入社3年以内に離職する若手社員は少なくありません。若手が会社を辞める理由はいくつかありますが、企業の取り組みで離職率は下げられます。
若手の早期離職は会社へのデメリットが大きいので、若者が会社を辞める原因を知り、社員の満足度を高める取り組みを始めましょう。
特に高い傾向にある若手の離職率
社会情勢で変動はあるものの、特に離職率が高いのは若手社員です。若手社員の離職率と推移を紹介します。
若手の離職率の現状
令和4年10月28日に厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、平成31年3月卒業の大卒者と高卒者の3年以内の離職率平均は、大卒31.5%、高卒35.9%です。事業所規模別では中小企業が離職率が高いといえます。
若手の離職率の推移
また、過去20年前後でみたとき、大卒・高卒ともに特に離職率が高いのは、1999年~2005年の「就職氷河期」と呼ばれる期間です。当時の離職率は、大卒4割前後、高卒5割前後です。
2010年のリーマンショック後にわずかに改善しているものの、離職率は大卒3割前後、高卒4割前後で推移しています。
若手の離職理由と原因
「仕事が面白くない」「キャリアアップしたい」など、若手が仕事や会社に求める欲求が満たされず離職を決意することはもちろんあるものの、会社に原因があると思われるケースも少なくないです。
給与に不満がある
給与はモチベーションを左右します。実力・成果主義の企業が増えていることもあり、若手というだけで収入が低いことに納得できない人は多いです。
長時間働いて難しい仕事をこなしていても、給与に反映されなければ離職につながります。
仕事にストレスを抱えている
ストレスなく働くことは難しいですが、過剰なストレスは心身の不調の原因です。心も身体も万全の状態でないと業務パフォーマンスが下がり、結果、仕事がうまくいかないと悩んで働くのがつらいと感じます。
会社の将来性・安定性に期待が持てない
上層部は「若手社員は入社したてで、できる仕事も限られているため、会社の将来性まで考えていない」と思いがちです。しかし「短期的な目標や利益しか考えていないように思える」といった理由で、会社の5年後10年後が見えず、将来性を不安視して離職する若手社員がいるのも事実です。
労働時間が長い
プライベートを大事にしたいと考える若手が増えていることもあり、残業や休日出勤が常態化している会社だと、不満を抱く若手社員は多いです。とくに給与が増えるわけでもないのに労働時間だけが長くなることが、モチベーション低下につながるといえます。
求められるノルマが厳しい
仕事に慣れる前から厳しいノルマを課せられると、達成するために無理して働いたり、達成できないことが続いて悩み、ストレスが蓄積されます。
ノルマを達成できず評価されないと、モチベーションの維持は難しく、ストレスも相まって離職のきっかけとなります。
仕事が面白くない
何を面白いと思うか、どのような仕事をしたいかは人によって異なりますが、若手社員なりにやりたい仕事はあるはずです。やりたい仕事を任せてもらえないと、仕事を面白いと感じられず、離職をしてしまう人も少なくありません。
職場の人間関係が上手くいっていない
人間関係が上手くいっていない・悪い職場だと、居心地が悪いと感じます。若手社員に人間関係に関する問題が起きた際、社内でフォロー体制が整っていないと、ストレスなどが原因で離職につながります。
キャリアアップするため
昇進見込みがない、今の仕事を続けても身につくスキルがない、成長できなさそう、などと感じれば、見切りをつけてキャリアアップできる会社に転職する若手社員は多いです。
会社の経営者や経営理念・社風があわない
会社の方針や雰囲気が自分にあわなくても、あわせようと思える理由がなければ、そのまま離職につながります。
相談できる上司・同僚がいない
困ったことがあっても上司に相談できない、信頼できるメンバーがいないと、会社にいるのが苦痛に感じます。やがて出勤することも苦痛になってきて、離職してしまいます。
若手の離職による企業の損失は大きい
若手社員が早々に離職すると、コスト面の損失だけでなく、他の社員への影響や求職者からの印象にも関係します。
費用の損失
採用活動や人材育成には膨大な費用がかかります。もし入社3年目の若手が離職すると、約1,500万円の損失があると言われています。
教育コスト、生産性が上がるまでの間の給与や賞与の支払い、退職金制度があれば退職金など、社員にかけたコストの回収は難しいといえます。
知識やノウハウの損失
従業員はそれぞれ業務を通して「暗黙知」といわれるスキルや知識をもっています。よって、ある社員が身につけたスキルや知識を、後任者が丸々引き継ぐことは難しいでしょう。
複雑な業務や特殊なスキルが必要な業務ほど、引き継いだり新しい社員が習得するのは大変です。
