ダイバーシティとは?正しい概要を理解し成功に導く推進方法を学ぼう

「ダイバーシティって結局どういうこと?」
「企業はどんな取り組みをすればいいんだろう」

近年よく耳にするダイバーシティについて、こんな疑問を抱いたことはありませんか?

ダイバーシティは多様性の受け入れによって企業の発展を目指す、経営上の取り組みを指します。もともとは海外で広がりを見せたものの、国内においても取り組みを始め成果を得られている企業が多くなっています。

そこで今回はダイバーシティについて、改めて確認したい概要や推進方法、企業の導入事例をまとめて紹介します。この記事を読み進めることでダイバーシティへの深い理解や具体的な取り組みについて把握することができます。
疑問を抱えていた方や、取り組みに悩んでいた方はぜひ参考にしてくださいね。

1. ダイバーシティについて

ダイバーシティへの理解を深めるために、以下3つの項目に沿って概要を解説します。

  • ダイバーシティとは
  • よく耳にするダイバーシティ&インクルージョンとは
  • ダイバーシティ=女性活躍推進だけではない

ダイバーシティとは

ダイバーシティ(Diversity)という言葉は直訳すると「多様性」という意味です。組織マネジメントにおいては、性別や国籍、年齢などの多様性が活かされた働き方を推進する考え方を指します。企業戦略の側面においても個々が持つ強みが最大限発揮されるため、企業の成長に効果的な取り組みです。またダイバーシティは表層的・深層的属性の2つの分類に分けられます。表層的な属性とは、目に見える多様性です。具体的には性別や年齢、国籍などが挙げられます。深層的な属性とは、目に見えない多様性です。具体的には価値観や宗教、ライフスタイルなどが挙げられ、表層的な属性よりも組織へのパフォーマンスの影響が強いと考えられています。

もともとダイバーシティはアメリカで生まれ広まった考え方です。日本社会においてダイバーシティが注目され始めた理由には3つの背景があります。

  • 労働人口の減少
  • グローバル化による市場環境・顧客ニーズの変化
  • 雇用意識や価値観の多様化

総務省の調べによると、少子高齢化の進行により日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年を境に減少傾向にあり、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)にまで減少すると見込まれています。この労働力不足を補うため、女性、高齢者、障がい者、外国人など、多様な人材が活躍できる環境を整える動きが様々な企業・団体で活発化しています。

日本社会が抱える問題の1つである労働人口の減少は、事業を進めたくても社員を確保できず、企業にとって悩ましい課題です。このような課題に対し、育児や出産を経た女性やシニア層の活躍の場の提供など、多様な人材を確保する対策が注目され導入する企業が増えてきました。

また、グローバル化により、企業間の競争は激化するとともに、優秀な人材はより好条件な職場を求めて国内外を問わず流動するようになった今、人材確保は企業にとって難しい課題の1つとなりました。
働くことに対する価値観も多様化し、「プライベートを優先しながら働きたい」「場所や時間に縛られることなく自由に働きたい」というニーズを持つ従業員が離職をしないよう、多様な働き方を選択できる制度づくりに取り組む企業も増えています。

雇用意識や価値観の多様化は、日本社会における働き方の変化にも表れています。終身雇用や年功序列から成果主義へと移り変わる中で、働きがいやワークライフバランスの両立が求められるようになりました。そういった社員個々の価値観を受け入れる企業こそ、現代社会で活躍する労働者にとって働きがいを感じられる企業であり、企業としても事業の成長や発展に期待できるでしょう。

よく耳にするダイバーシティ&インクルージョンとは

インクルージョン(Inclusion)とは直訳すると「包括」「包含」「一体性」という意味です。そのためダイバーシティ&インクルージョンとは、互いの多様性を受け入れ一人ひとりの違いが活かされることを指します。ダイバーシティ&インクルージョンは企業にとって、持続的成長に欠かせない考え方であると言われています。

