「ピープルアナリティクス」で企業の持続的な発展につなげる!データという視点から企業の課題を認識

「ピープルアナリティクス」で企業の持続的な発展につなげる!データという視点から企業の課題を認識

ピープルアナリティクスは、人材採用・育成などの課題を、客観的に分析・解決するのに欠かせません。日本でも多くの企業が取り入れはじめていますが、適切なデータを正しい方法で分析しないと、メリットを受けるのは難しいです。

ピープルアナリティクスを活かせる場面、活用するメリット・デメリット・注意点を、既に取り組んでいる企業の事例とあわせて紹介したこの記事は、人事領域に関わる方の参考となるでしょう。

ピープルアナリティクスとは?

ピープルアナリティクスは、従業員・組織のデータを、最新テクノロジーを用いて収集・分析し、人材採用・配置・育成・評価をはじめとした、生産性向上につながる組織づくりに用いるデータ活用手法です。

「ピープル(People):人事領域」と「アナリティクス(Analytics):収集・分析」をあわせた言葉で、「HRアナリティクス」「タレントアナリティクス」と言われることもあります。

ピープルアナリティクスに基づく人材採用をする企業が増えていることから、注目度の高さがうかがえます。

ピープルアナリティクスの重要性

ピープルアナリティクスは、人材採用や評価の透明性・公平性の裏付けに、重要な役割を果たします。

これまでの人事の業務を分析すると、担当者の経験や感覚に基づいて方向性を決めたことが多かったのではないでしょうか?

たとえば採用活動において、欲しい人材のスキル・経歴などは見える化できても、他の従業員とうまくやっていけるか、企業理念に共感して働いてもらえるかなどの判断は、面接官の勘に頼らざるを得ないのも無理はありません。

しかし、担当者の感覚や経験に基づく議論・決定は、ミスマッチを起こす可能性が高いです。また、数値化されない情報のみの評価は、従業員から理解を得られないことが懸念されます。

その際に、データ分析が基本のピープルアナリティクスなら、客観的な判断が可能です。

ピープルアナリティクスが注目されている理由

そもそも、ピープルアナリティクスはGoogleの取り組みがきっかけで広がりました。そしてMicrosoftをはじめ、多くの有名企業で注目され、日本でも大手企業を中心に取り組みが広がりました。

近年、ピープルアナリティクスが日本でも普及しつつある理由は、リモートワークをはじめ、多様な働き方が進んでいることがあげられます。従来のような人事担当者に左右される評価体制や取り組みでは、対応しきれないことが浮き彫りになってきています。

そこで、データを活用することで、主観的な判断だけでは分からなかった新たな事実が見え、効果的な人事施策のために、ピープルアナリティクスを活用する企業が増えてきています。

ピープルアナリティクスの目的 

ピープルアナリティクスの目的は、最新技術を使って社内のデータを収集・分析し、企業を発展させることです。

Googleによると、「人事に関する意思決定を、データに基づいて客観的に行うこと」をピープルアナリティクの目的としています。

人材採用から育成・定着まで、科学的なアプローチで結論を導き出したり、効果的な方策をとれるよう、活用されています。

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ピープルアナリティクスの分析対象となるデータ例

ピープルアナリティクスの分析に用いる主なデータは、「人材データ」「デジタルデータ」「オフィスデータ」「行動データ」の4つです。

人材データ

年齢、性別、所属部署、職位、給与などの個人情報が対象です。

組織課題によっては、ほかに、特性・保有スキル・勤怠・評価歴などが分析対象となることもあります。

ピープルアナリティクスの基礎となるデータです。

デジタルデータ

会社用パソコンの利用状況、インターネット閲覧履歴、電子メールの送受信先や時間帯、通話履歴などが対象です。やりとりしている頻度の高い相手と、発揮されるパフォーマンスの相関関係などを測るためのデータです。

オフィスデータ

会議室・休憩室・複合機などの会社設備が対象です。利用・活用状況、時間帯や季節でのばらつきから、従業員の行動・コミュニケーションを間接的に把握するためのデータです。。

