フレックスタイム制とは?メリット・デメリットと導入時の注意点を解説

フレックスタイム制とは

働き方改革の一環として挙げられる「フレックスタイム制」。なんとなく耳にしたことはあっても、その内容をしっかり把握できていない方も多いのではないでしょうか。

こちらの記事では、フレックスタイム制の基本的な仕組みからメリット・デメリットまで解説しています。合わせて、導入時の注意点についても分かりやすく説明しています。フレックスタイム制に関心のある方や、実際にフレックスタイム制導入企業にお勤めの方は、ぜひ参考にしてみてください。

フレックスタイム制の意味

フレックスタイム制の意味

フレックスタイム制とは、一定の期間においてあらかじめ定められた総労働時間の範囲内で、毎日の始業・終業時刻や働く時間を労働者自身が自由に決められる制度です。

子育てをしている人であれば、パートナーと交代で出退勤時間をずらして子どもの送り迎えをしたり、資格取得の勉強をしている人であれば、出勤時間を早めて平日の夜に講座を受講したりするなど、プライベートに合わせて日々の働き方を自身で調整することができます。働き方改革の一環として行われている取り組みで、近年ますます注目が高まっている制度です。

フレックスタイム制の仕組み

コアタイムとフレキシブルタイム

フレックスタイム制を導入した企業においては、1日の労働時間の中で「コアタイム」と「フレキシブルタイム」を設定することができます。

「コアタイム」とは1日の中で必ず勤務しなければならない時間帯です。一方の「フレキシブルタイム」とは、コアタイムの前後数時間を指す時間帯です。従業員はフレキシブルタイムの中で、いつでも自由に出退勤することができます。

スーパーフレックス制度

フレックスタイム制を導入した企業であっても、必ずコアタイムを設定しなければいけないわけではありません。コアタイムを設定せず、全ての労働時間をフレキシブルタイムとする方法を「スーパーフレックス制度」と言います。フレックスタイム制よりもさらに縛りが少ない制度のため、従業員の自主性を高める試みとも言えるでしょう。

清算期間とは

「清算期間」とは、労働者が労働すべき時間を定める期間です。フレックスタイム制を導入した会社では、労使協定で清算期間を定めなければいけません。

以前までは清算期間の上限は1ヵ月でしたが、2019年より3ヶ月間に延長され、より柔軟な働き方が可能になりました。ただし実際のところは、賃金計算に合わせて清算期間1ヶ月の会社が多い状態です。

残業代はどうなるの?

フレックスタイム制においても残業代はもちろん支払われます。しかし、労働基準法で定められた法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えても、ただちに時間外労働(残業時間)となるわけではありません。

清算期間における実際の労働時間のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働になります。例えば清算期間が3ヵ月の場合は、「3ヵ月間における総労働時間のうち、週平均40時間を超えた分」または「1か月の労働時間のうち、週平均50時間を超えた分」が時間外労働と判断されます。

休憩時間はどうなるの?

労働時間に関する様々な点が個々に委ねられるフレックスタイム制ですが、1日の労働時間が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える場合は最低1時間の休憩が必要となっています。

さらに、休憩時間に関しては、「労働の途中に・一斉に与える」ことが定められています。ただし一斉に与えるという点については、業種によって適用除外もあります。その場合は就業規則に記載した上で、従業員はそれぞれのタイミングで定められた時間の休憩を取ることが可能です。

フレックスタイム制のメリット

ワーク・ライフ・バランスが取りやすい

労働時間の調整が可能になれば、プライベートと仕事のバランスが取りやすくなります。フレックスタイム制を用いれば、仕事と両立して介護のための時間を取ったり、平日の夜に趣味や学習の予定を入れることも可能です。

ワーク・ライフ・バランスは働き方改革において重要な要素のひとつとなっており、就業環境が改善されれば、企業側としても離職率の低減を期待できます。

通勤時の混雑を避けられる

フレックスタイム制を用いることで、従来よりも早い時間帯や遅い時間帯に出退勤できるようになるため、通勤時の混雑を避けられます。

通勤ラッシュに巻き込まれると体力を消耗したり、ストレスがかかったりして、仕事をする上で余計な負荷がかかってしまうため、混雑する時間帯を避けられるのは大きなメリットです。また感染症の流行する時期においては、体調管理のためにもフレックスタイム制は有効と言えるでしょう。

