エンプロイーサクセスとは?概要や実現する方法を詳しく解説

エンプロイーサクセスとは

エンプロイーサクセスの実現|企業の価値が高まり人手不足の解消

多様な働き方が浸透する中で、従業員のエンゲージメントを最大限に高める取り組みとして、従業員の成功を企業が支援するエンプロイーサクセスという概念が注目を集めています。

本記事では、エンプロイーサクセスが重視される理由や推進のメリット、導入ステップから成功事例までを解説します。自社の働き方改革にお役立てください。

エンプロイーサクセスとは?

エンプロイーサクセスとは、従業員の成功を意味する言葉や取り組みのこと。企業での仕事やさまざまな活動を通して、従業員がありたい姿やなりたいものを実現することを指しています。

単に、出世や報酬、スキルアップなど、キャリア上での成功だけではありません。その人がどう生きたいのか?どうありたいのか?を尊重し、どうすれば実現できるのかを、従業員と企業が一緒になって考えていくものです。つまりエンプロイーサクセスとは、多様な生き方や働き方前提とするライフを含めた広義的なキャリアデザインともいえるでしょう。

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エンプロイーサクセスが重要視される理由

エンプロイーサクセスが重要視される理由のひとつに、働く人の価値観が多様化していることが挙げられます。

現代は、自ら働き方を選択できる時代です。個々のライフスタイルや将来の目標から個人でキャリアを計画し、キャリアプランに合った働き方ができる、自分に最適な企業を選ぶ時代だといえます。実際に求職者の会社選びでは、業務内容だけではなく働き方を重視する人が一定数存在します。

このように働く人の価値観の多様化が進んだことから、企業は選ばれる側としての側面が強まりました。採用の際に選ぶ側であると同時に、企業側も採用後に選ばれ続ける存在であるために、従業員が満足度高く働き続けられる環境を整えておくことが必要なのです。

また、国が施行した「働き方改革」も影響しています。エンプロイーサクセスの実現のためには、従業員の多様性に応じた環境づくりはもちろん、長時間労働の是正やハラスメント対策など、働き方改革もあわせて推し進めていく必要があるといえるでしょう。

エンプロイーサクセスを推進するメリット

エンプロイーサクセスを実現することで、企業にどのような好影響をもたらすのでしょうか。主なメリットを解説します。

採用力を強化できる

求職者にとって、働いている人の体験談は大事な判断材料のひとつです。従業員の成功体験を自社サイトに掲載することで、働き方を重視する層への採用力を強化できます。

さらにリファラル採用もしやすくなります。リファラル採用とは、企業で働いている従業員から新たな人材を紹介してもらう採用システムのこと。求人誌や求人メディア、転職エージェントを必要とせず、セミナーなども不要となるため、採用にかかるコストを大幅に削減できます。

従業員満足度が向上することで人材定着率が上がる

長時間労働が当たり前になっていたり、人事評価制度が整っていなかったりすれば、従業員の満足度は低く、どんなに優秀な人材でも十分な成果を出すのは難しいでしょう。

働きやすい環境づくりや公平な人事評価を実施するなど、従業員のエンプロイーサクセスに重きをおいた施策をすることで、企業に対する満足度が上がり仕事へのモチベーションも高まります。従業員のモチベーションが上がれば、生産性や定着率も向上し、企業にとってもよい循環が生まれます。

衛生要因(ハイジーンファクター)による離職を防げる

衛生要因(ハイジーンファクター)とは、「心身の健康状態」「会社での人間関係」「職場環境」「育児・家事・介護などの家庭との両立」など、働きやすさにつながる要素を指します。

衛生要因が満たされない状態が続くと、メンタル不調に陥り仕事を続けられなくなる可能性も。厚生労働省の調査によると、自己都合による退職理由の80%はハイジーンファクターに起因するというデータも出ています。

エンプロイーサクセスを実現し、衛生要因を満たすことで不満足を軽減・解消でき、離職防止につなげられます。

参考:厚生労働省 平成28年雇用動向調査の概況 

エンプロイーサクセスを実現させる方法

エンプロイーサクセスを実現させる方法

ここからは、エンプロイーサクセス導入のステップを説明します。

エンプロイーサクセスを言語化する

まずは、企業と従業員それぞれが「エンプロイーサクセスとはどのようなものなのか」を具体的に考える必要があります。何をもって成功したと判断するかは、企業によっても個人によっても異なるからです。