行動データ

カレンダー機能から得られる情報(自席にいる時間・ミーティング時間)、会社用携帯の位置情報から得られる情報(外出時間・外出先)などが対象です。従業員が勤務時間中にとった行動を知るためのデータです。

ピープルアナリティクスの活用場面

ピープルアナリティクスは、人材採用・育成はもちろん、従業員の満足度を高めるための取り組みにも役立ちます。

従業員の分析での活用

入社までの経緯や入社に至った理由、選考での印象など、従業員に関するさまざまな情報を分析できます。

これらの情報と、入社後のパフォーマンスや評価、さらには退職者情報を照らし合わせることで、長く自社で力を発揮してくれる採用活動にも活かせます。

採用活動での活用

自社で活躍している従業員や、定着率の高い従業員の特徴の洗い出しで、組織にマッチする人材を採用できる可能性が高まります。

どのような強み・特質を持つ人材を採用していくべきか、具体的な基準を設け、採用活動を円滑で有益なものにします。

ピープルアナリティクスをうまく活用すれば、組織の業務効率・生産性がアップする一方、退職リスクは下げられます。

人員配置・人材育成での活用

高いパフォーマンスを発揮している従業員の特性を部署ごとに分析すると、異動の候補者を検討する際に、力を発揮できる可能性が高い対象者を候補にあげやすくなります。

また、特に生産性の高い従業員同士の組み合わせを分析することで、新たに部署・プロジェクトを立ち上げる際や、チーム編成の際にも有効な判断材料になります。

従業員の定着・流出防止での活用

流出のリスクを減らすには、従業員にとって居心地の良い職場環境・仕組みを整えることが欠かせません。

データ分析により、離職率が上がっているか下がっているかを確かめられ、離職率が上がっているのであれば、対策の検討・実行が可能です。

また、退職者に多い傾向やイミングが分かれば、退職予測モデルをつくり、退職の兆候が見られる従業員にフォロー面談を実施するなどの対策がとれます。

ピープルアナリティクスのメリット

ピープルアナリティクスには、企業・従業員どちらにもメリットがあります。客観的な判断で納得感を得られるので、双方の理解が深まるでしょう。

企業側のメリット

データに基づく判断を下すピープルアナリティクスで、従業員同士の共通認識を持てます。何かを決定した際にも、根拠のある説明ができるので、周囲からの理解を得やすいでしょう。

また、生産性も担保されます。部署の決定権を持つ人が異動や退職でいなくなったとしても、データがあれば、後任の判断基準もぶれずに、前任者と同じように進めることが可能です。共通の基準は、無駄な業務と組織の混乱を防ぎます。

その他に期待できるのが、会議の時間短縮です。議題によっては、主観で話が進められ、結論が出ないこともあるでしょう。しかし、組織に関するあらゆるデータがあれば、客観的な視点に基づく結論を、スムーズに導き出せます。

従業員側のメリット

ピープルアナリティクスに基づく決定で、従業員は根拠のある説明を受けられるので、業務の意味・目的などに納得して取り組めます。

また、新しい部署や上司の下で働くことになっても、ピープルアナリティクスのマネジメントにより、新たな環境にすぐになじめ、安心して仕事をはじめられます。。

ピープルアナリティクスのデメリット

ピープルアナリティクスのデメリットについても理解しておく必要があります。

企業側のデメリット

過去のデータに基づいて方向性を考えるのが、ピープルアナリティクスです。つまり、データ量が十分でないと、組織にとって良い判断を下すのは難しいことが懸念されます。意思決定にピープルアナリティクスをどこまで反映させるか決めておくことが重要です。

また、データを適切に分析・活用できる人がいないと扱いが難しく、誤った意思決定を下してしまう可能性が高いです。

従業員側のデメリット

客観的な方法で導き出された結論であっても、プロセスが説明不足であれば、従業員の理解は得られにくい可能性があります。結論に至った理由・プロセスをどこまで開示するかは、管理者に委ねられます。

