エンプロイーエクスペリエンスとは?向上方法やメリットを解説

部下を持つ上司や人材管理に関わる人事担当者の中には、エンプロイーエクスペリエンスという言葉を聞いたことがある方が多くいるかもしれません。

しかし、「具体的にどういう意味?」「向上させるにはどうしたらいいんだろう」このような疑問を感じたことはありませんか?

エンプロイーエクスペリエンスは人材マネジメントの新たな観点として押さえておきたい概念です。そこでこの記事ではエンプロイーエクスペリエンスの概要やメリット、向上させる方法について紹介します。

管理職や人事担当者の方はぜひ参考にしてください。

エンプロイーエクスペリエンスとは

まずはエンプロイーエクスペリエンスの基礎知識として、以下の項目について解説します。

  • エンプロイーエクスペリエンスの概要
  • 注目される背景
  • 導入事例

1つずつ内容を確認しておきましょう。

エンプロイーエクスペリエンスの概要

エンプロイーエクスペリエンス(Employee Experience)とは、直訳すると「従業員の経験」です。意味合いとしては「従業員が組織の中で体験する経験価値」であることが「デロイト・グローバル・ヒューマンキャピタルトレンド2017」において定義されています。

エンプロイーエクスペリエンスを醸成する因子は経営活動や職場環境など、仕事に取り組む中で影響を及ぼすものが挙げられます。組織は従業員の満足度調査や健康管理を行うことでエンプロイーエクスペリエンスの現状を理解し向上させることが可能です。

エンプロイーエクスペリエンスが注目される背景

エンプロイーエクスペリエンスは、企業と従業員を結びつけられる新たな概念として注目されるようになりました。

現代では従業員が自己実現を目指し積極的に転職を選択するような「人材流動性の向上」が進み、従来の終身雇用制度から働き方が移り変わっていることが伺えます。さらに日本は少子高齢化による人材不足がますます深刻化しており、企業は貴重な働き手を確実に確保しなければなりません。そのため現代の企業は、成長や存続を目指す上で「仕事を通し高い価値や経験を与えられる組織」として従業員に選ばれる存在となることが求められているのです。

こうした状況により従業員がその組織での仕事を通して感じられる経験価値の指標として注目を集め、エンプロイーエクスペリエンスの向上に取り組む組織が増えました。

エンプロイーエクスペリエンスの導入事例

国内のエンプロイーエクスペリエンスの導入事例として、freee株式会社における取り組みを紹介します。

クラウドサービスを開発・運営するfreee株式会社では、エンプロイーエクスペリエンスを高めるために「weekly 1on1」という制度を導入しました。この制度の目的は従業員の満足度の向上であり、週に1回30分の上司面談を行うことで従業員個々のキャリア形成をサポートしています。「weekly 1on1」の特徴として高い頻度で上司面談を繰り返すことで、従業員それぞれが望む働き方や将来像を明確に聞き取り具体的なアドバイスや支援を行っています。

そのため従業員は「この会社なら望むキャリアを実現できる」と、組織で働く価値を実感でき、組織全体におけるエンプロイーエクスペリエンスの向上につながっているのです。

エンプロイーエクスペリエンスを実施するメリット

エンプロイーエクスペリエンスを実施するメリットはこちらです。

  • エンゲージメントが向上する
  • 人材が定着する
  • 業績が向上する

それぞれ詳しく解説します。

エンゲージメントが向上する

1つ目は、組織に対する貢献意欲である従業員のエンゲージメント向上というメリットが挙げられます。エンゲージメントとは組織と従業員個々の間における関わり合いを示し、従業員が自発的に抱く組織に対する貢献意欲を指します。エンプロイーエクスペリエンスに取り組むことは従業員満足度を高め、従業員がその組織で働く価値を実感することが可能です。その結果、組織に対する帰属意識が高まり仕事を通した貢献意欲が高まるのです。

人材が定着する

2つ目は人材の定着です。なぜならエンプロイーエクスペリエンスの実施は新たなスキルや知識の習得に励みやすい環境を実現し、従業員が働きがいを感じられやすくなるためです。思い描いていたスキルアップを実現できる職場や、それを受け入れサポートしてくれる職場は従業員にとって「働きやすさ」と「やりがい」の双方を感じられます。そのため「この職場で働き続けたい」と感じられやすく、企業にとっては人材の定着につながるのです。

