あなたの周りに報連相ができない部下はいませんか?
新入社員や若手社員以外でも、
「進捗状況を連絡して来ない」
「相談せずに勝手に決定し業務を進めている」
そんな部下の行動に苦労している方も多くいるでしょう。
実はその原因はあなた自身もしくは職場環境にあるかもしれません。上司に気軽に話しかけられない、職場の雰囲気で報連相をしにくい、部下自身もそういった悩みを抱えている可能性があります。
そこで本記事では報連相ができない部下の心理に迫り、報連相を行いやすい上司像や職場環境の整え方を紹介します。
1.昔も今も変わらず報連相が職場で求められる理由
報告・連絡・相談を指す「報連相」は、1980年頃から広まり今現在も変わらず求められる、社会人の基本とも言われています。
なぜなら報告・連絡・相談を行うことで、業務の変化や現状、問題を上司や仲間と共有でき、仕事を効率良く進められることや、問題への対処もスムーズに行えるためです。こういった重要性から40年経った今でも、「報連相」は社会人の基本として職場で求められています。
2.報連相ができない部下の心理
報連相ができない部下に悩む時は、その部下の心理状況を把握することが大切です。なぜなら頭ごなしに報連相を行うよう指示しても、部下にとっては腑に落ちず改善は見込めないためです。そのため、できない理由や心理を把握し、適切で具体的な改善策を提示できるよう心がける必要があります。報連相ができない部下の心理としてよくある3つの考え方がこちらです。
- ミスの追及を避けたい
- 「自分の力で解決させたい」と強く思っている
- 上司の時間を奪うことが申し訳ないと思ってしまう
1つずつ具体例を併せて紹介します。
ミスの追及を避けたい
上司と部下の間に適切なコミュニケーションが取れていない場合、部下はミスの追求を避けたい心理で報連相ができない場合があります。例えば、以前何かのミスを上司に報告した際に、威圧的な態度や厳しい言葉をかけられた経験によって何かを報告することへの恐怖感が芽生えます。部下の心理状況としては、「また怒られたらどうしよう」「そもそもこんなことを報告するのは見当違いなのかもしれない」といった不安に陥ります。
この場合の上司としての解決策は、普段から適切なコミュニケーションを心がけることです。具体的には、部下が何か報告してきた際にはまず受け入れ認めること、普段から部下の意見を聞き入れるよう話を投げかけるといった行動が良いでしょう。部下から上司への恐怖感や萎縮の心理状態がなくなれば、報連相を行いやすい関係性となります。
「自分の力で解決させたい」と強く思っている
「自分で解決したい」と強く思う心理によって報連相ができない部下もいます。この心理状況は「相談し上司に頼ることは迷惑なのではないか」という不安な考えからなるものや、「自分一人の力で乗り越えてみせる」というプライドの高さからなるものがあります。
「上司に頼ることは迷惑なのではないか」という不安な考えは、上司に相談や報告を行うことの恐怖心が原因として考えられます。上司から自立性を強く求められている、何事も自分で考えるよう促されているなど、そういった指導は部下によっては重いプレッシャーに感じられます。相談や報告をすることで期待に応えられていない自分を曝け出すこととなり、不安や恐怖心が生まれている可能性があります。また「自分一人の力で乗り越えてみせる」という高いプライドの原因は、相談する行為を弱みを見せることと捉え、相談や連絡のメリットや必要性を感じられていないことが原因として考えれられます。
「自分の力で解決させたい」と強く思い報連相を怠ると業務上のミスや誤りが起きた際に把握できずトラブルになる可能性が高まります。結果として業務効率が下がることも考えられるでしょう。そのため上司の立場における解決策として、報連相を行うルールを明示することが必要です。具体的には、毎朝その日の仕事の流れを報告する、終業前に進行状況や不安点などを連絡するといったことがあげられます。部下が無理せず取り組めることが重要であるため、ルールの内容は部下も納得できるよう相談し決定すると良いでしょう。
上司の時間を奪うことが申し訳ないと思ってしまう
「時間や手間を取らせるのが申し訳ない」という気持ちによって報連相ができない部下もいます。この心理状況としては「相手の時間を自分に使ってもらうことに抵抗がある」というためらいや、「仕事ができない部下とレッテルをはられるかも」という不安な気持ちがあります。
部下が「申し訳ない」と強く思ってしまう理由は上司の言動にあります。例えば、同じ職場内にいるとき上司は「忙しい」が口癖で常に多忙な様子である、上司が自らの業務量や重要感を遠回しに伝えてくるなど、そういった多忙で余裕がなさそう姿は部下にとって時間を取らせてはいけないと思わせることとなります。
また、部下との対話において、常に眉間にシワをよせた難しい表情でいる、よく時計を確認し時間を気にしているなど、これらは些細な癖かもしれませんが部下にとっては上司に対し遠慮がちになるきっかけになります。
「申し訳ない」と思ってしまう部下に対しては上司自身の言動を改め部下と向き合うことが大切です。例えば自ら挨拶することや部下の名前を呼ぶこと、過去の失敗談について自ら話すといった行動で親しみやすく相談しやすい存在を心がけましょう。
また、部下との対話においては、部下を責めたり見下すような反応ではなく、まずは受け止め認めてあげる姿勢が必要です。このような日々の言動を改めることで信頼関係が生まれ、部下にとっても報連相を行いやすい上司となるでしょう。
3.報連相をしやすい上司になるための心得3箇条
部下にとって報連相しやすい存在になるためには、自分自身の行動を改める必要があります。部下に変化を求める前に自らの言動を改め、部下との信頼関係を築きましょう。行動を改める際に心得たい3点がこちらです。
- 意識的に感情的な指摘を減らす
- 部下の自尊心を高めるマネジメントを意識する
- 部下の話を途中で遮らないことを徹底する
