健康経営の基礎知識!内容から導入方法についてわかりやすく解説

健康経営

企業にとって、従業員の生産性や活力を向上させることは、経営課題となっています。そこで、近年では「健康経営」という言葉が注目されており、これを取り入れる企業も増えつつあります。本記事では健康経営の基礎的な内容から導入方法までわかりやすく紹介しているので是非最後までお読みください。

健康経営とは

健康経営とは、企業が、従業員らの健康管理を「経営における課題」として捉え、改善するために戦略的に取り組む経営のことです。

従業員が個人で健康を管理するのではなく、企業が従業員の健康を管理し、増進することで従業員の活力向上や生産性の向上など、組織を活性化することができます。

つまり、健康経営を行うことで、最終的に業績の向上や組織としての価値の向上が期待できるため、従業員への投資であるとして注目されています。

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健康経営の2つの制度

経済産業省は、健康経営に係る顕彰制度を設けており、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」しています。

ここでは、健康経営における認定制度をわかりやすく紹介します。

健康経営銘柄

健康経営銘柄とは、東京証券取引所の上場会社の中から「優れた健康経営」に取り組んでいる企業を選定する制度のことです。

これに選定された企業は、長期的な業績向上株及び価向上が期待できるため、優良な投資家にとって魅力的な企業として紹介されるため、資本が集まりやすくなるというメリットもあります。

健康経営銘柄に認定される企業は、基本的に1業種1社までとされており、認定されるためには、毎年8月から10月頃に行われる健康経営度調査に回答する必要があります。

詳しくはこちら:健康経営銘柄|経済産業省【外部リンク】

健康経営優良法人認定制度

健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度のことです。この制度では、大規模法人部門と中小規模法人部門の2つの部門を設けて、それぞれで認定を行っています。

健康経営優良法人2023年度では、大規模法人部門に2,676法人が、中小規模法人部門に14,012法人が、日本健康会議より認定されています。(令和5年3月8日時点)

健康経営優良法人として認定されると、健康経営優良法人のロゴマークを企業のPRや求人票において使用できます。また、金融機関・保険会社による優遇制度を受けられる場合や、一部の自治体において公共調達・公共工事の入札時における加点が受けられるといったメリットがあります。

また、健康経営優良法人に認定された法人のなかで、特に活動が優秀だった上位500社はホワイト500(大規模法人部門)、ブライト500(中小規模法人部門)として認定されます。この制度により、上場していない企業にもスポットが当たるようになりました。

健康経営優良法人として認定されるには、地域の健康課題に則した取り組みが必要で、更に日本健康会議がすすめる健康増進にも取り組む必要があります。

詳しくはこちら:健康経営優良法人認定制度|経済産業省

詳しくはこちら:健康経営及び顕彰制度についての概要資料|経済産業省より

健康経営のメリット

健康経営のメリットを考える図

健康経営のメリットは複数ありますが、その中でも特に注目されている3つについて紹介します。

生産性の向上

健康経営を行うことで、まず挙げられるメリットとして生産性の向上があります。

従業員のストレス管理を行い、健康に気を付けるよう指導や政策を実施することで、従業員は心身ともに健康的に働くことができます。そのような従業員が増える事で、職場環境が改善されることや、社内に活気が出るため、仕事に取り組む姿勢も良くなり、結果として生産性の向上に繋がるというメリットがあります。

企業イメージの向上

健康経営を行い、取り組みを発信したり、健康経営優良法人に認定されることにより、「従業員の健康維持や推進を経営的な視点で戦略的に取り組んでいる企業」と認知されます。これにより、社会的評価が上がる事でブランドイメージが向上し、優秀な人材が集まりやすくなったり、社会的信用を高めることができるといったメリットがあります。

欠勤や休職、離職率低下/医療費削減

従業員にとって働きやすい環境を整備することで、心理的、心理的不調を予防できます。よって、健康上の理由による欠勤・休職・退職を少なくすることができます。また、普段から従業員の健康に配慮することで、従業員の疾病や疾患率を下げることができることから、医療費の削減も期待されます。

健康経営の取り組み事例

健康経営優良法人_2023年認定法人での取り組み例

中小企業における健康経営優良法人に認定された法人の取り組みが、経済産業省より事例集として公開されています。

今回はここから3つの取り組みを紹介します。

従業員の健康意識を高めるー1.株式会社ケィテック

<取り組み>

<健康指標10項目を定めインセンティブを付与>

株式会社ケィテックでは、「みんな元気2022活動」と称して、10項目の具体的健康実施項目を設定。スポーツ施設の利用、三食の食事摂取、ウォーキングなどの項目に対し、達成度に応じたポイントを配分し、QUOカードを進呈する制度を実施している。

健康経営の具体例の図

引用元:健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)認定法人 取り組み事例集(令和5年3月発行)P8より

<効果>

健康経営を開始して、イベントの企画をするようになった。その結果社内コミュニケーション促 進にもつながり会社に意見を上げる従業員が増えた。

更に、食事摂取、有給取得などの項目で80%以上の従業員が目標を達成でき、アンケートも活用することで今後注力するべき項目も明らかになった。

従業員の健康意識を高めるー2. 東イン株式会社

<取り組み>

<隔週水曜日は健康推奨日>

東イン株式会社では、ノー残業デーとしていた第1・3水曜日を早く帰って健康に良いことをする日(健康推奨日) として定め、従業員に何かしら運動に特化したことをしてもらう日を設けた。