どのようなことを達成すれば成功体験といえるのか、人生を通して何を成し遂げたいのかを言語化して正しく認識することからはじめましょう。

従業員の満足度を重視するとはいえ、企業にとっては利益につながるかどうかも大切です。自社の企業理念やビジョン、バリューを明確化した上で、それがどのように従業員の成功に結びつくのかを理解し、すり合わせていくことで、エンプロイーサクセスの実現を目指しやすくなります。

エンゲージメントを定量化し測定する

言語化したエンプロイーサクセスにもとづいて、職場環境や評価制度、仕事に関する満足度などのさまざまな指標から、従業員のエンゲージメントを測定します。

エンゲージメントの測定にもっとも多く用いられるのがアンケート調査です。半年に1回1年に1回など定期的に実施し、その都度具体的な改善策につなげましょう。

アンケートのほかには、人事面談、上司との1on1ミーティング、四半期評価面談、計測ツールの活用といった方法もあります。

継続的にコミュニケーションや施策を実施する

エンゲージメントの定量化ができたら、あとはその数値を継続的に改善させていく取り組みを実施してください。

定期的な測定を行い常に改善を目指すことで、個人の成功に留めることなく組織レベルでエンプロイーサクセスを広められるでしょう。

また従業員が目標を達成したときには、円滑にフィードバックが受けられるような仕組みを用意しておくことも大切です。

エンプロイーサクセスの成功事例

ここからは、エンプロイーサクセスを実現している企業を紹介します。取り組みの参考にしてください。

Salesforce

セールスフォース・ドットコムは、顧客関係管理ソリューションを中心としたクラウドアプリケーションおよびクラウドプラットフォームを提供する企業です。

社員、顧客、取引先、社会全体と社内外のステークホルダーを「家族」と捉える「Ohana」(オハナ)という独自のカルチャーを醸成し、高いエンゲージメントを実現しています。

仕事はチームで助け合い、定期的な1on1ミーティングで一人ひとりをしっかりフォロー。働き方改革には、在宅勤務やフレックス制度が導入されています。仕事内容やライフスタイルによって働く場所や時間を自由に選択でき、同社の働きやすさにつながっています。

またジムなどの健康維持に関わる活動には1万円が支給されるウェルビーイング補助や、オフィス内にメディテーションルームやカフェテリアが設置されるなど、仕事だけでなく従業員の生活を包括的にサポートする体制も整っています。

freee株式会社

freeeは、会計や給料計算ソフトなど、中小企業のバックオフィスを効率化するためのクラウドサービスを開発、運営する企業です。

総務人事部門を「メンバーサクセスチーム」と位置づけ、企業全体でエンプロイーサクセスの推進をはかっています。業務を効率的に行うために、テクノロジーを積極的に活用。テクノロジーによるシステム管理を徹底した結果、紙の書類がなくなり工数の大幅な削減を実現しました。

また「weekly 1on1」と呼ばれる毎週行われる面談では、個人の働き方や配属先を上司と一緒に考え、話し合えます。そのほかにも育児支援制度の設立や企業文化の浸透、外部の勉強会への参加など、従業員の成長を支援するさまざまな施策を行っています。

アドビ株式会社

Adobeは、PhotoshopやIllustratorなどのソフトウェアおよび関連サービスを提供している企業です。

10日間の出産有給休暇や産後26週間の有休制度を設立し、休暇制度を改善。家族にとって重要な出来事がある場合は、休みやすい環境を整えました。

また年次や性別による給与格差の見直しや、部下の成長度合いをチェックし継続的にキャリアアップをサポートするチェックイン制度など、従業員の意欲を高める取り組みをしています。

従業員の自社に対する「満足度」を知るには?

従業員が企業に対してどのような考えや満足度を持っているかは、感覚的にではなく、定量的に把握することが大切です。

方法のひとつに「従業員満足度調査」を実施する方法があります。

従業員満足度調査とは、文字通り従業員の企業への満足度を調べる調査のこと。従業員のやりがいやモチベーションの可視化・定量化、および人事制度・人事施策のPDCA(現状分析、課題抽出、対策立案)といった目的のために実施されます。

従業員満足度を数値で把握できれば、新たな施策を検討する際の根拠として有効活用が可能です。

データを分析し活用することで、個人の職務態度の改善やパフォーマンスの向上だけでなく、チーム単位での成果の向上や業績アップなど、組織レベルでのメリットも期待できます。

まとめ

エンプロイーサクセスの概念を人事施策に生かすことで、従業員のモチベーションを上げて生産性を高め、より長く働いてくれる環境づくりに結び付けていきましょう。

https://survey.lafool.jp/
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