企業のイメージ向上

フレックスタイム制を導入すると、採用面でのメリットも生じます。フレックスタイム制導入企業には「働きやすい会社」という印象が結び付きやすいので、企業のイメージが上がるのです。企業イメージが向上すれば、その会社を志望する人数が増えるのみならず人材の幅も広がるため、結果として採用の母数と多様性が増し、採用活動の成果が期待できます。

業務効率が上がる

繁忙期や閑散期など、仕事量は月や日によって異なりますが、定時制では仕事量に関わらず労働時間は同じです。しかしフレックスタイム制を用いれば、定められた期間の中で仕事量によって働く時間を効率的に配分できるようになります。

またフレックスタイム制を導入することで社員が時間を意識するようになれば、自己管理能力が上がり残業時間が減るなど、個人の成長を通して業務効率が上がることも期待できるでしょう。

フレックスタイム制のデメリット

社内でのコミュニケーションが不足する

業務を行う上では、日頃のささやかなコミュニケーションの積み重ねが功を奏すケースもあるでしょう。しかし従業員の勤務時間がばらけると、お互いに顔を合わせる時間が減少し、報告や相談を気軽にするなどのちょっとしたコミュニケーションの機会が不足してしまう懸念が挙げられます。

こういった点を解消するためには、チャットツールやオンライン会議ツールを導入するなど、コミュニケーションを積極的に活性化させるための対策が別途必要となります。

社外との連絡が取りづらくなる

フレックスタイム制で働く従業員が定時制企業の従業員とコミュニケーションを取る際、自分の出勤時間に相手がまだ出勤していなかったり、反対にすでに退勤してしまっていたりなど、コンタクトを取りづらいケースが起こり得ます。

また会議や打ち合わせなどは事前に調整すれば問題ないですが、緊急のトラブルが発生した場合、クライアント対応に時間がかかってしまう可能性があります。そうならないためには、普段から従業員同士の連絡体制を整え、業務を属人化させないよう注意するなどの対応が必要です。

個人の自己管理能力に委ねられる

個人の自由な働き方を後押しするフレックスタイム制ですが、自己管理が苦手な社員に対しては、ルーズな働き方を助長してしまう可能性もあります。フレックスタイム制を導入してもかえって業務効率が落ちたり、定時がないからと長時間労働が続いてしまったりしては意味がありません。

企業は勤務管理を徹底すると同時に、従業員の成果をしっかりと把握するよう努めることが大切です。

経費が上がる可能性がある

従業員の出勤時間がばらけると、全体としてオフィスの稼働時間が長くなるため、大きなオフィスをもつ会社や従業員の多い会社においては光熱費が上がることも考えられます。またフレックスタイム制で深夜時間帯の勤務が増加すると、その結果割増賃金が増えてしまうだけでなく、従業員の健康面においても悪影響を及ぼしかねません。

このような事態を防ぐには、エアコンや照明を人感センサーの設備に変えたり、フレキシブルタイムの幅をある程度抑えたりすることが有効となります。

勤怠管理が煩雑になる

フレックスタイム制導入によるデメリットとして、勤怠管理の煩雑さも挙げられます。出退勤の時間が社員によって異なると、遅刻・早退や所定労働時間と残業時間の判断、計算方法などが難しくなるためです。したがって、フレックスタイム制を導入する際は勤怠管理システムを変形労働時間制対応可能なものにするなど、適切な勤怠管理を行うための工夫が必須となります。

フレックスタイム制導入時の注意点

フレックスタイム制の定義を確認する

基本的なことですが、自社の働き方がフレックスタイム制の定義に当てはまっているかどうか、確認しておきましょう。フレックスタイム制とは、出退勤どちらの時間も労働者に委ねる制度を意味しています。どちらか片方のみを労働者に委ねる場合はフレックスタイム制として認められませんので、注意してください。