これまでの自分の行動を振り返りながら読み進めてみてください。
意識的に感情的な指摘を減らす
感情的な指摘は部下を萎縮させ上司の感情を乱さない行動を優先するようになり報連相をさせにくくします。例えば、部下のミス報告に対し「こんなミスをするなんて信じられない」といったような落胆的感情が強い指摘では、部下は今後は失望されないよう気をつけなければならないという意識が高まります。
その結果、上司を失望させたくない、自分がショックを受けたくないという感情によって、連絡や報告をせず自分で解決することや失敗を隠すような癖がつく可能性も考えられます。上司の感情的な指摘は部下にとって本来行うべき報告や連絡よりも上司の機嫌を取る言動を優先させてしまうため、意識的に減らすべきでしょう。
部下の自尊心を高めるマネジメントを意識する
自尊心とはありのままの自分を尊重し受け入れることを指しますが、部下の自尊心を高められる上司は部下にとって報連相しやすい存在となります。なぜなら、自らの自尊心を高めてくれる存在には次第に安心感や信頼感が芽生え、連絡や報告を行う際に不安や恐怖を感じないためです。
例えば、ミスの報告をしなければいけない際にも、自尊心が低いと自分の存在を否定される可能性を考え恐怖心から報告が遅れることやできない場合もあります。上司に対し自尊心を高めてくれる認識があれば、自分自身を否定するのではなく、ミスへの対処や指導に導いてくれるという信頼感から自主的に報告を行うようになるでしょう。
部下の話を途中で遮らないことを徹底する
相手の話を遮る行為は自分の話の方が重要だという意思表示に捉えられるため、部下の話を遮ることで威圧感を与え、部下は次第に心を閉ざしてしまいます。こうした対話が日々行われていれば部下は報連相というコミュニケーションも取りにくくなるでしょう。
逆に話を遮らず最後まで聞き入れる行為は相手に好印象を与え、上司に対し親しみや信頼が生まれるため報連相も自然と行われるようになります。話を遮らないことは相手のペースに合わせた対話となり、相手にとって自然と心を開きながら考えていたことをスムーズに話せる効果があります。考えを最後まで伝えられることで、自分の話を受け入れ理解してくれるという印象も与えます。日々の対話の中で話を遮らないことを徹底することで、部下との距離は縮まり報連相をしやすい存在となるでしょう。
4.報連相を定着させる職場環境づくり
適切な職場環境は報連相を定着させるために整えておきたい要素の1つです。報連相が行いにくい職場では当然報連相が定着することはありません。報連相を定着させるために必要な職場環境づくりとして以下3点の事例を紹介します。
- 報連相の意識レベルを統一する
- ◯分悩んだら相談する
- 上司から積極的にコミュニケーションを図る
報連相の意識レベルを統一する
職場内でルールを作ることで社員の意識が統一され、報連相が行いやすい環境になります。ルール化する際には、4W1H(When/Who/Where/What/How)を含めた内容であると行動を起こしやすくなります。例えば報告、連絡、相談それぞれで以下のようなルールを定めます。
- タスクが完了したらチームメンバーへ共有のプラットフォームで報告する
- 就業時間に上司へその日の業務進捗をメールで連絡する
- 何か困ったことがあれば先輩に電話やメールで相談する
ルールを制定し運用していく中で、部下から連絡手段やタイミングについて要望があれば内容の変更を検討しましょう。全員が納得でき取り組みやすい内容になることでより精度の高い意識レベルの統一が図れます。
◯分悩んだら相談する
「30分悩んだら上司に相談する」といったように相談のタイミングを具体的に示すと報連相は定着しやすくなります。業務上の悩みは人それぞれで、こんなことで相談してもいいのだろうかと迷う部下も多くいます。一定の時間が経過しても進まない場合はどんな業務でも上司に相談しようという環境があることで、部下は問題を一人で抱え込むことなくコミュニケーションを取って解決していく姿勢が身に付きます。
上司から積極的にコミュニケーションを図る
上司からコミュニケーションを図ることで部下から親しみを持たれ気軽に話しかけられる関係性が生まれます。こういった関係性は小さな報告や相談もされやすい効果があります。
上司からコミュニケーションを図る具体的な行動としては、自分から挨拶をする、部下を名前で呼ぶ、話しかけられた時は作業の手を止め相手の目を見るといった行為が推奨されます。いずれの行為も部下にとっては自らの存在が認められている感覚と捉えられ、気軽に報連相を行いやすく、職場の環境として報連相を定着させる効果が期待できるでしょう。
5.部下の心理状態の可視化に役立つ組織改善ツール「ラフールサーベイ」
「いまの職場は『報連相』がしやすい環境なのか?」「部下の心理状態はどうなのか?」とお考えの管理職の方も多いのではないでしょうか。
組織改善ツール「ラフールサーベイ」は、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、社員の精神状態の可視化に役立つツールです。
ラフールサーベイでは18万人以上データを基に、従来のアンケートでは見えにくかったリスクや課題を多角的に抽出し可視化することができます。社員一人ひとりの心の状態を把握するツールをお探しの方は、ぜひラフールサーベイを検討してみてください。詳しくは以下からWebサイトをご覧ください。
6.まとめ
日本社会に浸透し始めてから40年間、今も昔も報連相は社会人の基本としてみなされています。
新人研修で取り上げられるにも関わらず、上司が思うような報連相をしてこない部下がいることで頭を抱える方も多いでしょう。
今回は報連相をできない部下の心理状況を理解した上で、あなた自身が報連相をしやすい上司になるための心得や職場環境の整え方を紹介しました。
社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。