タレントマネジメントシステムとは?メリットやデメリット、導入方法を紹介

タレントマネジメントとは、欧米で活用されている人事管理手法の1つです。グローバル化や人材の流動化の影響を受け、2010年頃から日本でも導入されています。 本記事では、タレントマネジメントの概要や歴史、メリット・デメリットなどを説明します。

タレントマネジメントシステムとは

タレントマネジメントシステムという手法はどのようにして生まれたのでしょうか。その起源と経緯を説明します。

タレントマネジメントとは

talentには「才能・資質・能力」という意味があります。タレントマネジメントとは、社員の才能・資質・能力を活かした人材配置や人材育成を行うことをいいます。

タレントマネジメントの起源

1977年にマッキンゼーが刊行した『War for talent』という書籍がきっかけとなり、タレントマネジメントという考え方が広まりました。

1950〜1970年代の高度経済成長期は、大量生産大量消費の時代で、需要に応えるため、大量の社員を採用していました。そして、社員の離職を防ぐために、終身雇用制や年功序列ができました。この時代は、人材は「コスト」として考えられていました。

1980年代に入ると、大量生産大量消費の時代が終わり、作れば売れるということがなくなっていきました。企業は量ではなく、質を重視するようになっていきます。より優秀な人材を得ることが重要となり、人材は「資源」であるという考え方に変わりました。

1990年代のバブル崩壊以降は、社員一人ひとりの生産性を高めることが重視されるようになりました。社員に投資することで自社が発展するという、人材は「資本」である考え方が生まれました。

現代において、人材獲得競争は激化しています。また、社員の働き方の価値観も多様化しており、企業は十分な労働力を確保することが困難となっているのが現状です。企業の競争力を向上させるためには、人材を最大限に活用していくことが重要となります。そのため、社員のタレントを活かすタレントマネジメントが2010年代から普及するようになリました。

タレントマネジメントシステムとは

タレントマネジメントシステムとは、タレントマネジメントを行うシステムのことす。人材に関する情報を集約し、共有することで評価業務や人材育成、人材の活用に役立ちます。

個々の社員の情報をデータ化して管理するため、必要に応じて検索したり、共有したりする事が可能です。データを元に人材配置や育成を行うことで、タレントマネジメントを効率よく行う事ができるのです。

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タレントマネジメントシステムが必要になっている背景

タレントマネジメントシステムはなぜ必要とされるのでしょうか。その背景について、説明します。

グローバル競争の激化

技術革新によりビジネスのボーダーレス化がすすみ、海外企業との競争は激化しています。グローバル競争を生き抜くには、人材の質を高めることが不可欠です。社員一人ひとりの能力やスキルの向上がこれまで以上に求められているのです。

労働者の流動化、労働人口の減少

人材の流動化や労働人口の減少の影響を受け、多くの企業が採用活動に課題を抱えています。そのため、「今ある人材のスキルを最大限に活用し、どのように仕事の質を向上させるか」、「いかに現場のニーズに合う人材を確保するか」といったことが重視されるようになりました。また、適切な人材配置は社員のモチベーションを高めることにも繋がります。

働き方改革推進

長時間労働の是正により、一人あたりの労働生産性を高める必要が出てきたことも理由の1つです。限られた労働時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮し、生産性を高めることは、今後の企業の競争力に直結するでしょう。

価値観の多様化

近年では、仕事のやりがいを重視したり、家庭・プライベートを大切にしたりする人が増えています。ワークライフバランスの観点から時短勤務や在宅勤務などの働き方を選択する人も増えてきました。さまざまな価値観を持った社員を活用するには、社員一人ひとりの才能を活かすタレントマネジメントが重要となります。

タレントマネジメントシステム活用のメリット

メリットとデメリットの文字

タレントマネジメントシステムの導入によって、得られるメリットを説明します。

内部人材の発掘

タレントマネジメントシステムの導入により、従業員のスキルや経験をデータで把握できます。従来のシステムでは見えてこなかった従業員の才能や能力を発見できるため、効果的に内部の人材発掘が進められます。

適材適所の人材配置

個人のもつ才能、能力、スキルをデータで把握することで、客観的かつ最適な人材配置が可能です。社内の派閥や性別、年齢といった偏った見方から解放されるといったメリットも見込めます。

計画的な人材育成

職務と従業員のスキルのギャップが可視化できるため、より適切で計画的な人材育成が可能となります。データを元に方向性を確認しながら、人材リソースの最大化につながる育成計画を立てましょう。

従業員のモチベーション維持・向上

人材の能力を最大限に活かす配置は、働きがいや充実感が得られやすく、従業員のモチベーションの維持・向上につながります。

また評価基準の可視化やスキルにあわせた目標設定は「正しく評価されていない」といった仕事への不満を防ぎ、離職の防止にも効果的です。

タレントマネジメントシステム活用のデメリット

タレントマネジメントシステムのメリットをご紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。

社員の理解が得られない場合がある

タレントマネジメントシステムでは、社員の属性や能力、キャリア、勤怠、価値観などの情報を集めます。自分の情報を収集されることから能力をランクづけされているようで不快に思う社員もいるでしょう。社員が情報収集に協力的でなければ、情報収集はスムーズに行われません。そのため、タレントマネジメントシステムの目的や手順について周知しておき、社員の理解を得ることが重要です。

