【受賞企業ピッチレポート】Well-Being Workers®️ Awards 2024 ラフールサーベイ活用企業による運用のリアルと成果

昨今、企業の価値を世の中に示すひとつの大きな要素として、「企業で働く従業員が心身共に健康であり、幸福を感じて働くことができる状態になっているか」が、日本でも注目を集めています。その概念が”ウェルビーイング”であり、一般的に”ウェルビーイング”とは、精神的、身体的、そして社会的に心身ともに健全な状態を指します。

また、2023年には、上場企業による人的資本の情報開示が義務化となり、統合報告書などによる非財務情報の開示をする企業が多く見受けられました。生産年齢人口が減少し、ひとりひとりの生産性を高めることが急務になってくる時代において、人的資本経営をはじめ、ウェルビーイング経営実現の重要度はより高まっていきます。

そのような市場背景がある中、2019年4月の「ラフールサーベイ」提供開始から約4年が経過し、導入企業は約1,800社、30万人以上の方が利用していただいており、活用方法や導入成果も幅広いものとなっています。

表彰という形を通じて、『ラフールサーベイ」を積極的に活用している企業に焦点を当てることで、より多くの利用企業に認知を拡大し更なる活用を促すこと、そして組織サーベイを通じた組織改善の可能性を広く示すことを目的とし、昨年に続き『Well-Being Workers®︎ Awards 2024』の開催に至りました。

2024年2月15日に開催したラフール主催のイベント『Well-Being Workers®️ Awards 2024』にて、表彰式と受賞企業による活用事例ピッチが行われ、本稿ではその模様をお伝えします。  『Well-Being Workers®️ Awards 2024』の受賞企業のうち2社より、『ラフールサーベイ』を活用した取り組みを紹介するピッチです。サーベイで高スコアを出した企業様による、リアルな事例をお伝えします。

1:山本精工株式会社

『ラフールサーベイ』は、おかげさまで1,800社さまに導入いただき、全国でそれぞれのストーリーが繰り広げられています。”Well-Being Workers Awards 2024” では、全国のご利用企業さまを代表して、受賞された2社のご担当者様から、日々のエピソードやお取り組みをご発表いただきました。

山本:
山本精工の山本と申します。弊社は大阪で金属部品の切削加工業をしています。弊社が従業員満足度を上げるために行っている取り組みを、赤裸々にお話ししたいと思います。

全ては従業員満足度を上げることから

まず、従業員満足度についてお話しさせていただきます。私は、経営者の一番の仕事は従業員満足度を上げることだと思っています。従業員満足度を上げることが業績を上げることに直結するからです。それはなぜか。私の考えですが、「それが人間の本質だから」だと思います。満足度が上がると、会社が好き、上司先輩が好き、一緒に働く仲間が好き、そういう感情が生まれてきます。すると、会社をより良くしようという気持ちが生まれることになります。満足度が上がった方がどういう行動になるか、当社の事例でお話ししましょう。

例えば出荷の仕事は、ご注文をいただいたものを納期通りに納品すれば役割は達成します。でも満足度が上がった方はどうするかというと、段ボールを開けやすくしたり、数えやすいようにしたり、ゴミが少なくなるよう工夫するなど、価値を加えて出荷の作業に取り組んでくれます。これはお客様からするととても嬉しいことですから、顧客満足度が上がります。その結果が、業績アップという形で表れてきます。

全てのスタートは従業員満足度です。従業員満足度を上げれば顧客満足度が上がる。そして社会に貢献できる。それで得た利益をまたスタッフさんに還元して、スタッフさんはお客さんに還元する、このプラスのサイクルを回し続けることができるのです。

山本精工は、それで本当に業績が上がったのか、実際の数字をお伝えしましょう。私が2008年に入社した時の従業員は23名。売上が5億台。営業利益率は2から3%ぐらいでした。今はどうかというと、売上が13億弱。営業利益率が10から13%。従業員が65名。自社の中ではすごい伸び率だと思っています。

従業員満足度を上げると、もう一つ、プラスになることがあります。生産性が上がるのです。数年前、全員の合計で月平均400から800時間ぐらいの残業がありました。今、残業はゼロです。新しい設備投資をすることは全くなく、この数年で無駄をなくし、改善活動を工夫して行った結果です。従業員満足度を上げると、間違いなく良い会社になるのを実感しています。

