多くの企業は、高い成果を出したり、組織に良い影響を与える「ハイパフォーマー」と呼ばれる人材を育成・採用したいと考えているのではないでしょうか。
この記事ではハイパフォーマーに共通する要素や育成方法などを詳しく解説します。
ハイパフォーマーとは
ハイパフォーマーとは、高い生産性を有し、成果を出す人材のことを指します。ハイパフォーマーの存在は、周囲のモチベーションや生産性を高めるため、円滑に仕事が進むなど、組織全体に良い影響をもたらします。
今までは「仕事ができるすごい人」という評価に留まっていましたが、少子高齢化による人手不足により、最近では人材育成に活かす企業が増えています。
ハイパフォーマーに共通する要素
ハイパフォーマーの定義は、企業や業種によって異なります。
しかし、多くのハイパフォーマーには共通する特徴があるといわれています。
①結果を出すことに尽力する
ハイパフォーマーは結果にこだわります。
満足できる結果を残すまで、または自身が設定した目標を達成するまで、試行錯誤を繰り返し、諦めない傾向があります。
②コミュニケーション能力が高い
人間力ともいえますが、ハイパフォーマーはコミュニケーション能力に優れていることが多いです。
単におしゃべりというわけではなく、傾聴や周囲との協力、察する力を駆使して仕事の連携を円滑にします。こうした能力は信頼関係の構築にも役立つため、社内外を問わず、信頼される傾向にあります。
③行動力がある
ハイパフォーマーは、成果をあげるための要素として、行動力の必要性を理解しています。
行動力があるということは、挑戦し続けられることを意味します。たとえ失敗したとしても、問題を分析し、次に活かすことができます。
④自己管理能力が高い
ハイパフォーマーにもプライベートはもちろんあります。
彼らは自身の仕事量を把握し、適切な時間配分を行うため、メリハリをつけて働くことができます。仕事と生活のバランスも上手く取り、体調管理も怠りません。
⑤成長意欲が高い
ハイパフォーマーは現状に胡座をかきません。仕事やプライベートを問わず、成長し続けるために自己研鑽をしていることが多いです。
ハイパフォーマーを育成・採用する方法
ハイパフォーマーを育成することで、生産性が上がり、会社全体の業績向上につながる可能性があります。自社で活躍しているハイパフォーマーを見つけ、特性を分析して育成していく方法を詳しく見ていきましょう。
①自社のハイパフォーマーを特定する
まずは、自社で活躍するハイパフォーマーを洗い出してみましょう。
一般的に優秀とされている人物像が自社のハイパフォーマーとは限らないため、何を基準に評価するのかを明確化しておく必要があります。できるだけ主観が入りにくく、客観的に判断できる項目で定義づけしておくと良いでしょう。
例えば営業職であれば、月間の目標達成率、受注単価、受注率などが挙げられます。短時間でより多くの成果を出しているかどうか、ミスが少ないなどの特徴も加えておくこともおすすめです。
ハイパフォーマーの定義を明確にしたら、次は自社のハイパフォーマーの選定を行います。ハイパフォーマーの人数は、全社員の上位20%を目安にすると良いでしょう。
②ハイパフォーマーの特性を分析する
次に、ハイパフォーマーの行動や思考の特性を分析します。
ハイパフォーマーは、業務に対する明確な目的意識を持ち、「会社にとって重要ことは何か」「顧客が求めているものは何か」などを具体的にイメージしています。こうした思考や価値観は、適性検査などを利用して客観的に数値化すると良いでしょう。
また、インタビューやアンケート調査を実施し、日常の行動から、業務上で重視している価値観やモチベーションなどについて細かくヒアリングを行うことで精度の高い分析ができるでしょう。
③社員教育・採用計画に取り入れる
自社で活躍している人物像の特定ができたら、次は社員教育や採用計画に落とし込むフェーズです。
①②の工程で得た、社内のハイパフォーマーに関するデータを整理・分析しましょう。
また並行して、「どのようなプロセスを踏むことで、他の社員はスキルや知識が身につくのか」「ハイパフォーマーの素質がある人材の採用に適した方法は何か」などを考え、社員教育や採用計画をより効果的に改良しましょう。
ハイパフォーマーの採用に適した採用方法の例:
- 特化型求人サイト
- スカウト機能
- SNSの活用
ハイパフォーマーの離職を防ぐ方法
ハイパフォーマーは、どの企業でも通用する高いスキルを持っているという自信があるため、自社に不満があれば離職して別の企業に転職する可能性があります。
この章では、ハイパフォーマーの離職防止に有効な方法を紹介します。
ハイパフォーマーが離職を検討する理由
ハイパフォーマーが離職を考える理由の多くは、以下の3点に集約するといわれています。
- 業務量が多く、疲れや不満が溜まる
- 成果に見合った評価や報酬が得られない
- スキルを十分に発揮できる環境ではない
ハイパフォーマーの離職を防ぐには
ハイパフォーマーの離職は自社にとってマイナスの事象です。離職を防ぐために、有効的な手段を講じましょう。
①業務量の調整をする
仕事ができるハイパフォーマーには仕事が集中してしまう、というのはどんな企業でもあり得ることです。業務が偏り過ぎてしまうことでモチベーションが下がったり、組織への不満につながったりする可能性があります。そのため、上司は業務量が歪に偏らないよう、調整する必要があります。
業務量の調整は、ハイパフォーマーでなければできない仕事と、他の社員でもできる仕事と区別することがポイントです。
また、ハイパフォーマーには十分な裁量を与えることも有効的です。そうすることで、全社員がそれぞれがより高いパフォーマンスを発揮することができるでしょう。
②ローパフォーマーを減らす
ローパフォーマーは組織の中でも成果の低い人のことを表します。ローパフォーマーを減らすことでハイパフォーマーの業務上の負担軽減につながります。ローパフォーマーを完全になくすことは難しいことですが、レベルの底上げを目指すことで、長期的なキャリアサポートをしてくれる会社だという信頼も生まれます。
ハイパフォーマーが個々に指導するなどは避け、組織全体として研修を実施するなど生産性を高めるように努めましょう。
③適切な評価の実施
ハイパフォーマーの成果に対する評価も不可欠です。
ハイパフォーマーには仕事が偏りがちですが、そのような中でも彼らは仕事をやり遂げ、時には高い成果を出します。仕事の評価が他の社員と同じでは、不満が溜まることは避けられません。
高いパフォーマンスには昇進や昇格、昇給など高い評価ができる適切な評価基準を設けることが大切です。
まとめ
ハイパフォーマーの採用や育成は、人事担当者の大きな目標のひとつと言えます。そのためには、ハイパフォーマーの特徴を分析し、採用や育成に活かす必要があります。また、せっかく育成したハイパフォーマーが離職しないように考慮することも重要です。
取り組むべき課題や整備すべき制度は多いように感じますが、効率を上げてくれるツールを活用することで、ハイパフォーマーの採用・育成を実現することができます。
今回の記事を参考に、自社のハイパフォーマーを増やしてください。