また、プロの鍼伮師に来社してもらい、施術を通して身体のメンテナンスの重要性を実感してもらっている。

<効果>

皆で健康に取り組む日があり自然に運動ができるようになった他、 身体の調子の変化を感じるようになった従業員もいる。また、プロの鍼伮師による施術を受けることで普段 のケアにも気を使うようになり、取り組み初めて3年目では、もともと19人いた腰痛、肩こりの症状を持つ人が4人まで減少した。結果として当たり前に運動する職場風土ができ、身体の痛みで休職する人 もいなくなった。

引用元:健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)認定法人 取り組み事例集(令和5年3月発行)P9より

生産性の向上ー1.医療法人藤風会くどう皮ふ科

<取り組み>

<自然と健康経営に主体的になれる仕組みづくり>

くどう皮ふ科では、職員の自発的な勉強意欲やスキルアップの気持ちを育むため、資格用教材、受験料、学会やセミナーへの参加費を全額支援している。

また、健康経営施策の推進にあたってはあえて誰が意見を出したのか分からないようにした上で意見 を募ることで職員が気兼ねなく意見を出せるよう心掛けている。

<具体的な取り組み>

1.近隣の運動施設(ジム/プール)の法人契約

2.近隣のスムージー点のドリンクを配布

3.看護師の施術可能な美容機器の無償開放及び、ペアを組んで施術をめぐってもらう

<効果>

経営者が、健康経営を実践することで職員を大事にすると言うメッセージを出すことで、次第に職 員が無理なくワークライフバランスを保ちながらも、モチベーションが高まり、職場が活性化する。 職員の高いモチベーション、エンゲージメントに加え、組織としてのコミュニケーションが高まる ことで業務が効率良く回り、患者数が伸びている中でも残業時間は取り組み前より減少している。

また、ペアでの取り組みを実施したことで、年代を超えたコミュニケーションの促進につながり、職員同士の連携が良くなったことで業務の生産性が向上した。

引用元:健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)認定法人 取り組み事例集(令和5年3月発行)P11より

他にも離職を防ぐ効果、ブランドイメージがアップしたという事例も多数あります。

過去3年分の事例集が経済産業省によって公開されています。

詳しくはこちら:健康経営優良法人認定制度|経済産業省_4.健康経営優良法人(中小規模法人部門)取り組み事例集

健康経営の導入方法

1. 健康宣言を実施

健康宣言とは、経営者が従業員やその家族の健康管理を経営課題とし、健康経営を行う上でこれに対する対策に取り組むという内容を明文化して社内外に発信することです。健康経営優良法人の申請では、中小規模法人部門・大規模法人部門の両方で健康宣言の社内外への発信が必須であり、中小規模法人部門においては、健康宣言事業に参加することも必要不可欠となっています。

まず宣言を行うには、協会けんぽ都道府県支部、健保連都道府県連合会など自社が加入している保険者に相談しましょう。

健康宣言についてより詳しく知りたい方はこちら:健康宣言とは?健康経営優良法人認定との関係やメリットを紹介

2. 実施環境の整備

次に、健康経営を実施するために社内での組織体制を作ります。

健康経営のための担当者や担当部署を用意することで、取り組みやすい体制を作りましょう。

特に、健康づくり担当者の任命は健康経営優良法人の中小規模法人部門において必須項目とされています。

3. 具体的な対策

次に自社の健康経営を進めるために、自社の健康課題を見つけ出し、目標を設定し、取り組みを実行しましょう。

有給取得率や残業時間、喫煙率、ストレスチェックやメンタル傾向の確認など、複数の項目を設定し自社の従業員がどの様な課題を持っているかを確認する必要があります。

そして、これらの課題を改善するために計画や施策を策定しましょう。

事例にあったように、運動量が足りない場合はそれを増やすために運動する日を設けたり、ポイントを付与するなどの施策を行うのも良いかもしれません。

4. 取り組みを評価

実際に、施策を試行してからその効果を経営層を含めて確認しましょう。

従業員の参加状況や、状況の改善度合いなど、現状の取り組みを評価することで、今後どのような施策を用いる必要があるのかなど、次の取り組みに生かすことが重要です。

まとめと役立つツール

健康経営を行うことは、生産性の向上や会社のイメージアップなどが期待できることから、働き方改革の推進と共に注目されており、今後の収益性向上にも重要な投資です。

健康経営を行うには、具体的な対策と取り組みの評価が要となりますが、その洗い出しをどの様に行うかは重要なポイントとなってきます。

そこで、ストレスチェックやエンゲージメントサーベイを利用することで課題を知ることができます。

ただし、このストレスチェックの結果をどのように活用するべきか、メンタルヘルスに詳しい経営者であっても難しいため、上手く活用できない場合が多くあるのも事実です。特に、経営や人事が必死に解決しようとしても、一従業員が変わらないと意味がありません。

では、どうすればよいのか。的確な施策、正確な情報により、その組織の強みと課題を見つけたうえで、更に従業員のセルフマネジメントも促進することができる機能を持つのは、ラフールサーベイだけです。組織と働く個人の可視化を行い、行動変容を促しウェルビーイング経営を実現する組織改善サーベイを是非ご検討ください。

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