【イベントレポート】ビッグデータから導き出す、個人を強くするワークエンゲージメントとウェルビーイングのポイント

昨今、企業の価値を世の中に示すひとつの大きな要素として、「企業で働く従業員が心身共に健康であり、幸福を感じて働くことができる状態になっているか」が、日本でも注目を集めています。その概念が”ウェルビーイング”であり、一般的に”ウェルビーイング”とは、精神的、身体的、そして社会的に心身ともに健全な状態を指します。

また、2023年には、上場企業による人的資本の情報開示が義務化となり、統合報告書などによる非財務情報の開示をする企業が多く見受けられました。生産年齢人口が減少し、ひとりひとりの生産性を高めることが急務になってくる時代において、人的資本経営をはじめ、ウェルビーイング経営実現の重要度はより高まっていきます。

そこで当社は、”ウェルビーイング(Well-Being)”経営の最先端情報から、リアリティのある取り組み、成功事例を広くシェアし、日本社会全体の”ウェルビーイング”の意識を一歩先に進めたいという思いから、昨年に続き『Well-Being Workers®︎ Awards 2024』を開催しました。

本稿では、働き方改革研究センターセンター長 伊藤健二氏をお招きし、株式会社ラフール代表取締役社長 結木啓太と基調講演を行いました。ビッグデータから導き出す、個人を強くするワークエンゲージメントとウェルビーイングのポイントについてお伝えします。

働き方改革研究センター センター長
学校法人三幸学園 理事長特別補佐(戦略担当)
伊藤 健二 氏

「働き方改革研究センター」を、リクルートワークス研究所、AKKODISコンサルティング、アデコ、データミックス等を主宰し、エンゲージメント、ウェルビーイング等の各種HRの指標を、テレワーク等の働き方、職場環境と、合わせて、毎年1万人以上のリサーチで探求している。学校経営はもとより、数万人~数千人規模での企業経営でもHRデータを元に施策化している。 厚生労働省、内閣府(地方創生等)等において、ジョブカード、公共職業訓練、第4次産業革命での基礎的ITリテラシー等、人材関連の委員を歴任。HRチャレンジ大賞も第1回から審査委員をつとめ、毎年の傾向を整理し、HR Summit2023では、厚労省のEBPM責任者と『「人的資本投資を促進する「労働市場改革」と「約9万社/30万人以上のデータエビデンス」』というテーマで講演をし、「人的資本投資に対する効果」を探求しており、近日「人的資本投資研究センター」を立ち上げる。株式会社ラフールもそのセンターに参画予定。

株式会社ラフール
代表取締役社長
結木 啓太 氏

宮城県仙台市出身。営業支援会社などを経て、2011年、株式会社ラフールを設立し、代表取締役社長に就任。2019年2月、組織改善ツール『ラフールサーベイ』を提供開始。サービスローンチ約4年で有料導入企業数累計1,800社を突破。2023年8月、ミライ適性検査『テキカク』を提供開始。組織と人材のビッグデータによる分析力で企業の強みを伸ばし、人的資本/ウェルビーイング経営支援を行う。

ビッグデータから導き出す、個人を強くするワークエンゲージメントとウェルビーイングのポイント

結木:
2023年3月期より、上場企業を対象として人的資本の情報開示が義務化されました。それに伴い、「人的資本経営」への関心が高まっています。鍵となるのは、ワークエンゲージメントとウェルビーイング(Well-Being)という考え方です。

第一部では、働き方改革研究センターのセンター長を務める伊藤健二先生をお迎えし、ビッグデータ研究に基づくワークエンゲージメントとウェルビーイングのポイントについてご講演いただきます。人的資本経営に役立つ考え方や情報を伝授いただけることと思います。それでは伊藤先生、よろしくお願いします。

伊藤:
働き方改革研究センター、センター長の伊藤健二です。三幸学園理事長特別補佐として、70校のマネジメントも行っています。本日は「ビッグデータから導き出す、個人を強くするワークエンゲージメントとウェルビーイングのポイント」と題してお話をさせていただきます。

メンバーの可能性が開花するために必要なこととは

伊藤:
人生100年時代、人の可能性を把握し、人的資本として開花させるためにはどうすればよいでしょうか。プライベートも含めた環境は人によってさまざまです。若年とミドルでも、もちろん異なります。この違いが分かった上で、どう喚起できるかが勝負といえます。共感しながら「次のステップはこうじゃないかな」と一緒に考えて創出してくれる人、そんな「人的資本投資マネージャー」が活躍する職場は、エンゲージメントが喚起されていきます。この共創ストーリーを皆さんと考えていきたいと思います。

地域や業種によっても異なりますが、個人の要因と組織の要因が組み合わさって、ウェルビーイングは追求されていきます。リフレクションによってうまく人が成長していくとキャリア展望が描ける、ことなど、上図の全てのステップが数万人のデータから分かってきました。

皆さん赤色の階段(リフレクション階段)をうまく上れていますでしょうか。小さなチャレンジでもいいので、去年と違う今年、今年と違う来年というチャレンジを作ることで、ワークエンゲージメントが醸成されます。

