協調性はなぜ必要?仕事で求められる理由や高める方法について簡単にわかりやすく解説!

協調性が重要だとよく言われますが、それはなぜなのでしょうか。また、協調性がないとどうなるのでしょうか。ここでは、協調性の意味や、協調性を高める方法などをわかりやすく解説します。

協調性の意味とは何か?

協調性とは

協調性とは、他者と互いに協力し合う性質のことを言います。特に、利害や立場などの異なる者どうしが協力し合う性質のことを指します。簡単に言うと、チームで協力して何かを成していくことができる性質のことです。

コミュニケーション能力との違い

協調性は、コミュニケーション能力と密接に関わっていますが、少し意味が異なります。

コミュニケーション能力とは、自身の想いや考えを円滑に他者に伝えられることや、他者が話す想いや考えをきっちりと理解できるような能力のことを指します。このことから、コミュニケーション能力がある人は他人の意見をしっかりと受け止められるため、周囲と協力しやすくもなります。

コミュニケーション能力は、協調性と相互に作用します。つまり、高いコミュニケーション能力は協調性の獲得に繋がり、反対に、協調性を持って他者に接することを心がければ、コミュニケーション能力を伸ばすことにも繋がるのです。

心理学における協調性

近代心理学で、人間の性格の分類方法として広く用いられている「ビッグ・ファイブ理論」というものがあります。現在最も信頼できる性格分析であると言われており、多くの適性検査にも用いられています。

ビッグ・ファイブ理論では、人間の多種多様な性格は5つの性格因子の組み合わせによって構成されると考えられています。5つの性格因子とは、「外向性」、「協調性」、「誠実性」、「神経症的傾向」、「経験への開放性」のことです。協調性はこのうちの1つになります。

また、協調性は6つの要素から成ります。信頼性、共感性、利他主義、協力的、謙虚、素直です。これらの要素を多く持つほど、協調性が高いと言われています。

仕事で求められる協調性とは

上記では、協調性の大まかな意味についてご紹介しました。
では、仕事を行う上で求められる協調性とはどのようなものなのでしょうか。

まず一つ目に、周囲のサポートを行い、全体の生産性を向上させる力が求められるでしょう。ビジネスシーンでは、チームで動くことが中心になります。また、最終的には利益を得ることが企業活動の目的になるため、協調性の中でも、他者へのサポートを通じてチームの生産性を向上させるような力が必要になると考えられます。

二つ目に、自身の利益よりも組織の利益を考えて物事に取り組む力が求められます。自身の成績など個人の利益を追求するだけでは、組織は円滑に回らず、それぞれの個人が企業という組織に属して働く意味がありません。また、組織の利益を考えて行動できる人材こそ、周囲からの評価も高くなると考えられます。他にも、取引先や顧客にとっての利益を深く追求し考えることも、ビジネスにおいて重要となる要素です。

以上のように、協調性とは他者に共感できるコミュニケーション能力であると捉えられがちですが、これだけが企業から求められている訳ではありません。仕事においては、企業の利益獲得に向けて、組織全体で協力体制を構築する力が必要とされるのです。

協調性はなぜ重要なのか

では、なぜ協調性は仕事において重要視されているのでしょうか。その理由を解説していきます。

日本は協調性を重視する

日本は協調性を重視する文化を持っています。相手の気持ちを察し、お互いが気持ちよく過ごせるように気遣うということが日本において必要とされています。

また、協調性について調べたある研究では、日本人男性は協調性が高いほど年間所得が高くなるのに対して、米国では男女共に協調性が高いと年間所得が低くなるという結果になったそうです。これには、集団主義の日本と、個人主義のアメリカの違いが反映されており、日本がいかに協調性を大切にする文化であるかが示されています。

仕事は1人では完結しない

次に、仕事というものは、どのようなものであっても1人で完結することがほとんどないという理由が考えられます。個人プレーの仕事であっても、事務仕事をしてくれる人がいたり、取引先の人がいたりと、基本的にはどこかの過程で誰かと繋がっているでしょう。そのため、様々なスタッフと協力して進めていくには、協調性が必要となってきます。

ビジネスにおいて協調性があるメリット

適切な役割分担が可能になる

協調性を高めると、組織全体のことを考えることができるようになるため、周囲の人々の特性に適した役割分担を行うことができるようになります。また、周囲の特性と自分自身の特性を照らし合わせながら考えることもでき、自分の立ち位置や取り組むべき事柄についても素早く判断することができます。

