ビジネスにおいてやる気を引き出す動機付けとは?効果的な方法を紹介

人材育成を行う上で行われる「動機付け」は、社員のやる気やモチベーションを高める方法として注目が高まっています。人手不足が叫ばれる現代において社員一人ひとりの労働生産性の向上にも期待できる「動機付け」は、その有用性からマネジメントに活用する企業も増えています。

その一方で、
「動機付けについてイマイチまだよくわからない」
「仕事上で活用するにはどうすればいいのか」
「効果的な動機付けの方法を知りたい」
こういったことについて改めて理解を深めたい方も多いでしょう。

マネジメントに活用する際には、より効果的な方法を知っておきたいですよね。そこで今回は、「動機付け」の詳しい概要や、取り入れやすい具体的な活用方法について詳しくご紹介します。

「動機付け」について理解を深めたい方の参考になれば幸いです。


1.動機付けを正しく理解して部下のマネジメントに活かす

動機付けについて正しい理解を深め、マネジメントにおいて有効な概念について改めて確認しましょう。以下の6つの項目から詳しく解説していきます。

  • 動機付けの定義
  • 内発的動機付けとは?
  • 外発的動機付けとは?
  • 外発的動機付けの注意点「アンダーマイニング効果」とは?
  • 内発的動機付けと外発的動機付けのどちらがマネジメントに有効?
  • 衛生要因とは?

動機付けの定義

動機付けとは、目的や目標などのある要因によって行動をおこし、それを持続させる心理的過程を表す心理学用語です。内部の生理的欲求が要因となって行動を起こす「動因」と、外部からの要因によって行動を起こす「誘因」の2つによって成立すると言われています。

また動機付けには「内部的動機付け」と「外部的動機付け」の2種類があります。

内発的動機付けとは?

内発的動機付けは、物事に対する興味や関心によって行動を起こし達成感や満足感を得たいという、人の内面に沸き起こった意欲から起こる動機付けです。

例えば、仕事で活用するマネジメントスキルについての勉強が面白く時間を忘れて没頭してしまうことや、ゲームの攻略に夢中で長時間経っていた、といったことが具体例として挙げられます。

好奇心や求知心が根本にあり、損得への関係がない欲求が特徴です。

外発的動機付けとは?

外発的動機付けとは、外部からの評価や報酬、また賞罰などが要因となって行動を起こす動機付けです。

例えば、賞与が欲しいから業績を上げることや、大会で優勝したいからスポーツの練習に励むこと、この業務を成功させないと上司から厳しい叱責を受ける、といったことが具体例として挙げられます。

外部から得られるポジティブな要因だけでなく、評価や罰への恐れの気持ちも要因となることが特徴です。

外発的動機付けの注意点「アンダーマイニング効果」とは?

「アンダーマイニング効果」とは、内発的動機付けによる行動に対して、外発的動機付けである「外的報酬」を与えた場合、かえって部下の意欲を低下させてしまう現象を指します。

もともとは内発的動機付けによって行動していたはずなのに、報酬を得た結果、報酬や評価そのものが目的となってしまう状態です。

このアンダーマイニング効果を防ぐためには、相手の努力や行動を褒め、「やらされている」と感じさせない言動を心がけることが大切です。

内発的動機付けと外発的動機付けのどちらがマネジメントに有効?

マネジメントにおいて活用する際には、部下の満足感が高まる内発的動機付けが有効です。

内発的動機付けは、興味・関心や達成感・満足感を得たい気持ちが原動力となります。そういった原動力から成る行動は高い集中力や質を保った業務を続けられ、やりがいを感じやすいメリットが期待できます。

内発的動機付けによるマネジメントの具体例として、部下の目標を設定する際、初めに部下に対しこれまでの能力やスキルを評価し努力や価値観への承認を示すことで、上司の発言に興味関心を持たせます。

目標の内容としては、実現可能な範囲である少し上の目標を設定することで、部下のやる気や達成感を得られる期待が高まります。

衛生要因とは?