ピープルアナリティクスの進め方

ピープルアナリティクスを進める方法は、課題の把握から始める「課題ファースト」と、データ収集から始める「データファースト」の2種類です。

課題ファーストでの進め方

課題ファーストは、下記の手順で進めます。

  1. 課題の把握
  2. 仮説の設定
  3. データ収集
  4. 考察と解決策の検討

はじめに、課題を認識する必要があります。すでに抱えている課題に加え、社内アンケート・面談などで組織の課題を洗い出します。

次に、課題が見えたら、問題が起きていると考えられる原因や、傾向の仮説を考えます。そして、仮説が正しいか実証するのに必要なのがデータ収集です。既に集めたデータだけでは不十分であれば、新たにデータを収集します。

最後に、課題とデータを比較しながら客観的に考察します。解決策を導き出したら、すぐに試していきます。

データファーストでの進め方

データファーストは、下記の手順で進めます。

  1. データ収集と整理
  2. 仮説を立て、データ分析
  3. 解決策の計画・実行

はじめに、点在しているデータを1カ所に集めます。この段階では、新たにデータを集める必要はありません。進める中で足りないデータがあった時に、収集を始めても遅くはありません。

次に、仮説を立てながら集めたデータを分析します。部署別・役職別などの簡単な切り口から仮説を考え分析していくと、課題の原因や解決策が推測しやすいです。

最後に、課題解決につながる対策を考え、実行します。

ピープルアナリティクスに取り組むうえでの注意点

ピープルアナリティクスで効果的な結論を出すには、適切なデータを正しく分析することが求められます。また、個人に関わるデータを扱うことになるので、取り扱いにも十分な注意が必要です。

従業員の個人情報保護

企業は、個人情報の取得・活用・取り扱いに関する法令・ガイドラインに従う義務があるので、従業員の情報の扱いには、十分な注意をはらいましょう。

内部で採用・人材育成・異動・評価などにのみ利用する場合でも、以下のような点に気をつけてください 

  • 従業員から情報提供の了承を得ているか
  • どの範囲の情報まで収集が必要か
  • 提供された情報は利用目的の範囲内で適切に利用されているか

など 

また、外部に情報提供する際は特に注意が必要です。個人が特定されないように第三者への提供の可能性があるといった、利用の目的を明示したうえで取得しているかが重要です。

内部でのみの利用でも、外部とも共有する場合でも、従業員の情報を集めて活用したい時には、データの公開範囲を明確にし、利用目的を丁寧に説明することが欠かせません。

後にトラブルにならないよう、文書で同意を得ておくと安心です。

課題解決に必要な情報は限られています。よって、情報はむやみに収集せず、必要なデータのみ集め、従業員のプライバシーに配慮してください。

データの整理や客観性

ピープルアナリティクスには、整理された客観的なデータが欠かせません。従業員に関するデータが、一括管理されていない(部署・チームごとに管理されている)、部署によって異なるフォーマットで情報収集しているなどの場合、データの信頼性に関わります。

加えて、整理されていないデータは、抜け漏れしやすく、継続性のある情報を得られないことも懸念されます。

また、人事評価のような属人的なデータは、担当者の主観的な結果が含まれることがあります。

データの整理や客観性のために、データを1カ所にまとめて分析しやすい形にする、属人的にならないように入力基準を設けるなどの工夫が必要です。

分析をする担当者のスキル

集めたデータを効果的に分析するには、目的を把握し、どのような形式でデータを集めるかを設計しなければいけません。

適切な方法でデータを分析できるスキルは、経験とともに磨かれます。データに関する研修を実施したり、担当者のスキルアップをサポートしたりしましょう。データサイエンティストを採用し、豊富な経験・高い専門性を活かしてもらうのも一つの手です。

企業でのピープルアナリティクス取り組み事例

ピープルアナリティクスを始めるなら、他社の取り組みを参考にしてみましょう。

日立製作所

日立製作所は、事業ごとに適した人材を採用するのに課題を感じていました。そして2018年から、人材採用にピープルアナリティクスを導入しました。

取り組んだのは、データに基づいた採用ポートフォリオの構築です。高いパフォーマンスを発揮している従業員の情報を収集し、データを分析した上で、新たに採用ポートフォリオを構築しました。以前までと比べて、従業員の採用に役立っています。

