従業員の心身の健康を保持するため、必要と言われている「セルフケア」。セルフケアは、なぜ心身の健康のために必要で、どのようなことをすれば良いのでしょうか?
この記事では、セルフケアの概要や必要性に加え、セルフケアの具体的な方法や職場のストレス要因の改善方法を紹介します。
1. セルフケアとは?ストレス対策を考えよう
セルフケアとは、具体的にどのようなもので、なぜセルフケアが必要なのでしょうか?ここでは、セルフケアの概要や管理職がセルフケアを学ぶメリットのほか、ストレスによる心身の反応について詳しく紹介します。
セルフケアの概要
セルフケアとは、従業員自らが行うメンタルケア対策のことです。
近年では、厚生労働省も職場におけるメンタルヘルスを進めており、2000年には「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を発表。その中の指針では、セルフケアはメンタルヘルスケアに必要なケアの1つであるとされています。
セルフケアについて学ぶことで、自らのストレスや心の健康状態について正しく認識できるようになります。そのため、従業員本人が心身の異変に気付き、自ら対処することが可能です。また、管理職がセルフケアの知識を持つことで、部下の変化にもいち早く気づけるようになるため、管理職こそセルフケアの知識を持つべきとされています。
ストレスによる心身の反応
では、ストレスを受けたとき、心身にはどのような反応が出るのでしょうか?ここでは、身体面、精神面、行動面の3つに分け、ストレス反応を紹介します。
身体面
身体面に出るストレス反応は、以下のものが挙げられます。
- 頭痛
- だるさ
- 寝起きが悪い、寝つきが悪いなどの睡眠に関する問題
- 食欲不振や過食などの食事に関する問題
- アルコールやカフェイン、喫煙などへの依存
上記を見て分かるように、ただの体調不良かと思うような症状も、ストレス反応の可能性があります。特に長期間にわたって症状が続いているならばストレス反応の可能性が高いです。身体面の反応だけでは判断しにくい場合は、精神面や行動面の反応も合わせて確認するといいでしょう。
精神面
精神面には、次のようなストレス反応が現れることがあります。
- 意欲や集中力の欠如などの無気力感
- 興味・関心の低下
- イライラや不安、怒りなどのネガティブな感情の増加
こちらも症状が1日や2日で治まるなら問題はありませんが、数週間以上続いている場合は、要注意です。専門家に診てもらうなどの対応をおすすめします。
行動面
身体面や精神面のほか、行動面にもストレス反応が表れることがあります。行動に表れるストレス反応は、他人が見ても分かることが多いので、部下の異変に気付きやすい部分です。以下のようなストレス反応が見られている時には注意してください。
- 遅刻や欠勤の増加
- 仕事でのミスの増加
- 攻撃的な言動の増加
- 人付き合いが悪くなる
こちらも、一時的な出来事であれば基本的にストレス面の問題はありません。しかし、2週間〜1ヶ月以上、同じような状態が続く場合は専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。
2. 具体的な4つのセルフケア方法
ストレス反応が見られた場合には、セルフケアを行いましょう。ここでは、具体的なセルフケアの方法を4つ紹介します。ストレスと上手く付き合う方法でもあるので、日常的に実践していくのがおすすめです。
セルフケア①適度な運動やストレッチ
1つ目の方法は、適度な運動やストレッチです。職場で長時間同じ姿勢を続けていませんか?長時間、身体を動かさないでいると、血流が悪くなり身体に負担がかかってしまいます。運動することで、気分を落ち着けたり、スッキリさせたりする効果があります。
運動やストレッチと言っても、無理して過度な運動をする必要はありません。椅子に座って身体を後ろにひねるだけの簡単なストレッチや、通勤の時に一駅分歩くなどの簡単なものでOKです。身体を動かすことを「楽しむ」ことが大切なので、気軽で楽しい運動やストレッチを行うといいでしょう。
セルフケア②快適な睡眠
セルフケアの2つ目に、快適な睡眠が挙げられます。快適な睡眠とは、目覚めたときに気持ちがいい睡眠や、日中に眠くならない睡眠のことです。快適な睡眠をすることで、ストレスの軽減につながるため、意識的に快適な睡眠を取るようにしましょう。
理想の睡眠時間は個人差があると言われていますが、一般的には7〜8時間の睡眠が必要な人が多いとされています。忙しい時期にも意識的に睡眠時間を確保するようにすると、心身ともに健康に過ごすことができるでしょう。
セルフケア③笑う
笑うことも、セルフケアの1つと言われています。とても簡単で、こんなことで心身の健康に効果があるのかと思うかもしれません。しかし、笑うことは血糖値上昇の抑制や、ストレスの軽減、免疫力の向上に効果があるという研究結果が発表されています。これは「作り笑い」でも効果があるという研究結果もあります。職場などでストレスを感じた時には、意識的に口角を上げて作り笑いをしてみると良いでしょう。