具体的な例を挙げると、外国人を雇用したが社内に活躍の場がなく退職してしまうような状況ではせっかくの雇用が活かされません。この場合ダイバーシティ&インクルージョンの考え方としては、雇用した外国人ならではの価値観や強みを引き出すために周囲の社員が違いを受けれようとする姿勢を示します。例えば、積極的に意見を伺ったり、チーム力が高まるようなワークへの取り組みを通して、多様性への尊重や共に成長を目指す風土を伝えます。このような取り組みによってダイバーシティ&インクルージョンは実現され、お互いの多様性を受け入れ幅広い強みを持つ企業は持続的な成長を実現するでしょう。

ダイバーシティ=女性活躍推進だけではない

ダイバーシティには女性の活躍推進が取り組みとして不可欠ではありますが、決してそれだけが全てではありません。ダイバーシティを取り入れる際に注意すべきことは、個人の能力に注目することです。目に見える違いである性別や人種などに注目しがちですが、本来の目的としては個々の能力に目を向ける必要があります。なぜならダイバーシティを取り入れる企業の目的としては、社員の能力や価値観の多様性が生み出す違いを経営に活かし、企業の強みや発展につなげることであるためです。目に見える多様性だけでなく、個々の能力や価値観を尊重し受け入れることによって企業の成長に活かすよう心がけましょう。

2 ダイバーシティを推進するメリット

ダイバーシティを推進する主なメリットは以下の3つです。

多様な人材を獲得できる

例えば、時短で働くという選択肢を設けたり、自宅で勤務ができるよう整備したりすることで、子育てや介護で時間や場所に制限がある人材が働くことが可能になります。また、外国人労働者が心地よく働けるよう、言語のサポートが整っていたり、社内に異文化を容認する雰囲気が醸成されていたりすることで、海外の求職者にとって大きな魅力と映るでしょう。

このように、多様な人材が活躍できる制度の整備や、それを認める社風の定着は、企業の採用力を高めます。優秀な人材を確保し、定着させることで他社との競争に競り勝つ力を培うことにつながります。

イノベーションを生み出す原動力になる

多様な価値観をもつ人材が生き生きと活躍する環境下では、斬新なアイデアが生まれやすいという副次的メリットもあります。

  • 多様な価値観を持つ人材が活躍する企業では、斬新なアイディアが生まれやすい。
  • 既存の枠組みにとらわれない新たなビジネスアイディアが新商品や新サービスを生み出し、自社の競争力になる。

離職率の低下とエンゲージメントの向上

多様性が認められ、従業員一人ひとりが「働きやすい」と実感する環境が整備されれば、自ずと離職率は低下していきます。在宅勤務や時短・時間外勤務を選択できるようになれば、家庭やプライベートと両立しやすくなるでしょうし、外国人やLGBTQの方、障害を持っている方達がストレスなく周囲とコミュニケーションをとり、業務に当たることができるならば、離職の可能性も低くなります。

また、離職を防止するだけでなく、自身の価値観に対して理解・尊重されていることを実感することは、企業への信頼感や愛着を高めることにつながり、結果、業務パフォーマンスの向上につながるなどのメリットをもたらします。(これを従業員エンゲージメントといいます。)

3. 経営陣なら知っておきたいダイバーシティの推進方法

経営陣なら知っておきたいダイバーシティの推進方法

特に経営陣の方に特に押さえておいて欲しい、ダイバーシティの推進方法が以下3つです。

  • ダイバーシティ推進の目的を社員に浸透させる
  • ワークライフバランスを考慮した多様な働き方を推進する
  • 社員同士がコミュニケーションを取りやすい環境作り