また、筑波大学と産学連携した取り組みも始めました。大学指導のもと人工知能(AI)を活用しながらピープルアナリティクスを行い、従業員について分析したり、行動変容のきっかけを与えたり、人材の適正な配置に活かしています。

生産性に関する調査では、金曜日に残業しているチームは生産性が低いことが判明し、「金曜日ノー残業デー」を設けました。日中の業務への集中力が高まり、定時退社する従業員を増やすことにつながっています。

現在は、各種サーベイや行動データなどを掛け合わせたピープルアナリティクスを推進中です。

Google

Googleはピープルアナリティクスの定義を、「経営面で確率的な利点を得るために、人材マネジメントに統計学と行動科学を体系的に応用すること」とし、人材採用・育成・評価に活用しています。

また、「心理的安全性」という言葉は、Googleの社内調査において、生産性を左右する5つの指標の1つであると解明したことをきっかけに、多くの人に知られるようになりました。

社内の人事データの分析は、経営者やマネージャー層に新たな成功要因を導き出し、示唆を与えた事例です。

株式会社ソフトバンクグループ

株式会社ソフトバンクグループは、留学生・海外在住の大学生・第二新卒など、新卒採用枠が幅広く、一括採用ではありません。必要なタイミングで必要な人材を採用する方が、学生にも会社にも良いと考えるためです。

多くの人からの応募が予想される中、欲しい人材に直接アプローチする採用活動を始めたことで、採用活動の効率化が必要となりました。

そこで、2017年5月末から新卒採用のエントリーシート選考にAIを導入しています。AIを導入してから、選考にかかる業務が1/4ほどになりました。

2020年5月末からは、動画面接の評価にもAIシステムを採用しています。AIの活用で、選考にかかる業務を約70%削減できると期待しています。これまで選考にかけていた時間を、インターンシップや欲しい人材へのアプローチなどに充てたいと考えているようです。

株式会社セプテーニ・ホールディングス

人事データの活用を考える過程で、「人材は職場での経験で育つもの」「人材育成は科学的に測定・評価する仕組み」と定義しました。

人材育成の仕組みや取り組みで得た技術を、2014年から採用活動に取り入れています。(従業員のデータの蓄積は、2009年頃から始まっています。)

採用と同時に人員配置・育成にもデータを活用したところ、パフォーマンスが高まりました。

たとえば、2019年から始めた個別最適化教育システム。一人ひとりに適した形で育成を進める方法です。

いつ、どのようなことでつまずきやすいかデータから予測できるので、個人の成長に合わせたトレーニングによって、効率的な育成が可能です。

データに基づくプランの運用は、人材開発の専門性のある人と、マネージャーの協力が欠かせません。そこで、従業員1人に対して2人のコーチをつける体制をとっています。

人事・人材開発部門のメンバーをキャリアコーチ、現場のマネージャーをビジネスコーチにして、メンバーの育成を担当します。

キャリアコーチは、コミュニケーション能力など職種に関係なく必要な力の向上をサポートします。ビジネスコーチは、職種ごとに必要なスキル、たとえばデータを分析する力などの向上を支援します。

中長期的なキャリアプランを持ち、実現できるようにするためのフィードバックでも、データが活躍します。従業員自身が自分のキャリアを客観視できるよう、採用時からこれまでの経験がデータ化されています。

従業員と育成計画の共有をするため、個人に適した育成プランの提案とキャリア予測も目的にフィードバックしています。

データを活用した人材育成で、効率的に育成を進められるだけではなく、マネージャーの負担を減らせればと考えられています。

市場が目まぐるしく変わるように、人材育成もこれまでのやり方が通用しなくなるかもしれません。しかし、データがあれば、客観的に見て適した方法を選択できます。

どのように育成すれば良いか分かるのは、育成する側の成長にもつながると期待しています。

株式会社ディー・エヌ・エー

社内の人材・組織開発を目的に、2017年にピープルアナリティクスのチームがつくられました。

ピープルアナリティクスを始めると、情報が分散していて十分に活用できていないことに気付きました。データは多岐に渡り、従業員のモチベーションや上司からの評価など、さまざまな情報が貯まります。

