企業が競争力を維持するためには、組織力が不可欠。その中でも注目されるのが「ケイパビリティ」という概念です。ケイパビリティとは、企業全体が持つ組織的な能力のことです。本記事では、ケイパビリティが近年注目されている理由や、自社がどのようなケイパビリティを持っているのか、その見つけ方について解説します。
ケイパビリティとは「企業全体の組織力」
ケイパビリティとは、「企業全体の組織力」を指します。企業が持つ人材、技術、ノウハウ、経験、ネットワークなどの総合的な能力、ビジネスにおいて競争優位を生み出すための独自性などを含みます。具体的には、経営戦略の策定や実行、製品やサービスの開発・提供、顧客サポートやマーケティングなど、企業活動に必要なあらゆる要素が含まれます。
企業が持つケイパビリティは、競合他社との差別化や新規市場への進出など、ビジネス上の重要な意義を持ちます。そのため、自社のケイパビリティを正確に把握し、その強化に取り組むことが求められます。
一般的な意味は「能力」「才能」「手腕」「力量」
ビジネスにおけるケイパビリティとは「企業全体の組織力」を指しますが、と一般的には「能力」「才能」「手腕」「力量」といった意味を持ちます。
コアコンピタンスとの違い
ケイパビリティとコアコンピタンスは似たような概念で混同されがちです、両方とも企業の強みを表しますが、異なる視点で捉えられています。
ケイパビリティは、企業全体の組織力を表す言葉である一方、コアコンピタンスは、企業が競合他社と異なる付加価値を提供できる能力を表します。つまり、企業がどのような独自の技術やノウハウを持ち、それによって市場で優位性を持てるかを示しています。
簡単に言うと、ケイパビリティは「能力」、コアコンピタンスは「他社に対して優位性のある能力」という違いがあります。
ケイパビリティが注目されている理由
変化の激しい環境へ対応するため
変化の激しいビジネス環境において、企業は組織力を強化する必要があり、ケイパビリティは企業が持つべき重要な要素の1つです。現代社会は常に変化しており、企業が迅速かつ正確な判断を下すには、自社のケイパビリティについて理解している必要があります。
競争優位性を構築するため
自社のケイパビリティを理解し、高める努力をおこなっていくことで変化の激しい時代においても独自の競合優位性を持つことができます。
持続的な成長を実現するため
企業が持続的に成長していくためには、組織力であるケイパビリティの向上が必要不可欠です。持続的な成長を実現するには、単発的な成功にとどまらず、継続的な改善とイノベーションが必要であり、そのためにもケイパビリティの向上が不可欠です。
自社のケイパビリティを見つける方法
自社のケイパビリティを見つける方法には、いくつかのアプローチがあります。
SWOT分析
自社のケイパビリティを見つける方法の一つとして、SWOT分析が挙げられます。
SWOT分析とは、
- Strengths(強み)
- Weaknesses(弱み)
- Opportunities(機会)
- Threats(脅威)
の4つの要素を分析する手法です。
まずは自社の強みや弱みを洗い出し、それに加えて市場や競合の動向を踏まえて機会や脅威を把握することで、自社のケイパビリティを客観的に見つけることができます。SWOT分析によって見つけた自社のケイパビリティを活かし、組織力を高めていくことが大切です。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、企業が提供する製品やサービスにおける付加価値の生成過程を分析することで、企業全体の強みや弱みを把握する手法です。この分析を行うことで、自社のどの部分が効率的で、どの部分に改善の余地があるかを明確化することができます。また、バリューチェーン分析により、他社との比較や業界全体との比較も可能となり、自社のケイパビリティを客観的に評価することができます。
ベンチマーク分析
自社のケイパビリティを把握するためには、競合他社と比較することが必要不可欠です。その際に役立つのが「ベンチマーク分析」です。ベンチマーク分析とは、自社と同業他社の業績や実績を比較し、自社の強みや課題を明確にする手法です。ベンチマーク分析を行う際には、比較対象と比較する項目を明確にすることが重要です。同業他社だけでなく、関連業界や海外企業なども含め、幅広く比較対象を設定し、業績だけでなく、製品やサービスの特徴、マーケティング戦略、人材育成など、様々な観点から比較を行います。
