「サイレントうつってどんな状態?」
「テレワークの普及は、サイレントうつと関係があるんだろうか」
時代や環境が変化する中、従来と異なる働き方の普及によって社員のメンタル面が心配な方も多いかもしれません。
その中でも特に、「サイレントうつ」という状態に注目が高まっています。サイレントうつは自身の異変を他者へ伝えられないことから、専門家の間でも懸念の声が広がっているのです。そこで本記事では、サイレントうつの特徴や原因、予防方法について解説します。自社における社員の心身の健康管理にお役立てください。
サイレントうつとは|テレワークとの関係
サイレントうつとは、医学的な病名ではなく一般用語として使われている言葉です。そのため明確な定義はなく、捉える人によって解釈が異なる場合もあります。特徴としては、うつ状態になっていることを周囲や本人自身が「気づきにくい」ことが挙げられます。
症状の多くは心と身体そして行動に異変が現れ、一般的なうつ症状と相違はありません。近年では、時代や環境の変化に伴い、柔軟な働き方の1つとしてテレワークの導入が進められています。さまざまな企業で採用されているものの、従来とは異なる働き方によって社員の中には大きなストレスを感じている方もいるでしょう。
職場ではなく、周囲に仲間がいない環境での勤務は、何かあった際に気軽に相談することもできず、無意識に負担を抱え込んでしまう可能性もあります。また職場に集まる機会が減ることで、同僚や上司といった周囲の仲間も異変に気づきにくく、対応できていない状態となってしまうのです。
なぜサイレントうつに?
サイレントうつはテレワークによる増加がメディアで報道され、企業は改めてその理由や原因を抑えておくことが重要です。テレワークはこれまで一般的だった働き方とは大きく異なるため、人によっては不向きである場合や、まだまだ慣れていない場合もあります。
そのため、社員全員がスムーズに対応できているという認識ではなく、人によっては戸惑っている可能性があることを留意しましょう。働く環境として苦手だと感じる人にとって、テレワークの推進は精神的な疲労として不安定な心理状態を生み出します。そのような状態や異変は、テレワークであることで周囲も気づきにくく、対応できないまま放置されてしまうのです。
本人も「オンラインでは話しにくい」と感じやすく、なかなか周囲に相談もできません。最悪の場合、本人もどうしていいかわからずふさぎ込んでしまい、突然連絡が取れなくなってしまうことも考えられるでしょう。
このように自身の異変を誰にも伝えられず、周囲も気づきにくいサイレントうつは、テレワークが進むことで陥りやすい特徴があります。従来のように職場に出勤していれば、産業医による気づきやケアを受けやすいですが、テレワークであると自ら産業医のところへ出向くことは少ないでしょう。テレワークによる社員の精神的負担の蓄積や、その変化に本人も周囲も気づきにくい可能性があることを、企業は改めて理解しておかなければなりません。併せて自身の不調を周囲に伝えにくい状況から、さらなる悪化の可能性が考えられます。
そのためテレワークの導入や推進の際には、同時に日常的な精神面のケアに気を配ることが重要です。
テレワークで気づきにくいサイレントうつ
平成29年に厚生労働省によって行われた「労働安全衛生調査」において、メンタルヘルス不調により休職する割合は全体で0.4%と報告されています。中でもIT系・金融系の業種が多く、ひとまとめにしては言えませんが、パソコンなどのコンピューター機器に向かう業務が多い環境によって、ストレスを蓄積しやすい可能性が考えられます。そのような可能性を考慮すると、テレワークもパソコンに向かって働く時間が長いため、ストレスを蓄積しやすい可能性があります。
しかしその一方で、テレワークが「従来より働きやすい」と感じる社員も多く、テレワークがストレスになるとは一概には言えません。そのため、「出社」と「テレワーク」どちらか一方に偏るのではなく、それぞれのメリットを上手に組み合わせた手法こそが、現代における適切な働き方として捉えられるでしょう。
サイレントうつになりやすい人の特徴
サイレントうつになりやすい人物像として、真面目な人という特徴があります。リモートワークは会社から離れ、時間や場所の制約を受けずに働く勤務形態です。勤務形態の特徴から、常に働き続けることも可能であるため、真面目な人ほどついつい働き続けてしまう可能性があるのです。
その結果、自らも気づかないうちに心身の疲労が蓄積され、異変として不調が現れることが考えられます。
