働き方改革関連法案 中小企業の具体的な取り組み

2020年より中小企業にも適用拡大された働き方改革関連法案によって、職場における労働環境の見直しが進められています。しかし実際のところ、

「具体的にどんなことに取り組んだらいいんだろう」
「中小企業での導入は上手くいくんだろうか」

このような悩みを抱えている経営者は多く、対策を講じられていない中小企業も少なくありません。大企業に比べ多くの中小企業では資金や人手に余裕がないことから、どのような対応を取るべきか頭を抱える場面もあるでしょう。しかし施行開始された今、なるべく早く具体的な取り組みを理解し活用できるよう備えておきたいですよね。そこで今回は中小企業にとっての働き方改革の概要や、具体的な取り組みについて詳しくご紹介します。中小企業における働き方改革について疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

1.中小企業にも施行 働き方改革関連法とは

労働環境の是正をより効果的なものにするためにも、今一度改めて働き方改革関連法の内容や施行時期を確認しておきましょう。以下2つの項目についてそれぞれ詳しく解説します。

・そもそも働き方改革関連法とは
・大企業と中小企業で異なる施行時期

そもそも働き方改革関連法とは

働き方改革関連法とは政府から施行された法案で、働く人の立場に立った労働環境の改善により働き方を選択できる社会の実現を目的としています。その背景には「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」や「育児や介護との両立などの働き方のニーズの多様化」といった日本の現状があります。これらの課題に対し、労働制度の根本改革を行うことによって一人ひとりが将来に対し展望を持ち働くことができる社会を目指しています。

大企業と中小企業で異なる施行時期

そもそも大企業と中小企業の定義は? 

働き方改革関連法の施行時期は大企業と中小企業によって異なります。中小企業に該当するか否かは「資本金の額または出資の総額」または「常時使用する労働者の数」が業種別で基準とされています。詳しくは、下記の表に当てはまる場合が中小企業、当てはまらない場合が大企業として定義されています。

業種資本金の額または出資の総額または常時使用する労働者数
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他3億円以下300人以下

それぞれで施行された時期

施行時期は、大企業と中小企業で異なるだけでなく法案の内容によっても異なります。働き方改革関連法案は8つの労働法改正から成り、それぞれの施行時期は以下の通りです。既に施行された法案からこれから施行される法案まで改めて確認しておきましょう。

法案施行時期
時間外労働の上限規制大企業:2019年4月中小企業:2020年4月
同一労働同一賃金の義務化大企業:2020年4月中小企業:2022年4月
残業割増賃金の引き上げ中小企業:2023年4月
年次有給休暇の取得義務化全企業:2019年4月
高度プロフェッショナル制度の創設全企業:2019年4月
フレックスタイム制の拡充全企業:2019年4月
勤務間インターバル制度の導入全企業:2019年4月
産業医・産業保健機能の強化全企業:2019年4月

2.働き方改革関連法が施行されて変わったことと具体的な取り組み

労働環境の変化

2019年4月より施行された働き方改革関連法によって、日本企業における労働環境は大きく変化し始めています。その中でも5つの変化に関して、その詳細と具体的な取り組みを1つずつ紹介します。5つの変化は以下の通りです。

・罰則付きの時間外労働の上限規制
・年5日の有給休暇の取得義務
・終業・始業間の勤務間インターバル制度
・残業割増賃金の引き上げ
・非正規雇用労働者に対する待遇改善

罰則付きの時間外労働の上限規制

残業とも呼ばれる時間外労働の上限規制とは、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない規制を指します。月45時間とは、1日当たりに換算すると2時間程度の残業に値します。また臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合においても、年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)と具体的な制限が設けられています。加えて、原則である月45時間を超えることが可能なのは年間6ヶ月までと規定されています。

これらに違反した場合の罰則は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるようになります。これまでは法律上残業時間の上限はなく行政指導のみであり、現状としては終わりの見えない残業を強いる労働環境が問題となっていました。これらの改正によって法律で残業時間の上限が定められたため、規定を超える残業は行えなくなることが見込まれています。

