サーバントリーダーシップとは?意味やメリットとデメリット、具体例についてわかりやすく解説

リーダーシップの図

近年、日本でも注目が集まっているサーバントリーダーシップとは一体どのようなものなのでしょうか?

本ページでは、サーバントリーダーシップの特性や導入した場合のメリットとデメリット、導入企業の具体例などについて詳しく解説します。

サーバントリーダーシップとは?

”リーダーシップ”がある人と言えば、どのような能力を持った人物を思い浮かべるでしょうか。支配力のある人物、人々を引っ張る力のある人物などを思い浮かべるかも知れません。しかし、本ページで取り上げるサーバントリーダーシップは、上記とは少し異なる能力のことを指します。

このサーバントリーダーシップとは、まず対象の相手となる部下などに奉仕を行い、その後相手を導く支援型のリーダーシップのことです。つまり、1人のリーダーが先頭に立ち、部下を引っ張る支配型のリーダーではありません。

サーバントリーダーシップに基づくリーダーの役割を担う人物には、一方的に命令して相手を使うのではなく、相手と協力しながら物事を進めることが求められます。

間違われやすいサーバントリーダーシップの意味

サーバントリーダーシップと聞くと、”サーバント”という単語に印象が引っ張られるかもしれませんが、リーダーが召使いのように部下の言いなりになることが正しいわけではありません。

サーバントリーダーは、あくまで部下の意見に耳を傾けながらも、組織の進むべき方向に相手を導く者である必要があります。

サーバントリーダーはステークホルダーに利益を与えるような意義ある目標を設定して部下たちに示し、加えて相手のサポートを行うことで、組織の部下たちがより効率的にその目標に取り組むことができるようにしましょう。

理想的なサーバントリーダーとは

理想的なサーバントリーダーとは、相手とコミュニケーションを取ることで、チーム全体の信頼関係を築くことができる人物です。それぞれの部下のモチベーションを把握し、維持することが求められます。

加えて、奉仕の精神の下、利他的であることを常に意識し、周りの人々について考えながら行動することが不可欠です。部下が働きやすい組織づくりを心掛けましょう。

サーバントリーダーシップが注目されている理由

サーバントリーダーシップは、1970年にロバート・グリーンリーフが提唱したことで生まれました。そして、現代の社会において倫理的なリーダーと個々が活躍できる環境が求められつつあり、このサーバントリーダーシップが普及したと考えられます。

もう一つ、サーバントリーダーシップが注目されている理由として、従来のトップダウンの方式では、組織の運営が非効率であると意識されるようになったことが挙げられます。リーダーが支配型ではなく支援型になることで、組織を構成するそれぞれの部下が指示を待ってから行動するのではなく、自主的に工夫や行動を起こすようになるため、組織の業務効率の向上に繋がると考えられます。

サーバントリーダーの10個の特性

組織の部下に対するサーバントリーダーの傾聴

傾聴

サーバントリーダーは自分の心の声を聞き、組織のために設定した目標などが正しいかどうか、ステークホルダーに利益を与えることができているかどうか、継続的に問いかけながら組織を導く必要があります。

また、相手の気持ちに寄り添うため、部下などの人々の意見をしっかりと聞き、相手の本心や考えを踏まえて働きやすい環境づくりを行うと良いでしょう。

共感

支配型のリーダーとは異なり、様々な意見を持つ相手の立場に立って物事を考えることが、サーバントリーダーとして重要な役割です。たとえ自身と大きく考え方が違う相手であっても、受け入れてそれぞれの想いを理解しようと努める姿勢を表すことで、相手からの信頼を獲得することができます。

癒やし

サーバントリーダーは常に周囲の様子に気を配り、モチベーションが低下している人や傷ついている人が居る場合は、相手の話を聴くなど心を癒やす行動を取るように心がけましょう。組織の人々を癒やすことで彼らが元々持っている能力を取り戻し、それを発揮できるようにすると良いです。また、組織において欠如していると考えられる要素に注目し、それぞれの人がその弱みを補完し合えるように促しましょう。

気づき

サーバントリーダーには、偏見や主観をなるべく除いた俯瞰的な視点で周囲を観察・分析し、物事の本質を見抜くことが求められます。部下だけではなく、自分自身についても俯瞰的に見ることで、様々な気づきを得ることができます。また、この気づきは様々な問題を解決する際にも役立ちます。

説得

支配型のようにトップダウン方式の命令で従わせるのではなく、部下たちと同じ目線で行う説得によって、相手の意見との擦り合わせを行うことで、双方が納得できるように問題の解決を行いましょう。相手が心から同意するコンセンサスを得られるよう、常に上記の傾聴や癒やしを行い、人々から信頼を得ることが大切です。

