【面接官が知っておくべきこと】面接で聞いてはいけない質問は?法律違反となる可能性も!

面接官

面接官を担当することになった時、面接で聞かなければならないことは予想がつくのではないでしょうか。しかし、聞いてはいけないことについて知っている人は多くはないでしょう。

聞いてはいけない質問がある背景には、日本国憲法で定められている職業選択の自由と基本的人権があります。もちろん、採用の自由は企業側にありますが、応募者の基本的人権は侵してはいけません。また、就職の機会均等のために、面接では公正さが求められます。

不適切な質問をしてしまった場合、法律違反になる可能性もあるので、聞いてはいけない質問について、知識を入れておくことが大切です。

採用選考では公正さが求められる

厚生労働省では、就職の機会均等を確保するため、公正な採用選考の実施を呼びかけています。ここでは、採用選考を公正に行うために、必要なことを説明しています。

基本的人権の尊重

採用選考においては、応募者の基本的人権を尊重することが必須となります。

日本国憲法では、第22条で職業選択の自由が保障されています。
第14条では「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と、差別が禁止されています。
また、第19条では「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と、思想及び良心の自由が保障されています。
第20条では、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」と、信教の自由を保障しています。

基本的人権は、採用においてだけではなく、どんな場合でも尊重されなければなりません。人が人らしく生活するために、日本国憲法で定められている基本的なことなのです。

個人の適性・能力に基づいた選考

公正な採用選考は、個人の個性や能力に基づいて行われなければなりません。家族や出生地など応募者のもつ適性・能力に関係しない事項で採否を決定してはいけません。適性や能力に基づいて、求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行うことが重要です。

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面接で聞いてはいけない質問がある理由

面接で聞いてはいけない質問がある理由も知っておくと、面接で不適切な質問をしてしまうことを防げます。法律違反となれば罰金が科せられる可能性がありますので、ここでは採用に関わる法律についても説明しています。

就職差別につながる可能性がある

応募者の適性や能力に関係のない事項を質問してしまうと、その事項が採用基準と関係ないことであっても、聞いてしまったことで採否決定に影響を与える可能性が否定できず、就職差別となってしまう可能性があります。

例えば、応募者の緊張をほぐそうとして「血液型は何ですか?」と聞いた場合、血液型から性格や相性を想像してしまい、「この人はこういう性格だろうから、うちの会社には向いていないかもしれない」というように、本来採用に無関係であるはずの血液型が採否に影響してしまう可能性があります。

法律で定められている:職業安定法

職業安定法第3条では、「何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない」と就職差別を禁止しています。

また、職業安定法第5条では、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集は原則として認められていません。

法律で定められている:職業安定法以外の法律

男女雇用機会均等法

男女雇用機会均等法の第5条では、「事業主は、労働者の募集および採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と、性別による採用の差別が禁止されています。

雇用対策法

雇用対策法の第10条では、「事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と、職種により例外はあるものの、年齢による差別が禁止されています。

障がい者雇用促進法

障がい者雇用促進法の第34条では、「事業主は、労働者の募集及び採用について、障がい者に対して、障がい者でない者と均等な機会を与えなければならない」と、障がいの有無による差別が禁止されています。

企業イメージの低下につながる

面接の際に、就職差別となりかねない質問や適性・能力に無関係な質問をしてしまうと、法律違反とならなくとも企業のイメージの低下につながってしまいます。

インターネットで検索すれば、企業の評判をすぐに調べることができます。企業イメージが低下してしまうと、求職者が減り、人的資源の減少から会社の損失へとつながっていきます。そのため、企業イメージが低下するようなことは避けなければなりません。

面接で聞いてはいけない質問【NG質問例】

ここでは、どんな質問をしてはいけないのかを具体的に説明します。

本人に責任のない事項

本人に責任のない事項を聞いてしまうと、適性・能力を中心とした選考ではなく、本人の努力によって解決できない問題を採否決定の基準とすることになってしまいます。

例えば、本籍地や出生地は本人の努力によって変えようがないことです。本籍地や出生地を聞くことは、部落出身の人たちを排除することにもつながってしまいます。

また、住宅環境や家庭環境の状況を聞くこともしてはいけません。住宅環境や家庭環境から地域の生活水準等が推測できるため、それによって偏見を持ってしまい、本人に責任のない事項で採否を決定してしまう可能性があります。

本人に責任のない事項には次のようなものがあります。

本籍・出生地に関すること 

  • 本籍地
  • 両親の出生地
  • 生まれてからずっと現住所に住んでいるか

家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)

  • 両親や兄弟の職業・勤め先・役職
  • 家族の収入
  • 両親は共働きか
  • 転校の経験があるか
  • 学費は誰が出したか
  • 両親の病気・死因
  • 義父となっているが事情について
  • 住んでいる家は持ち家か

住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)