企業の責務としては、現状の社員の労働時間を正しく把握し、規制内容に当てはまる又は近しい社員や部署など、対象の有無を確認し時間外労働を抑制することが挙げられます。対象が見受けられた場合には、業務内容や人材配置などの見直しを目指した話し合いや、具体的な対策を打ち立て実施しましょう。

それらの見直しが難しい場合、フレックスタイム制を導入するのも1つの取り組みとして有用です。フレックスタイム制は1ヶ月の総労働時間を予め決定し、毎日の労働時間は社員各々の裁量に任せる仕組みです。月の労働時間を事前に決めることで結果的に時間外労働を削減することが期待できます。例えば、月初月末は多忙だが月の半ばは比較的業務量が少ない業務を担当する部署や役職があると仮定します。フレックスタイム制を活用できればその日の業務量に応じて労働時間を自ら調整できるため、月の半ばは早めに退社してもらうなどの工夫によって業務量を維持しながらも時間外労働を減らせる場合があるでしょう。 

年5日の有給休暇の取得義務

年5日の有給休暇の取得義務とは、年次有給休暇が10日以上付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年5日の年次有給休暇を必ず取得させることを指します。対象となるのは、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の労働者です。具体的には「雇入れの日から6か月継続して雇われている」「全労働日の8割以上を出勤している」の2点を満たしている労働者となります。

この規定に違反した場合の罰則は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることがあります。従来は1年以内に最低5日分の有給休暇を取得することをあくまで推進として呼び掛けられていました。今回の改正によって有給消化が義務化され確実な取得が求められています。

企業の責務としては、有給休暇の消化によって労働者の心身の疲労回復を図り、その結果生産性の向上など労働者と企業双方にとってのメリットとして捉えることが求められます。また年5日はあくまで最低限の基準であり、労働者がより多くの有給休暇を取得できるよう労働環境の整備に努めることも重要です。

職場において年次有給休暇取得計画表を作成し明示することによって、年次有給休暇のより多く取得でき、取得時季の調整がしやすくなります。年度別や四半期別、月別など期間を分けて個人ごとの計画表を作成すると、社員一人ひとりの確実な有給休暇の消化にもつながります。全体的な予定を予め把握できるため、全社員の有給休暇の取得を前提とした業務体制の整備にも取り組むことが可能です。   

終業・始業間の勤務間インターバル制度

勤務間インターバルとは、勤務終了後一定時間以上の休息時間を設けることによって、働く人の生活時間や睡眠時間を確実に確保する仕組みです。今回の改正によって、前日の就業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することが努力義務として規定されました。

終業・始業間の勤務間インターバル制度はあくまで努力義務であり罰則の発生はありません。しかし規定を守るよう努めることで、社員の心身の健康を支え働きやすい企業を築くことにも繋がるため、企業として積極的な推進が推奨されています。

企業の責務としては労働者の一定の休息時間を確保することで、長時間労働を抑え十分な睡眠時間や業務以外のプライベートの時間を与えることが挙げられます。その結果、労働者のワークライフバランスを保った働き方を支援することが可能です。

勤務間インターバル制度は、具体的な内容が法律上は定められていないため企業が事業内容や勤務体系に合わせて独自の取り組み内容を制度として導入しています。例えば、休息時間を8時間〜11時間と一定の時間に定めること、休息時間の最低ラインを業務量や内容に合わせて義務と努力義務と幅広く取ることなど様々です。またこのような取り組みは社内で制度として設けるだけではなく、経営者や管理職などが積極的に活用することで他社員にも広まり、社内の労働環境として根付いていくことが考えられます。

残業割増賃金の引き上げ

残業割増賃金の引き上げとは、1ヶ月に60時間を超えて時間外労働をさせた場合、その超えた時間の労働について法定割増賃金率を25%から50%に引き上げる改定を指します。なお、割増賃金率の引き上げ対象となるのは時間外労働のみです。休日労働や深夜労働に関しては従来通りの法定割増賃金率である25%が適用されます。また法定割増賃金率の25%の支払いに代わりに、代替休暇である有給休暇を与えることも可能です。その際には労使で協定を結ぶ必要があります。