この考え方を初めから持っていたのかというと、そうではありません。私も経験しながら気づいたのです。私は入社した時に考えました。「私はできの悪いビジネスマンだ。それでも私は経営者にならないといけない。会社を引き継いだとたんに会社が小さくなってしまうのではないか」、そんな不安を持っていました。自分が努力することはもちろんですが、スタッフさんの知恵を借りたら自分にもできるかもしれない、そう考えたのがきっかけです。そこからは、従業員さんとコミュニケーションを密に取るよう時間を割いて、知恵を借りるような関係性をつくり、今に至ります。

従業員満足度を上げる具体的な取り組み

ここからは、弊社の他社とは違った取り組みをお話ししたいと思います。

まず1つ目。売上の目標設定の仕方が違います。当社の場合は、賃上げや平均年収から逆算をします。今年は5%の賃上げをしたいとなったら、いくらの売上、いくらの利益を達成すれば5%上げられるか税理士さんと打ち合わせをして、目標設定をする。全ての従業員がこの目線で捉えています。目標を達成したら還元されるとわかれば、仕事に関してもやりがいを持てますし、やる気も湧いてきます。そして冬のボーナスは、弊社の場合1月から10月の営業利益額の20%を原資にしてみんなに配ることにしています。

変わった福利厚生もあります。弊社は24時間お医者さんとチャットで相談できるアプリが使えたり、農園を借りてみんなで野菜を作って分け合ったり、靴磨きのサービスがあったりします。

最後に、これも変わった取り組みの一つですが、人間力を磨くスキルマップを作っています。挨拶と声かけとか、間違ったときに言い訳しないとか、そんな基本的な項目が20数項目あり、自己評価と上司評価を行って、「こういうところを直していこう」と面談ですり合わせをします。これがうまくいくと、間違いなく従業員満足度につながるのです。これをもとに毎年、優れた人を大賞に選び、大賞の人は模範社員として模範手当がもらえる仕組みにしています。

ラフールサーベイの導入経緯と運用

これだけやっていても、私の中では「次は何をすればいいんだろう」という悩みが増えていきました。そんなときラフールさんを知り、「自分とは違う視点から見えるものがほしい」と思い、『ラフールサーベイ』を導入することにしました。『ラフールサーベイ』を始めて、スタッフさんとの乖離がかなり埋まったと感じています。導入して大成功だったと思います。

ラフールの導入にあたって特に大切にしたのが、スタッフさんに当事者意識を持ってもらうことです。新しいことをしようとすると、なかなかすんなり受け入れられないのが常です。「責任者がやればいい」という感じになることもあります。当事者意識を持ってもらうには、「『ラフールサーベイ』を入れたことで自分たちのプラスになるんだ」とわかってもらうことが大事です。私はまず人事と2人で、『ラフールサーベイ』を入れる意味と、重要性を話し合いました。次に、役職付きのメンバーを最後に全体に向けて一からすり合わせを行いました。

その結果、その後に行ったフィードバックの会議でも良いことが起きました。メンバー同士で「山本精工は、他社にはないこんないいことがあるよ」という会話が生まれたのです。メンバーは、同じ立場の人に言われるとより納得できます。「うちの会社はすごく恵まれているんだ」と感じてもらえたようです。満足度もかなり上がりました。

設問内容の捉え方のすり合わせも大切にいたしました。設問内容は150問ぐらいありますが、結構紛らわしい設問があるんです。例えば、「一生懸命働かなければならないと思う」という質問を見ると、私は仕事が好きだし社長なので「そうだ」となるわけです。しかし、「一生懸命働かなければならないほどしんどい仕事」という意味もあります。そうなると、この答えは違ってくる。この設問の捉え方で、同じ人物でも答えが変わります。正確な答えを集めるためにも、すり合わせが必要なのです。

そして回答のすり合わせです。Aの人はなぜそう思ったか、Bの人はなぜそう思ったか、これを話し合うあことが大事です。例えばBだと思った人がAさんの話を聞いて、「確かにそうだね」と思ったときに共感が生まれます。「そういうことなら、私もAだ」と気づくこともあります。もし、何も話さなかったら「あなたは考え方が違うから」で終わってしまう。話せばもやもやが消え、溝が埋まっていく。人間関係の歪みが間違いなく軽減され、働きやすい環境になります。