概念化

サーバントリーダーは近くの意識しやすい目標だけではなく、長期的な到達目標やビジョンを持ち、他の人々にも分かりやすいように概念化することで、相手にそれらの情報を的確に伝える力を持つことが必要です。このような大きな目標を設定することで、組織の人々はどこを目指して行動すれば良いのかを意識し易くなり、自発的な行動にも繋がります。

先見力

サーバントリーダーには、将来に起こるであろう物事を予測し、的確な判断を行う力が求められます。過去の情報や現在の状況を分析し、トラブル発生の予測や事前に対応を準備しておくことで、正しい判断を行うことができます。

執事役

自身の利益以上に、相手に利益が生まれることを喜び、執事のように相手から一歩引いた立場で物事について考えるようにしましょう。これにより、他己的に行動することができるようになります。

人々の成長に関わる

相手との関わりを続けることで、組織の従業員それぞれの個性やスキルを把握しましょう。そして、それぞれの個性やスキルを活かすことのできる適切なポジションや業務を任せることで、個人の成長を促すことが重要です。

コミュニティづくり

組織全体が心地よく協力し合えるようなコミュニティをつくることが、サーバントリーダーの役割です。癒しを与え皆から信頼を得ることで、それぞれの人たちが自発的に補完し合うような関係性を築きましょう。

サーバントリーダーによるメリット

従業員のパフォーマンスが向上する

相手に寄り添い続けることで信頼関係が構築され、組織全体のモチベーションが向上して全体的に従業員のパフォーマンス能力が上がります。サーバントリーダーが一人一人と対話することで、部下は自身の意見や考えが大切にされることを学びます。これにより、部下はリーダーの期待に応えようと、業務に対するパフォーマンスを向上させると考えられます。

社内全体のコミュニケーションが活発になる

それぞれのリーダーがサーバントリーダーとしての役割を全うすることで、円滑になったコミュニケーションの輪が社内全体に広がります。社員は、”リーダー”が自分に寄り添ってくれる存在であると認識し、チームのサーバントリーダー以外のリーダーにも気軽にコミュニケーションが取りやすくなります。

社員が自主的に行動するようになる

社員同士が協力し合うような状況をつくったことで、社員一人一人の自主性が育ち、それぞれが積極的に行動するようになります。支配型リーダーの場合には、命令を待つのみであった人々が、サーバントリーダーの示す目標や到達点を自ら意識し、業務に取り組むようになることが見込まれます。

サーバントリーダーによるデメリット

方向性を統一することが難しくなる

社員一人一人の意見を大切にしたことで、様々な意見が出ることになります。それにより、組織全体の方向性を統一することが難しくなります。また、命令を出すだけの支配型以上に、傾聴や説得、コミュニティづくりなど、リーダーが行うべきことが増えてしまうため、時間を要するようになります。

チームについていく難易度が上がる

サーバントリーダーの取り組みによって、従業員が皆自主的に思考し、意見を述べる必要が生まれるため、それらが苦手な人や積極的なコミュニケーションが得意ではない人はチームから離れてしまいます。経験が豊富ではない社員には不向きな取り組みである可能性が考えられます。

サーバントリーダーシップの具体例

資生堂

資生堂を改革した池田守男氏は、「資生堂の再生」をミッションとして社長在任中にサーバントリーダーシップを実践しました。従来の組織図を逆さまにした、顧客が頂点に立つ逆三角形ピラミッド組織図を用いることで、リーダーとなる経営者や本社の社員といった人々が、現場の社員を支える組織づくりを行いました。この改革により、現場の社員の意見やアイデアを取り入れる環境が形成され、これらを事業に反映させることで全社的に成功を収めました。

良品計画

良品計画の社長であった松井忠三氏は、当社の業績が急落した時に社長に就任しました。そして、松井氏は良品計画の業績を回復させるため、全国にあるほとんど全ての店舗を訪ねることで、店長や社員など現場の従業員の話を聞いて回りました。これにより、明らかになった課題点を解決するため、「MUJIGRAM」というマニュアルと、現場の従業員の声を取り入れるシステムを開発しました。その後、良品計画は業績の回復を達成することができました。

スターバックスコーヒー

スターバックスコーヒーもサーバントリーダーシップを取り入れる企業です。スターバックス・インターナショナルの元社長であるハワード・ビーハー氏は、サーバントな文化と人を大切にする文化を原動力に、スターバックスを世界的なコーヒーショップにしました。この考えを基に、ストアマネージャーを対象にした「奉仕型リーダー育成セミナー」を行うなど、社員の意見を広く取り入れる取り組みを行っています。

まとめ

サーバントリーダーシップは、社員一人一人に寄り添いながら、組織全体を導くものでした。また、良いサーバントリーダーになるためには、10個の特性を常に念頭に置き、行動するように心掛けると良いでしょう。

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