内発的動機付けだけでなく、衛生要因が満たされているかも重要なポイントです。

衛生要因とは、仕事の不満に影響する要素のこと。具体的には、給与や福利厚生、経営方針・管理体制、人間関係などを指します。これらの要因が不十分だと、仕事への不満につながるとされています。

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2.【アドラー心理学】動機付けが上手く作用していない原因

動機付けが上手く作用していないと感じる場合、アドラーが説くある心理学的要因が原因として考えられます。

オーストラリア人心理学者であるアドラーが唱える心理学は、「勇気づけの心理学」として注目され、「勇気」とは困難を克服する活力と表されています。これは「やる気」に言い換えられ、動機付けが上手く作用していない原因として、この「やる気」の喪失が見受けられます。具体的な状況として以下3つが挙げられます。

  • ゴールが見えないためやる気が出ない
  • 高すぎる目標を設定しているためやる気が出ない
  • 自分に対する劣等感が強すぎてやる気が出ない

それぞれ理由も併せて紹介します。

ゴールが見えないためやる気が出ない

ゴールが見えない業務を任された場合、どこに向かっていいかわからない状況となるため、やる気を起こすことは難しいでしょう。

例えば目標が不明確なプロジェクトや終わりの見えない残業は、目指すべき成果や状況を把握できず、興味や関心が湧くことはありません。また先が見えない状況では達成感を得たい気持ちも芽生えないため、業務に取り組む原動力が生まれることはないでしょう。

高すぎる目標を設定しているためやる気が出ない

アドラー心理学において、高すぎる目標はやる気を損なう要因として注意すべきであると説かれています。なぜなら目標に取り組む前に「達成できるはずがない」「これは無理だ」と諦めてしまう可能性が高いためです。

本来引き出したかった興味や関心といった感情よりも、手を引こうとする気持ちが上回ってしまうことで動機付けは上手くいきません。

自分に対する劣等感が強すぎてやる気が出ない

自分に対する劣等感があまりに大きい場合、物事に取り組む意欲は低下します。目標と現実に差があることは当然ながら、そのギャップを自己への大きな劣等感と捉えてしまうと行動の原動力となるポジティブな感情は失われます。

日頃から部下の自己肯定感を高め、現状と目標とのギャップをポジティブに捉えられるような意識付けが必要となります。

3. 自己決定の6段階

「自己決定理論」とは、自己決定性の高さがモチベーションや成果に影響するという理論です。アメリカの心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱し、多くの心理学者から支持され、動機付けを考える際の参考にされています。

自己決定の度合いは大きく分けて6段階あり、下記の図のように示されます。

自己決定の6段階

報酬や罰則など外部環境によって「やらされている」と感じるほどやる気は低く、自らの意志で進んでやっている実感が高いほど、行動の理由がポジティブで内発的なモチベーションも高くなるといわれています。

内発的欲求を引き出すための3つの欲求 

自己決定理論では、自発的に行動を続けるために3つの欲求を満たすことが重要です。

自律性:自ら主体的に決定したい
有能性:自分の能力を発揮できていると感じたい
関係性:他人と互いに尊重しあえる関係性をつくりたい

これらの欲求が満たされることで、内発的欲求が得られやすくなります。3つの内発的欲求を意識して、部下へのコミュニケーションに活かしましょう。

4. ハーズバーグの二要因理論

「二要因理論」とは、従業員のモチベーション管理や人事労務管理に必要な要素を「動機付け要因」と「衛生要因」の2種類に分けて考えるべきとする理論です。アメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグが19世紀に発表しました。

動機付け要因とは?

動機づけ要因とは、仕事の満足度に影響する要素のこと。具体的には、仕事そのものへの興味や達成感、承認されることなどがあります。

衛生要因とは?

衛生要因とは、仕事の不満に影響する要素のことを指します。具体的には、給与や労働条件、福利厚生、経営方針・管理体制、職場の人間関係などがあげられます。

動機付け要因と衛生要因の両方が満たされることが大切

いくら動機付けに取り組み、従業員の動機付けが満たされていても、衛生要因が改善されなければ、従業員の満足度を上げることはできません。反対に、衛生要因が改善できたとしても、動機付けが満たされていなければ、結果は同じです。

動機付け要因と衛生要因は、どちらか一方だけ取り組めばよいというわけではありません。

衛生要因を整えたうえで動機づけ要因を満たすことが大切です。

5. 動機付けさせてやる気を引き出すためのリーダーの行動方法

やる気を引き出す方法

マネジメントの1つとして動機付けを取り入れる際には、リーダーとして起こす行動が重要です。上手く動機付けを起こすことで部下のやる気を引き出し、業務効率や生産性向上を目指しましょう。そこで参考にしていただきたいリーダーの行動が以下の3つです。

  • 部下の達成動機を把握し、仕事の振り方を変えよう
  • 承認やフィードバックで部下の承認欲求を満たそう
  • 視野を広げるアドバイスで部下に適切な目標設定へ導こう
  • 仕事の「意義付け」を行おう

