同調圧力とは?日本で強い理由や企業へのメリット・デメリットを具体例とともに解説

同調圧力とは、周りの人々と同じようにすることを強制される、心理的な圧力のことです。日本では、集団主義的な文化が根付いており、同調圧力が強いとされることがあります。この記事では、同調圧力がなぜ日本で強いといわれるのか、企業におけるメリットやデメリットは何か、具体例を交えて解説します。同調圧力がもたらす影響を理解し、適切に対処することが、個人や企業にとって重要です。

同調圧力とは「暗黙のうちに強制される心理的な圧力」

同調圧力とは、その意見や行動自体が正しいかどうかに関わらず、暗黙のうちに周りの人たちに合わせて自分も同じように行動しようとする気持ちや、同じように思おうとする心理的な圧力のことを指します。このような圧力は、社会的規範や価値観に従うことでグループの一員として認められることによって強まることがあります。

同調圧力の具体例

同調圧力の具体例を以下にご紹介します。

 【職場】他の人が残業しているから、自分も残業する

同調圧力によって、職場で他の人が残業していると、自分も同じように残業しなければならないと感じる場合があります。周りが残業しているために、自分が早く帰ることができず、無理をして働くことになってしまうこともあります。

 【職場】有給休暇を取りたいけど、他の人が取っていないから取りづらい

同調圧力によって、職場で他の人が有給休暇を取っていないと、自分も有給休暇を取りづらくなる場合があります。

 【職場】飲み会に行きたくないけど、みんなが参加するから断りづらい

同調圧力によって、職場でみんなが飲み会に参加すると、自分も参加しなければならないと感じる場合があります。周りが飲み会に参加することを当たり前のように考えているため、自分も参加しなければならないと感じ、欠席できなくなることがあります。

 【学校】クラスメイトと違う意見を言いづらい

同調圧力によって、学校でクラスメイトと違う意見を言いづらくなる場合があります。周りが同じような意見を持っているため、自分が違う意見を持っていることに抵抗を感じ、自分の意見を言うことができなくなることもあります。

 【学校】いじめを知っていても黙認してしまう

同調圧力によって、学校でいじめを知っていても、周りが黙認しているために自分も黙認してしまう場合があります。周りがいじめに対して無関心な態度をとっていたり、「自分が標的になるから何もしないほうがいい」と思っているため、自分も同じような態度を取ってしまい、いじめをなくすための行動を起こせなくなることもあります。

同調圧力があるのは日本だけではない!海外の同調圧力の例

Business team working on their business project together at office on light gray background. all working on laptops. concept – I see nothing, hear nothing, say nothing

同調圧力は日本だけではなく、世界各地に同様の現象が存在しています。以下に、アメリカ、韓国、中国、北欧の例を挙げます。

  アメリカの同調圧力の例

アメリカでは、個人主義が根付いているとされているため、同調圧力とは無縁と考える人も多いかもしれません。しかし、ビジネスシーンでは統率を取る必要があり、日本と同じように同調圧力が存在します。また、1950~60年代に行われた調査では、日本とアメリカで同調行動をとる人の割合はさほど変わりないという結果もあるようです。

  韓国の同調圧力の例

韓国では大学入試制度が非常に厳しく、社会的地位やキャリアアップにおいては学歴が極めて重要視されます。そのため、名門大学に通い、良い会社に就職することが求められ、子供たちは幼い頃から激しい競争に晒されます。この学歴至上主義は、子供たちだけでなく、親にも強いプレッシャーを与えており、同調圧力を生みやすい原因の一つになりえます。

  中国の同調圧力の例

中国では、社会信用システムが導入されており、個人の行動が信用スコアに反映されます。信用スコアが低いと、公共交通機関が利用できなくなったり、就職やローン審査への影響がでたりする場合があります。そのため、社会的な評価を下げないように行動することが求められ、同調圧力が生まれることがあります。

