EQは、近年世界的に注目されている能力です。自分の感情をコントロールし、他人の感情に共感できる能力の高い人は、対人関係も良好でビジネスで成功しやすいと言われています。ここでは、EQが注目されている理由とともに、EQを高める方法について紹介しています。
EQとは?
EQ(Emotional Intelligence Quotient)
EQとは、Emotional Intelligence Quotientの略で、日本語で「心の知能指数」のことです。EI(Emotional Intelligence)とも言われます。自分の感情をうまくコントロールし、思考や行動に活用できる能力のことをいいます。
1990年代にアメリカの心理学者であるピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士が研究し始め、提唱した概念です。「IQが高くてもビジネスで成功しない人が多くいる」という点に疑問を持ち、研究を始めました。その結果、「ビジネスで成功した人は、ほぼ例外なく対人能力に優れている」ということが分かりました。当初はEIという名で論文を発表しましたが、のちにTIME誌がIQと対比してEQと呼んだため、EQとして広く知られるようになりました。
アメリカの心理学者であるダニエル・ゴールマンの著書『Emotional Intelligence』(日本では『EQー こころの知能指数』と訳されている)によって世界中に知られるようになりました。
IQと似ているけど何が違うの?
IQとは、Intelligence Quotientの略で、知能指数のことをいいます。頭の回転の速さや記憶力の良さなど、「知能の高さ」つまり「頭の良さ」を表します。一方で、EQとは、「感情を扱う能力の高さ」を表します。IQに対比してEQと呼ばれるようになったため、似ている名称なのです。
EQはなぜ今注目されている?
ダニエル・ゴールドマンの著書によって知られるようになったEQは、ビジネスで成功するためのスキルとして1990年代から注目されていました。
2016年の世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)では、「2020年までに必要なビジネススキルトップ10」の第6位にEQが初めて選ばれました。その理由としては、AIの台頭があります。AIの時代では、人間らしい情緒的スキルが重要となると考えられたからです。2020年の世界経済フォーラムでは、「2025年に求められるスキルトップ15」の11位にEQが選ばれています。従業員の価値観の多様化や、コロナ禍で始まったリモートワークなどを考えると、今後のビジネスの成長には、部下や同僚の感情に寄り添うことができる共感力が重要であると言われています。
また、人の原動力は感情ですので、EQが高い、つまり自分の感情をうまくコントロールできると、感情的ではなく合理的に行動でき、パフォーマンス力も高くなると言われています。他人の感情に共感することも組織の中で成功するのに必要です。
EQは後天的に高めることができる
IQは先天的要素が大きいですが、EQは教育や学習、訓練によって後天的に高めることができます。自分の感情をコントロールし、相手の感情を理解できると、対人関係の改善にもつながり、周囲の協力が得られるため、ビジネスの成功にもつながります。
ページの最後に高める方法を記載しています。
EQは4つの要素からなる
EQは以下の4つの要素からなります。
感情の識別
自分や相手の感情を感じる力のことです。自分が今どんな感情であるのか、他人が今どんな気持ちでいるのかを理解する能力です。自分の感情をコントロールし、相手の感情に共感するには、まずは感じ取ることが必要ですので、感情の識別は、EQの土台であるとも言えます。
感情の理解
感情を考える能力のことです。自分がなぜ今このような感情を抱いているのか、他人がなぜそのような感情になっているのか、感情の原因を考える能力になります。また、感情がどのように変化していくか予測する能力でもあります。感じ取った感情について、さらに深く考える能力とも言えるでしょう。
感情の利用
感情をつくる能力のことです。人間は感情によって行動する生き物ですが、自分が抱いた感情に左右されていては、パフォーマンス力に波が出てしまい、継続的に成果を出すことはできません。目の前の課題や問題について、それを解決するために相応しい感情をつくり出せると、パフォーマンス力を高く維持できます。自分をコントロールするために自分の感情を作り出す能力と言えます。
感情の調整
感情を生かす能力のことです。他の3つの能力を用いて、その時々で相応しい行動を取るために、感情を利用する力です。今自分がどんな感情かを識別し、なぜそのような感情になったのかを理解し、今必要な感情を作り出し、目の前の課題解決にその感情を利用していく能力と言えます。
EQが高いとは?
EQが高いとはどういうことでしょうか?EQが高い人の特徴やEQが高いことのメリットをリストアップしました。
EQが高い人の特徴
- 共感力がある
- 人の意見を聞ける
- 素直
- ストレス耐性がある
- 柔軟性がある
- 忍耐強い
EQが高いメリット
- 感情は人の原動力であるため、高いパフォーマンスを発揮できる
- 対人関係が良好
- 良いリーダーシップを取れる
- ストレス耐性が強くなる
- プラス思考になる
EQが低いとは?
EQが高い人もいれば低い人ももちろんいます。EQが低い人の特徴と、EQが低いとどんな不都合が起こるかをリストアップしています。
EQが低い人の特徴
- 感情的、短気
- 共感力がない
- 自己中心的で協調性がない
- 寛容さがない
EQが低いとどうなる?
- 人間関係構築ができず、人から信用されない
- 高く評価されにくい
- 感情をコントロールできないため、ストレスも多く、人間関係も良好でない
- 感情に左右され、モチベーション維持ができない
EQは高めることができる!
傾聴を意識
相手の感情を理解するには、傾聴が大事です。
相手の話に耳を傾け、相手が今どんな気持ちなのか、どんな言葉をかけたら良いか、などを考えることで、相手の気持ちに寄り添うことを意識的に行っていきましょう。
相手の話を聞くときに、目を見て話を聞く、相槌を打つなどの聞く姿勢も大切にしましょう。
相手の良いところを見つける
相手の良いところを見つけるようにしましょう。
相手の良いところに目を向けるということは、相手のことをポジティブに捉えるということです。相手の良いところを見つけて尊敬する姿勢が、他者との信頼関係や良好なコミュニケーションにつながります。
また、傾聴と同様に、他者を理解し寄り添うという姿勢にもつながるため、日頃から相手の良いところを認める習慣をつけましょう。
日記で自己分析
日記に自分の行動や感情を書き出すこともEQアップにつながります。
自分の感情が自分で分からないということもありますよね。そういう時は、書き出すことがおすすめです。
自分の行動や感情を紙に書き出して見えるかすることで、頭の中が整理され、なぜ自分は今この感情を抱いているのか、何に対してこの感情を抱いているのか、といったことを客観的に考えることができるようになります。
マインドフルネス
マインドフルネスを行うこともおすすめです。
マインドフルネスとは、端的にいうと、「呼吸に集中した瞑想法」です。呼吸に集中することで、未来や過去、雑念にとらわれることなく、「今この瞬間」に目を向けるという瞑想になります。
マインドフルネスを続けることで、過去や思考、感情にとらわれない心を育成できると言われています。
トレーニングアプリを使う
EQを高めるためのトレーニングアプリも多々あります。スマホさえあれば、いつでも手軽に行えるため、おすすめの方法です。
「EQ トレーニング アプリ」で検索すると、たくさん出てくるので、ぜひ気軽な気持ちで始めてみてください。
まとめ
EQは今後ビジネスにおいて、ますます必要となってくるでしょう。EQはビジネス外でも利用できるスキルです、EQは上記の方法で高めることができます。多様化する社会に対応し、ビジネスで成功していくために、EQを高めていきましょう。