協調性の高い人々が集まれば、その効果はより高まるでしょう。そして、組織や企業として生産性を上げるためにはどのような行動が必要かを即座に判断し、連携して物事に取り組むことができるようになると考えられます。

議論が活発になる

協調性がある人は、チームワークを大事にします。また、傾聴力があるため、他人の意見を真剣に聞き、良い意見は取り上げるようにします。そのため、協調性のある人がいると、周囲の人たちも意見を出しやすくなり、意見交換が活発になるのです。

人間関係が円滑になる

協調性の高い人は、周囲の人との関係を大切にするため、人間関係も円滑になります。そのため、協調性の高い人がいると、働きやすい環境になり、モチベーションや生産性の向上につながるのです。

人事評価の向上

最後に、個人として協調性を得ることのメリットについてご紹介します。それは、人事評価の向上に繋がるということです。

人事評価は3つの軸を基に行われます。3つの軸とは、「業績評価」「能力評価」「情意評価」のことを指します。「業績評価」は文字通り、対象期間の中で挙げた成績を評価するものです。「能力評価」は、業務に対する知識やスキルなどを評価します。「情意評価」は、勤務態度や業務への姿勢を評価します。

そして、協調性の有無は、この内の「情意評価」を決める際に用いられます。

「情意評価」は、最も客観的に判断することが難しい評価軸であるため、これを評価する際には、ある個人に対する複数人の意見や印象などが用いられることが一般的です。そのため、自身の「情意評価」を上げるには、日々の周囲に対する態度、つまり協調性や規律性などをより良くすることが何よりも重要なのです。

協調性を高めることが、人事評価の向上に繋がります。

協調性がある人の特徴5つ

気遣いができる

協調性がある人は、相手に合わせた気遣いをすることができます。協調性がある人は、共感性が高く、利他主義で協力的であるため、気遣いが得意であると言えるでしょう。

洞察力がある

協調性がある人は、洞察力があります。周りの人の状況を把握することや空気を読むことが得意で、その状況に合わせた対応を取ることができます。

傾聴ができる

協調性がある人は、傾聴することができます。相手の話を遮ったり、否定したりすることなく、相手を尊重して、最後まで話を聞くことができます。相手は不快な思いをすることがなく、「自分の話を聞いてもらえた」という気持ちになります。

穏やかである

協調性がある人は、感情的になることが少なく穏やかです。周囲に与える印象も良いため、周りの人との人間関係が良好になりやすいです。

チームワークを大事にする

協調性がある人は、チームワークを大事にします。利他主義で、協力し合うことが得意なため、自分自身のことよりもチームのことを第一に考える傾向があります。

協調性がない人の特徴5つ

自己主張が強い

協調性がない人は、自分の意見をはっきりと言い過ぎてしまう傾向があります。また、柔軟性に欠けるケースも見られ、自分の意見を意地でも曲げないことがあります。自分の意見を持つことは大事ですが、自己主張が強すぎると、周囲の良い意見を取り入れることは難しくなってしまいます。

プライドが高い

協調性がない人は、自分に過度な自信がある場合が多いです。他人に左右されず、自分をしっかりと持っているため、優柔不断にはなりませんが、プライドが高すぎると周囲との関係が悪くなることもあります。

他人の立場に立つことが苦手

協調性がない人は、協調性がある人に比べ共感性が低い傾向にあります。そのため、他人の立場に立つことが苦手である人が多いです。しかし、これは、周りに影響されないという利点でもあります。

人の話を聞くことが苦手

協調性がない人は、自分をしっかり持っており、他人を気にすることがないため、人の話を聞くことが苦手な傾向があります。話をしている相手からすると、「聞いてもらえなかった」と不快な思いをすることになります。

個人プレーが多い

協調性がない人は、利他主義よりも利己主義であるため、チームワークよりも個人プレーを重視します。1人で行動できる強さとも言えるでしょう。

協調性がない人への対応の方法

では、協調性がない人とはどのように接すればよいのでしょうか。

過剰適応しない

過剰適応とは、協調性がある人が相手に合わせすぎてしまうことを言います。協調性がない人は、自己中心的な行動で周囲を振り回してしまいます。必要以上に相手に合わせすぎていないかを自分で意識しておくことで、過剰適応を防ぐことができます。また、「ここまでは許容できるけれど、これ以上は許容できない」という線引きをしておくことも大事です。

