自社の生産性向上をITツール導入で実現!メリットと選び方を解説

生産性向上ツール

人材不足やビジネススピードの加速などの背景により、企業は限られたリソースで成果を最大化しなければ、競合力が低下してしまいます。解決策として、テレワークを代表とする柔軟な働き方の導入や、適材適所を実践する人材マネジメントなど、パフォーマンスを発揮しやすくする取組みのほか、ITツールを導入して業務改善を図ることも効果的な方法です。

今回は、生産性向上を実現するツールや利用メリットについて解説します。

生産性向上に向けた日本企業の動向と現状の生産性

労働生産性は、生産性を定量的に表す指標のひとつで、付加価値額または生産量を労働投入量で割ることで導けます。日本では従来より、労働投入量の効率化に対する意識が強く、ICTによる業務改善や人件費削減が進んでいます。

実際に、「国内企業がICTにより解決した経営課題の領域」の調査結果では、約半数が「業務プロセスの効率化」を挙げており、続いて迅速な業務把握、開発や運用コストの削減と続いています。さらに、AIやIoTなど新たなICTがビジネスに生かされるようになり、人手に依存していたサービスや差別化がしづらい製品等も、ICTを活用した高付加価値化の可能性が広がりつつあります。

公益財団法人日本生産性本部の調査によると、働き方改革などで国内の時間当たりの労働生産性は上昇しているものの、就業者一人当たりの労働生産性は、コロナ禍における消費落ち込みにより低迷しているのが実態です。

生産性向上のために導入されるITツール代表例

生産性向上に役立つビジネスツールは多数あります。企業規模や事業内容に合わせ、効果が見込めるITツールを選んで導入することが大切です。

プロジェクト/タスク管理ツール

テレワークを機に導入した企業も多いプロジェクト管理ツールやタスク管理ツールは、仕事の進捗状況を可視化するツールです。インタフェースはツールによりさまざまですが、各タスクの期日やステータス、メンバー管理ができ、タスクに関連する情報も共有できるため、グループで認識を統一でき、タスクの漏れや遅延を防ぎます。メールやチャットのようなフロー型ではなく、ストック型のコミュニケーションツールであるため、一目で進み具合が把握できるのが特徴です。

コミュニケーションチャットツール

従来メールでやり取りしていた情報を、更にリアルタイム性高く伝達できるツールがコミュニケーションチャットです。形式的な表現を用いず、実際に会話するような感覚でフラットなやり取りができ、伝達のタイムラグを防ぎます。また、チーム内や部門内のメンバーに公開したコミュニケーションが促進され、情報の浸透を速めます。

メッセージ機能のほかにも、Todoリストの管理やカレンダーツールとの連携など、マネジメントにも便利なツールです。

RPA

RPAはRobotic Process Automationの略で、機械学習や人工知能などの技術で業務を自動化するツールです。膨大に発生する業務や正確さが求められる継続的な業務は、RPAを用いることで、作業時間の大幅な圧縮やヒューマンエラーの回避が叶います。また、24時間365日稼働できるため、人手で発生していた残業時間の削減にもつながるでしょう。

単純作業にかけていた稼働を、より高度な業務や戦略へとシフトでき、企業の付加価値向上が期待できます。

営業支援ツール(SFA)

営業支援ツールは、営業活動で必要な一連の業務を管理し、営業活動を効率化します。顧客との商談記録や日報など営業に伴う業務をアシストし、案件の進捗状況や各種KPIの管理も可能です。顧客と直接関わる営業担当者だけでなく、セールス部門内で状況をシェアできるため、ナレッジ共有や担当引継ぎもスムーズです。ツールに蓄積されたデータは、ターゲット顧客ごとに特化した施策にも有効活用できます。

顧客管理ツール(CRM)

顧客情報を一元管理できる顧客管理ツールは営業支援ツールと混同されがちですが、顧客との関係性構築や向上が目的であるため、顧客へのメール一斉送信やアンケートなど、マーケティング機能も備わっています。開発部門や情報システム部門なども顧客満足度を把握できるため、顧客ニーズを捉えたサービス提供や製品開発が可能です。

営業部門でクローズドになりがちな顧客情報の細部まで関係部署に共有できるため、社内コミュニケーションによるタイムロスを防ぎ、スピーディなアクションにつながります。

マーケティングオートメーション(MA)

マーケティングオートメーションは、その名の通りマーケティング活動の自動化や効率化ができるツールです。見込み顧客の獲得からナーチャリング、営業とのアポイント創出までのマーケティングプロセスにおいて顧客をスコアリングし、次取るべきアクションを促します。担当者が随時チェックや判断をする必要はなく、最適なタイミングでアプローチが可能です。最近では、AIを用いたマーケティングオートメーションも登場し、蓄積されたデータを分析し、より精度高く需要予測やターゲティングが判断できるなど、進化を続けています。

電子契約サービス

電子契約サービスは、契約締結時に交わす紙の契約書を電子化し、オンライン上で押印や署名、締結まで完結できる仕組みです。従来は、すべての契約書に対し、押印や返送で数日かかり、過去の契約書についても保管された紙の原本から探す必要がありましたが、電子化することで大幅な稼働削減につながります。また、契約書作成においても、印刷して製本にする作業から解放され、サービスが保有するテンプレートを利用することで効率化が可能です。

名刺管理ツール

名刺管理ツールは交換した名刺をシステム上で一括管理でき、人手による煩雑な管理や紛失などを防ぎます。また、モバイルのカメラ機能を使い、外出先からも名刺登録ができるほか、名刺上の企業名や氏名といった個人情報をデータとして管理でき、検索性にも優れています。名刺交換後に部署や役職に変更があった際は、再度名刺交換をする必要なく自動でアップデートされるため、常に最新の情報を管理できます。