就業規則への規定を行う

フレックスタイム制導入時には、就業規則への規定が必要です。出退勤の両方を労働者に委ねる旨を明記しましょう。

合わせて、就業規則に書かれたフレックスタイム制について、従業員への周知を徹底することも必要不可欠です。労働基準法第106条では就業規則の周知義務が規定されています。従業員が働く場所のうち分かりやすいところに掲示したり、書面で交付したりするなど、フレックスタイム制の効果を発揮させるためにしっかりと周知を行いましょう。

労使協定を締結する

就業規則への規定と合わせて、労使協定の締結も必要です。労使協定の中では、以下のような基本的な枠組みを定めます。

  • 対象となる労働者の範囲
  • 清算期間
  • 清算期間における総労働時間
  • 標準となる1⽇の労働時間
  • (任意)コアタイムやフレキシブルタイム

残業が発生する場合は36協定の締結が必要

先に述べたとおり、フレックスタイム制では、定時制とは異なる考え方で残業を捉えます。しかしながら両者ともに必要なのが、「時間外労働・休日労働に関する協定」、通称「36協定」の締結です。労働基準法において、36協定が締結されなければ時間外労働が認められません。フレックスタイム制においても定時制企業と同様、別途36協定を締結しなければ残業できないので、注意しましょう。

フレックスタイム制を導入しやすい企業・導入しにくい企業

フレックスタイム制を導入しやすい企業としにくい企業

ここまでの解説を経てフレックスタイム制が魅力的に映ったとしても、全ての企業に等しく有効な制度とは言いづらいのが現状です。例えば、企画職・事務職・デザイナー・エンジニア・研究職などは、比較的フレックスタイム制を取り入れやすいと言われています。これらの仕事はタスクや締め切りを定めておけば、時間や場所にとらわれず、ある程度個人で作業を進められるためです。

一方で、サービス業・工場のライン・営業職・医療や介護系の職種などは、フレックスタイム制の導入が難しいと考えられています。営業職の場合は社内外との連携が多く、他者とのコミュニケーションの機会が頻繁にあるため、必ずしもフレックスタイム制に適しているとは言えません。持ち場を離れられない工場のライン業務や、シフト制で夜勤が発生するなど勤務体系が特殊な医療・介護職においても、フレックスタイム制を取り入れにくいでしょう。

このように業種・職種によってフレックスタイム制の向き不向きがあるため、ひとつの企業内においても、部署によって導入していたり導入していなかったりという場合もあります。これからフレックスタイム制を使って働きたいと考えている方は、必ず選考段階で企業に確認を取るようにしましょう。

働き方改革にはラフールサーベイ

働き方改革のひとつとして数々の企業で取り入れられてきたフレックスタイム制ですが、企業の労働環境を改善するために、まずは現状把握として社員の働き方を可視化することが重要です。

「ラフールサーベイ」では、1億2千万のデータをもとに組織の強みと課題を見出すことができます。またそれだけでなく、調査を実際に活かすために、プロフェッショナルが徹底的に組織改善の成功に向けて支援を行います。自社に合った形での働き方改革を行うためにも、組織改善ツール「ラフールサーベイ」を利用してみてはいかがでしょうか。

ラフールサーベイの機能や特徴を読むことができる資料は、以下からダウンロードできます。気になる方はぜひご確認ください。

まとめ

働き方改革が叫ばれる今、フレックスタイム制はワーク・ライフ・バランスを目標とする上で注目される制度です。

仕事の状況やプライベートに合わせて労働時間を調整できる点はもちろんのこと、従業員が会社に任せきりにすることなく、自分の仕事における時間感覚を意識することで、個人のレベルにおいても働きやすい環境を志向するように成長できる点もポイントと言えます。そしてフレックスタイム制を有効に活用するためには、制度に関する確かな知識が不可欠です。

この機会にぜひ、フレックスタイム制についての理解を深めていきましょう。

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