採用マーケティングとは?具体的な手法や合わせて使えるフレームワークも!

採用マーケティングとは

採用活動が大きな変化を迎えつつある今、新たな採用活動の手法として採用マーケティングが注目を集めています。

そこでこちらの記事では、採用マーケティングの基本的な意味や従来の採用活動との違い、採用マーケティングのメリットと具体的な実践方法について解説しています。さらには、採用マーケティングに使えるフレームワークの具体例についてもご紹介しています。是非参考にしてみてください。

採用マーケティングとは?

採用マーケティングとは、マーケティングの考え方を取り入れた採用活動の手法です。採用マーケティングでは特に、ファネルという考え方を中心に据えています。

ファネル(funnel)とは「漏斗」を意味する英単語ですが、マーケティングにおいては、顧客がサービスや商品を認知してから購入するまでの流れを段階ごとに分類し、図式化したフレームワークを意味します。認知から購入にかけて徐々に人数が減っていくため、この過程を図式化すると漏斗のように逆三角形の図式になります。

採用マーケティングにおけるファネルの場合は、入社する前から採用されて入社した後までのプロセスを捉えます。潜在的な求職者が企業のことを知り、興味を持って企業に応募し、採用に至った後、従業員として企業に愛着を感じたり、企業について外部へ発信したりする、という流れがファネルにあたります。

採用マーケティングを通して、企業を商品として考え、採用のプロセスを幅広く捉えることで、各プロセスにおいて最適な戦略を検討し、求職者層のニーズとマッチするための最適なアプローチを見つけ出すことが期待できます。

従来の採用方法と採用マーケティングの違い

採用マーケティングは、これまで行われてきた採用方法と何が違うのでしょうか?

従来の採用方法では、基本的に顕在的な転職希望者層のみを対象としてきました。さらに、これまでは「採用活動」と言うと、応募から採用までのステップのみを視野に入れていました。

従来の採用手法と比較して、採用マーケティングでは、まだ自社を認知するに至っていない潜在的な応募者や、すでに採用に至り自社で働いている従業員も対象とします。つまり、入社前から入社後までという幅広い範囲に目を向けることで、求職者が企業を知り、興味を抱いて応募するまでのステップや、入社した従業員たちのエンゲージメントを高めるステップなども重視しているという点が、従来の採用方法と採用マーケティングとの大きな違いと言えるでしょう。

採用ブランディングとの違い

採用マーケティングと似た言葉として、「採用ブランディング」という用語が挙げられます。

ブランディングとは、ブランドに対する顧客の信頼や共感などを通じて、企業や商品・サービスの顧客にとっての価値を高め、他社との差別化を図るマーケティング戦略です。

そしてこの考えを取り入れた採用ブランディングとは、採用活動において企業をブランドと考え、発信することです。求職者層に対して自社の価値を高め、自社への認知度や入社意欲を向上させることを目的としています。つまり採用ブランディングは、採用マーケティングのファネルにおける序盤のステップで効果的な手法にあたります。

採用マーケティングが注目される背景

人手不足

採用マーケティングが注目される背景の一つに、採用市場の問題があります。その大きなものが人手不足です。

少子高齢化が進む現代において、労働人口は減少しており、企業間での競争が激化しています。求人数よりも求職者が少ない現状は、求職者に選ばれることが重要な時代とも言えるでしょう。

このような状況を背景として、企業は優秀な人材の獲得に乗り遅れることのないよう、戦略的に採用活動を行う必要があります。

また、企業にとっては潜在的な求職者がキーポイントとなります。つまり、今はまだ自社のことを知らない層や、転職をまだ本格的には考えていない層など、潜在的な求職者層に自社を見つけてもらうことが重要となるのです。

多様な採用手法の登場

採用手法の多様化も、採用マーケティングが受け入れられている背景と言えます。

従来は、紙媒体やWebサイトを通した採用活動が一般的でした。しかし最近では、ダイレクトソーシングや、社員や取引先を通じたリファラル採用など、求人媒体を通さず直接すぐにコミュニケーションを取ることのできる手法も登場してきています。

このように新しい採用手法を効果的に用いるためには、マーケティングの考え方を用いて戦略的に採用活動を行う必要があるでしょう。

働き方に関する価値観の多様化

応募者側の背景としては、働き方についての価値観の変化も挙げられます。近年では求職者の就職・転職先に求める観点が多様化してきました。

従来は給与や待遇、安定性などが重視されていましたが、これらは採用活動の中でも情報として企業から応募者へ伝えやすい観点でした。最近はこれらの項目に限らず、その企業で働く意義や社内風土など多様な観点が挙げられるようになっています。このような企業の内面的な要素を伝えるには、コンテンツ化を通して採用マーケティングの考え方を用いて応募者へアピールすることが有効となります。

採用マーケティングを取り入れることのメリット

ターゲット層をより深く理解できる

マーケティングでは、ターゲットとなる顧客を理解したうえで戦略を練ることを重視します。したがってマーケティングにおける顧客分析の手法を取り入れることで、採用活動におけるターゲット層にあたる求職者層をより深く理解することができるようになります。

求職者層を深く理解できるようになれば、求職者層にとって魅力的に感じるメッセージを作り、より効果的な自社のアピール方法を選ぶことができるようになります。

潜在的ターゲット層からの応募数が増加する

マーケティングにおいては、自社の商品やサービスを知らない人、つまり潜在的な顧客に自社製品を知ってもらうことも重要なステップです。

採用マーケティングを通して潜在的な求職者層に自社を知ってもらい、自社への興味を抱いてもらうことができれば、潜在的ターゲット層を応募まで導くことができます。ひいては、採用の母集団全体を増やすことができるのです。