それぞれ理由を含めて解説していきます。

部下の達成動機を把握し、仕事の振り方を変えよう

部下一人ひとりの異なる達成動機を把握しそれに沿って業務を振り分けることで、部下の高いやる気を促し行動を起こさせることが可能です。

達成動機とは、その人にとって価値を感じる目標や成果に対し、なんとしてでもやり遂げたいという意欲を満たすために自分自身の行動を引き起こすきっかけとなる気持ちです。部下の達成動機を把握できると、難しい目標であったとしても達成できる方法や工夫を考え抜き取り組む力を発揮できるため、結果として高い目標達成やその人自身の成長にもつながります。

例えばチームとして求められている目標に対し、達成のために業務を細かに分けた際、事前に把握した部下それぞれの特性や価値観に適した業務を振り分けます。任された部下にとっては、意欲をもって取り組めるため質の高い業務を生み出します。その結果チームと個人双方にとって満足度の高い成果を得られることができるでしょう。

承認やフィードバックで部下の承認欲求を満たそう

リーダーとして部下に対し動機付けにつながるフィードバックや承認欲求を満たす投げかけを行うことで、部下のやる気を引き出すきっかけを作りましょう。

部下の内発的動機付けを促す際には、業務への興味や関心、やりがいや達成感への期待を高めなければなりません。そのためには部下一人ひとりに適した理解や承認の姿勢が必要となります。その理由として、心理学者アブラハム・マズローが唱える「欲求5段階説」が理論として考えられます。

その内容は「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間には5段階の欲求があるとされています。1つ目の欲求が満たされると次の欲求へ関心が移り行動が引き起こされ、それが満たされると次段階の欲求へ同じように関心や行動が繰り返される心理学的行動です。

個々の事情や関係性などを考慮すると全ての部下がこの理論通りに進むとは考えにくいですが、日頃から部下の働きや価値観を把握することで、一人ひとりに適した理解や承認に近づくことは可能です。

それぞれの部下が持つ特性や思考に合わせたフィードバックによって承認欲求を満たし、次なる欲求へと段階を踏める内発的動機付けを心掛けましょう。

視野を広げるアドバイスで部下に適切な目標設定へ導こう

部下の視野を広げられるようなアドバイスは、部下に気づきを与えることで新たなやる気を生み出し、適切な目標設定へと導きます。

視野が広がるアドバイスとしては、上司の経験を話すというのが最も取り組みやすいでしょう。部下が置かれている状況を踏まえた適切な経験談やそこから得られた知識やスキルは、問題に頭を抱え視野が狭くなっている部下にとって新たな考えや発見として捉えられます。

場合によってはそのようなスキルを得たいと部下が感じることで、新たな目標への内発的動機付けとなります。目標を設定する際には、具体的に目指す数値や期限を設けることで、更なるやる気や明確な目標達成へと近づきます。

また設定する目標の内容としては部下が実現可能である範囲内で、少し上の段階を目指す目標によって達成感を見込め、次なる目標に対しても主体的に取り組むことができるでしょう。

仕事の「意義付け」を行おう

部下のやる気を引き出すには、部下の仕事が企業全体や部署全体のなかでどのような意味を持つのか、意義を伝えることが大切です。

入社年数が浅い従業員の場合は、細分化された業務の一部を担うことがほとんどです。自分の仕事がどういった意味をもち、何を目的にしているのかが不明瞭だと、モチベーションを保ちにくくなります。

会社の方針や目標からブレイクダウンし、部下が取り組む仕事の意義を示すことで、「自分の仕事が自社の業績や価値創造に貢献している」と実感できるでしょう。

6. 社員のマネジメントに役立つツール 

ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、社員のヘルスマネジメントに最適なサーベイツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

154項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック 

スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。

適切な対策案を分析レポート化

調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。

部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化

集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。

  • 部署
  • 男女
  • 職種
  • テレワーク

対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。

7. まとめ

人手不足が叫ばれる現代において社員一人ひとりの労働生産性の向上にも期待できる「動機付け」は、その有用性からマネジメントに活用する企業も増えています。

本記事では、心理学の視点も交えながら有効的に社員を動機付ける方法をご紹介しました。

ラフールサーベイを導入すると組織の健康状態を可視化できるため、社員が働きやすい環境作りをお手伝いします。サーベイツールをお探しの方は、ぜひラフールサーベイを検討してください。

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