採用活動において面接は、応募者がどのような人材かを判断する重要なプロセスです。 面接で応募者が自社にマッチした優秀な人材であるかどうか見極めることができれば、内定辞退や早期退職などのリスクを減らすことができます。 どういったポイントをチェックすれば、優秀な人材を見つけることができるのでしょうか? この記事では、採用担当者が面接において覚えておきたい見極め方や、失敗しないためのポイントをご紹介します。
採用面接で失敗しないためのポイントとは?
優秀な人材の定義を明確にする
採用面接のポイントの1つ目は「優秀な人材の定義を明確にする」です。
「リーダーシップがある」「マネジメントスキルが高い」など、世間一般で評価される優秀な人材が必ずしも自社で活躍できるとは限りません。なぜなら、世間一般で評価されている人材のスキルが、自社の求めているスキルと一致しないことがあるからです。このため、「自社に必要な優秀な人材とはどのような人物か?」を評価軸としてあらかじめ定義する必要があります。
業務スキルやマネジメントスキルなど、自社が求めるスキルを保有しているか、自社の業務にマッチしているか、自社の社風とあっているかなど判断する必要があります。とはいえ、客観的な評価軸がないと、この判断は面接官の自己判断になりがちです。
あらかじめ「優秀な人材の定義を明確にする」ことで客観的に評価しやすくなるため、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
必要な要素を整理して優先順位をつける
採用面接のポイントの2つ目は「必要な要素を整理して優先順位をつける」です。
優秀な人材の定義を明確にしたとしても、定義した項目がすべて必要とは限りません。定義した項目のうち、「必須となる項目」もあれば「あればいいという項目」もあります。このため、定義した項目を整理して優先順位をつけることが大切です。
例えばプログラマーであれば、該当言語のプログラミングスキル、システム開発の経験、開発対象となるシステムに関する業務知識、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダー、クライアントとのコミュニケーションスキルなどが必要です。この中で「必須となる項目」がプログラミングスキルで、システム開発の経験、業務知識、コミュニケーションスキルは「あればよいという項目」です。
このように、「必須となる項目」と「あればいいという項目」を整理することが大切です。
応募者がリラックスして話せる雰囲気をつくる
採用面接のポイントの3つ目は「応募者がリラックスして話せる雰囲気をつくる」です。
履歴書や職務経歴書だけでは応募者の普段の姿は分かりません。このため、面談を通じて応募者の人物像を把握する必要があります。とはいえ、応募者は自分の就職がかかっていること、初めて会う面接官からどのような質問が出てくるか分からないことなどから、面接時には応募者は往々にして緊張するものです。そうなると、応募者の本来の人物像が分かりません。
そのため、面接時における面接官の基本的なスタンスとして、応募者を肯定的に見ることが必要です。応募者がリラックスして話せる雰囲気をつくっていきましょう。応募者の緊張感をほぐすには、面接の開始時に世間話からはじめ、質問の途中にアイスブレイクを挟むなどが有効でしょう。
特に中途採用の場合には採用後の配属先も明確にしよう
採用面接のポイントの4つ目は「特に中途採用の場合は配属先も明確にする」です。
中途採用の場合、即戦力の人材として採用することがほとんどです。そのため、配属先の部署を明確にする必要があります。
同じ社内とはいえ、部署によってまた、求める能力やスキルが異なります。また、部署によって雰囲気が異なることもよくあります。優秀な人材として採用した応募者が、その部署の雰囲気に合わないなどの理由があれば、力を発揮できるとは限りません。
中途採用の場合、「優秀な人材」とは配属先の部署で成果を出せる人材といえます。このため、採用のミスマッチを防ぐためにも、配属先の部署で成果を出せる人材の特徴などを事前に分析しておき、項目として整理しておくことで求める人材の見極めに活用できます。
自社にあう人材を見極められない理由とは?