1つずつ理由を含め紹介します。

ダイバーシティ推進の目的を社員に浸透させる

まずはダイバーシティを推進する目的を社員に共有し浸透させます。なぜなら経営陣の理解だけでなく現場の社員の理解があってこそ、組織風土や職場環境の改善に繋がるためです。経営陣の意向を共有する有効な方法として、全社員を対象としたミーティングの実施や研修の開催が挙げられます。どんな方法においても目的だけでなく、推進の経緯や社員に期待することなどを含めて伝えることによって、社員の能動的な取り組みを実現できるよう努めましょう。

ワークライフバランスを考慮した多様な働き方を推進する

多様な働き方を推進する際には、ワークライフバランスを考慮した内容を心がけましょう。ライフイベントに応じた働き方ができる体制が整っていることで、フルタイムでは働きづらい社員がいたとしても解雇という選択をせずに長期間にわたって人材を確保できます。ライフイベントには出産や子育て、介護などさまざまあるので、必要に応じてそれぞれに適した体制を整えましょう。

具体的な例として以下のような取り組みがあります。

  • 子育てとの両立を目指し、休暇制度や時短勤務を可能にする
  • 実家での介護を行いやすいよう、テレワークの導入

社員同士がコミュニケーションを取りやすい環境作り

社員同士がコミュニケーションを取りやすい環境も、ダイバーシティの推進において重要です。なぜなら、社員同士が密に意思疎通できることで、互いの価値観や違いを受け入れる姿勢が形成されるためです。このような姿勢は、多様性を受け入れ互いの違いを活かすチームとしての強みになります。

コミュニケーションを活性化させる具体例として以下の方法があります。

  • 個々の席を持たないことで、幅広い社員との交流が可能なフリーアドレス制の導入
  • 気軽な意見交換や部署間の交流目的となるよう経費で行うランチミーティングの実施

ライフステージに関わらず就業を継続できるよう支援する

出産や育児にハプニングはつきもの。また、誰であっても、突然介護や闘病が始まり、ライフステージが急に変化することもあるでしょう。

そのような時でも従業員が置かれた状況に理解を示し、就業継続できるよう柔軟に対応することで、ダイバーシティは推進されていきます。

子育てや介護中の従業員が時短で働ける制度や時間外(深夜帯など)に働ける制度、出産・育児・介護休業制度の導入など、直接的な支援はもちろん、誕生日や結婚記念日に取得できる「記念日休暇」や個人の趣味やステップアップを支援する休暇の制定など、従業員のニーズを把握したユニークな取り組みで就業継続を支援する企業もあります。

4. ダイバーシティに取り組む企業事例

この章ではダイバーシティに取り組む国内企業以下3つの事例を紹介します。

  • SCSK株式会社
  • 住友林業株式会社
  • 日本IBM株式会社
  • 味の素株式会社
  • 株式会社資生堂

具体的な取り組みや成果についてまとめたので、自社の導入や見直しの参考にしてください。

SCSK株式会社

SCSK株式会社では、ダイバーシティの取り組みの中でも女性の活躍推進に注力しています。目的として女性のいきいきとした活躍を掲げ、長時間労働の是正や管理職の育成に取り組みました。具体的な方法として、5つの女性活躍推進プログラムを策定しそれぞれの目的に適した対象者に対して研修やセミナー、交流の場を設定。女性社員にとっては目指すキャリアや希望するワークライフバランスに沿った、的確なプログラムに参加できることで、企業への貢献意欲も向上されます。得られた成果として、女性の役員およびライン管理者職数は87人を達成しました。また女性活躍推進法に基づく優良企業としての認定も取得しています。

住友林業株式会社

人材確保のためにシニア層の活用を始めた企業が、住友林業株式会社です。具体的な方法として「選択型定年制度」の導入と「シニア人材バンクセンター制度の上限撤廃」に取り組みました。「選択型定年制度」は、社員本人の健康や家族の状況など個々の事情に応じて社員自身で定年時期を選択できる制度です。この制度の活用によって定年時期を前倒しすることで、社員が自分のペースに合わせた勤務地や勤務時間が可能である再雇用社員としても働ける体制を整えました。また「シニア人材バンクセンター制度の上限撤廃」は、上限70歳まで継続勤務を可能する制度です。年齢にとらわれないシニア人材に活躍の場を提供する制度によって、多様な人材による活気ある職場づくりが推進されています。住友林業株式会社では、社員とっては価値観の尊重、企業にとっては人材確保という双方にとってメリットのあるダイバーシティの取り組みが進んでいます。