違反した場合は、割増賃金の未払いに対し6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が発生します。

企業の責務としては、これまでの長時間にわたる時間外労働を抑えることで労働者の心身の健康を守り、働きやすい職場づくりを推進することが挙げられます。また労働者が仕事と私生活のバランスを確保できることで、これまで以上に業務への取り組む姿勢も前向きにさせ、企業にとっては生産性向上にも繋がる目的が考えられています。

経営者が取るべき具体的な取り組みとしては、月60時間を超える時間外労働が発生していないか現状を把握することから始まります。特定できた場合は割増賃金もしくは代替休暇の時間数を計算し集計しましょう。また根本的な改善として時間外労働を削減する取り組みも必要です。時間外労働の上限規制も改定されたため、併せて考慮することによって労働時間の目安や勤務体系の整備に取り組みやすくなるでしょう。

非正規雇用労働者に対する待遇改善

「正社員転換」や「待遇改善を強力推進する」ことを目指し、非正規雇用労働者の就労を安定化させる目的持った取り組みです。具体的な取り組みの1つとして「同一労働同一賃金」が2020年4月より大企業において施行され、中小企業においても2021年4月より適用となります。「同一労働同一賃金」とは同じ職場で働く正規雇用社員と非正規雇用社員との間にある待遇や賃金格差をなくすことを目指した法案です。同じ内容の業務を行う労働者に対し、正規雇用・非正規雇用に関わらず同じ額の賃金を支払うことや、福利厚生やキャリア形成に関しても正規雇用と非正規雇用との間の不合理な格差を解消することを推進しています。

「同一労働同一賃金」は法的拘束力がなく罰則も定められていません。しかし、待遇の格差は現状として多く見受けられ実際に不満や不平を感じている社員もいるでしょう。社員が抱える感情が離職率や生産性の低下にもなり得るため、対応を検討しておくべきと考えられます。

企業としては、これまで日本の企業文化として当たり前であった、正社員は非正社員より良い待遇を与えられるという概念や不合理な待遇差を解消し、働く人一人ひとりの能力やスキルを正当に評価することが求められています。これらを実現することによって、働く人が平等に働きがいを感じられ、労働意欲の向上にも効果が期待できます。

経営者が取れる具体的な取り組みとしては、正規雇用・非正規雇用社員共通の評価制度や職務等級制度を導入することが例として挙げられます。それぞれの区別をなくした評価は、公平な処遇を目指すことが可能です。また教育制度も正規雇用・非正規雇用で区別するのではなく、役職や業務内容によって振り分け研修を設けることで、働く人一人ひとりが将来に向けたキャリアアップへの意欲や、企業から期待を受けている実感を持つことに繋がるでしょう。人材不足が問題となっている今こそ、働く人一人ひとりを大切に育て上げることも経営者に求められる能力であるとも考えられます。

3.職場改善に役立つツール 

「ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、職場の現状可視化と改善に役立つツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい社員の心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

141項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で141項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約84項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック 

スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。

適切な対策案を分析レポート化

調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。

部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化

集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。

・部署
・男女
・職種
・テレワーク

対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。

4.まとめ

中小企業にも働き方改革関連法が適用されていますが、なかなか対策を講じられていない企業も少なくはありません。

今回は働き方改革関連法や、実際に中小企業でも取り入れられる対策をご紹介しました。特に人材不足が問題になっている今こそ、社員を大切にし、社員一人ひとりが安心して働ける労働環境を整備することが経営者の責務だと言えます。

ラフールサーベイでは18万人以上のデータを基に、従来のアンケートでは見えにくかったリスクや課題を多角的に抽出し可視化することができます。

企業の抱える問題を可視化するツールをお探しの方は、ぜひラフールサーベイを検討してみてください。

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