最後にラフールさんを入れて本当に良かったことがもう一つあります。それは課題が可視化されたことです。私はずっと手探り状態で十数年、従業員満足度を上げようと頑張ってきました。しかし、サーベイを入れることで効率的に問題をつぶせるようになりました。もっと早く入れていたら5年とか3年で今の状況になれたんじゃないかと思うほどです。

『ラフールサーベイ』のいいところは他にもあります。それは、自由度が高いところです。ディープサーベイの回数を年に何回にするかも自分たちで決められますし、オリジナルの設問を作ることもできます。フィードバックでラフールさんの力を借りたいときは迅速に対応していただけます。これがすごくプラスになっていると思います。

最後に、ラフールさんから「組織改善って何ですか」という質問を受けたので、お答えしましょう。私はスタッフが楽しく最高のパフォーマンスを上げられるために行うことだと思っています。最高のパフォーマンスで仕事をすると、顧客満足度が上がって社会にも貢献できる、それは働きがいにもつながり、素晴らしいことだと思います。組織改善は絶対に必要で、やり続けないといけないことだと思っています。 今日の私のお話が、何か皆さんにとってヒントになれば幸いです。弊社も現状に満足せず、また明日から、もっといい会社になれるよう、スタッフのみんなと2連覇目指して頑張りたいと思います。

2:株式会社エコリング

下野:
私どもの活動事例をご紹介させていただきます。株式会社エコリングは、創業2001年、従業員500名の会社です。社員満足度を高める意味もあり、現在自社ビルを建設しています。私は新卒でこの会社に入り、人事部に来たのは2020年の課長職で就任してからとなります。

エコリング社はリユース業を営む会社で、店頭、出張、宅配の3つの買取サービスがあるほか、ネット上ではB2B向けにブランドオークション・道具オークションを運営しています。社会貢献の部分も重要視しており、できる限り全てのお品物を買い取ることで、一人でも多くのお客様にリユースに参画していただき、地球や環境に優しい活動がつながることを提案し続けています。

『ラフールサーベイ』の導入の経緯は、満足度を簡単に可視化したいというところがありました。かつてのエクセルやGoogleフォームを使ったアンケートは集計に時間がかかり、人事でスコアリングを出しても正しいのかどうかわかりません。アナログからの脱却と、誤った判断をしないよう客観的視点が必要だという点から、サーベイ強化を目指してきました。

メンタルヘルスケアをより効果的に活用

また、メンタル不調が世の中的にも増えてきているので、早い段階から対策を打っておきたい、法例で定められているストレスチェックもしっかりと実施してより効果的な活用をしていきたいという思いから、導入を決定しています。 実際の活用の事例です。『ラフールサーベイ』はサマリー分析が分かりやすく出てきますが、特にスコアが低い部分を見ています。心と体のスコアが低ければ、その中に入っていくことで、部署別役職別、さらに細かな設問内容を見ていくことができるので従業員は今どこがボトルネックと感じているのか、すぐにわかるのが大きな特徴です。実施してすぐに活動することができるのもありがたいです。

その他、価値観として、従業員が仕事や人生において何を大切にしているか、上位の回答が出てきます。これによってどういう会社にしていきたいという経営陣の思いがしっかりとリンクしているかどうかを測ることができます。これを見ると、チャレンジしていこうとする会社の思いが多くの方に伝わっていることがわかり、このスコアを見るだけでも、私自身の従業員満足度が高まるのを感じています。

企業文化やESG観点での分析

企業文化の観点でも、経営陣が発信しているメッセージと、従業員が感じている温度感が一致しているのか測ることができます。私個人としては「わからない」という方をへらしたいと考えています。会社のことをよく知っていることが、まず好きなのかどうか判断できるスタートラインだと思います。ここの「わからない」を少なくしていくことが経営陣の仕事だと考えています。

またESG分析という形で表示する機能もあり、経営陣と現場のギャップがわかる指標になっています。これは面白い機能だと思います。私自身、経営陣がやっていることが末端の方々に伝わっているのだろうかという不安がありました。てっきり経営陣はスコアが非常に高く一般が50点くらいかと思っていたのですが、嬉しいことに総合的な評価は、下の役職のほうが高かったのです。自分たちが頑張って伝えてきたメッセージを、十分に受け取ってくれていることが実感できました。

