいコツについて紹介しました。人事評価制度は公平性や納得性を保った内容でなければ、社員の納得を得られることは難しいでしょう。それゆえ作成や運用は容易な業務ではありません。
しかし効果的な作成や運用は社員のモチベーションや働きがいの向上につながり、企業の成長にもつながります。作り方や運用方法の基礎を学びながら、まずは社員の意見に耳を傾けるところから取り組んでみましょう。