従来は、名刺の量が増えれば増えるほど整理や検索に時間を要していましたが、保管先がシステムに置き換わることで、大量の名刺データからいつでもスピーディに探せます。

従業員の健康状態に着目したウェルビーイングサービスの登場

健康経営は、働き方改革推進の上で企業が取り組むべき目標のひとつです。社員の健康に配慮することは社員一人ひとりの能力を高めることにつながり、結果的に生産性が向上されます。健康経営を実現するためのウェルビーイングサービスについて紹介します。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイング(Well-being)は、直訳すると幸福や健康といった意味になり、心身が健康かつ社会的に満たされ、幸福である状態を表します。もともとは医療や福祉の現場で使われる言葉でしたが、現在は業種業態に関わらず幅広い企業で認知され、企業活動において重視されるようになりました。

日本では、労働力不足による企業力や国力低下が懸念されており、企業は社員の健康維持をサポートし、仕事とプライベートを両立できる環境を確保しなくてはなりません。

また、コロナ禍で球速に進んだテレワークも、コミュニケーション不足などで心身の不調やストレスが新たに発生しており、社員のコンディション把握に各社が取り組んでいます。

持続可能な社会を目指すSDGsにおいても、「すべての人が健康で必要な福祉を受けられること」は目標のひとつです。

状態把握系ツール

ウェルビーイングを実現するツールの中で、社員のコンディションや満足度などを調査して可視化できるのが状態把握系ツールです。業務上のやり取りや面談だけではリアルタイムに把握しづらい社員の不調やモチベーションを高頻度でチェックでき、要因分析やスピーディーな対策が可能です。

サーベイはスマホやパソコンで簡単に回答でき、回答結果の集計やダッシュボード表示も自動化されるため、負荷なく状態把握ができます。

人材配置系ツール

人材配置系ツールは、社員一人ひとりの性格や保有スキル、経歴や評価などを一元管理し、人材マネジメントへ活かすタレントマネジメントツールや、業務適性を可視化し、最適な配置を実現する適性検査ツールなどが該当します。

社員を多角的かつ客観的に把握し、パフォーマンスを発揮できる適材適所を実践できるため、生産性向上につながります。また、社員情報をデータベースに集約できるため、異動や昇格、抜擢などの人事施策を検討する際も効率的です。

健康管理系ツール

社員の健康状態を把握することは会社の責務のひとつですが、健康管理系ツールを用いれば、定期健康診断結果やその他の健康データ、面談記録などを蓄積でき、心身の状態把握や職場課題を突き止められます。また、会社は年に一度、労働基準監督署に対し、健康診断実施状況を報告する必要がありますが、報告書を作成したり、提出ステータスを管理したりする機能が備わっているため、作業工数が削減されます。

コミュニケーション活性化ツール

従来は直接会話をしたり、メールや電話がコミュニケーションの主な手段でしたが、よりリアルタイム性高くやり取りできるコミュニケーション活性化ツールが増えています。テレワーク実践企業の多くは、対面コミュニケーションからWeb会議やビジネスチャットによるコミュニケーションへとシフトしました。

ツールの利用用途は、情報共有や指示、相談や報告など、業務プロセス上必要なやり取り以外にも、アイスブレイクや雑談といったカジュアルなコミュニケーションも含みます。このため、社員同士の関わり合いが深くなり、新たなアイデアの創出も期待できます。

また、対話内容が社内でオープンになり、セクショナリズムの打開にも効果的です。

生産性向上のためにITツールを導入するメリット 

生産性向上に役立つITツールの導入は、さまざまな副次的メリットがあります。

コスト削減

ITツールの導入により、社員は細かい作業やチェックなどの間接業務から解放され、本業務に集中できるようになります。また、自動化により遅延やミスが起きにくくなるため、人件費削減につながります。また、パソコンやスマートフォンでいつでも業務を進められるため、オフィスに戻る必要が無くなり、交通費を抑えられます。ツール利用前が紙運用であった場合は、印刷コストの削減効果もあります。

多くのITツールは月額利用料が発生しますが、削減できる費用と比較すれば安価と言えるでしょう。

問題点の可視化

ITツールの導入は、既存の業務プロセスを見直す機会となり、潜在的に発生していた無駄な工程を改善できます。また、社員の状態やタスクの状況に変化があれば、自動でアラートを挙げる機能により、タイムリーな課題の発掘と対処が可能です。

ツールを利用すればするほどシステムにデータが蓄積され、組織の傾向や問題点を分析し、経営戦略や人事戦略に有効活用できます。

多様な働き方も実現

ITツールで業務が完結できれば、場所や時間に捉われない自由な働き方が可能です。介護や育児のため休業せざるを得なかった社員が在宅で仕事を継続できたり、集中しやすい環境を選んで仕事するなど、ワークスタイルの幅が広がります。働きやすい環境は社員のエンゲージメントを高め、離職抑制にも効果的です。

手軽に試せる

ITツールの多くは、1週間から1ヶ月程度の間、トライアルとして無料で利用できます。運用部門の一部や上層部に限定するなどパイロットユーザーを決め、実運用を想定した操作やカスタマイズ性、権限設定などをチェックすることで、本格導入の判断がつきやすくなります。

まとめ

今後ますます顧客ニーズが多様化し、企業の競争が激化する中で、ITツールによる生産性向上は必要不可欠です。今回紹介したツール以外にも、テクノロジーの進歩や企業の業務提携などにより、画期的なツールがさらに増えるでしょう。管理や作業にかかる稼働をツールで効率化し、より戦略的な業務に人材を活用することは、社員のエンゲージメント向上にも効果的です。他社事例を参考にしながら、使いやすく定着しやすいツールを選ぶと良いでしょう。

https://survey.lafool.jp/
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