採用面接において自社に適した人材を見極めるためには、候補者に対して最適な質問を投げかけることが重要となります。しかしながら採用面接は限られた時間の中で候補者を理解しなければならないため、どのような質問をするべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこでこちらの記事では、面接官が使える質問の具体例を、採用面接の基本的な流れに沿ってご紹介しています。限られた時間の中でも候補者をよく理解し、面接を有意義な時間にできるよう、今回の質問集を参考にしてみてください。

採用面接の基本なステップ

まずは、採用面接の大まかな流れを確認しておきましょう。採用面接の進め方は企業によってさまざまですが、基本的なステップの一例としては次のようなものが挙げられます。

多くの場合、最初から採用に関する質問にいきなり入ることはありません。面接は候補者にとって緊張の避けられない場です。ある程度リラックスした状態で話してもらえるよう、アイスブレイクから始めることが有効です。

候補者の緊張がある程度解けたら、自己紹介に移り、候補者に自身のことを話してもらいます。また、自己PRとして候補者に強みなどをアピールしてもらうこともあります。

次に、会社の立場から応募者についてよりよく知るための質問を行います。ここでは、志望動機やこれまでの経験、スキル・資質の確認などを行います。自己紹介や自己PRを聞いたうえでさらに候補者を掘り下げることができるため、自社に適した人材を見極めるうえで重要なステップです。

そして最後は確認の段階に入ります。候補者に対し、自社の条件面について対応可能かどうかを確認します。また、候補者からの逆質問を促す場合もあります。逆質問により、候補者の疑問を解消すると同時に、候補者の入社への意欲を図ることもできます。最後に事務連絡などを共有し、採用面接は終了となります。

面接で使える質問

ここからは、面接の基本的な流れに沿って、面接官が使える具体的な質問例を見ていきましょう。

アイスブレイクで使える質問

本題に入る前のアイスブレイクでは、短い時間で可能な、人を選ばないテーマの軽い雑談がよいでしょう。例えば、面接までの道のりについて尋ねたり、天気など当日の環境について話したりするなどです。

• 今日は何でここまで来ましたか？
• こちらまでは迷わず来られましたか？
• 寒くなってきましたね。お住まいの地域では雪は降りましたか？
• （オンライン面接の場合）これまでにもオンラインでの面接は経験がありますか？

自己紹介・自己PRで使える質問

面接が本題に入って最初の話題としては、自己紹介や自己PRを促すことが多いでしょう。面接官から時間制限を設けることや、プラスアルファで経歴やこれまでの実績と絡めて話してもらうこともあります。

• 3分程度で自己紹介をお願いします。
• これまでのお仕事経験や実績を交えながら自己PRをしてください。

応募者をさらに深く知るための質問

志望理由について

候補者がなぜ自社に応募してきたのか、という観点は、面接で必ず聞く質問のひとつです。

志望動機に加えて、自社の印象や魅力に感じたところ、ビジョンや企業理念への共感度合い、他社でなく自社を選んだ理由などを聞くことで、候補者の志望理由を深掘りできます。

• 当社への志望動機を教えてください。
• 当社にはどのような印象を抱いておられますか？
• 当社について調べていただいた中で、魅力に感じたポイントを教えてください。
• 当社の企業理念に対して共感できる点を教えてください。
• 同業他社もある中で、当社を志望したのはなぜですか？

より視野を広げた質問として、自社の位置する業界への志望理由や、今後のキャリアを尋ねることも有効です。

• この業界を志望する理由を教えてください。
• 今後のキャリアをどのように構築し、成長したいとお考えですか？
• 5年後、どのような自分になっていたいと考えていますか？

また、志望職種を選んだ理由について細かく尋ねたいときもあるでしょう。その場合は、実現したいことや、挑戦した業務内容、新しい職場での挑戦に対する意欲を聞くことで、その職種への候補者の理解と意欲をより深く理解することができます。