自社に適した人材を発掘しやすくなる

マーケティングの思考法を用いることで、自社にマッチした人材に対する最適なアプローチを明確化できます。

採用マーケティングでは潜在層への働きかけも視野に入れて採用活動を行うため、採用情報に限らず、企業のカルチャーなど幅広い情報を提供します。その結果として、応募者が自社の特徴について理解したうえで応募を決めるという状況へとつながり、入社後の「思っていたのと違った」というミスマッチを減らすことができると考えられます。

またこのように採用のミスマッチを避けることで、内定辞退や入社後の早期離職の割合の減少にもつながります。

採用活動におけるコスト削減につながる

採用活動の効率化においても、マーケティング思考はメリットをもたらします。

採用の各ステップに対して効果的な採用方法を検討することで、費用対効果の高いアプローチを選ぶことにつながるためです。

さらに採用マーケティングを長期的に実践することで、データが蓄積されるため、より効率的な採用手法を目指して改善していくことが可能になります。

採用マーケティングを実践するためのステップと役立つフレームワーク

採用マーケティングのメリット

自社について分析する

まずは、求職者に自社をアピールする際の準備として、自社を客観的に把握することが重要です。この段階では、3C分析、SWOT分析などのフレームワークが有効となります。

3C分析とは、外部環境との関係の中で自社を分析するためのフレームワークです。「Customer(市場・顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」というCから始まる3つのキーワードに基づいて、自社について分析を行います。

SWOT分析は、3C分析よりもマクロな視点に立って外部環境における自社の立ち位置を捉える際に有効な考え方です。自社の内部環境(Strength(強み)/Weakness(弱み))と、外部環境(Opportunity(機会)/Threat(脅威))の4要素を組み合わせて、自社分析を行います。

ターゲットを設定する

自社の分析ができたら、アプローチすべきターゲットを設定しましょう。この段階では、できる限り具体的に、自社にとってどのような人材が必要かを検討することが重要です。

マーケティングのフレームワークを用いて、ペルソナを設定することも有効でしょう。ペルソナとは、商品やサービスの対象となる具体的な人物像です。自社の商品を使う人の年齢や趣味嗜好、ライフスタイルなど、細かな部分まで深堀して明確なペルソナを考えることで、そのペルソナに対して効果的な戦略を生み出すことにつながります。

ターゲットへのアプローチ方法を検討する

ターゲット層を設定したら、設定したターゲットに対して効果的なアプローチ手法を検討します。ここで役立つ考え方が、マーケティングの「カスタマージャーニー」というフレームワークです。

カスタマージャーニーとは、日本語で「顧客の旅」を意味しますが、マーケティングにおいては顧客が商品を認知してから購入し、繰り返し購入する優良顧客になるまでのプロセスを表す概念です。

そしてこの考え方における顧客を求職者に置き換えたものが、「キャンディデイトジャーニー」です。求職者への認知から採用に至るまでのプロセスを可視化したものにあたります。求職者視点のキャンディデイトジャーニーを考えることにより、採用プロセスの各ステップにおける効果的なアプローチ方法を検討するのに役立ちます。

潜在層に認知を広げるためのチャネルを設定する

アプローチ手法の検討が完了したら、潜在的な求職者に自社を知ってもらうためのチャネルを設定しましょう。

チャネルとは、英語の「channel」に由来する言葉で、マーケティングにおいては消費者に商品やサービスを売るためのルートや手段を意味します。特に近年では、SNSやECサイトなど、オンラインのチャネルが注目されています。

具体的に採用活動でチャネルを設定する場合には、広告、イベント、メディアなどのコンテンツを企画することになります。キャンディデイトジャーニーを検討する中で設定した求職者の辿るプロセス(ファネル)のステップごとに、効果的なチャネルを設定することが重要です。

候補者と接触する機会をつくる

ここまできたら、実際に候補者と接触する機会をもつ段階に入ります。

ここでも、ファネルのステップに応じてどのような接触の機会を設定するかが重要となってきます。例えば、多くの候補者と会うには採用イベントを、興味をもってくれた応募者との最初の接点としてはカジュアルな面談を、入社意欲の高い応募者やすでに他社の選考途中などでスピーディーに選考する必要がある応募者などに面接を設定するなどして、実際に候補者との接点をつくりましょう。

データの分析と改善

採用マーケティングのプロセスで重要なのは、ここまでのデータを収集しておき、分析したうえで改善点を探ることです。ウェブサイトのページビュー数や選考通過率、定着率等などを数字として可視化し、分析することは今後の採用活動にとって重要な指標をもたらしてくれます。

注意すべきは、短期的な結果のみで判断しないことです。施策の効果が出るにはある程度時間がかかるため、長期的なデータを計測することを重視しましょう。長期的に蓄積されたデータを分析することで、改善点が見出せるのみならず、採用活動に関して属人的でない知識を得ることができます。

採用マーケティングをより効果的にするために

ここまでは採用マーケティングについて解説してきました。

採用活動の中でマッチした人材を見極めるためには、適性検査が有効です。ラフールサーベイの適性検査「テキカク」は、組織改善ツール「ラフールサーベイ」事業で蓄積されたデータを用いて、現在の企業の状態のみならず、将来的な企業の状態と人材のマッチ度も算出することができます。

企業の採用面を改善したいと考えている方は、採用活動に新たな手法を取り入れてみることも検討してみてはいかがでしょうか。

https://tekikaku.lafool.jp/
関連タグ

この記事をシェアする

  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする

今週のイチオシ!コンテンツ

お役立ちセミナー

Follow Us!

SNSで、人事・経営者に役立つ情報をチェック!このサイトの更新情報もお知らせします

PAGE TOP