従業員に関する情報を多く持っているにもかかわらず、強みや希望を活かせないのはもったいないと考え、人事データを有効活用できるよう、2019年にデータを収集・分析するチームを立ち上げました。

データの収集に主に使われるツールは3つです。

  • マンスリーアンケート

月一で実施する記名式アンケートです。1ヶ月のやりがいの7段階評価と、記述式の振り返りという構成です。

  • 360度フィードバック

半期に一度、メンバーがマネージャーの良い点・改善点などを記名式で評価します。

  • 組織状況アンケート

半期に一度、全従業員が組織の状態を5段階で答えるアンケートです。「組織はあるべき状態か」「メンバーを評価してくれるか」などを匿名で回答します。

株式会社ディー・エヌ・エーは、データを管理するツールの開発にも力を入れています。たとえば、異動があっても情報を引き継げるよう、マンスリーアンケートの結果を誰が見ても分かるものにするなどの工夫です。

当初は、既製のツールでの運用も検討していたとのこと。しかし、自社に適したものにカスタマイズするには、独自のものを開発する方が良いと考え、自社開発に至ったようです。

データを扱う現場からは、「使いやすい」との声が既に届いていますが、データをより分かりやすい形で提供できるよう、今後も改善を続けるそうです。

株式会社フジクラ

「従業員の健康は重要な経営資源」という考えから、2011年に健康経営に特化したヘルスケア・ソリューショングループを新設しました。従業員が活き活きと働けるよう、データに基づく心身の健康増進のための取り組みを進めています。

2013年からは、フジクラグループ健康増進プログラムを開始しました。「モニタリング」「モデリング」「介入」の3つのステップを意識して取り組んでいます。

  1. モニタリング

従業員が元気に働けない理由をデータから分析します。

  1. モデリング

モニタリングから見えた課題がなぜ生じるか、アカデミックな資料なども使いながら仮説を立てます。

  1. 介入

健康増進に向けた具体的な方法を考えます。たとえば、ストレスケア、禁煙に向けた取り組みなどです。

プログラムの参加者は、自分の健康状態の推移などをチェックできます。

株式会社フジクラは、取りかかりやすい運動として歩くことを勧めます。そこで、健康増進の施策の一つとして、「歩数イベント」を実施しています。

1回あたり3ヶ月間のイベントを、3ヶ月ごとに行います。3ヶ月間続ければ、歩くことに慣れ、体力・筋力がアップします。イベント前より歩数が増え、歩くことが当たり前に、つまり、運動習慣が身に付くことが狙いです。

イベントを始めたばかりは、従業員の平均歩数は日本人の平均を下回っていましたが、イベントを続けた結果、適正歩数に近づいてきているとのことです。

歩くことに慣れた従業員が増え、歩き方の「質」を高める段階に入ったと考え、体幹を鍛える効果があるとされる「ノルディックウォーキング」のイベントを始めました。

パーソルホールディングス株式会社(旧テンプホールディングス)

人事情報から未来を予測し、先手を打つ人事の実現、たとえば、退職しそうな従業員をケアして離職防止するなどのために、2015年4月に人事情報室を立ち上げました。

予測モデルとして、「退職予測モデル」「異動後活躍予測モデル」を取り入れています。

退職予測モデルとは、過去の人事データを使って、現在の従業員の状態から退職の可能性を予測することです。精度は90%まで上がっています。

退職する可能性の高い従業員を洗い出し、面談を実施するなどに活用しています。効果を検証し、モデルを改善しながらさらに適切な運用方法を検討中です。

異動後活躍予測モデルは、人材を適切に配置するためのものです。異動させた方が良いか、新しい部署で活躍できる可能性はどれくらいかなどが分かります。試行錯誤しながら、予測の信頼度が高まってきているとのことです。