セルフケア④趣味を持つ
趣味を持つだけでも、セルフケアになります。自分の好きなことをするのは、日々の仕事から解放されているという実感や、気分転換にもなります。また、趣味の人間関係を作ることで、生活の幅を広げることも可能です。コミュニケーションによるストレス軽減も期待できるので、趣味の人間関係を充実させてみましょう。運動や映画、カフェ巡り、カラオケなど、日常で気軽にできることを趣味にするのがおすすめです。他にも、旅行や温泉、ハイキングなどは日常から離れやすい趣味なので、始めてみるとよいでしょう。
ストレスとうまく付き合うセルフケア方法
こちらの資料では、上記のセルフケア方法に加えて
- 従業員にとってのセルフマネジメントの重要性
- ご自身のストレスタイプチェック
- ストレスタイプに合ったセルフケア方法
についてまとめました。ダウンロードして、社内共有やご自身のセルフケアにぜひお役立てください。
3. 上司が改善するべき職場のストレス要因
セルフケアの知識をつけ、部下の異変にいち早く気づくと共に、より多くの従業員が心地よく働けるよう、職場のストレス要因改善をしていきましょう。
人間関係がよくない
職場のストレス要因として多くの人が抱えているのが、よくない人間関係です。上司と部下の関係以外にも、同僚が仕事に協力してくれないなど、上司が把握しにくい場合もあります。人間関係がよくない場合、不安やいらだち、怒りといった感情が増えたり、抗うつ症状が表れることが多いです。人間関係を改善するためには、性格診断などを活用するのがよいでしょう。性格や価値観が合うメンバーでチームを構成するようにしたり、従業員同士でそれぞれの性格の違いを共有したりすることで、コミュニケーションの取り方が変化し、ストレスを感じにくくなります。
長時間の残業が多い
長時間の残業が多いことも、従業員のストレス要因になります。長時間の残業をすることで、疲労や不安、イライラや抗うつ感が強まるといったストレス反応が出ることが多いです。しかし、一方で「ランナーズハイ」状態になり、活気があるような錯覚に陥る可能性があるため、見逃さないよう注意が必要です。長時間残業の対応策としては、定時退勤日を作り強制的に帰宅させるような制度を作ったり、残業時間は少ない方がよいという意識改革したりするのがよいでしょう。残業時間を減らすと、生産性の向上にもつながります。
受動喫煙による健康面の不安がある
喫煙者が多い職場の場合、受動喫煙による健康面への不安もストレスとなっている従業員がいるかもしれません。厚生労働省が行った調査によると、受動喫煙を不安視している人の割合は、43.2%と半数近くにのぼります。2020年4月からは健康増進法の一つとして、受動喫煙防止対策が全面施行されました。受動喫煙防止対策とは、望まない受動喫煙を防止するためのルールです。これにより、以下の対応が義務化されました。
- 原則屋内禁煙
- 基準を満たした専用室のみ喫煙可
- 施設に喫煙設備がある場合、標識を表示する
- 喫煙を禁止している場所に喫煙器具や設備は設置しない
これらは全事業者が守る義務があります。これらのルールを守ることで、従業員の受動喫煙に対するストレス軽減が期待できるでしょう。
4. 社員の精神状態の可視化に役立つツール ラフールサーベイ
「ラフールサーベイ」は、社員の精神状態を可視化することのできるツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。
社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック
スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。
適切な対策案を分析レポート化
調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。
部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化
集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。
- 部署
- 男女
- 職種
- テレワーク
対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。
5. まとめ
セルフケアとは、従業員本人が行うメンタルケア対策のことを指します。上司が正しいセルフケアの知識を身につけることで、部下の異変にもいち早く気づくことができるようになります。セルフケア方法を知り、職場内のストレス要因を改善することで、多くの従業員が心地よく働ける職場を作っていきましょう。