アサーティブに伝える

アサーティブとは、「相手を尊重しながら自己主張をすること」を指します。協調性のない人の行動が許容できなくなった時、相手に「こうしてほしい」と伝えるのは、誰しもストレスを感じますよね。そういった時には、アサーティブに伝えることがおすすめです。相手の立場や状況も考えながら、自分の主張を伝えましょう。アサーティブに伝えることで対人関係のストレスが軽減します。

チームプレイを減らす

協調性がない人は、チームプレイよりも個人プレイの方が得意です。チームで協力しなければいけないような事よりも1人で進めていけるような事をしてもらったり、その人が個人で活躍できるような環境を作ることもおすすめです。

長所を活かす

協調性がないということは決して悪いことではありません。協調性がある人にはその人なりの長所があり、協調性がない人にもその人なりの長所があります。周囲に振り回されず1人で行動できるところ、他人の目を気にせず主張できるところは、協調性がない人たちの長所です。長所を活かせるような事をしてもらうことで、新しい発見があるかもしれませんし、協調性がある人が行うよりも良い結果となるかもしれません。

従業員の協調性を高める方法

チームで協力しているイメージ

協調性を高める方法には、次のようなものがあります。

チームビルディング研修

チームビルディングとは、チームのメンバーそれぞれがスキルや能力を最大限に発揮できるようなチームを作ることを指します。チームビルディング研修を行うことによって、互いの特性を活かしながらチームとして協力して取り組むことができるようになります。メンバーどうしの連携が必要とされるため、協調性を養うことができるのです。

チームワークを高めるゲームを活用

チームワークを高めるゲームも協調性を高めるのに有用です。有名なものでは、伝言ゲームや人狼、脱出ゲームなどがあります。チームでのコミュニケーションが必要であったり、相手を注意深く観察することが必要とされたり、意見を出し合って協力し合うことが必要とされるため、協調性を高めることにつながります。

採用時に協調性の有無を見極める方法

最後に、人事担当者が、応募者の協調性の有無を見極める方法についてご紹介いたします。

上記の通り、協調性はビジネスにおいて重要な要素であることがわかりました。そのため、人事担当者は採用活動を通じて、従業員になり得る人物が今後協調性を持って業務に取り組めるかどうかを判断する必要があると考えられます。そのためには、どのような方法が有効なのでしょうか。

協調性に対する考え方を掘り下げる

第一に、面接などを通じて、対象となる応募者の協調性に対する考え方を掘り下げて探ることが有効であると考えられます。複数の質問を投げかけることで、より深く正確に応募者の協調性について探りましょう。効果的な質問の例は以下の通りです。

  • 協調性についてどう思うか
  • そう思う理由(協調性に対する考えの深掘り)
  • 上記の理由を形成する基になった体験やエピソード(一貫性の確認と将来の行動を予測)
  • 上記の体験やエピソードにおける周囲の言動(普段から周囲の人を意識しているか測る)

チームワークに関する考え方を掘り下げる

過去に集団で行った活動等について質問することで、協調性の有無を判断することができます。協調性とは、集団の中で発揮されるものなので、「チームワーク」と類似すると考えられます。そのため、チームワークに対する考え方やチーム内における行動を探ることで、協調性の有無を判断することができるのです。有効な質問例は、以下の通りです。

  • チームワークについてどう思うか
  • チームワークに関する体験やエピソード
  • 自分にとってのチームワークとは何か
  • チームで行動する時に意識することは何か

グループ面接を実施する

グループワークやグループ面接を実施することで、実際に対象となる応募者が、集団においてどのように行動しているのかを見ることができます。自分の評価を上げようと積極的に発言することは、時にグループの輪を乱すことに繋がります。他者の意見を引き出したり、取り入れることでさらに良い考えを生み出すことができる人が、真に協調性のある人だと言えるでしょう。

上記の方法では、対象者の考えを言葉で引き出すことに限られました。言葉はその場で取り繕うこともできてしまうため、協調性の有無を見極めるのはやや難しくなります。しかし、協調性を見極めることが目的であると伝えずにグループ面接を行えば、対象者の自然な行動を引き出すことができます。そのため、対象者の集団における行動を測ることは、協調性の有無を見極める非常に有効な方法となるのです。

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まとめ

協調性とは、日本文化においては人間関係を構築するにあたって、重要とされてきました。グローバル化している現代において、多様な価値観が存在していますが、チームとして協力することは、どの業界においても必要とされつつあります。協調性が高い人も低い人も、自分の能力を活かしつつも、他者と協力し合い、しかし、決して流されることのないよう努めていくことが重要なのではないでしょうか。

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