とはいえ、「せっかく採用しても、期待した活躍をしてくれない」「採用した人材が早々に退職してしまった」など、採用のミスマッチに悩む担当者も少なくありません。面接時の見極めが不十分な場合、このようなことが発生します。
ここでは、面接時に自社にあう人材を見極められない理由を2つ紹介します。
表面的な実績、経験、資格をメインに判断してしまう
1つ目は「表面的な実績、経験、資格をメインに判断してしまう」です。
「高学歴」「数億円規模のプロジェクトのPMを担当した」「難易度の高い資格を保有している」などは世間一般から見ると、確かに優秀かもしれません。しかし、世間一般で優秀と言われている人材が自社で活躍できるかというとそうとも限りません。履歴書や職務経歴書に書かれている実績、経験、資格から「優秀だ」と思い込み、採用後に失敗だったと気づくケースは意外と多いものです。
履歴書や職務経歴書に書かれている表面的な内容をメインに判断すると、応募者の人物像を見誤る可能性があります。実績や経験などは参考程度に捉え、別の要素を用いながら総合的に判断することが必要です。
面接官の心理的な偏りが発生してしまう
2つ目は「面接官の心理的な偏りが発生してしまう」です。
認知バイアスとは、物事の判断がこれまでの経験や直観による先入観で判断され、非合理な結果となる心理現象です。この認知バイアスは、ベテラン面接官を含めたどんな面接官でも気がつかないうちに陥るものです。例えば、先に述べた「表面的な実績、経験、資格をメインに判断してしまう」ことも認知バイアスのひとつと言えます。
認知バイアスに陥ると、事実に基づいた客観的かつ適切な判断ができなくなる可能性があるので注意が必要です。
採用ミスマッチを防ぎ理想の組織に導く適性検査「テキカク」
「テキカク」は、組織と人材のミスマッチを防ぎ、採用候補者が組織の”いま”と”ミライ”への貢献度がわかる採用適性検査です。
組織改善ツール「ラフールサーベイ」で蓄積されたサーベイデータと、心理学×データ×AIで導かれた分析による裏付けにより、企業と採用候補者のマッチ度を算出することができるのが特長で、生産性の高い既存社員と採用候補者の特性の類似度がわかるため、新卒・中途採用にもおすすめのツールです。
面接官が確認すべきポイント
ここでは面接官が確認すべきポイントについて2つ紹介します。
求める人物像や条件にマッチしているか
面接官が確認すべきポイントの1つ目は「求める人物像や条件にマッチしているか」です。
企業は一般的に年度における採用計画を立てています。そして、採用計画には、「採用したい人物像(ポジション、スキル、経験など)」・「人数」・「時期」などが明記されています。そして、採用活動は採用計画に沿って行われています。
また、企業によってはコンピテンシーを重要視し、採用計画における人物像のひとつに織り込んでいるところもあります。コンピテンシーとは、成果を生み出すために創意工夫をしながら行動する能力のことです。具体的には、「率先して考動する」・「知識を考動にできる」・「結果を出すために創意工夫をする」・「状況に応じて軌道修正ができる」などです。
面接官は採用計画を把握し、応募者の人物像と採用計画で描かれている人物像、条件、コンピテンシーなどが一致しているかを確認することが大切です。
自社の文化にマッチしているか
2つ目は「自社の文化にマッチしているか」です。
組織文化とは、「組織の戦略やビジョンにもとづく、組織内で共有されている価値観や行動様式」です。そして、企業には少なからず独自の社風や文化があります。例えば、「新しいサービスを始めるときには完成度はそこそこでもスピードを重視しよう」・「品質重視なので品質の高いサービスを提供しよう」などです。
たとえ能力が高くても、自社の社風や文化に合わない人であれば、せっかく採用したとしても早期に退職してしまう可能性があります。このため、自社の文化や社風にマッチするかどうかは面接時における判断の重要なポイントとなります。
自社の文化にマッチしているかどうかを見極めるために、面接時に自社の文化や社風についてどのように感じているかなどを応募者に質問してみるとよいでしょう。自社の文化について応募者の回答が面接官の共感を呼ぶものであれば、自社の文化や社風に合う可能性が高いでしょう。
優秀な人材か見極めるための具体的な質問例
では、面接官は応募者の人物像や採用の可否を適切に判断するために、応募者にどのような質問を行えばよいのでしょうか?ここでは具体的な質問について6つ紹介します。
「自己紹介をお願いします」
