シングルレートとはどんな賃金制度?メリットとデメリットを説明

給与明細

賃金は基本給と各種手当を合計したものです。この賃金の基本となる基本給の決め方には、シングルレート、レンジレート、評価替方式、スライド方式の4つの方式があります。この4つの方式は、各等級に対してどのように賃金を設定していくかを体系化したものです。基本級をどのように設定するかは企業によって異なりますが、自社の賃金の仕組みや、他の賃金制度について知っておいて損はないでしょう。

シングルレートとは?

シングルレートとは、1つの等級やポジションに対して、1つの基本給の額を設定している賃金制度です。シングルレートでは、等級が上がらない限り基本給は上がらず、一定のままです。シングルレートを用いている例としては、勤続給や年齢給が挙げられます。勤続〇年目は△△円、〇歳の従業員は△△円といったように、勤続年数や年齢と基本給額が1:1で対応しています。

基本給の決め方にはシングルレート以外に3つの方式がある

基本給の決め方には、シングルレート、レンジレート、評価替方式、スライド方式の4つの方式があります。ここでは、シングルレート以外の3つの方式についてメリットやデメリットなどを含めて説明します。

レンジレート(等級号棒方式)

レンジレートとは、1つの等級やポジションに対して、複数の基本給の額を設定する賃金制度です。1つの等級を複数の号俸に分け、各号俸ごとに基本給を設定します。同じ等級にいても、号俸が上がれば昇給するという仕組みです。同一等級内でも年数や能力の習熟によって昇給するため、定期昇給もあります。そのため、従業員のモチベーション維持に繋がります。各等級の上限や下限をどう設定するかで、等級が変わる時の基本給の増減に影響してくるため、各企業に合った設定をすることが重要です。

評価替方式

評価替方式とは、毎年行われる人事評価によって、等級や号俸が決まる方式です。この評価は、それ以前の評価とは関係なく行われるため、基本給が上がることもあれば、下がることもあります。レンジレートのように定期昇給はありませんが、従業員の努力が反映されやすい仕組みとなっており、従業員の成果に対するモチベーションを高めることができます。また、定期昇給がないため人件費管理もしやすいです。しかし、結果を出さなければ昇給しないため、場合によっては従業員のモチベーションが低下することもあります。

スライド方式

スライド方式は、評価替方式と同様に毎年行われる人事評価によって昇給も減給もありますが、評価替方式とは違い、前年までの評価も翌年に持ち越すことができます。スライド方式では、同一等級内を複数のエリアに分け、各エリアごとに評価に応じた更改額を設定します。つまり、前年の基本給額に翌年の評価に応じた更改額がプラスされていく仕組みです。成果を出せば昇給するため従業員のモチベーションを維持することができます。また、定期昇給による大幅な人件費の増加を抑えることもできます。しかし、成績が悪ければ前年の基本給から減額する可能性もあります。

シングルレート方式を採用するメリット

雇用者にとってのメリット

等級と基本給が1:1で設定されているため、賃金の管理がシンプルになります。また、成果を出せば昇級するので、従業員の成果に対するモチベーションを高めることができます。  

被雇用者にとってのメリット

従業員から見ても、賃金設定がシンプルで分かりやすいです。また、年齢や勤続年数によらず等級によってのみ基本給が決まるため、能力や成果次第で昇給ができます。そのため、年齢が若い従業員や経験の浅い従業員にとっては、頑張り次第で早く昇級ができる仕組みとなっています。

シングルレート方式を採用するデメリット

雇用者にとってのデメリット

基本給の設定をポジションや職務内容に沿って設定してしまうと、他のポジションや職務内容への異動によって減給してしまう可能性があるため、移動は行いにくくなってしまいます。また、年齢や経験によらない賃金制度のため、中途採用者については経験を踏まえた柔軟な賃金設定ができなくなってしまいます。

被雇用者にとってのデメリット

レンジレートのような定期昇給がなく、等級が上がらないと賃金が上がらないため、成果へのモチベーションが生じるのとは逆に、従業員のモチベーションが低下してしまうこともあります。

シングルレートとはジョブ型雇用の賃金制度の1つ

近年、グローバル化に伴って、ジョブ型人事制度が注目されつつあります。ジョブ型雇用とは、主に欧米で採用されている人事システムで、各職務に対して、人を割り当てます。ジョブ型雇用の賃金制度は基本的にシングルレートとなっており、各ジョブの難易度や責任等の程度をもとにして賃金が定められます。しかし、日本では、定期昇給がある文化が根付いているため、レンジレートを用いている企業が多いのが現状です。

まとめ

シングルレートでは、各等級に対して1つの基本給が定められており、等級が上がれば昇給する仕組みとなっています。成果主義のため、従業員のモチベーションを高める方向にも低下させる方向にも働いてしまいます。シングルレートはジョブ型雇用の基本的な賃金制度ですが、日本の定期昇給のある文化では受け入れられにくい制度となっているようです。

関連タグ

この記事をシェアする

  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする

今週のイチオシ!コンテンツ

お役立ちセミナー

Follow Us!

SNSで、人事・経営者に役立つ情報をチェック!このサイトの更新情報もお知らせします

PAGE TOP