システム導入にコストがかかる

タレントマネジメントシステムの導入には、やはりコストがかかります。価格はシステムによって様々ではありますが、少なくない額が必要となるのは確かです。タレントマネジメントシステムを活用できなければ、システム導入のコストが無駄になってしまします。

データを活かしきれない

タレントマネジメントシステムの目的は、社員一人一人の才能を最大限に活かし、企業が成長することです。

しかし、タレントマネジメントの準備段階であるデータの収集だけで時間がかかってしまい、収集するだけで終わってしまうということもあります。また、データを収集したとしても、それを現場と連携できずにデータを活かしきれないといったこともあります。

タレントマネジメントシステムの目的や手順について、理解した上で進めていくことが重要です。

タレントマネジメントシステムの機能

タレントマネジメントシステムにはどのような機能があるのでしょうか。どのシステムにも搭載されている基本的な機能について説明します。

スキル管理機能

タレントマネジメントシステムとは、従業員の能力やスキルなどを一元管理できるシステムです。知識、経験、資格をはじめ、資質、適性、考え方、行動特性、交渉力、コミュニケーション能力、企画力といった項目も登録できます。

このデータを元にして人材育成や配置につなげるため、タレントマネジメントシステムのもっとも重要な機能といえます。

人事評価/目標管理機能

従業員の目標を設定し、実績や達成度を評価・管理する機能です。

従業員の目標を可視化することで、目標に向けたアクションを起こせているかを確認しやすくなり、目標達成の精度を高めるといった効果が期待できます。

またソフトによっては、部門単位での評価集計や、高い業績をあげている従業員の行動特性を人材評価の指標とする機能も搭載されています。

後継者育成機能

求める能力やスキルを設定し、そのポテンシャルを備えたリーダー候補を選抜し、育成する機能です。早期に後継者候補をピックアップすることで、次世代を担う人材を計画的に育成できます。

どのタレントマネジメントシステムを選べば良いのか

タレントマネジメントシステムにも様々なものがあります。効果的に活用していくためには、自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。タレントマネジメントシステムを選ぶ際のポイントを紹介します。

自社に必要な機能が搭載されているか

タレントマネジメントシステムは、ソフトによって収集できるデータや搭載されている機能が異なります。外部ツールとの連携に特化したものや、人事システムの機能を兼ね備えるものなどさまざまです。

自社の人事システムにあった製品を選ぶためには、自社の課題をよく分析し、どういった目的で何のために、タレントマネジメントシステムを導入するのかを明確にしておくことが大切といえます。

またパッケージの製品で自社に見合った製品がない場合は、柔軟に対応できるカスタマイズが可能な製品を選ぶのもひとつの選択肢です。

十分なセキュリティレベルか

個人情報の漏洩は、企業の信頼性やイメージに大きな影響を与えます。強固なセキュリティ機能を備えたシステム選びは必須といえます。

IDやパスワード管理はもちろん、端末認証機能や特定IPからのアクセス許可・除外機能、デバイス紛失時の遠隔データ消去機能を含む、セキュリティがしっかりしたものを選びましょう。

さらに、自動バックアップ機能やデータベースの二重化に対応していると、より安全性が高まります。

自社に合った提供形態か

主な提供形態は、クラウド型とオンプレミス型の2種類です。それぞれのメリット・デメリットを把握し、自社にあったものを選びましょう。

クラウド型

クラウド型では、インターネット上でサービス提供会社が構築したシステムを利用します。オンプレミス型に比べ初期費用が安く、導入までの期間も短く済むため、タレントマネジメントシステムをはじめて導入する中小企業に向いています。

メリット

  • 自社サーバが不要なため短期間で導入できる
  • 導入コストを抑えられる
  • 運用・保守は提供会社側で行うため、自社メンテナンスが不要
  • 常に最新のバージョンを利用できる

デメリット

  • カスタマイズができない

オンプレミス型

オンプレミス型は、自社サーバーにソフトウェアをインストールして利用します。クラウド型に比べて導入費用がかかり、管理のリソースも必要になるため、カスタマイズ機能をしっかり活用したい大規模企業に向いています。

メリット

  • 自社に合わせたカスタマイズがしやすい
  • 自社サーバーを使うためセキュリティ性能が高い

デメリット

  • サーバの用意や構築費用など、初期コストが高額
  • 保守運用など自社によるメンテナンス管理が必要
  • サーバの用意や構築費用など、初期コストが高額
  • 保守運用など自社によるメンテナンス管理が必要

組織改善に役立つツール「ラフールサーベイ」

ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、社員の心身の状態や組織課題の把握に最適なサーベイツールです。

社員のストレスや満足度、人間関係、仕事に対する意識などを知ることができるため、社員がより働きやすい環境を作ったり、適材適所な人材配置を行ったりすることに活用できます。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能です。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができます。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能です。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

154項目の質問項目で多角的に調査

社員が答える質問項目は全部で154項目あります。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を得ることができます。そのため、従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック 

スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出します。質問に対し、チャットスタンプ風に回答でき、社員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。

適切な対策案を分析レポート化

調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能です。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。

部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化

集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。

・部署
・男女
・職種
・テレワーク

対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てることができます。

まとめ

タレントマネジメントは、現代において、人材を適材適所に最大限に活用するために重要です。タレントマネジメントシステムを活用すれば、データの分析、抽出、活用がより効率的にできるようになります。人材配置。育成について見直すために、自社にあったシステムを導入してみましょう。

https://survey.lafool.jp/
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