この質問で面接を始めます。自己紹介を行ってもらうことで会話のきっかけをつくり、応募者の人物像を知る手がかりを得られます。また、アイスブレイクにつなげることもできます。
「前職ではどのようなことをしていましたか」
履歴書や職務経歴書を見ながら、その内容を具体的に確認していきます。会話を重ねながら、その内容を深掘りすることがポイントです。入社後に配属予定先の業務を任せることができるかどうかを確認します。
「当社のことはどのように知りましたか」
この質問を通じて自社への興味や関心がどの程度あるのかを確認します。とはいえ、きっかけは有名企業でなければ、求人サイトやエージェントからの紹介がほとんどでしょう。質問をきっかけに自社の紹介につなげます。
「あなたのモチベーションを高めるものは何ですか」
モチベーションを高めるものは仕事内容なのか、お金なのか、趣味なのか。モチベーションを高めるものは人によって異なります。モチベーションを高めるものを確認することで、自社の社風に合う、合わないの確認ができます。
「あなたにとって仕事で大変と感じるのはどんなときですか」
ストレスと感じるものは人によって異なります。また、大変と感じるときに何を考え、どのように対処してきたかも含めて確認することで、ストレス耐性がどれほどあるかを確認できます。
「将来はどんなポジションにつきたいですか」
組織内で昇進を目指しているのか、ワークライフバランスを重視しているのか、キャリアビジョンも人によって異なります。この質問を通じて応募者の志向を確認することで、社風に合う、合わないの確認ができます。
面接前の事前準備もしっかり行おう
面接時に応募者の人物像を見極めるためには、面接前の準備も大切です。面接前の準備として、以下の4つを行うとよいでしょう。
「面接評価シートを作成する」
面接評価シートとは、面接時の評価項目、評価基準などをまとめたものです。面接評価シートを作成しておくことで「面接時の評価のバラつきを防ぐ」・「面接者の主観による評価を防ぐ」などのメリットがあります。
「自社の資料を準備する」
自社の事業内容やビジョン、戦略などを応募者に説明することで、応募者に自社への興味や関心を高められます。そのためにも説明に必要な資料を事前に準備しておきましょう。
「履歴書・職務経歴書などの書類を確認する」
履歴書・職務経歴書を事前に確認しておくことで、自社が求める人物像との比較や業務内容に対する適正などを確認することができます。また、応募者への質問事項の整理にも役立ちます。
「質問事項をまとめておく」
上記3つを整理した上で、応募者への質問事項をまとめておきましょう。事前に質問事項をまとめておくことで、面接評価シートに記載した評価項目や評価基準の確認を行いやすくなります。
面接官は「企業の顔」になっていることを自覚する
面接の場において、応募者にとっての企業の顔は面接官になっているといっても過言ではありません。
実際に、求職者の7〜8割は面接の印象で入社するかどうか判断しているといわれています。
会社に魅力を感じて応募してくれたにも関わらず、面接官の高圧的な態度や業務に関係のない質問などで入社に不安を感じ、入社を辞退するケースも多々あります。
面接官は「自分も見られている立場」だという自覚を持ち、身なりや話し方など、なるべく好感を持ってもらえるように意識することが重要です。
採用面接で聞いてはいけない質問
面接は応募者が自社に適性があるのかどうか見極める場です。
以下の質問は業務には関係がないため、質問しないように注意しましょう。
- 本籍地・出生地に関する質問
- 家族・住宅状況に関する質問
- 政治や宗教、思想に関する質問
- 結婚や出産の予定・短所(応募者によっては身体的特徴や健康状態を短所と考えている場合があるため)
まとめ
少子高齢化で労働人口の減少が続くなか、自社にマッチした優秀な人材を見つけることは今まで以上に困難になっています。
面接は限られた時間ではありますが、応募者の適性を見極めるための重要な場です。
優秀な人材かどうかというのは、自社が求めているターゲット像にマッチしているかどうかがポイントになります。
そのためにはまず、どういった人材を求めているのか明確にすると、採用後のミスマッチや早期退職などのリスクを減らすことができます。
「テキカク」などの適性検査も導入すれば、面接官の負担も軽減することができるので、優秀な人材を見極めるにはおすすめのツールです。
面接に来てくれた優秀な人材を見逃さないよう、採用担当者は人材を見抜く力を養うようにしましょう。