  北欧の同調圧力の例

北欧には、デンマーク出身の作家が出版した小説がもととなった「ヤンテの掟」という自分自身に向ける戒めのような概念があります。他人より優れていることをアピールするのではなく、周囲との調和を大切にするというものです。このような文化的背景から、同調圧力が生まれることがあります。

同調圧力が企業にもたらすメリット

一般的には悪いものとして語られることの多い同調圧力ですが、実は企業においてはメリットとなる部分もあります。

 組織文化の強化

同調圧力が企業にもたらすメリットの一つは、組織文化の強化です。組織文化とは、企業が持つ独自の価値観や信念、行動規範などの総称です。同調圧力によって、社員たちがその組織文化に従うようになり、一体感や団結力が高まります。

例えば、有名な企業の中には、社員全員が同じ制服を着用するところがあります。これは、組織の一体感を高め、社員たちが自分たちが所属する組織に誇りを持てるようにするための取り組みです。同じように、組織内で共通の言葉遣いやルールがあることで、社員たちが協調性を持って働くことができます。

また、組織文化が明確になることで、企業のブランディングにも繋がります。顧客やパートナー企業からの信頼度が高まり、企業価値の向上につながります。さらに、企業内の社員同士が共通の価値観を持つようになることで、企業の目的達成に向けた目標設定や戦略の策定がしやすくなるといったメリットもあります。

 意思決定の迅速化

また、意思決定の迅速化も挙げられるでしょう。社員たちが同じ方向性を目指しているという共通認識があるため、意思決定に関する議論や意見交換がスムーズに進み、迅速かつ正確な意思決定が可能となります。緊急の事態が発生した際にも、迅速に対応できることが期待できます。同調圧力は企業において意思決定プロセスの迅速化や効率化を促進する効果をもたらす場合があると言えます。

 品質の均一化

適度な同調圧力は、社員や従業員が一貫した基準に従い責任を持って仕事を行うように促すため、製品の品質に影響を与えます品質の均一化は、企業が競争力を維持し、顧客からの信頼を確立するために重要な要素です。

 社内の対立の軽減

社内の対立が生じた場合、同調圧力があることでその軽減につながるメリットがあります。同調圧力によって、社員同士が意見を異にすることが少なくなり、円滑なコミュニケーションが促進されます。また、社内の対立が深刻化することで、業務の停滞や生産性の低下が生じることもありますが、同調圧力によってこれらのリスクを回避することができます。一方で、同調圧力が強すぎると、社員が自己表現を抑制されることもあり得るため、適度な同調圧力と柔軟性が求められます。

 社員のモチベーション向上

社員が同調圧力によって企業に忠誠心を持つことで、その企業に対して高いモチベーションを維持することができます。社員同士が協力し、一体感やチームワークを高めることができます。これによって、生産性が向上することが期待できます。

同調圧力が企業にもたらすデメリット

同調圧力は、適度であればメリットがある一方で、過度になると様々なデメリットをもたらす可能性があります。

 個人の創造性や自主性の抑制

同調圧力が企業にもたらすデメリットの一つは、個人の創造性や自主性を抑制することです。同調圧力が強い環境では、自分の意見やアイデアを言い出すことが恐くなってしまい、自己表現ができずに自己否定感を持つ人も少なくありません。また、少数派のアイデアや意見が抑圧され、多数決的な意思決定がなされることで、企業の成長が妨げられる可能性があります。

 イノベーションの阻害

イノベーションの阻害もデメリットとして挙げられるでしょう。同調圧力によって、従業員たちは自分たちの意見やアイデアを抑え込むことがあり、新しいアイデアや斬新な発想を出すことが困難になってしまいます。これにより、企業は既存の事業や業界のトレンドに追随するだけのビジネスモデルにとどまり、競合他社との差別化を図ることができなくなります。