その一方で、「頑張らない人」がリモートワークによってサイレントうつになりやすいことも考えられます。真面目な人とは反対に、自らを律せず過ごしてしまうことでモチベーションや意欲の低下が生まれ、日々やりがいも感じられず次第に精神的に弱くなってしまうのです。
企業としてできるサイレントうつの予防策
企業としてできる、サイレントうつの予防策を2つ紹介します。会社全体で取り組みを行いたい場合に参考にしてください。
オンラインイベントの開催
オンライン上で全員が集まれる機会があると、個々で業務を行なっていても職場やチームの一体感をおぼえやすくなります。例えば、目標達成を祝う会や、オンライン飲み会、ビンゴ大会など業務にまつわる内容から仕事を忘れて楽しめる内容まで、幅広い企画が可能です。
また普段からさまざまなオンラインコミュニティを作っておくと、イベントも行いやすくなるでしょう。オンラインコミュニティとは、社内の部活のようなもので、趣味嗜好が同じ社員同士で集まり好きなことを楽しみます。コミュニティごとであればイベント開催時に参加率が高まりやすく、コミュニティ同士の交流会など、イベント企画が行いやすくなるでしょう。
働きやすいようにサポート
働きやすいリモートワーク環境を目指し、社員のサポート体制を整えましょう。すぐに取り入れられる方法としては、業務に関係のない雑談ができるチャットルームの設置や、テキストで連絡を取る際には堅い文面とならないよう絵文字の活用などがあります。さらに、例として上司と部下の面談の際にはビデオ通話を利用し、表情が見える機会を定期的に設けると社員の変化に気づきやすくなるでしょう。また、新入社員などの新人は職場に人間関係が十分に構築できておらず孤立しやすいものです。そのためオンライン上でも積極的に1on1を行い、不安や疑問をいち早く解消していける体制を整えましょう。
自分でできるサイレントうつの予防策
企業がサイレントうつの対策を行うのも重要ですが、社員個々にもあらかじめ予防法を周知しておくとより効果的です。自らできる予防策としては、以下のような行動が挙げられます。
- 何かあった際にはささいなことでも相談するクセを付ける
- 休憩時間を設定し長時間労働にならないよう気をつける
- 就業時間以外では会社のパソコンを開かない
- メンバー同士で業務のスケジュールや進捗状況を共有する
またテレワークを行う上では「勤務環境」にも気をつけましょう。職場とは異なり自ら勤務場所を決められる分、テレワークは働く環境が不安定になりやすいものです。適切な勤務環境としては、適度な明るさが保たれている、こまめな換気が行われている、仕事をしやすい椅子や机を使用しているといったことが挙げられます。勤務環境は集中力にも影響するため、ストレス緩和だけでなく業務効率改善にも効果的です。
さらに、定期的な休憩の際には、身体をリラックスさせる「漸進的筋弛緩法」がおすすめです。基本動作として、腕や肩、ふくらはぎなどに10秒間力を入れ、その後5~20秒かけて力を抜きます。筋肉を縮め緊張をとくことによって、身体をリラックスさせることができます。
テレワークでは同じ体勢が続きやすく、無意識のうちに疲労がたまりやすくなるものです。休憩のタイミングで軽く身体を動かすと、ストレス緩和につながり、疲労の蓄積防止に期待できるでしょう。
そして、行動面だけでなく精神面も良い状態を保てるよう、リモートワークのメリットを改めて考えることも大切です。例えば、リモートワークは時間や場所に縛られないため、趣味や私生活時間の充実をさせやすいです。「毎週水曜日は早めに仕事を切り上げ、好きな映画を観にいこう」などと捉えられると、モチベーションを保って働きやすくなるでしょう。
社員のメンタル状態の可視化に役立つツール ラフールサーベイ
「ラフールサーベイ」は、社員のメンタル状態を可視化することのできるツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。
社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
まとめ
サイレントうつは、体調の変化に周囲や本人自身も気づきにくく、状態の悪化が懸念される状態です。テレワークによる働き方はサイレントうつを増加させやすいものの、時代や環境の変化によって求められる勤務形態でもあります。
そのため、今後柔軟な働き方を実現していく上では、従来の働き方と新たな働き方、それぞれのメリットを組み合わせたハイブリッドな勤務形態が必要です。併せてサイレントうつの予防策に意欲的に取り組み、社員が抱える負担の解消や軽減に努めましょう。