業績が向上する

3つ目は業績の向上です。従業員がスキルや能力を高められる環境は効果的な人材教育に発展し、生産性向上につながります。エンプロイーエクスペリエンスの実施により従業員が組織の中で価値を感じながら働くことができるため、主体的な働き方によって効率的の良いスキルアップが可能です。従業員個々の高い能力は業務効率や生産性向上、ひいては業績アップや企業成長を生み出します。

エンプロイーエクスペリエンスを向上させる方法

エンプロイーエクスペリエンスを向上させる方法

エンプロイーエクスペリエンスの向上方法は以下の3つです。

  • エンプロイー・ジャーニー・マップを作成する
  • オフィスの改革を実施する
  • 従業員サーベイを実施する

1つずつ具体的な取り組み方を紹介します。

エンプロイー・ジャーニー・マップを作成する

1つ目は、エンプロイー・ジャーニー・マップの作成です。エンプロイー・ジャーニー・マップとは従業員が入社から退職するまでの間で想定される経験を時系列に沿って記載し、それぞれの時点において従業員が抱く感情や思考を整理したものです。

マップ作成によって従業員が組織の中で体験する経験価値を可視化させ、企業が従業員目線で経験価値や接点を把握し整理する目的を持ちます。エンプロイーエクスペリエンスをひとつの図として見える化できるため、企業は従業員に対し具体的な取り組みを検討することが可能です。

作成時の注意点は、対象となるペルソナの設定です。年齢層や経歴、価値観などさまざまな属性パターンを思い浮かべ、複数のペルソナを設定する必要があります。複数のペルソナを明確化することで、抱える背景や価値観に対し適切な経験の提供を実現できます。

オフィスの改革を実施する

2つ目は、従業員の立場に立ったオフィス改革です。具体的には「休みを取得しやすい制度設立」や「社員食堂の設置」など、従業員のニーズを汲み取った職場環境の改善が挙げられます。働きにくい環境や不満が放置されたような職場では、従業員は組織で働く価値を感じにくくなります。

一方で仕事と私生活の両立が推進される職場や、コミュニケーションを取りやすい職場は働きがいを感じられやすく、エンプロイーエクスペリエンスの向上につながるのです。従業員のニーズや目的を反映したオフィス改革であれば、「この組織は自分の意見を尊重してくれている」と感じられやすくなります。そのため従業員の立場に立ったオフィス改革は、より効果的なエンプロイーエクスペリエンスの向上となるでしょう。

従業員サーベイを実施する

3つ目は、従業員サーベイの実施です。エンプロイーエクスペリエンスの向上のために取り組むべきことを検討すると、様々な課題が思い浮び何から手をつけるべきか悩んでしまう場合もあるでしょう。従業員サーベイは従業員の健康や精神面を把握できるため、取り組むべき課題の優先順位が明確になります。

例えば従業員サーベイの実施によって、従業員が抱えるストレスや職場での人間関係や組織の健康状態を把握することが可能です。従業員が感じる不満や希望を可視化できると組織として取り組むべき課題が明確化でき、エンプロイーエクスペリエンス向上を目指した有効な改善策を講じることができます。 

社員のエンゲージメントの可視化に役立つツール ラフールサーベイ

ラフールサーベイ」は、社員のエンゲージメントを可視化することのできるツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

154項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック 

スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。

適切な対策案を分析レポート化

調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。

部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化

集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。

  • 部署
  • 男女
  • 職種
  • テレワーク

対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。

まとめ

今回はエンプロイーエクスペリエンスの概要やメリット、向上させる方法について紹介しました。現代における人手不足や人材の流動性向上を考慮すると、エンプロイーエクスペリエンスの実施は組織の発展や存続に不可欠です。これまで取り組んだことのない企業も多く、何から手をつけていいかわからない場合もあるかもしれません。

まずは従業員が感じている組織への不満や希望、ストレス状況などを明確に把握することが必要です。従業員と組織との間における課題に対し具体的な改善策を講じることによって、エンプロイーエクスペリエンスの向上につながります。自社の現状に合わせた適切な取り組みを検討しましょう。

https://survey.lafool.jp/
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