パワハラ防止法とは?企業の義務、罰則の有無、パワハラ対策も解説
職場でのパワーハラスメントは当事者だけでなく、会社全体に悪影響を及ぼします。パワハラ防止法の成立により、パワハラ防止措置は企業の義務となりました。時に線引きが難しいパワハラの定義や判断基準、具体的な対策内容などを網羅的に解説していきます。
パワハラ防止法とは
パワハラ防止法とは、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を義務付ける法律です。2019年5月に成立、大企業は2020年6月に施行開始され、中小企業(資本金3億円以下・従業員数300名以下)では2022年4月から施行です。事業主は、パワハラに関する相談窓口の設置や再発防止対策の実施が求められる他、行政の勧告に従わない場合は、企業名が公表されることがあります。
パワハラ防止法の正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(略称:労働施策総合推進法)と言い、2019年5月の改正案に初めてパワーハラスメント防止の義務が盛り込まれたことで「パワハラ防止法」と呼ばれるようになりました。
パワハラ防止法が成立した背景
パワハラ防止法が成立した背景のひとつに、パワハラ行為に対する相談件数が増加したことがあります。
2017年4月に公表された「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(*1)では、社員の悩みや不満の相談内容としてパワーハラスメントが最も多く、全体の32.4%に上っていることが明らかになりました。
また、2018年に厚生労働省が発表した「個別労働紛争解決制度の施行状況」(*2)によれば、職場におけるいじめ・嫌がらせに関する相談件数は8万2797件と過去最高となっています。
このように、職場環境の改善が強く求められている現状を受け、国としてパワーハラスメントを防止する取り組みの法制化が必要だと判断されたとみられます。
また、パワーハラスメントが一因となり、若手社員が自ら命を絶ち、世間を騒がせたこともパワハラ防止法成立の背景にあるといえるでしょう。
*1:職場のパワーハラスメントに関する実態調査(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000163573.html
*2:平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000213219_00001.html
パワハラ防止法の対象となる範囲
パワーハラスメントとは、同じ職場の労働者に対して、職務上の立場や人間関係などの優位性を背景に、必要以上に精神的・身体的苦痛を与えたり職場環境を悪化さたりすることを指します。
これを防止するためには、まず「職場」「労働者」が示す範囲について認識しておきましょう。
職場の範囲
職場とは「被雇用者が業務を遂行する場所」を指します。したがって、オフィスや工場など毎日出勤するような場所以外にも、移動中や食事の場、在宅勤務の場合は自宅も含まれます。
また、時間の制約がないため、勤務時間外の行為もパワハラに該当します。
労働者の範囲
パワハラ防止法が適用されるのは、雇用形態に関わらず全ての従業員に対してです。正社員、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員など、全員が対象です。派遣社員の場合は、雇用契約を結ぶ派遣会社だけでなく、派遣先の企業側でも同様にパワハラ防止への配慮、措置が求められます。
業務委託の個人事業主やインターンシップ中の学生、求職者は適用範囲外ですが、業務上の関わりがある以上、同様の配慮が望ましいとされています。
パワハラ防止法の罰則
2019年に成立したパワハラ防止法には、罰則規定が含まれません。ただし、厚生労働大臣が必要と認めれば、事業主に対して助言、指導または勧告できるとしており、事業主が勧告に従わない場合は、その事実を公表する可能性があるとしています。
