採用KPIとは?設定の方法や項目の具体例、運用時の注意点について解説!

採用KPIについて考える従業員

労働人口の減少など人材の獲得が難しくなっている現代社会において、KPIを取り入れた効率的な採用活動が注目されています。 ESGへの取り組みや営業活動など様々な場面で用いられるKPIですが、採用活動においてはどのように用いられるのか疑問に思われてはいませんか? そのような疑問にお答えするため、こちらの記事では採用活動におけるKPIの例や、取り入れるメリット、方法などについて詳しく解説いたします。

採用KPIとは?

採用KPIとはいったいどのようなものなのでしょうか?

そもそもKPIとは、「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略称で、最終目標の達成度を測定するために設定する数値のことを指します。

KPIは曖昧な文章ではなく、具体的な数値で目標を表すことが特徴です。例えば、「新卒採用フローへの応募者数を増加させる」ではなく、「新卒採用フローへの応募者数を9月時点で500名まで増加させる」というように、具体的な期間や数値を設定します。

このように、企業の採用活動において設定するKPIのことを「採用KPI」と呼びます。

採用KPIは、企業が採用活動とそのプロセスを効率的に管理し、目標に対する進捗や現状を把握するための有効な指標となっています。

採用KPIの設定項目の具体例

続いて、採用KPIとして用いられる設定項目(指標)の具体例について見ていきましょう。企業ごとに独自の指標が用いられる場合もありますが、以下のようなものが一般的な例として挙げられます。

  • 応募者数
  • 各選考通過者数/通過率
  • 内定数/内定率
  • 内定辞退者数/辞退率
  • 採用チャネルごとの費用対効果
  • 採用コスト
  • 採用単価
  • 入社配属後の人事評価
  • 入社配属後の従業員満足度
  • 離職率/定着率
  • 平均勤続年数

これらのKPIを設定することで、採用活動の段階ごとに施策の効果や効率を検証することができます。

例えば、「応募者数」の採用KPIを設定した場合、採用チャネルを通じた情報発信、広告、採用イベントなど自社で行った採用ブランディングの効果を測定することに繋がります。

他にも、「入社配属後の従業員満足度」の採用KPIを設定すれば、その従業員が応募した年度の採用活動が企業と人材のミスマッチを引き起こしていなかったかを検証することができます。雇用条件や求める人物像、入社後のキャリアプランなど、情報発信や認識の擦り合わせが適切であったかを知りたい時に用いると良いでしょう。

採用におけるKPIとKGIの違い

KGIと採用KPIの違い

KPIと混同されやすいものとして、「KGI」が挙げられます。

KGIは、「Key Goal Indicator(重要目標達成指標)」の略称で、目指すゴールそのものを定量的に表す「最終目標」のことを指します。

一方、ご紹介したKPIは、KGIを達成するために、設定されたプロセスが適切に行われているかを定量的に評価するための指標「中間目標」に当たります。

KPIとKGIに共通する点は、どちらも具体的な数値を用いて定量的に目標を設定することです。

例えば、採用活動において、KGIとして「30名の人材を採用する」という最終目標を設定した場合、それを達成するため、KPIとして「1000名の採用選考応募者数を獲得する」という中間目標を設定することができます。

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採用KPIを設定するメリット

では、これらの採用KPIを設定すると得られるメリットとは、どのようなものでしょうか。

採用活動の状況を見える化できる

情報発信を含む採用活動は、様々な採用チャネルや製品など数多くの場を通じて行われているため、それらを見える化して進捗の状況を把握する必要があります。

採用KPIを設定すれば、目標と達成度合いの差を把握できるため、採用活動の見える化に繋がります。この情報を基に、現状優先して取り組むべき事柄を把握することができるでしょう。

採用に携わる人物の役割が明確になる

KPIを設定することで、人事部の採用担当者や面接官、外部の採用関連のサービスを提供する企業など、それぞれの人物が何を目標にして行動すれば良いのかが明らかになります。

また、それぞれの担当する範囲や責任の範囲も明確になるため、連携が円滑になる効果が見込まれます。

採用活動の効率が上がる

さらに、上記のメリットを通じて、採用活動で課題となっているプロセスやポイントを指す「ボトルネック」を見つけることができます。

採用活動におけるマイナス要素を解消し、同時にKGIの達成に貢献しているポイントを伸ばすことで、採用活動全体の効率や制度を向上させることができるでしょう。

人事が採用KPIを使用する際の注意点

次に、社内で採用KPIを使用する際に、注意すると良いポイントについてご紹介します。

自社の採用方針を明確にする

まず初めに、自社がどの要素に重点をおいて採用活動を行いたいのかを明確にすることが何よりも重要です。

例えば、即戦力が欲しいのか、ポテンシャルを重視して入社後の人材育成に力を入れるのか、どの程度の人数を採用したいのかなど、その方針は企業の状況や目指す姿によって異なります。

採用方針を明確にすることで、効果的な採用チャネルや採用KPIの設定を行うことができるため、採用活動が円滑に進みやすくなります。

ポイントとなる採用KPIを探る

続いて、上記の採用方針等を反映しながら、数多くある設定項目(指標)の中で自社にとって最も重要となるKPIは何なのかを探りましょう。

その際には、過去の採用活動のデータも分析することで、より適切なKPIを設定することができるようになります。過去の採用活動において効果的であった採用チャネルや、反対にボトルネックとなっていた選考プロセスを分析し、採用KPIの設定に活かすと良いでしょう。