• この職種を志望する理由を教えてください。
• 具体的にどのような業務をやってみたいですか？
• 当社の社員になったら、何を実現させたいか教えてください。

さらには候補者の就職活動について、企業選びのポイントや選考中の他の業界・企業について質問することで、候補者がどのような考えで就職先を探しており、自社にたどりついたかを知ることができます。

• 応募企業を選ぶ中で、あなたが重視するポイントは何ですか？
• 就職活動の軸を教えてください。
• 当社の他には、どのような業界・企業の選考を受けているか教えてください。

経歴について

候補者からの簡潔な自己紹介を聞いたうえで、詳しく候補者の経歴を尋ねます。履歴書や職務経歴書の内容について深堀したり、職歴の中での成功体験、または苦労した経験について具体的に質問したりしましょう。

• これまでどのようなお仕事をされてきましたか？
• 仕事で実績を残したことや、成功体験はありますか？その成功に至った要因は何だと思いますか？
• 仕事で大変だと感じたことはありますか？その時どのように対処したかも合わせて教えてください。

（新卒採用の場合）

新卒採用枠の場合、候補者は大学生となり職歴がないため、学生時代の取り組みについて尋ねることになります。特に、ゼミやサークル活動などを通して苦労したことや、チームで協力した経験、また就職活動の一環として参加したインターンシップ等について聞きましょう。さらに深掘りしたいときは、時事問題への関心や仕事への意識などを尋ねる質問もあります。

• 学生時代にはどのようなことに取り組んできましたか？
• ゼミではどのような活動をされていますか？
• 学生時代に苦労した経験があれば教えてください。
• 何かを成し遂げるために、チームで協力した経験があれば教えてください。
• 最近関心をもったニュースはありますか？
• あなたにとって仕事とはどのようなものですか？

（中途採用の場合）

学生と異なり、中途採用の候補者の場合は前職の経験があります。それにより、今回の採用活動は転職を前提としています。したがって中途採用の場合、前職の業務内容について把握したうえで、転職を決めた背景を尋ねる必要があります。

• 前職での業務内容を教えてください。
• 前職の退職を決めた理由を教えてください。
• 前職でのマネジメント経験はありますか？
• 前職では、後輩指導の際にはどのような点を意識していましたか？
• なぜ転職をしようと思ったのですか？
• 転職回数が多いようですが、理由を教えていただけますか？
• （異業種・未経験職種を志望している場合）これまでとは異なる業種／職種の仕事を希望している理由を教えてください。
• （ブランクがある場合）前職を離れてから期間が空いていますが、この間は何をされていましたか？

能力について

採用面接の中では、質問を通して候補者の仕事への取り組み方を見ることができると良いでしょう。例えばその人の性質として、周囲からの評価、長所と業務での活かし方、または短所とその克服のために努力していること、目標のもち方などがポイントとして挙げられます。

• 周囲からはどのような人だと言われることが多いですか？
• あなたの長所と短所を教えてください。
• ご自身の長所（経験やスキル）について、当社の業務においてどのように活かしていきたいと考えていますか？
• ご自身の改善すべき課題点について、克服するために取り組んでいることはありますか？

具体的な業務への取り組み方を尋ねることも、具体的に候補者が働く姿を想像することができるため、候補者を見極めるのに有効です。

• あなたが得意とする業務やタスクについて教えてください。
• 仕事においてどのようなことでストレスを感じますか？
• どのようなマネジメント方法において、ご自身のパフォーマンスが上がりますか？
• これまで経験した難題と、それを乗り越えた方法について教えてください。
• これまで業務を行う中で、最も努力してきたことについて教えてください。
• どのように新しいスキルを習得していますか？
• プレッシャーのかかる業務に取り組む際、冷静さを保つためにどのようなことを意識していますか？
• 仕事でミスをしてしまったとき、気持ちを持ち直すためにどのような方法をとっていますか？

資質について

協調性

会社の中で働くうえでは、さまざまな人とチームとして動くことが多いでしょう。チームとして活動するためには、協調性のある人材を採用することが好ましいと言えます。

• チームで仕事をする際に心掛けている点について教えてください。
• これまでに良い（良くない）チームだと感じた組織はどのような特徴をもっていますか？
• チームで動く場合、どのような役割を担うことが多いですか？