加えて、パワハラが発生していることを知りながら適切に対応しないでいると、「職場環境配慮義務」違反となる可能性があります。これは規模に関わらず、すべての企業に該当するもので、パワハラを含むあらゆる不合理な行為を放置することなく、従業員に対して適切な労働環境を提供する義務があると定められています。
パワハラ防止法が定めるパワハラの定義
厚生労働省は、職場におけるパワハラ行為を定義づける3つの要素を提示し、すべて満たす場合にパワハラに相当するとしています。
パワハラの3つの要件
その3つの要件とは、以下の通りです。
- 優越的な関係に基づいて行われること
- 業務の適正な範囲を超えて行われること
- 身体的・精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること
ここでは、 各要件について詳しく解説します。
「優越的な関係に基づいて行われること」
「上司と部下」のように、職場での地位が優位にあり、抵抗・拒絶できない関係に基づいて取られる行動を意味します。職務上の地位が優位な者だけでなく、同僚や部下であっても、知識や経験の豊富さが優位な場合や、集団による行為の場合も抵抗・拒絶が困難であるものは該当します。
「業務の適正な範囲を超えて行われること」
社会通念に照らし、明らかに業務上の必要性がない行為、またはその態様が相当でなく、許容範囲を超えていることを指します。
例えば、重要な会議に遅刻をした部下に対して叱責するような場合は、教育として意味合いが強く、通常はパワハラには該当しませんが、「遅刻なんて、おまえは人間としてダメだな」など、人格を否定するような言動を発し、それが日常的に繰り返されればパワハラに該当し得るでしょう。
「身体的・精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること」
当該行為を受けた者が身体的・精神的に圧力をかけられ負担に感じていること、または職場環境が不快なものになったため、業務上で能力を発揮することが難しくなってしまった状態を指します。
暴力・暴言はもちろん、厳しい叱責を執拗に繰り返すことや、それにより恐怖を感じさせる行為がその一例です。
典型的なパワハラの6類型
3つの要素を満たしたパワハラ行為とは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか?厚生労働省が提示している6つの行動類型を紹介します。
ただし、以下の6つに該当しない場合でもパワハラだと認められるケースはあるので、判断基準の参考にとどめ、実際にはパワハラ当事者へのヒアリング内容をもとに総合的に判断すべきものとします。
身体的な攻撃
パワハラの中でも最もわかりやすい、殴る・蹴る・物を投げるなどの暴力的行為です。
■該当する事例
- 上司が部下に対して、殴打、足蹴りする。相手に物を投げつける
■該当しない事例
- 誤ってぶつかる、業務上関係のない同僚どうしのけんか
精神的な攻撃
相手を侮辱し、人格を否定するような言葉の暴力を指します。
■該当する事例
- 長時間にわたる厳しい叱責を執拗に繰り返す
- 他者の面前で大きな声で威圧的な叱責を繰り返す
- 相手の能力を否定する内容のメールを相手を含む複数の労働者に送信する
■該当しない事例
- 遅刻など再三注意しても改善されない労働者に一定程度強く注意する
- 業務上の重大な問題行動を行った労働者に一定程度強く注意すること
人間関係からの切り離し
不合理な理由で業務から外して周囲から孤立させ、仲間外れのような状態にすることです。
■該当する事例
- 長期間にわたり、別室に隔離し、仕事を与えない
- 一人の労働者に同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる
■該当しない事例
- 新入社員の育成のために、一定期間、別室で研修を行う
- スキルアップなどのための研修を一時的に別室で受ける
過大な要求
明らかに遂行が困難であろう仕事や業務に関係のないことを強制する行為です。
■該当する事例
- 必要な教育を行わず業務を遂行させる