モチベーションの低下
残った社員は、離職した社員の仕事を分担しなければならず負担が増えます。業務量が増えて、疲れやストレスがたまれば、自分も辞めたいと考える社員が出てくる可能性もあります。
企業のイメージダウン
入社3年以内の離職率が高い企業は、仕事が大変そう・ブラック企業といったイメージを持たれやすいです。
新卒採用をする場合は、直近3年間の離職率の公表が必要です。入社しても長く働けなさそうと思われれば、応募を避けられることが懸念されます。
また、会社にネガティブな印象を抱いて退職した社員の中には、会社の口コミを書ける求人サイトに不満を書くこともあり、イメージダウンのリスクは高まるでしょう。
若手の離職を防ぐうえで知っておきたい「今どきの若手」の価値観
経営者層や人事担当者は、若者が働き方や日常生活で大事にしていることを理解できていないため、離職率が改善しないことも多いです。若手の離職を食い止める対策を考える前に、まず今どきの若者の価値観を知りましょう。
自分の時間を大切にしたい
仕事とプライベートを分け、ワークライフバランスを大切にする傾向が強いです。働き方改革の広がりもあり、「残業は無駄・したくない」「サービス残業はあり得ない」といった考えも持ちます。
決して仕事に対する責任感や意欲が低いのではなく、「定時までしっかり働いて、その後は自分の時間を優先することの何がいけないのか?」という価値観です。
承認欲求が高い
物欲が低い代わりに、「認められたい」「すごいと言われたい」という承認欲求が高い傾向にあります。日本という国柄、恵まれた環境で育ち、物欲にかられることがない代わりに、承認欲求へと変化したのかもしれません。
ムダな努力をしたくない
デジタルネイティブ世代の若者は効率的に物事を進めたいと思っているため、同じ結果になるのなら簡単で効率的な方法を好みます。
若手の離職防止のための対策
若手の離職の原因と価値観から、離職を食い止めるのに有効な5つの対策が見えてきます。
社内コミュニケーション
活発なコミュニケーションは職場の人間関係の改善を期待できます。人間関係の悩みが減るだけでも離職のリスクを下げられるでしょう。
また、仕事や職場の悩みを言いやすい雰囲気作りも大切です。社員が抱く会社への不満が分かると、働きやすい職場環境を整えるのに必要なことが分かり、会社にもメリットがあります。
1on1ミーティング、社内SNS、ランチ会などを取り入れて、社内コミュニケーションを図りましょう。
ワーク・ライフ・バランスの改善
プライベートも充実させたい若手社員の定着率を上げるなら、ワークライフバランスの改善は欠かせません。例えば、残業が当たり前の会社では、長時間労働の原因把握から始め、労働時間を短縮できる仕組み作りやシステムを導入しましょう。通勤時間が長いことも、プライベートの時間が減る要因です。テレワーク・在宅勤務を取り入れる検討もしてみてください。
また、社員食堂や誕生日の特別休暇など、社員の健康やプライベート充実のための会社独自の福利厚生は、社員の満足度と会社のイメージアップにつながります。他にもフレックスタイム制・週休3日制などがワークライフバランスの改善におすすめの施策です。
まずは達成できるレベルでの目標管理
若手社員にやりがいを感じながら仕事をしてもらうには、「短いスパンで達成できそう」「少し頑張れば到達できそう」といった目標設定をすることがポイントです。
クリアするのが難しすぎる目標だと、何かを達成できた経験を積めず、自信をつけられません。若手社員の経験値やスキルに合う目標で達成の可能性が高まり、自信がつきます。
キャリアデザインをサポート
ワークライフバランスを大切にしたい社員、どんどんキャリアアップしていきたい社員では、考えるキャリアは異なります。何を重視しているのかを知り、一人ひとりが思い描くキャリアに合う研修の実施や、到達に必要なスキルが身につく仕事を経験させることが離職防止策です。ポ
ES調査の実施
ES調査とは「従業員満足度調査」のことです。若手社員が不満に感じていることが何か分かれば、離会社として取り組むべきことが分かり、職率防止につながります。
社員の心身の健康状態やエンゲージメントの可視化に役立つツール ラフールサーベイ
「ラフールサーベイ」は、社員の心身の健康状態をはじめ、エンゲージメントやハラスメントリスクを可視化することのできるツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。
社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
まとめ
若手社員の離職は会社にあらゆる損失をもたらします。若手社員が離職に至る理由や価値観などを理解し、やりがいと働きやすさを感じてもらえる環境作りが重要です。