  • 住んでいる地域は、どんな環境か
  • 家は国道○○号線(○○駅)のどちら側か
  • 家の付近の目印となるのは何か

生活環境・家庭環境などに関すること

  • 家庭の雰囲気はどのようか

本来自由であるべき事項

本来自由であるべきである事項についての質問もしないように気をつけましょう。

思想・信条や宗教、支持する政党、人生観などは、個人の自由であるべきものです。信教の自由、思想・信条の自由などは憲法で保障されているため、これらに関することを採用選考に持ち込むことは、基本的人権を侵すことにつながります。思想・信条、宗教などについて直接質問したり、形を変えた質問を行うことも決して行なってはいけません。

宗教に関すること

  • 家の宗教
  • 家族が何を信仰しているか
  • 神や仏を信じるか

支持政党に関すること

  • 何党を支持しているか
  • 政治や政党に関心があるか

人生観、生活信条などに関すること

  • 信条としている言葉
  • 自分の生き方についてどう考えているか
  • 将来どんな人になりたいか

尊敬する人物に関すること

  • 尊敬する人物

思想に関すること

  • 今の社会をどう思うか

労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること

  • 学生運動をどう思うか
  • 労働組合をどう思うか

購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

  • どの新聞を読んでいるか
  • 愛読している本は何か

男女雇用機会均等法に抵触する質問

  • 結婚・出産後も働き続けようと思っているか
  • 残業や転勤は可能か
  • スリーサイズ

【参考】大阪労働局「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」

業務上聞くことが許される質問もある

職種によっては業務上必要なために聞くことが許される質問もあります。

犯罪歴

タクシーやバスのドライバーなど運転をする職種の場合、安全のため道路交通法違反歴を聞くことは許されます。

病歴

高所での作業があるなど命の危険がある職種などにおいて、業務上必要な病歴を聞くことは許されます。正し、業務に必要ない病歴について聞いた場合は法律違反となる場合があります。

聞いてはいけない質問をしないためにできる対策

人差し指を立てたポーズの女性

聞いてはいけない質問をしてしまうと、法を犯してしまう危険性があります。面接で不適切な質問をしないために、事前に対策をしておきましょう。

質問項目を決めておく

予め質問内容を決めて質問リストを作っておくと、リストに載っていること以外の質問をすることはないため、不適切な質問をすることを防げます。また、質問項目が決まっていることで、評価項目が統一され、応募者を差別なく評価することができます。

採用基準を決めておく

採用基準を予め決めておくこともおすすめです。採用基準が不明瞭だと、面接でどんなことを聞けば良いのか分からず、応募者の緊張をほぐしたり、応募者の人となりを見ようとしたりして、雑談のつもりで聞いてはいけないことを聞いてしまうかもしれません。採用基準が明確であれば、採用項目に関した必要な質問が限定されるため、不適切な質問をするリスクは減るでしょう。また、評価基準が明確であれば、応募者の評価も行いやすくなります。

面接官の研修を行う

面接官の研修を行うことは重要です。面接官が聞いてはいけない質問やその背景にある法律などの知識を入れておくことで、聞いてはいけない質問に対する理解が深まり、不適切な質問をすることを防ぐことができます。また、研修を行うことで面接官の質も向上するので、欲しい人材を的確に評価できる面接官を育てることができるというメリットもあります。

面接官の心構え

聞いてはいけない質問は多くあり、業務の傍ら覚えるのも大変に感じるかもしれません。そこで、ここでは面接官としての心構えを紹介します。以下にご紹介する意識を持つことで、面接官としての責任感が生まれ、モチベーション高く取り組むことにつながるでしょう。

応募者の基本的人権を尊重する

応募者の基本的人権を尊重する姿勢をもつことが、聞いてはいけない質問を予防することにつながります。当たり前のことですが、面接官は評価する側だからといって何をしても許されるわけではありません。応募者も面接官も一人の人間であり、互いに互いを尊重しあう姿勢が大切です。

話しやすい雰囲気を心がける

応募者がどういった人物なのかを見極めるには、人柄や本音を引き出す必要があるでしょう。話しやすい雰囲気を意識することで、応募者も自分を出しやすく、どのような人材か把握しやすくなります。明るい表情で話すことや双方向のコミュニケーションを行うことを意識しましょう。

面接官は企業の代表であることを忘れない

面接官は、応募者から見れば、その企業の代表です。面接は、企業が採用選考を行う場であるとともに、応募者がこの企業で働きたいかを判断する機会でもあります。面接官が面接で不適切な言動を行えば、企業イメージの低下につながってしまうことを忘れないようにしましょう。

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まとめ

面接で聞いてはいけない事項は多くあります。聞いてはいけない理由や関係する法律など知識を入れておけば、面接で思わず聞いてしまったといったことも防げるでしょう。また、面接で不適切な質問をすることが怖くて応募者の評価ができるような質問がしにくいといった時には、分析ツールを併用することで客観的な評価を行うことができます。分析ツールを使えば公正な選考も可能となります。ぜひ活用してみてください。

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