- 到底対応できないレベルの業績目標を課す
- 業務とは関係のない私的な雑用の処理を行わせる
■該当しない事例
- 労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せる
- 業務の繁忙期に、通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せる
過小な要求
本人の能力を著しく下回る仕事しか与えないことや仕事を全く与えないこともパワハラに該当します。
■該当する事例
- 管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる
- 意に沿わない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えない
■該当しない事例
- 労働者の能力に応じて、一定程度、業務内容や業務量を軽減する
個への侵害
家族や恋人などプライベートに必要以上に踏み込んだり、信仰する宗教など業務とは無関係なことに執拗に触れることはパワハラに該当します。
■該当する事例
- 家族や恋人について、通常の会話の域を超えて根掘り葉掘り聞く
- 労働者の個人情報を、了承を得ずに他者に開示する
- 職場外に、どこで何をしているか監視する
■該当しない事例
- 労働者への配慮を目的として、家族の状況などをヒアリングする
パワハラ裁判の具体例
パワハラが社会問題として注目される中、裁判に発展する事例も少なくありません。これらの事例を検証することは、パワハラを未然に防ぐために重要です。以下に、パワハラが裁判上で認められた実際の例を簡潔に紹介します。
事例:1
時間外労働時間だけでなく、上司による叱責も考慮して、業務起因性が認められた事案
パワハラは職場での精神的負担を増大させ、時に労災として認定される重大な問題です。具体例として、長時間にわたる残業が常態化した上での、上司による執拗な叱責が挙げられます。
例えば、亀戸労基署長事件では、従業員が出血性脳梗塞を発症し、これが長時間労働と上司の過度な叱責に起因するとして、労災保険給付の支給が認められました。この事例は、叱責が単なる業務指導を超え、従業員に対する過剰なストレスとなり得ることを示しています。
特に、従業員を長時間立たせた状態で叱責する行為は、心理的な負担を大きくし、身体的健康にも悪影響を及ぼす可能性が高いです。このような行為は、パワハラに該当し得ると裁判所は判断しました。
このように、職場での適切なコミュニケーションと指導方法が重要であり、従業員の健康と尊厳を守るためには、パワハラに該当する行為を避けることが求められます。
事例:2
仕事外しや職場内での隔離、自宅研修等の命令が違法と認められた事案
パワハラの実例には、仕事の外しや職場内隔離、自宅研修の命令が含まれます。
松蔭学園事件では、女性教諭が授業や担任の職を奪われ、職員室での隔離や自宅での研修を強いられたことが違法と認められました。これらの行為は、教諭が労働組合活動に参加していたことに対する不当な報復であり、教諭に精神的苦痛を与えるものとして、学校法人に対し損害賠償が命じられました。
この事例は、業務命令権の濫用が労働者の人格権を侵害する不法行為にあたることを示しています。職場での公正な扱いは、個々の従業員の尊厳と法的権利を保護するために不可欠であることを、この裁判は明確にしています。
事例:3
上司が送ったメールの内容が侮辱的言辞として、損害賠償請求が認められた事案
職場のコミュニケーションで特に注意を要するのが、上司によるメールの使用です。
ある保険会社のケースでは、上司が送ったメールの言葉選びが侮辱的であるとして、部下が損害賠償請求を行い、裁判所はこの請求を認めました。
メールには「やる気がないなら会社を辞めるべき」といった強い言葉が含まれており、これが部下だけでなく、職場の他の同僚にも送信されていました。裁判所は、このような表現が許容限度を超えており、名誉を毀損する不法行為であると判断しました。結果として、精神的苦痛を慰謝するため、5万円の支払いが命じられました。
