社会保険とは?制度や仕組み、国民健康保険や国民年金との違い、加入の条件とメリットを解説

社会保険とは、国や自治体が運営する公的保険制度です。社会保険という言葉はよく聞くし、保険料が給与から天引きされるが、仕組みやメリットなど、具体的にはよく分からないという方も多いのではないでしょうか?

この記事では社会保険の目的や仕組み、国民健康保険や国民年金との違い、メリットや加入要件について解説します。

社会保険とは?

そもそも社会保険とは?

日本は「国民皆保険制度」となっており、病気・ケガ・介護・老齢・失業・退職・労働中の事故などのリスクに備え、保険を負担しあうことで1人当たりの負担を軽減することを目的としています。「国民皆保険制度」を支える保険制度として会社員が加入する「被用者保険」と自営業者などが加入する「国民健康保険」の2つがあります。

加入条件に該当する人が被保険者となって保険料を支払い、要件を満たすと受給者として給付を受けることができます。

企業などで働く従業員にとって関係がある社会保険は?

では、企業などで働く従業員にとって関係のある社会保険にはどのようなものがあるのでしょうか?

会社が雇用者に適用する保険には「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険(40歳以上の被保険者)」「雇用保険」「労災保険」の5つがあります。

なお、社会保険には企業に勤めている会社員や条件を満たしている労働者が加入します。アルバイトやパートなども加入できる場合もあります。加入条件は以下の通りです。

対象2016年10月~(現行)2022年10月~2024年10月~
事業所の規模常時500人超常時100人超常時50人超
労働時間週の所定労働時間が20時間以上変更なし変更なし
賃金月額88,000円以上変更なし変更なし
勤務時間継続して1年以上使用される見込み継続して2カ月超で使用される見込み変更なし
運用除外学生変更なし変更なし

社会保険には、広義と狭義の2つの意味がある

先述で述べた通り、社会保険には「医療保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5つがあります。それぞれの定義は以下の通りです。

  • 医療保険:医療費の一部を国や自治体が負担する制度
  • 年金保険:原則65歳から年金形式で老後の生活費などを受け取れる制度
  • 介護保険:40歳以上を対象に、要介護状態となったときに介護サービスをうけられる制度
  • 雇用保険:失業や就業が困難なときに給付を行い、再就職を支援する制度
  • 労災保険:勤務中や通勤途中になった病気やケガの治療費を援助する制度

上記5つの保険の捉え方により、「広義の社会保険」「狭義の社会保険」と呼ばれることがあります。

広義の社会保険とは、上記5つの保険制度の総称です。

一方、狭義の社会保険は「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の3つをまとめた総称となっています。一般的に社会保険というと「狭義の社会保険」を指します。ちなみに、「雇用保険」と「労災保険」をまとめて「労働保険」と呼びます。

社会保険の目的と仕組み

相互扶助が目的

社会保険制度は国民の最低限の生活を保障するために国が設けた公的な保険制度です。日本国憲法第25条では、以下のように定められています。

「(1)すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 (2)国は、すべて の生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」

このため、国は労働者が病気・ケガ・失業・退職などで働けなくなったとき、最低限の生活が維持できるように保障することを目的としています。

なお、社会保険制度は「相互扶助」の理念で作られているため、国民は給付を受けられる代わりに強制加入で保険料を負担する義務があります。

財源は保険料や国庫負担金

社会保険の主な財源は公費(国および地方)と加入者が支払う保険料となっています。

厚生労働省のホームページには、社会保険料の負担について掲載されています。それによると、2023年度予算における保険料と公費の割合は以下のようになっています。

  • 保険料:77.5兆円(59.3%)
  • 公費:53.2兆円(40.7%)

また、保険料は従業員と会社がそれぞれ負担しています。従業員と会社の負担割合は保険の種類によって異なります。具体的には以下の通りです。

  • 健康保険:従業員と会社で50%ずつ負担
  • 厚生年金保険:従業員と会社で50%ずつ負担
  • 介護保険:従業員と会社で50%ずつ負担
  • 雇用保険:事業ごとに定められている(一般の場合は従業員が賃金の0.5%、会社が賃金の0.85%を負担)
  • 労災保険:会社が全額負担

社会保険の健康保険と、国民健康保険との違い

国民健康保険とは?健康保険との違い

国民健康保険も健康保険も医療保障制度のひとつです。しかし、健康保険と国民健康保険では、加入対象者、負担割合、給付条件などに違いがあります。それぞれの違いは以下の通りです。

健康保険国民健康保険
加入対象者会社員とその扶養家族(要件を満たしたパート・アルバイトも対象)個人事業主・退職者・ぬ職者など(健康保険や後期高齢者医療制度の対処外の人すべて)
医療費負担原則3割原則3割
保険料負担雇用主と折半全額自己負担
給付条件労災に該当しない病気やケガなど病気やケガなど
その他傷病手当制度あり健康保険組合で独自の制度あり傷病手当制度なし

その他の医療保険

医療保険には健康保険、国民健康保険の他に「船員保険」「共済組合」があります。

船員保険とは船員を対象とした社会保険制度で、対象は船員法第一条に規定する船長・海員・予備船員です。船員保険は一般の会社員が加入する健康保険と似ており、船員及び被扶養者の職務外の病気、ケガ、出産、死亡に関して保険が給付されます。

共済組合は公務員と私立学校教職員が加入する社会保険組合です。組合員及び被扶養者の職務外の病気、ケガ、死亡、退職に関して保険が給付されます。共済組合には主に以下のものがあります。

