近年、採用活動が複雑に多様化しつつあります。採用活動の効率化や改善に悩む方も多いのではないでしょうか。 自社に適する優秀な人材を獲得するためには、最適な採用チャネルを選択することが重要です。 こちらの記事では、採用チャネルのそれぞれの特徴や選択の方法についてご紹介します。
採用チャネルとは?
採用チャネルとは、企業が採用活動を実施する上で、求職者へアプローチする際に用いられる手段や方法のことを指します。本来のチャネルという英単語の意味から、採用経路と呼称されることもあります。
デジタル化の影響を受け、採用チャネルは日々変化を続けています。同時に、少子高齢化による労働人口の減少も懸念されており、人材獲得の競争は年々激化していくことが予想されます。
そのような中、企業は優秀な人材を効率よく獲得していくため、時代や自社の方針に合った採用チャネルを選択し、活用していくことが求められています。
採用チャネルの種類
採用チャネルの種類は、大きく分けると「公募型」「人材紹介」「ダイレクトリクルーティング」の3つです。
公募型は、不特定多数の人々に向けて情報を開示し、応募が来るのを待つ方法です。求人広告や企業サイトなどが当てはまります。
人材紹介は、仲介業者を通じて自社の募集条件に合致する人材と繋いでもらう方法です。人材紹介会社や就職エージェントなどが当てはまります。
ダイレクトリクルーティングは、優秀な人材に対して企業が能動的に情報発信を行っていく方法です。スカウト・オファー型のサービスやリファーラル採用、SNS等を通じたソーシャルリクルーティングなどが当てはまります。
それぞれのメリット・デメリットについては、後ほど解説いたします。
採用チャネルの多様化
様々な種類がある採用チャネルですが、従来は求人広告や人材紹介、折込チラシなどの紙媒体を中心とした採用チャネルが基本的に用いられていました。
近年はインターネット上の情報収集が主流となり、就職活動においてもSNSや口コミサイトを活用することが多くなったため、採用チャネルが多様化している状態です。それ以外にも、就職イベントやOB/OGからの紹介など様々な採用チャネルがあるため、企業は変化を続ける求職者のニーズに対応していく必要があります。
また、多様な採用チャネルを最大限に活用するためには、全ての採用チャネルに同じ求人情報や条件を掲載するのではなく、その採用チャネルを利用する人材の特徴に合わせてカスタマイズしていくことも必要です。
採用チャネル一覧とそれぞれのメリット・デメリット
続いて、各採用チャネルの特徴や、それぞれのメリット・デメリットを一覧でご紹介します。採用チャネルの選択にお役立てください。
公募型
求人広告
求人誌や折込チラシなどの紙媒体、就職情報サイトやアプリなどのWEB媒体を用いて求人情報を発信する方法です。
メリットは、比較的多くの求職者の目に入ること、応募数によって費用が変動しないことが挙げられます。
デメリットは、広告の掲載順位を上げるために費用がかかること、応募数が少なくても一定の掲載料金を支払う必要があること、マッチング度が低い求職者からの応募が多く見分けるために手間がかかること、知名度が低い企業には応募が集まりにくいことが挙げられます。
自社サイト等のオウンドメディアリクルーティング
自社のサイトやメディアを活用し、採用情報を発信する方法です。
メリットは、既に自社について調べている人へ向けて情報を発信することができるため、マッチング度の高い人材の応募が見込まれることが挙げられます。
デメリットは、WEBサイトを制作するためには費用がかかること、掲載した情報を早急に広めていくことは難しいこと、情報を充実させるために長期的な運用が必要となることが挙げられます。
採用イベント
合同説明会など複数の企業が集まるイベントを通じて、新たに自社を知ってもらったり詳しい情報を発信できる方法です。会場のブースを借りて行う対面でのイベントだけではなく、コロナ禍以降はオンラインでも合同説明会などの採用イベントが多く行われるようになりました。
メリットは、質問への回答など求職者とその場で直接交流できることが挙げられます。
デメリットは、会場の設営や資料の作成に手間がかかること、周囲に知名度の高い企業が多い場合には集客が難しくなることが挙げられます。
ハローワーク
厚生労働省が管轄する行政機関のハローワークに求人募集の掲載を依頼し、求職者からの応募を待つ方法です。
メリットは、全国500箇所以上にハローワークが設置されていること、原則料金が無料であることが挙げられます。
デメリットは、利用者の年齢層が比較的高いこと、伝えられる情報が少ないことが挙げられます。
人材紹介
人材紹介会社
転職エージェントなどの人材紹介会社は、企業の求める人材と求職者の求める条件をマッチングさせ、選考につなげてくれるサービスを行っています。それらを利用する方法です。
メリットは、外部の業者に採用活動の一部を担当させるため採用担当者の負担が軽減されること、既にマッチング度の高い状態の人材を選考できることが挙げられます。
デメリットは、求職者が人材紹介会社を経由して入社した場合、比較的高額な成功報酬を人材紹介会社に支払う必要があることが挙げられます。1人採用ごとに〇万円、採用した人材の理論年収△%など、イメージとしては1人の人材を採用するまでに数百万円かかることが多いでしょう。
ダイレクトリクルーティング
スカウト型サービス
求職者が登録している情報をデータベース上で閲覧し、自社が求める人材に直接コンタクトを取ることで選考への参加者を獲得する方法です。
メリットは、ミスマッチが起こりにくいこと、優秀な求職者や潜在層にアプローチできること、採用単価が比較的安価であることが挙げられます。
デメリットは、優秀な人材を探すために1人1人の情報を読み込んだり、個別に連絡を取るため手間や時間がかかることが挙げられます。
