ストレスは人間にとって心の問題だけでなく、時に脳卒中や心臓病など身体に影響を及ぼす疾患にもつながります。職場という長い時間を過ごす場所では、特にストレスは感じたくないですよね。
しかしながら、現実では職場でのストレスに悩まされている従業員も数多くいるでしょう。その場合はまず原因の特定をおすすめします。原因を把握し、適切な解決やコントロールをしてあげることで、ストレスの発生を抑えられることや、未然に防ぐことにつながります。
今回は、考えられるストレスの原因と、おすすめのコントロール方法をまとめてご紹介します。
1.職場で従業員がストレスを感じる5つの原因
ストレスの抑制や予防には、その原因を把握しておくことが大切です。ストレスと一言で言っても様々な原因があり、その原因に合った対策でないと、抑制や予防を行うのは難しいためです。事前に原因として考えられる状態をいくつか再確認しましょう。
そもそもストレスとは
ストレスというのは外部からの刺激によって生じる緊張状態を指します。ストレスを感じると脳にある扁桃体が不安や恐怖などの不快刺激を感じ取り、臓器や自律神経へ伝達します。伝達を受け取った心臓は心拍数の増加させ、自律神経はバランスを崩すことで頭痛や胃腸の不具合など、身体へ様々な影響を及ぼします。
原因1:人間関係
職場においては人との関わり合いが不可欠であるため、人間関係がストレスの原因になりやすい傾向があります。例えば、気分にムラがある上司や、気が合わない同僚など、他人を受け入れられない時にストレスを感じやすいでしょう。また上司や同僚など業務上近しい存在は関わる機会が多いため、人間関係のストレスは増大しやすいとも捉えられます。
原因2:自己肯定感の低下
理不尽に叱られたり、不当な扱いを受けるなど自己肯定感が下がる接し方が横行する職場では、従業員自身が自分を受け入れてあげるのは困難です。自己肯定感は低下し続けることで、業務上でも本来の能力を発揮できず、やっぱりダメなんだと繰り返しネガティブに捉える悪循環が起きてしまいます。自分を受け入れられない気持ちは不安や恐怖を招き、ストレスとして精神的に大きな負担となり得るでしょう。
原因3:厳しすぎるノルマ
ノルマが厳しいことによって、従業員は大きなプレッシャーと業務量を抱えます。厳しいノルマは達成の見込みも感じられず、結果的に評価が下がることや減給や降格の可能性といった、心理的なストレスを感じてしまいます。そんな不安によって残業や休日出勤などを重ねた場合は身体的な疲労も蓄積されるでしょう。
原因4:ハラスメント行為
ハラスメントとは相手に対して行われる「嫌がらせ」を意味し、パワハラやセクハラなど様々な種類があります。上司と部下といったような立場の違いによる力関係を利用したパワハラは、業務への支障を懸念し耐えてしまうことで、ストレスが更に増大します。また職場でのハラスメント行為は、被害を受ける本人だけでなくその周囲の人間にも影響を及ぼします。ハラスメント行為が間近に見えることで、自分自身が標的になる恐れを感じることや、職場への不信感が職場全体に広まります。
原因5:不明確な評価基準
評価基準が明確でないことも、従業員がストレスを感じる原因の一つです。どのように評価されているかわからなければ「結果を出しているのに評価されない」「労働量に給料が見合っていない」といった、不満を抱く人が出てきます。ストレスマネジメントの一環として、明確な評価基準を設けることが必須といえるでしょう。
2.職場でストレスを受けた時の不調のサイン
ストレスを受けるとどういった予兆が現れるのでしょうか。早期発見のためにも、不調のサインをチェックしておきましょう。
精神的症状のサイン
- 常にイライラしている
- やる気がでない
- 集中力がない
- どうせうまくいかないと考える
- 思考力が低下する
- 悪い結果ばかり考える
- 自分を責める など
肉体的症状のサイン
- 頭が重い、めまいがする
- 肩こりや腰痛、頭痛など体の痛みがある
- 食欲がわかない、食べ過ぎる
- 夜に眠れない
- 倦怠感がある
- 動機や息苦しさがある など
行動的症状のサイン
- 遅刻や早退が増える
- 休みがちになる
- 仕事のミスが増える
- 元気がなく、ぼーっとしている
- 言葉が乱暴になる
- 身だしなみがだらしなくなる
- 外出を避ける
- アルコールや喫煙が増える
- ささいなことで激しく怒る など
症状が軽くても放っておけば悪化につながるため、「このくらい大丈夫」と無理をせず、早めに対処することが大切です。
ストレスによる不調の症状は人によっても異なります。自分では気づけないことも少なくないため、「同僚や部下の様子がいつもと違う」と感じたときは、早めの声かけを心がけましょう。
3.職場のストレス対策として会社が行うべき4つのこと
ここからは、職場のストレス対策として有効な4つの具体例を紹介します。
ストレスチェックやアンケートの実施
自社の従業員の現状を把握するためには、アンケートによるストレスチェックの実施が有効です。
ストレスチェックとは、アンケートに従業員が回答し、それを集計・分析することで、ストレス状態を調べる簡単な検査のこと。労働安全衛生法により、従業員が50人以上いる企業では年に1回の実施が義務付けられています。
検査結果は本人に通知される仕組みのため、従業員本人に自分のストレス状況に対する気付きを促せます。また、職場全体のデータを分析して労働環境の改善に役立てることも可能です。従業員がどのようなストレスを感じているのかをデータとして把握することで、より効果的な対策が立てられるでしょう。
メンター制度や1on1の導入
ストレスを抱えたときに「周りに相談できる人がいるか」というのも、重要な視点です。たとえば、年齢の近い先輩社員が新入社員をサポートするメンター制度や、上司と部下の1対1で部下の成長を促す1on1を導入することによって、誰かに相談しやすい環境を整えられます。コミュニケーションをとることで問題解決のヒントが得られるので、従業員が一人でストレスを抱え込みにくくなります。
人員配置や業務量の見直し