独自の予測モデルの他、人事システムの導入も進めています。

株式会社サイバーエージェント

人事業務を行う際の参考にするため、従業員のコンディションの変化が分かるアンケートシステムを使用しています。新たな職種の人材採用で、個人の強み・コンディションを把握するシステムが必要だったことから導入しました。

アンケートシステムを用いて、コンディションや悩みなどを従業員に毎月アンケートします。評価が急激に落ちた人とは、面談をします。

部署の環境、必要な人材などが見えるシステムも導入しています。人材が必要な部署へ異動希望を募る際に活用します。

ツールを使って人事に関する作業時間を減らし、コミュニケーションなどの時間を増やそうと意識するようになったとのこと。

サトーホールディングス株式会社

従業員が最大限の力を発揮できるプロジェクトを任せたり、人材配置したりするのに、データが役立つと考えています。

たとえば、2018年4月から運用を始めたタレントマネジメントシステムは、データで人事情報を上手に管理・活用している事例です。タレントマネジメントシステムは、人事情報の一元化のために始められました。

システム導入前は、給与管理、勤怠、評価などの人事関連のデータベースが別々に管理されていました。故に、情報確認に時間がかかりました。そこで、人事データの一元化を目指すことになりました。

人事データを1つのシステムで管理するようになり、従業員の情報、人事評価の結果の提出なども全てシステム上でできるようになりました。

さまざまな情報に基づいて従業員を評価ができる、人事を介すことなく情報確認できるなども、タレントマネジメントシステムのおかげです。

三行提報というサトーホールディングス株式会社の特徴的な取り組みにも、データが活用されています。

三行提報とは、会社を良くするための提案・気付きを3行程度にまとめて提出する制度です。制度自体は、1976年から導入されています。

会社が大きくなり、従業員が増えてきた時、現場の声が反映されないのではという懸念が生じました。そこで、現場の意見を社長に届けるために始められました。

現在はデータベース化され、誰もが検索できるようになりました。従業員同士でフィードバックし合ったり情報共有に使ったりと、日常的に使えるツールになっています。

コニカミノルタ株式会社

社内で活躍できる人材を数値で定義するためと、欲しい人材を見落とさないために、新卒採用でデータ活用を始めました。2017年春頃から開始し、同年秋から本格運用しています。

優秀な人材を定義化するのに、適性検査のデータを用います。過去に選考に参加した学生と在籍中の従業員の適性検査の結果を分析し、6つのタイプに分類し、高いパフォーマンスを発揮するタイプを導き出し、経営戦略に合うタイプを欲しい人材とします。

合否判定の効率化のために、志望度や会社とのマッチング度の高さなどを数値化します。従来なら書類選考で不合格でも志望度の高い学生は面接で判断するなど、活躍できそうな学生の選考チャンスを広げ、欲しい人材と出会える可能性を高めます。

人材を見落とさないための取り組みはトライアル段階なので、試行錯誤しながら数値化すべき基準などを見つけていく必要があると考えています。

選考にデータを活用したことで、合否の判断にかかる時間の短縮と選考辞退者を減らすことに成功しました。

今後は、選考の申し込みや面接の合否も事前に予測できるようにしたいとのこと。人材育成・配置、離職防止にも、データを活かしたいそうです。

社員の状態把握の可視化に役立つツール ラフールサーベイ

「ラフールサーベイ」は、社員の状態把握の可視化に役立つツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくいメンタル、フィジカル、エンゲージメント状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

154項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

まとめ

ピープルアナリティクスは、求める人材の採用や、従業員に能力を発揮しやすい環境を提供しやすくなる点が評価され、多くの企業に広まっています。

一方、データが不十分であったり、正しく分析できないと、効果的な対策をとれなくなるのが、難しい部分です。また、個人情報に関するデータが含まれるので、取り扱いには十分な注意が必要です。

他社の取り組みも参考にしながら、人事領域の課題解決に向け、ピープルアナリティクスを活用してみてください。

https://survey.lafool.jp/
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