日本IBM株式会社

日本IBM株式会社は、LGBT+への取り組みをいち早く始めた企業です。LGBT+の認知がまだ広まっていなかった2004年から委員会を設置し、イベントやワークショップの企画・運営を実施。2008年には社内外に向けLGBT+への積極的な支援を宣言し、LGBT+向け就活イベントやLGBT+イベントへの協賛をNPOとの共同で実施しました。イベントの開催は現在も継続して行われ、毎年参加者を増やしているそうです。また福利厚生や人事制度においても配偶者とパートナーを同等の扱いとして活用できるよう設定しています。具体的には結婚や出産による特別有給休暇や結婚祝金など、事実婚の社員も他社員と同じように取得できます。すべての社員が平等に働くことだけでなく、働く環境においても多様性を受け入れ社員個々が自分らしく活躍できる職場を実現している企業です。

味の素株式会社

味の素株式会社のダイバーシティ &インクルージョンの取り組み開始は2008年にまで遡ります。主に女性を対象として育児休暇や時間単位有休などを推進した第1フェーズ、その対象を全従業員に広げた第2フェーズを経て、現在は、さらに従業員一人ひとりの価値観が尊重され、各人の能力が活かせる環境づくりに取り組んでいます。

例えば、英語が第一言語の人や聴覚障がいのある人のために、社内資料や映像にも日英の字幕を付けるなどハード面の改善や、外部講師やe-Learningによる研修を実施し、多様性を受け入れるためのソフト面の改革にも取り組んでいます。

株式会社資生堂

女性が活躍する会社BEST100、2022年1位に輝いた株式会社資生堂。現在は、この時点で約40%だった女性管理職比率を、50%にまで引き上げることを目標に掲げています。管理職に就いている女性を対象にした勉強会の開催はもちろんですが、リーダーを全く意識していない非管理職の従業員に対しても、自分らしく働くためのワークショップを実施。「将来ライフステージの変更があるかもしれないので責任職に就く自信がない」などの理由で、キャリアアップに挑戦する前に諦めてしまうことがないよう、1人1人のエンパワーメントに力を入れています。

また、働く時間を自由に選べるスーパーフレックス制度や在宅勤務制度の導入で、自由な働き方を実現しながらも生産性を維持するために、さまざまな工夫を凝らしています。従業員一人一人の目標設定やプロセスの管理を明確にし、上司から的確なフィードバックがもらえるようコミュニケーションをしっかり取るなどはその取り組みの一端です。

5. 社員のメンタル状態の可視化に役立つツール 

ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、社員のメンタル状態把握に最適なサーベイツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

154項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック 

スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。

適切な対策案を分析レポート化

調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。

部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化

集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。

  • 部署
  • 男女
  • 職種
  • テレワーク

対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。 

6. まとめ

今回はダイバーシティについて、概要や推進方法、導入事例をまとめて紹介しました。ダイバーシティは、労働人口減少や成果主義への移行といった日本経済の現状において成果を上げる、新たな取り組みとして期待されています。自社でも取り組みを行うことで、これまでとは異なる環境や働き方に戸惑う社員もいるかもしれません。

ラフールサーベイは社員の心情の変化や推移を可視化できることで、社員の心に寄り添った制度の導入や運用に効果的です。データ結果を分析した適切な対策案の提示によって、これまで気づきにくかった課題の抽出にも期待できるでしょう。サーベイツールの導入にはぜひラフールサーベイを検討してください。

https://survey.lafool.jp/
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