ただ、過度なチャレンジをしてしまうと、青い階段(メンタル不良階段)のように、ドロップアウトされてしまいます。辞めてしまうのです。

普通の社員を人的資本として活かしていくためには

伊藤:
個人の可能性を顕在化してパフォーマンスを引き出す、言うのは簡単ですが、結構大変です。ですから『Well-Being Workers®︎ Awards 2024』受賞企業のマネージャーさんたちは、実にすばらしい。うまくマンバーや社員の貢献を引き出しているのだと思います。「ラフールサーベイ」を活用し、チームの喚起ができることは、マネージャーの要件といってもよいのではないでしょうか。

マネージャーの要件については、私のところでは15年来の調査研究が蓄積されています。そこを掘り下げてみましょう。

会社に対するエンゲージメントは、マネージャとメンバーで差があります。「ジョブアサインメント・マネジメント」の4つのシーンで見ても、マネージャーの片思いが多いです。振り返りをする時に、メンバー側の意識をどれくらいマネージャーが聞けているか、そんなところが、もしかしたらエンゲージメントに響いているのかもしれません。

さらに詳細に16シーンに分けてみたのがこちらです。赤枠のところは、労働時間が短くなったり、エンゲージメントが高くなったり、モチベーションが高くなるところです。「手上げ誘導」が労働時間を削減して最適マッチングを実現し、エンゲージメントやモチベーションを向上させていることがわかります。

ワークエンゲージメントを高めるためには、「職務のリスト化」も大事です。「君の得意なところがリスト化されているよ。こういうところに気をつけて、一緒にやろうね。一応みんなに声をかけるけど、君に頑張ってもらいたいんだよ」と誘導されたら、きっとメンバーは喜ぶに違いありません。こういったことを、私のところではHR理論を使って検証しています。

国内の労働者のデータを使って、ISO30414などの重要な項目やPDCAを検証したり、ウェルビーイングが高まる働き方、エンゲージメントが高い社員の特徴などを分析したりしています。

このように、データを使って振り返りをする活動を、HRダッシュボード研修として言っています。ラフールサーベイでもダッシュボード研修のようなものが出来上がってくると、よりウェルビーイング、エンゲージメントが高まる仕組みになると思います。ぜひ、ラフール社とのコラボレーションを楽しみにしております。

共創チャレンジがエンゲージメントを高める

伊藤:
結局は、メンバーときちんと向き合えるかどうかが全てです。データで見たり、会話をしてみたり、ストーリーを考えてみたりすると、次の可能性が見えてきます。これこそが共創チャレンジなのです。あなたとこんなチャレンジを一緒につくっていきたいというストーリーが生まれるときに、エンゲージメントは高まります。

さらに企業パフォーマンスも高まり、それこそが人的資本経営になります。もちろん、マネージャー自身の振り返りも忘れずに行う必要があります。

私はラフールサーベイ、1800社の数十万人のデータの活用、そして受賞された各社に、とても期待をしています。ラフール社のデータは、一緒に使えるデータだからこそ、ソリューションとの連携も検証できるのです。

人的資本ソリューションのアライアンスを組める企業として、ラフール社はとても良いポジションにいらっしゃいます。ぜひ「人的資本経営を実現するソリューション」のストーリーを一緒につくっていければうれしいです。

結木:
伊藤先生、ありがとうございました。エンゲージメントが醸成されるマネジメント・プロセスは、今回受賞された企業さん、私の経験からも大いに共感できます。

例えば受賞された企業さまの例で申しますと、各部署の管理職・マネージャーに管轄部署のサーベイ結果を共有し、マネジメントに活かしてもらうように促しています。メンバーの価値観や企業文化の浸透度を加味しながら、間に立つ管理職・マネージャーが会社の未来に対して部署として実現したいこと、メンバーに期待することなどをしっかり伝えるマネジメントが効果を発揮しています。そうすることで、先ほど伊藤先生からもありましたが、マネージャとメンバーの間での会社に対するエンゲージメント差は狭まるのではないでしょうか。

またこの企業さまの素晴らしいところは、上手くいっている部署のサーベイの使い方、マネジメントのナレッジを取り入れようと、管理職・マネージャーが部署の垣根を超えて積極的にコミュニケーションをとっている点です。

実は当社でも事業を伸ばすための投資として、スキルを重視した管理職採用を強化していた時期がありました。しかし、マネジメントが行き届いておらず、メンバーの離職や生産性に影響しチームが崩れ、結果中途ではいった管理職・マネージャが退職してしまうケースもありました。その時に、会社の成長の核となる管理職・マネージャーの存在の大きさに気づきました。以降その点を重視して、組織づくりに取り組んでいます。

採用をあらためて、マネジメント側でもノウハウの整理、人的資本経営を実現するソリューションのストーリーなど、今後の当社の方向性で、本日の伊藤先生の講演は参考になります。

ラフールの研究拠点 LAFOOL lab.が始動

当社のもとにも、1億5,000万を超える人材データが蓄積されています。このデータを用い、人的資本経営、ウェルビーイング経営についてもっと踏み込んで研究したい、かねてよりそんな思いを持っていました。

その拠点として、私たちはこのたび「LAFOOL lab.」を設立し、2024年2月15日より始動します。

今後は皆さまにも、より価値あるデータをお届けできるようになることと思います。
どうぞご期待ください。本日はありがとうございました。

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