リファラル採用
リファラル採用とは、自社の従業員の紹介を通じて選考を志望する人材を集める方法です。従業員が親しい友人や知人などに、自社の採用活動に関する情報を伝え、誘うことで採用フローへの応募に繋げます。
メリットは、優秀な人材に出会えること、ミスマッチが起こりにくいことが挙げられます。
デメリットは、従業員の業務に対する理解度等に左右されること、自社への満足度が高くない場合には紹介してもらうことが難しいことが挙げられます。
SNSを用いたソーシャルリクルーティング
近年特に頻繁に使用されているSNSを通じて、情報発信や求職者との交流を行い、自社のサイト等へのアクセスを増やすことができる方法です。
メリットは、初期費用がほとんどかからないこと、拡散力が高く潜在層にもアプローチすることができることが挙げられます。
デメリットは、頻繁に情報を更新する必要があるため手間がかかることが挙げられます。
最適な採用チャネルの選び方
代表的な採用チャネルについてご紹介しました。続いて、自社に適した採用チャネルを選択する方法についてご紹介します。
必要な人材の特徴で選ぶ
第一に、自社が求める人物像や募集する職種、役職などの条件に合わせて、採用チャネルを選択することが重要です。
そのためには、社内で話し合い、必要な人材の特徴を整理すること、その特徴を持つ人材がどの採用チャネルに存在しているのかを分析することが手順として必要になります。
例えば、即戦力が欲しい場合には、スカウト型やハイクラス専門の人材紹介などの採用チャネルを選択することが有効です。
予算で選ぶ
また、採用活動にかけられる予算が十分でない場合には、コストが安価な採用チャネルから選択して活用していくのも良いでしょう。
ハローワークやSNSの運用、リファラル採用などであれば、予算を抑えながら採用活動を行うことができます。
効率で選ぶ
社内の負担をなるべく抑えたい場合には、人材紹介など社外の力を利用すると良いでしょう。他の採用チャネルと比べてかかる費用は高いですが、時間をかけずに人材を確保することができます。
また、既に条件にある程度合致した人物が紹介されるため、選考ステップも短くすることが可能になります。
優秀な人材を得るためのポイント
採用チャネルを活用して優秀な人材を獲得するために注力すべきポイントについてご紹介します。
社内のハイパフォーマーを分析する
まずは、社内のハイパフォーマー(優秀な人材)を分析することが重要です。優秀な人材に共通する要素を洗い出し、その要素を、求める人物像や選考における基準に反映すると効率良く自社に合う人材を獲得することができます。応募者の入社後の活躍が期待できるでしょう。
ハイパフォーマーについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ハイパフォーマーとは?行動特性や分析方法、退職防止の方法について詳しく解説! – Well-Being Workers (lafool.jp)
複数のチャネルを組み合わせる
採用活動の方向性や求職者のニーズに合わせて、複数のチャネルを組み合わせて活用しましょう。
1つの採用チャネルだけを利用する場合、情報を目にする求職者の幅が狭まってしまう可能性があります。特に、社名を広く知られていない企業の場合は、公募型のみでは情報に辿り着いてもらうことが難しくなるため、SNSなどその他の採用チャネルと併用してアクセス数を増やすと効果が高まります。
時代とともに採用チャネルの多様化は進むと予想されるため、必要な応募数を獲得できるよう採用チャネルの幅を柔軟に広げていきましょう。
採用活動のデータ化と見直し
最後に、取り組んだ採用活動について分析し、データでまとめることで、その後の年度に行う採用チャネルの選択や採用活動の方針に活かしていくことも重要です。
採用チャネルごとの応募数と各選考の通過数、内定承諾数、入社人数などを調べ、最終的に入社や社内で活躍する人材の確保に繋がったと考えられる採用チャネルを明らかにしましょう。
これにより、有効な採用チャネルを選定できるため、優秀な人材を確保することに繋がるだけではなく、採用活動の効率が上がり、コストの削減にも繋がります。
企業の採用チャネルを用いた戦略事例
採用チャネルを活用し、戦略的に採用活動を行っている企業の具体的な事例についてご紹介します。
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、選考を通じて自社を好きになってもらえるよう、中長期的な視点を持って「オウンドメディア」「動画」「SNS」による情報発信を中心とした採用活動を行っている企業です。
消費者との接点が多く、インターネットを中心としたサービスを展開する企業の特性を活かした採用チャネルの組み合わせであると言えます。
また、サーベイによってPDCAも回すことにも力を入れており、採用活動の効率化や改善を続けています。
三幸製菓株式会社
三幸製菓株式会社は、サーベイの結果、課題として上がった知名度の向上に力を入れ、新卒採用のエントリー数を300名から13000名にまで大幅に拡大した企業です。
「Facebook」と「就職イベント」を組み合わせた情報発信を行うと共に、「自社サイト」や紙媒体の「パンフレット」などのデザインも刷新し、印象に残るアピールを続けました。
お菓子メーカーであることから競合との差が大きく、予算もないという当時の状況から、コストを抑えた採用チャネルの組み合わせを選択しています。
まとめ
採用チャネルの特徴や、それぞれのメリットデメリット、選択のポイントなどについてご紹介しました。
採用チャネルの選択は、企業が採用活動の戦略を立てる上で重要な要素です。今回ご紹介した情報を基に、自社に適した効果の高い採用チャネルの選択に取り組んでいただければと思います。