コミュニケーション能力

仕事の中では人とのコミュニケーションが欠かせません。円滑なコミュニケーションを行うために意識していることや、情報伝達のうえで注意していることを尋ねるのみならず、実際に簡単なプレゼンテーションをしてもらうことも、候補者のコミュニケーション能力を見るうえで役に立ちます。

• 報連相を行う中で、気を付けている点があれば教えてください。
• チーム内で情報共有を行う際、工夫していることがあれば教えてください。
• プレゼンテーションを行う中で、分かりやすく伝えるために心掛けていることがあれば教えてください。
• あなたが好きなものは何ですか？その事柄の魅力について、3分程でプレゼンテーションしてください。

主体性

また、面接の中で、候補者の主体性を図ることも大切です。上司や先輩からの指示を待つのではなく、自分から考えて動ける人材を見極められるよう意識しましょう。

• 新しい課題に取り組む場合、どのようにリードするか教えてください。
• 自ら企画したプロジェクトがあれば教えてください。
• 組織の目標を、どのように自分事として捉えていますか？
• もしも上司から出された指示に納得できない場合、どのように対応しますか？

論理性

仕事を遂行する中で、大きな決断をしたり、課題解決を図ったりするためには、論理的思考力をもっているかどうかが重要です。

• 組織のリーダーになった場合、どのように課題を解決まで導きますか？
• 現状と目標の差が大きい場合、どのように考えて行動しますか？
• 大きな決断を下す時、どのような段階を踏んでいますか？

向上心

仕事を通してどんな自分になりたいか、そのためにどんな努力をしているかについて尋ねることで、候補者の仕事への向上心を見ることができます。また過去の経験を聞くことで、候補者の目標に向けて努力する力をさらに多くのケースから判断できます。

• 仕事を通してなりたい自分の姿について教えてください。
• 理想の自分になるために、現状のあなたに足りないものは何だと考えていますか？
• 今後身につけたいと考えているスキルはありますか？
• 仕事でもプライベートでも良いので、日々学んでいることがあれば教えてください。

確認に使える質問

残業や土曜出勤、地方や海外への転勤、希望部署へ配属できない場合、リモートワーク環境など、仕事の条件を候補者が了解しているかどうかは、改めて面接の中で尋ねておきましょう。

• 転勤は可能ですか？
• 希望部署への配属ができないことがありますが、その場合はどうしますか？

また、逆質問として、候補者から聞いておきたいこと、伝えておきたいことを言ってもらう時間を取ることも大切です。逆質問は、疑問点を解消しておくのみならず、応募者の意欲の高さを図ることもできます。

• 何か最後に聞いておきたいこと／伝えておきたいことはありますか？

面接でのNGポイント

面接は、面接官が候補者を選ぶだけでなく、候補者が企業を選ぶ場でもあります。企業側も面接での注意点をしっかりと守りましょう。

まず基本的なことですが、身だしなみを整え、マナーを守って面接に出席しましょう。近年増えているオンライン面接の場合は、映像や音などの環境も合わせて万全な状況に整える必要があります。

また、候補者に対して威圧的な態度をとるなどして、過度なプレッシャーを与えないようにしてください。面接の場では対等な立場に基づき、丁寧な対話を行うことが重要です。

また、面接においては、本人に責任のない事項や、思想や信条に関わる事項など、就職差別につながるとして質問を禁止されているものがあります。

NG例

• 育った場所はどちらですか（出生地）
• ご家族は何のお仕事をされていますか（家族）
• 尊敬する人は誰ですか（尊敬する人物）
• 最近は読んでいる本は何ですか（愛読書）

参考：厚生労働省

面接を成功させるためのポイント

面接を成功させ、自社にマッチした人材を獲得するためには、いくつかのポイントがあります。こちらの記事では、採用面接のポイントや必要な準備について解説しています。是非参考にしてみてください。

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