この事例から、上司はメールでの注意指導を行う際に、言葉の選び方だけでなく、その送信範囲にも注意を払う必要があることが明らかになります。適切な指導は必要ですが、それが部下の人格を侵害しない範囲内でなければならないということが、この判決によって示されています。
パワハラ防止法における企業の義務
パワハラ防止法のもとに、事業主は、パワハラを黙認することなく、対策の明確化や相談体制の整備、加害者への適切な対処、再発防止等措置を講じることが求められます。
具体的には、以下の4項目が企業に課せられた義務です。
社内方針の明確化と周知・啓発
まず、職場でパワハラ行為を行ってはならない旨や対策方針を明確化し、社員に周知する義務です。また、パワハラの加害者を厳正に対処する旨や、その対処内容を文書に規定し、研修や社内報、就業規則などを通じて、パワハラ行為について周知・啓発しなければなりません。
適切に対処する体制整備
次に、パワハラについて自由に相談ができる社員向けの相談窓口を整備しなければなりません。窓口で相談を受けた場合、その担当者が雇用管理上必要な措置がとれるよう仕組みを整えます。
相談者の不利益な取り扱い禁止
3つ目の義務は、パワハラの相談者に対し、そのことを理由に解雇・異動・自宅待機・減給といった不利益な取り扱いをしないことです。また、パワハラの当事者(相談者・加害者)のプライバシーを保護するよう配慮も必要です。
パワハラ事案への迅速かつ適切な対応
最後に、パワハラの報告があった場合は、迅速かつ正確に、事実確認、被害者に対する配慮、加害者に対する処置を行うことです。また、パワハラ事案を受け、今後の再発防止に向けた対策を講じることも義務づけられています。
職場のパワハラ対策
パワハラ社員への対応方法
パワハラ加害者となった社員への対応として、どんなものが適切なのでしょうか?慎重な事実確認の上で、とるべき対応について紹介していきます。
就業規則で明文化
どのような事案であっても、基本的な対応は就業規則に沿って行います。まずは、就業規則の中にパワハラに対する措置内容を規定しておきましょう。パワハラ事案が認められたからといって、法律上、即解雇はできません。冷静に、かつ公平な措置を取るためにも、就業規則で明文化しておくことは必須です。
自覚を促す
加害者・被害者の両者にヒアリングし、事実を正確に把握した上で、パワハラ加害者に対して、パワハラ行為の自覚を促します。その行為が他者に苦痛を与えていることを認識することで、態度を改善できる人もいます。反対に、なかなか非を認められず、自己防衛的な態度をとる場合もあるので、事実に基づいた確かな証拠などを集め提示できるようにしておきましょう。
人事的措置を講じる
加害者が非を認め、被害者へ謝罪をした後も、状況が改善するかどうか経過観察をします。改善がみられない場合は、就業規則にのっとって懲戒処分や減給などの人事的措置を講じます。それでも解決できない問題の場合は、解雇せざるを得ない場合もあります。
パワハラ防止対策
従業員への意識の浸透
どこまでがパワハラ行為に該当するかという線引きが難しい場合もあるため、明確に定義づけ、全従業員が共通認識を持てるよう理解を促すガイドラインや研修の場が必要です。これによって「パワハラに該当するとは思わなかった」という認識のズレによるパワハラの発生を防げます。
管理職への研修の実施
管理職に就くと、「指導・教育」と「パワハラ」との線引きの難しさをより一層感じる傾向にあります。管理者のパワハラ防止の意識を高めるためには、細かな事例を出しながら、パワハラに該当する・しないの違いを具体的に周知することが効果的です。
相談窓口の設置
パワハラ防止を阻害する要因の一つに、1人で抱え込み悩み、状況が複雑化してしまうことがあります。相談窓口の設置は企業に課せられた義務の一つですが、体制を作るだけでなく、誰でも気軽に安心して利用できるような配慮も合わせて検討しましょう。
職場のパワハラを放置するリスク
パワハラ行為に気づいていながらも適切な対処をしなかった場合、企業にとってどのようなリスクがあるのでしょうか?