採用KPIの達成期限を設ける

また、採用KPIの効果を最大限発揮するには、それぞれのKPIに期限を設けると良いと考えられます。

「〇月までに、応募者△名を達成する」といったように、時間的な制約を設けることで採用活動の見通しも立てやすくなります。特に、数多くの採用チャネルを使用している場合には活動が複雑になりがちですが、期限を設けることにより各採用チャネルにおけるスケジュールを整理しやすくなります。また、現実的に達成しやすい適切なKPIの内容と期限を設定することで、採用活動に携わる人々の意欲を維持する効果も狙うことができます。

採用KPIの管理と定期的な見直しを行う

採用KPIの管理や見直しを行うことも重要なポイントです。これを行うためには、Excel等を用いて、KPIの運用に関する情報を管理するためのテンプレートを作成すると良いでしょう。これは、「KPIシート」とも呼ばれます。KPIシートに記載される項目例は、以下の通りです。

  • 採用方針(達成を目指す具体的な事柄や最終的に求められる効果)
  • KPI(採用方針に向けて設定する主な中間指標)
  • 基準(それぞれのKPIの達成を示す基準・ベンチマーク)
  • 進捗(それぞれのKPIにおける現在の達成状況)
  • 期限(それぞれのKPIや採用方針の達成に向けた期限)
  • 責任者(該当のKPIの達成を担う人物や組織)

KPIの管理を適切に行うことができれば、採用フローが可視化されたり、社内外のコミュニケーションが円滑になるなどの効果が見込まれます。

採用KPIツリーの作成方法

最後に、採用KPI ツリーを作成するための方法について、詳しくご紹介します。

採用KPIツリーとは、それぞれの選考段階におけるKPIをツリーの形態にまとめたフォーマットのことを指します。KPIツリーを作成することで、採用KPIの設定が容易になります。

KGIを初めに設定する

KPIより先に、まずは最終目標となるKGIを設定しましょう。前述した通り、KGIも具体的な数値や期限を設定するものです。採用活動全体に要する時間やコストなどを踏まえながら、KGIを設定することが大切です。

例えば、以下のようなKGIが例として考えられます。

  • 期限 来年度の7月まで
  • コスト 700万円以内
  • 達成基準 25名の採用

最も重要となる最終目標から逆算し、それを達成するために必要な要素を考えることで、統一性のある戦略を行うことができるようになります。

採用チャネルごとの採用フローを分析する

続いて、それぞれの採用チャネルごとに、獲得目標人数や採用フローの特徴について明確にしましょう。採用チャネルとは、就職情報サイトや就職エージェント、SNS、就職イベントなど、求職者が採用活動を行っている企業の情報を得るルートのことを指します。

採用チャネルについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。

”採用チャネル”とは?8手法の特徴とメリット・デメリット一覧、選び方についてご紹介! – Well-Being Workers (lafool.jp)

採用チャネルごとに、各応募者の企業とのマッチング度や能力、志望度の高さは異なるため、採用チャネルの特徴ごとにKPIを設定することで採用フローの効率化に繋がります。

歩留まり率を設定する

次に、それぞれの採用フローに進んだ人数の割合を示す歩留まり率を設定しましょう。歩留まり率は、「選考通過者数」÷「選考対象数」×100で算出することが可能です。

例えば、書類選考を通過した人数が10名で、書類選考に応募してきた人数が20名だった場合、書類選考における歩留まり率は50%になります。

目標とする歩留まり率を設定する際には、各採用チャネルの特徴を分析・反映することで。より効率的な選考を行うことができるようになります。

例えば、エージェントやOB・OGを通じた人材紹介の場合、一般的な広告を経由した応募よりも、志望度やマッチング度合いが既に高い状態にある傾向が見られます。このような特徴を持つ採用チャネルを通じた採用フローでは、書類選考の歩留まり率を高めるなどの対応が効果的です。

採用チャネルとその採用フローごとにKPIツリーを作成する

最後に、それぞれの採用フローにおけるKPIをツリー状のフォーマットにまとめましょう。これにより、採用KPIツリーが完成します。

初めに設定したKGIを達成するためには、各採用フローにおいて最終的に何名の内定者が必要なのかを逆算し、さらにそれを達成するためには各選考ステップにおいてどの程度の歩留まり率や応募者数が必要なのかを計算していきます。

ここで紹介した例では、主に採用人数を達成するためのKPIが算出されますが、他にも、前述したような採用コストや入社後の定着率などをKPIに使用することもできます。それぞれの採用チャネルが、定着しやすい人材の確保に繋がっているのか、採用コストの削減や費用対効果の向上に繋がっているのか、などを調べたい場合には、これらのKPIをKPIツリーに組み込みましょう。

具体例としては、以下のようなものが考えられます。

【就職情報サイト】

応募者数150名

⇓(歩留まり率50%)

書類選考合格者数75名

⇓(歩留まり率60%)

一次面接合格者数45名

⇓(歩留まり率40%)

最終面接合格内定者数18名

⇓(歩留まり率50%)

内定承諾数9名

【OB・OGを通じた人材紹介】

面談者数8名

⇓(歩留まり率100%)

書類選考合格者数8名

⇓(歩留まり率75%)

最終面接合格内定者数6名

⇓(歩留まり率83.3%)

内定承諾者数5名

まとめ

こちらの記事では、採用KPIを設定する方法や項目の具体例、採用KPIを使用する際の注意点についてご紹介しました。

採用KPIは、企業の採用活動において、選考フローの効率化や採用チャネルの見直しに繋がる重要な指標であることがわかりました。

人材の獲得が難しくなっている現代において、採用KPIを用いた効果的な採用活動に取り組んでみては如何でしょうか。

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