加えて、そこまで注力する必要がない分野に力をかけすぎているということもわかりました。そのぶん、浸透しきれていないところに注力できると考えています。

サーベイ結果を通じた改善と施策のチャレンジ

当社もラフールさんからもフィードバックをいただいています。2023年度12月に実施したディープサーベイでは、前回、前々回ともに悪かった箇所が今回改善しており、頑張ってきてよかったと思えるポイントでした。 実際に、そこのスコアをもとに着手していた事例が様々あります。成長したい社員が多いと気づいたことから資格取得にかかった経費の一部を負担する制度、コロナ禍におけるオンライン飲み会やランチ会、パートタイマーの評価制度の納得感が低かったことから、キャリアアップ制度の新設、「この部署に行くことでこんな能力が発揮できる」というアピールの場を設け、働きたい部署で働けるチャンスを作るジョブチャレ制度の発足などです。

家族との時間を増やしたいということから、公休日を毎年3日か4日増やしたり、逆に有給の消滅を起こさないようアラートを導入したりしました。やはり事業を拡大していくにあたっては、転居を伴う異動がさけられません。社宅手当とは別に年間50万特別手当を受け取れるような仕組みを作り、モチベートしやすくしました。マイナスを補うのではない、プラスを与えてくれているんだと気づいてほしいことから、このような制度が様々発足しています。

当社ではさらなる従業員満足度アップのため、「社員満足度委員会」が発足しました。現場の様々な役職、性別の方が、サーベイの数字や現場目線から協議し、それが取締役会に上がって制度化に繫がる場合もあります。そういう意味では風通しが良い会社だと感じています。ここに書いていない面白い例では、店舗・物量拡大で本社のスペースが足りないときに社長室を物置に使っていたものの、「動線の効率が悪いんです」と相談が上がりました。「それなら社長室の壁を壊してしまおう」ということになり、社長室がなくなったという事例があります。社員一人一人が自分たちの会社をよくしたいという思いから、様々なアイデアが飛び交っており、それが従業員満足度の向上につながると考えています。「目の前の困っていることは、まわりに相談しましょう」という働き方が大切です。 これまでを振り返ると、『ラフールサーベイ』などを活用しながら、できることを一つずつ着実に行ってきたと感じています。これまで妥協しなかったと思うポイントとしては、ディープサーベイは改善につなげるのが最大の目的なので、あえて厳しいスコアが出る繁忙期に取り組んできたということです。自由な意見を求めたいので「出たスコアは部署や部門長の評価には直結させません」ということを約束しています。

待ちの姿勢ではなく、人事のほうからも積極的に現場が困っていることを見つけて発信するようにしています。もし部署として高いスコアが出ていても、低い人が数名いるかもしれません。全体として不平不満に対して黙認や慣れが生じていることも考えられます。高すぎる場合もしっかりと振り返りを行っていくのが大事だと感じています。 私が考える組織改善ですけれども、人生のうち多くの時間をすごす職場なので、いい職場であることが間違いなく人生にとっても幸せにつながります。私が入った時はそこまで大きな会社でもなく、残業も多かったと思います。「次はこの部分だ」と一つずつ取り組むことで、今では年収も高水準で推移しています。

当社は、まだまだ組織改善できるポイントが隠れています。メンタルヘルス不調の休職はまだ発生していますし、新入社員の急激な増加によって、今まで通じていたコミュニケーションが、1歩間違えば関係の悪化につながることも起こり得ます。また、残念ながらカスタマーハラスメントが発生する可能性もあります。今後はさらにこれらについても対策を行っていこうと考えています。

私自身が感じる従業員満足度を高める最大のポイントは、相手への思いやりです。どんな優れた制度であっても、運用側が作ったことに満足しただけでは、相手に伝わることはありません。また、相手が何かしてくれたから相手のことを好きになるのではなく、相手のために何かをして、相手に喜ばれたことで自分自身が幸せを感じるような人材育成を、私もやっていきたいと思っています。

下野様、具体的な活用方法とポイントについてお話しいただきましてありがとうございました。

『Well-Being Workers®️ Awards 2024』第4部では、『ラフールサーベイ』を使って継続的に組織改善を行っている2社さまから貴重なお話をお伺いすることができました。きっと明日から皆さんの業務やミッションにお役立ていただけることと思います。

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執筆者

株式会社ラフール

編集部員

株式会社ラフールの中の人。部員持ち回りで執筆をしています。採用から定着まで。採用適性検査「テキカク」と組織改善ツール「ラフールサーベイ」でウェルビーイング経営の実現を本気で支援しています!

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