被害者への影響
パワーハラスメントは、被害者が仕事に集中できなくなる原因となり、職場でのパフォーマンスが低下します。さらに、精神的な苦痛が原因でうつ病などの精神疾患を発症するリスクが高まります。これにより、価値ある従業員が退社し、組織にとって重要な人材流出の可能性が生じます。
雰囲気の悪化
パワハラ行為が日常的にみられる職場は、全体の雰囲気が悪くなります。当然ながら、働きやすい環境ではなく、加害者・被害者以外の社員の離職にもつながり、新しい人材の確保・定着も難しくなるでしょう。
生産性の低下
効率的な業務遂行には適切なコミュニケーションが欠かせませんが、パワハラがみられる環境では、必要なコミュニケーションさえも取りづらくなり、業務全体の生産性が下がる可能性が高まります。また悪化した雰囲気での業務は、ストレスを増大させ、欠勤の増加にもつながり、結果として業績の低下を招きかねません。
企業責任を問われることもある
パワハラ行為に気づいていながらも放置・黙認した場合は、企業責任を問われることもあります。パワハラ防止法に罰則規定はありませんが、厚生労働省からの勧告・指導の対象になり、企業名が公開されることもあります。
さらに、放置・黙認の結果、パワハラ被害者が自殺してしまうことが最悪のシナリオです。そうなると、問題が必然的に公になり、企業イメージを落とすだけでなく、企業の存続が危ぶまれる事態となってしまいます。
パワハラ相談を受けたときの適切な姿勢
相談内容を否定・叱責しない
パワハラの相談を受ける際は、受け止める姿勢が重要です。どんな内容であれ、否定や叱責を避け、被害者の話に耳を傾けるべきです。批判的な反応は、すでに苦境にある従業員にさらなる精神的な傷を与えかねません。相談者が経験している事態を理解し、支援を求めていることを尊重することが、信頼の構築と問題解決への第一歩となります。
このような対応は、被害者が自分の状況をオープンに話せる安全な環境を提供し、精神的負担を軽減する助けとなるでしょう。
相談内容を口外しない
パワハラに関する相談を受けた際、その情報を外部に漏らしてはなりません。相談者が不利益を被らないよう、「相談者の不利益な取り扱い禁止」というパワハラ防止措置を遵守することが重要です。相談内容が加害者や他の関係者に知られれば、問題の悪化や報復行為を招く危険性があるからです。
しかし、相談を個人的に受けた場合は、社内のハラスメントに対応する専門窓口や人事部署に情報を移すことが適切です。これにより、適切な支援が提供され、相談者の機密性と安全が確保されます。このプロセスは、組織全体の信頼とハラスメント対策の有効性を維持するために不可欠です。
中立を保つ
パワーハラスメントの相談を取り扱う際には、中立的な立場を維持することが不可欠です。どちらかに偏った見解を避け、客観的に事実を把握することで、全ての関係者に公正な対応を保証します。この中立性は、相談者と被疑者双方の言い分を公平に評価し、解決策を探る際の基盤となります。職場の信頼と調和を守るためにも、事実に基づいた客観的な視点を保つことが、パワハラ問題に対処する上で重要な役割を果たします。
職場でパワハラが発生した際の対応方法
パワハラ行為へ対処する際のポイントをまとめます。
事実関係の調査
パワハラ行為の報告を受けたら、速やかに事実関係を調査します。被害者側の訴えだけでなく、加害者とされる側と周囲の関係者にもヒアリングを行い、公平な調査となるよう配慮することが大切です。
パワハラ行為が事実だと認められた場合、被害者への迅速なフォローとともに、パワハラが発生した経緯やその原因も探ることで、再発防止のための対策検討に役立ちます。
加害者側の処分を検討
パワハラの内容や期間・頻度、その経緯や目的、反省の有無などを加味した上で、就業規則に基づいて、加害者に対する処分を検討します。形式的な状況把握による一律な対応をしたり、即解雇を通達したりという安易な対処では、加害者から訴訟されることもありますので注意が必要です。また「対処して終わり」ではなく、必ず再発防止のための対策も合わせて検討しなければなりません。
誤解だった場合
調査の結果、パワハラには該当しないと判断した場合も、誤解を招く行為だったことやその原因を認識してもらえるよう注意・指導を行ます。相談者に対してはパワハラに該当しない理由を丁寧に説明し、行為者へ行った指導内容を共有するなど、納得できる説明が必要です。
ハラスメントリスクの可視化に役立つツール ラフールサーベイ
「ラフールサーベイ」は、ハラスメントリスクを可視化することのできるツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態や身体の状態をはじめ、「社内外でハラスメントを受けていることがある人を見たことがありますか?」のような質問からハラスメントリスクなどを可視化し、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。
社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
まとめ
パワハラ被害者となる従業員は弱い立場に立たされていることが多く、相談や報告自体が困難であるケースも少なくありません。対面での相談はもちろん、ツールの導入などで最初の一歩を踏み出しやすくする配慮は効果的です。
実態把握や改善が容易ではないからこそ、企業全体として当事者意識を高めていけるよう心がけてください。