そして、比較結果から自社のケイパビリティを分析し、課題や改善点を洗い出します。その後、自社に合った施策を打ち出し、改善を図っていくことが重要です。
顧客満足度調査
顧客満足度調査を通じて、顧客が評価する商品やサービスの特徴を分析し、その強みを更に伸ばす方向性を模索することが大切です。また、顧客が改善を望んでいる点については、積極的に改善に取り組み、顧客視点に立った改善を行うことで、ビジネスの成長に繋げることができます。
個人のケイパビリティを見つける方法
個人のケイパビリティを見つける方法には、自分自身の強みやスキルを正確に把握することが大切です。
自己分析
自己分析は、個人のケイパビリティを見つけるうえで非常に重要なステップです。就活の時にしかやったことがないという人も多い分析ですが、定期的に行うことで、自分自身の強みや弱み、興味や価値観などを把握することができます。自分自身を客観的に見ることができるため、自分の持っているスキルや能力を確認することができ、今後のキャリア選択やスキルアップの方向性を見いだすことができます。
適性検査
適性検査は、個人のケイパビリティを見つけるための重要な手段の一つです。適性検査では、人の性格や能力を一定の基準で客観的に評価することができます。このような検査を受けることで、自分の得意分野や弱点を知ることができ、それに基づいて、今後のキャリアや職業選択に役立てることができます。
適性検査には様々な種類があり、それぞれ異なる方法で個人の能力や性格を評価します。例えば、言語能力や空間認識能力を測定する数学的な問題を出すもの、性格傾向を質問紙で評価するもの、実際に物を組み立てたり、仕事をシミュレートしたりするものなどがあります。
キャリアカウンセリング
キャリアカウンセリングでは、専門家が個人の性格、能力、経験を分析し、適職や転職についてアドバイスを行います。自己分析のアプローチや、適職を見つけるためのアドバイス、転職についての情報収集方法など、さまざまなアドバイスが実施されます。
ダイナミック・ケイパビリティとは?
ダイナミック・ケイパビリティとは、企業が環境変化に適応するために必要な能力のことを指します。従来のケイパビリティとは異なり、ダイナミック・ケイパビリティは、市場環境の急激な変化に迅速かつ適応的に対応する能力を指します。
そのため、ダイナミック・ケイパビリティを持つ企業は、新しい市場に参入したり、製品やサービスを改良したりすることが容易になります。競争の激しい現代のビジネスにおいて、ダイナミック・ケイパビリティを持つ企業は生き残りやすく、成長することができると言われています。
自社のケイパビリティを活かし、組織力を向上するには?
自社のケイパビリティを活かし、組織力を向上するためのアプローチとしては、以下のような取り組みが挙げられます。
ケイパビリティを経営戦略に組み込む
自社のケイパビリティを活用し、組織力を強化するためには、ケイパビリティを経営戦略に組み込むことが重要です。自社の強みや優位性を明確に把握し、その強みを最大限に生かせる戦略を立てます。次に、その戦略に必要なケイパビリティを洗い出し、不足している場合は新たに獲得するための施策を検討します。
具体的な取り組みを推進する
ケイパビリティを経営戦略に組み込む際には、組織全体の意識改革が必要です。ケイパビリティの重要性を社員に浸透させ、ケイパビリティを活用するための社内環境を整備することが必要です。
たとえば、
- 社員の能力を最大限に引き出すための研修
- セルフマネジメントを促進するための仕組みづくり
- 目標管理制度の導入
- フィードバックを行う仕組みづくり
- 社内SNSやグループウェアで情報共有の推進
など具体的に制度や仕組みとして整備することで、社員が自らの成長を促し、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。
継続的に改善を繰り返す
具体的な取り組みをスタートした後は、継続的に改善を繰り返すことが欠かせません。改善点を見つけ、それを修正することで、より効率的な業務を実現し、自社を成長に導くことができます。また、改善活動を通じて社員のモチベーションやチームワークを向上させることもできます。
そのためには、改善のサイクルを確立し、社員全員がプロセスに従って業務を行えるようにすることが必要です。継続的な改善活動を実践することで、自社のケイパビリティを最大限に活かし、組織力を向上させることができます。
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