  • 国家公務員共済組合:国家公務員共済組合法に基づく共済組合
  • 各種地方公務員共済組合:地方公務員等共済組合法に基づく共済組合
  • 私立学校教職員共済制度:私立学校共済法に基づく共済制度

社会保険の厚生年金と、国民年金との違い

公的年金制度を構成している保険制度に国民年金と厚生年金があります。では、国民年金と厚生年金にはどのような違いがあるのでしょうか?ここでは国民年金と厚生年金の仕組みと違いについて解説します。

国民年金とは

国民年金は「基礎年金」ともいわれ、20歳以上60歳未満の人がすべて加入しなければならない公的年金です。なお、被保険者は以下の3種類に分けられます。

被保険者の種類該当者
第1号被保険者自営業者など、第2号および第3号に該当しない人
第2号被保険者厚生年金や共済組合に加入する会社員、公務員など
第3号被保険者第2号被保険者の扶養家族である配偶者で、20歳以上60歳未満の人

第1号被保険者に該当する人は自分で納める必要があります。また、第2号被保険者及び第3号被保険者は厚生年金保険や共済組合が加入者に代わって国民年金に負担をしているため、自分で納めることはありません。

社会保険の厚生年金とは

厚生年金は会社員や公務員など厚生年金保険に加入している事業所に勤務しており、70歳未満の常時雇用の従業員が加入します。

なお、以下の条件に該当する人は加入対象とはなりません。

  • 日雇い労働者
  • 2カ月以内の期間内労働者
  • 4カ月以内季節事業もしくは6カ月以内の臨時事業所で働く労働者
  • 所在地が一定でない事業所で働く労働者

また、パートやアルバイトは、以下の要件を満たしていれば加入します。

  • 所定労働時間が週20時間以上で、1カ月の所定内賃金が88,000円以上
  • 継続して2カ月超の勤務見込みがあること
  • 学生でないこと
  • 従業員数が101名以上の事業所に勤務していること

厚生年金加入者は国民年金と両方に加入するため、65歳以上で国民年金に加え、厚生年金を上乗せしてもらえます。

社会保険に加入する企業の要件とは

「強制適用事業所」とは、企業の規模・業種に関係なく、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられる事業所です。以下の条件に該当する事業所は社会保険の加入が義務付けられています。

  • 株式会社、合同会社などの法人(従業員の人数に関係なく社会保険の強制適用事業所となる)
  • 常時雇用者が5人以上の事業所(ただし農林水産業、サービス業、士業などは除く)

任意適用事業所とは

強制適用事業所に該当しない事業所のうち、従業員の半分以上が加入に同意した場合、社会保険に加入できます。具体的には、農林水産業、レストランなどのサービス業、会計事務所などは任意適用事業所として加入します。これらの事業所が社会保険に加入するためには、事業主が社会保険事務所で手続きをする必要があります。

条件に該当すれば全ての被雇用者に加入義務がある

社会保険は加入条件に当てはまれば加入が義務付けられています。また、平成29年より社会保険の適用範囲が拡大され、パートやアルバイトでも以下の条件に該当すれば社会保険への加入が必要です。

  • 従業員数が101人以上
  • 週の所定労働時間が20時間以上(残業時間は含まない)
  • 月額賃金が8.8万円以上(基本給+諸手当。残業代や賞与以外)
  • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

社会保険に加入するメリット

老後に受け取る年金額が増える

年金保険の支給額は、定額払いの老齢基礎年金と支払った保険料に応じて支給される老齢厚生年金の合算になります。

厚生年金に加入することで、老後に受け取る年金は国民年金に厚生年金が加算されて支給されるため、国民年金のみの加入者に比べて給付額が増えるメリットがあります。

障害厚生年金と遺族厚生年金が増える

障害年金には障害厚生年金の他に障害基礎年金(国民年金)もあります。障害厚生年金のメリットは障害基礎年金のみ年金をもらえるケース(障害等級が3級の場合)があることです。なお、障害等級1級または2級の場合は障害厚生年金・障害基礎年金の両方をもらうことができます。

また、遺族年金にも遺族厚生年金と遺族基礎年金(国民年金)があります。遺族基礎年金の場合は配偶者もしくは子供に支給されますが、遺族厚生年金の場合は配偶者と子供に加え、父母、孫、祖父母が対象です。

傷病手当金や出産手当金が受け取れる

障害手当金とは障害厚生年金に該当しないまでも、病気やケガで生活や仕事に制限がかかる障害が残ったときに支給される手当金です。また、出産手当金とは会社に勤めている女性が産休を取得した時に支給される手当金です。

厚生年金に加入することで障害手当金や出産手当金を受け取ることができます。

保険料の半分を会社が負担する

国民年金と国民健康保険の場合は保険料を被保険者が全額負担しなければなりません。一方、健康保険と厚生年金の場合、保険料の半分を会社が負担してくれます。被保険者の負担が半分になることは、加入者にとって大きなメリットです。

まとめ

この記事では社会保険の目的や仕組み、国民健康保険や国民年金との違い、メリットや加入要件について解説しました。

社会保険制度は国民の最低限の生活を保障するために国が設けた公的な保険制度です。「医療保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5つがあります。社会保険に加入することで「保険料の半分を会社が負担してくれる」「年金が加算される」などのメリットがあります。
社会保険に加入することで、将来の出産や病気、怪我などで働けなくなったときのリスクから自分を守ることにつながります。もし社会保険に未加入であれば、この機会にぜひ検討してみてください。

関連タグ

この記事をシェアする

  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする

今週のイチオシ!コンテンツ

Follow Us!

SNSで、人事・経営者に役立つ情報をチェック!このサイトの更新情報もお知らせします

PAGE TOP