残業やノルマの負担は、ストレスに直結します。残業が常態化している場合には、業務量や人員配置を見直し、一人ひとりに負荷がかかりすぎないよう配慮しましょう。
業務フローの見直しや人員の増員のほか、ITシステムによって自動化できる部分はないかなど、多角的に取り組むことが大切です。
福利厚生の充実
福利厚生を充実させることも、職場のストレス軽減に欠かせません。福利厚生の一環として、社内でマッサージを受けられるようにしたり、自由に仮眠がとれるスペースを設けたりと、勤務中のストレスを解消できるサービスを提供している企業もあります。
また、ジムや宿泊施設を割引価格で利用できる福利厚生を導入すれば、社外でのストレス解消にも役立つでしょう。制度やサービスを用意するだけでなく、実際に利用しやすい環境を整えることも大切です。
4.リーダーが認識するべきストレスマネジメントの心得
企業やチームにおけるストレスは、当人同士の問題だけでなく時に業務に関わる場合もあります。そのためリーダーはチームにおけるストレスを認識し管理する、ストレスマネジメントを行うことが推奨されています。ここからはマネジメントを実施する際に心がけるべき項目を、1つずつ詳しくご紹介します。
ストレスマネジメントとは
ストレスが心身へ影響を及ぼさないように、管理し対策を行うことを指します。具体的には、従業員が抱えるストレスを早期に発見し、増大させないよう抑制することで心身の健康を目指します。またストレスとの上手な付き合い方を共有するなど、ストレスの発生を事前に防ぐことも重要な管理方法です。
チーム内で目指す方向性を共有する
マネジメントを実施するにあたり、目指す姿を従業員にも共有することを心がけましょう。チーム内で予め共有することで、方向性のズレを防ぐことや、チーム全体でマネジメントする意識が強まり、より効果的な対策に近づくためです。そのためにも目指す方向性を共有する際には、従業員の意見も積極的に伺う意識も必要でしょう。
従業員個人の特性を理解する
チームのストレスマネジメントには、従業員を個々に理解してあげることが不可欠です。職場には様々な特性を持った人が集まっており、その特性に合わせた管理や対策が必要です。そのため、定期的な個別面談を設けるなど、個々の考え方や意思を汲み取れる機会を作るように心がけましょう。
従業員間の関係性を理解する
職場においては様々な個性や背景を持った従業員がいます。そのため、どうしても合わないと感じる人間関係も生まれるでしょう。そういった関係性は日頃から把握しておくことが重要です。普段から従業員の関係性を見守ることや、気軽に伺えるような関係性を構築し予め理解することで、関係性を考慮したマネジメントの実現につながるでしょう。
従業員間のトラブルを放置しない
放置された従業員間のトラブルは、当人同士だけでなくリーダーへの不信感にもつながり大きなストレスとなり得ます。トラブルを抑制し、または未然に防ぐことで、従業員が感じるストレスを減らすことができ、リーダーに対し自分を正してくれる信頼感も生まれます。トラブルが発生した際には自ら関わり合い、抑制するよう努めましょう。
5.ストレスマネジメントを行うメリット
ストレスマネジメントにはどんな効果があるのでしょうか。メリットを詳しくみていきましょう。
生産力低下を防げる
メンタルヘルスが不調になると、倦怠感や睡眠障害など体にも悪影響が及ぶため「普段はしないミスが頻発する」「1つの仕事に以上に時間がかかる」といったことが起こります。本来のパフォーマンスを発揮できなくなり、生産力の低下につながることも少なくありません。ストレス対策をすることで、早期に解決できれば、生産性の低下を防止できます。
事故やトラブルを未然に防止する
メンタルヘルスの不調によって集中力や注意力が低下すると、意図しない事故や重大なトラブルにつながるおそれがあります。業種や職種によっては、一つのミスが取り返しのつかない事態を引き起こしてしまう可能性も。メンタルヘルスの不調を甘く見ずに、会社としてストレスマネジメントに取り組むことが大切です。
職場の活気が向上する
会社全体のストレスマネジメントがうまくいくと、従業員一人ひとりの仕事の質が高まり、職場の活気の向上につながります。職場が活気づくことで、従業員のモチベーションを維持する効果も見込めるでしょう。
6.従業員のストレスマネジメントに役立つツール
ストレスマネジメントにおいて重要なのは、従業員が抱えるストレスの要因を特定し、増大させないよう抑制する事です。
ラフールサーベイは「社員のストレス状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、ストレスマネジメントに最適なサーベイツールです。
従来のストレスチェックでは特定ができなかった、ストレス要因まで可視化でき、より働きやすい環境作りにラフールサーベイのサービスは多いに役に立つでしょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック
スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。
適切な対策案を分析レポート化
調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。
部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化
集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。
・部署
・男女
・職種
・テレワーク
対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。
7.まとめ
ストレスの抑制や予防には、その原因を把握しておくことが大切です。従業員のストレスをコントロールしてあげることができれば、働きやすさは向上され、組織の改善や人材の定着にもつながります。ラフールサーベイを使うことで効率的にその作業を行えます。