 従業員のストレス増加

同調圧力によるストレスは、従業員の意欲低下やパフォーマンスの低下を引き起こす可能性があります。特に、自分自身の意見や価値観を抑えて、組織や上司の意向に従うことが求められる場合には、ストレスが蓄積されやすくなります。また、従業員同士のコミュニケーションが希薄になることもあり、社員間の信頼関係を損なう恐れもあります。このような状況が続くと、離職率の上昇や生産性の低下など、企業にとって深刻な問題を引き起こすことになるでしょう。

 ハラスメントの温床に

同調圧力が強い状況では、個人的な意見やアイデアを自由に表現することが難しくなります。このような環境は、ハラスメントの温床となることがあります。同調圧力が強い企業では、社員が自分の考えや意見を言いにくくなり、トップダウンの指示に従うことが重要視されます。そのため、社員同士のコミュニケーションが希薄になり、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどの問題が発生しやすくなります。

企業が行うべき同調圧力への対策

過度な同調圧力が発生している場合、個人ではなく企業として対策を講じることが重要です。ここからは、同調圧力への対策をご紹介します。

 コミュニケーションの活性化

従業員が自由に意見を交換できる風土を作り出すことで、同調圧力が生じる可能性を軽減することができます。例えば、従業員同士が定期的に交流をする場を設けたり、上司と部下の間でのフィードバックの機会を増やすことが挙げられます。また、社内SNSやチャットツールを活用することで、従業員同士が気軽にコミュニケーションを取ることができます。

 ハラスメント対策の強化

企業にとって同調圧力が強いと、ハラスメントなどの問題が起こりやすくなる場合があります。そのため、企業は徹底したハラスメント対策を行うことが求められます。具体的には、相談窓口の設置、定期的な研修やセミナーの実施、社員への啓発活動などが挙げられます。さらに、ハラスメントが発生した場合には、適切な処置を行うことが重要です。適切な処置がなされないと、被害者の信頼を損ねることになり、離職や生産性低下、企業イメージの悪化につながる可能性があります。

 まずは従業員の状態を把握することが重要

同調圧力が企業に影響を及ぼしているかどうかを知るためには、まずは従業員の状態を把握することが重要です。同調圧力が強い環境下では、従業員のストレスや疲れが蓄積されやすくなります。そのため、企業は定期的に従業員のメンタルヘルスやモチベーションの状態を把握し、必要に応じてサポートを提供することが求められます。

しかし、同調圧力が強いと従業員が自分の問題を言い出せない場合もあるため、企業側が積極的にアプローチすることが重要です。従業員が健康的に働くことができる環境を整備することで、企業の生産性向上にもつながるでしょう。

同調圧力による従業員の変化を把握するラフールサーベイ

あの社員、最近元気がない気がする…」「コミュニケーションをもっと取った方がいいのかな?」とお悩みの人事担当者や経営者の方も多いのではないでしょうか。

組織改善ツール「ラフールサーベイ」は、1億2000万以上のデータを基に、従来のサーベイでは見えにくかった「なぜエンゲージメントが低いのか?」「高ストレス者のストレス因子は何?」といった低スコアの要因を可視化します。メンタル・フィジカルデータはもちろん、eNPSや企業リスクなど組織状態を可視化する上で必要な設問を網羅しているため、今まで気づかなかった組織の強みや、見えていなかった課題も見つかり、「次にやるべき人事施策」を明確にすることができます。

詳しくは以下からWebサイトをご覧ください。

組織と個人の可視化と行動変容をうながす 組織改善ツール「ラフールサーベイ」

関連タグ

執筆者

株式会社ラフール

編集部員

株式会社ラフールの中の人。部員持ち回りで執筆をしています。採用から定着まで。採用適性検査「テキカク」と組織改善ツール「ラフールサーベイ」でウェルビーイング経営の実現を本気で支援しています!

  • Facebookをフォロー
  • Xをフォロー
  • noteをフォロー

フォローされると
喜びます!

この人の記事をもっと見る

この記事をシェアする

  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする

今週のイチオシ!コンテンツ

お役立ちセミナー

Follow Us!

SNSで、人事・経営者に役立つ情報をチェック!このサイトの更新情報もお知らせします

PAGE TOP