適性検査とは?検査の種類と選び方、対策と導入時の注意点を解説

適性検査チェック項目のイメージ画像

せっかく採用した社員の離職に頭を抱えている企業の担当者は少なくありません。

背景には新入社員の企業や部門へのミスマッチがあります。そこで、適性検査を活用することで、能力やパーソナリティ、思考の傾向などを把握し、採用判断や入社後の配置に生かすことができます。

この記事では、適性検査の特徴と実施するメリット、多様なサービスの中から自社に適したものを選ぶポイントを解説します。

適性検査とは?

求職者が業務に必要な能力を有しているか、業務に向いている性格か確かめる検査です。面接や筆記試験などだけでは分からないことを明らかにするのに役立ちます。

dodaのアンケート調査によると、中途採用で筆記試験を実施する企業の9割以上が、適性検査を導入しています。

適性検査が注目されるようになった理由として、人材不足が挙げられます。「休みが少ない」なども離職のきっかけになります、職場になじめないことを理由に退職する人も少なくありません。

考え方など人間性も見える検査で、既存の従業員や会社の雰囲気と合うか確かめ、ミスマッチのリスクを抑えることで、離職を減らせると期待されています。

適性検査の種類は2種類

  • 能力検査
  • 性格検査

大きく上記の2つに分けられます。

検査を導入する目的にあわせて、両方を実施するのか、優先度・重要度の高い検査のみ実施するのか決めることがポイントです。

実施する検査の参考になるよう、それぞれの特徴をご説明します。

「能力検査」

論理的思考力、計算能力、一般常識などを数値化して測定します。国語や数学の試験のようなイメージです。

どの業界にも必要な力が最低限身についているか測るため、幅広い業種で検査結果が参考になります。

特に検査を重視されるのは、コンサルティング業界のような文章や表・グラフの読解力、発想力が重要な業界です。

「性格検査」

考え方や行動のクセなどを数値化し、人間性を知るための検査です。面接だけでは分からない求職者の特徴を把握できるので、職場や業務に向いているかの判断に活用できます。

実務経験のある転職希望者は、履歴書・職務経歴書・面接などで能力を判断できるので、能力検査は実施しないこともあり

ます。一方、どのような人か知るために性格検査のみ実施するなど、中途採用でも重視されるのが検査です。

適性検査に要する時間と導入費用

適性検査はたくさんの種類があります。本記事では、4つのサービスの時間と費用をまとめました。

検査時間              費用
SPI3◎能力検査:35分または70分
◎性格検査:30分または40分
※実施方法で異なる
4,000~5,500円/1名※実施方法異なる
玉手箱349分年間120万円
Compass20分
※回答時間目安
2,200円/1名(受検者登録などの代行サービスを利用しない場合)
※半額サービスあり
※半額サービスを利用する場合、料金単価とは別に、年間基本料110,000円かかります
GAB90分(マークシートの場合)4,100円/1名(マークシートの場合)

適性検査を導入する理由と導入メリットは?

書類や面接だけでは分からないことを客観的なデータから知ることができます。客観的な情報から判断できるので、離職防止にも活かせると期待されています。

主な3つのメリットと理由を解説します。

書類選考や面接で見極めづらいパーソナリティーをつかめる

書類や面接で、応募者の経歴や実績、資格などは知ることができます。一方、限られた時間の面接だけで、性格や物事の考え方などまで把握するのは難しいです。

性格検査も含まれる適性検査なら、面接だけでは分からない応募者の特性まで捉えられます。職場でうまくやっていけるか、これまでの経歴と性格から向いているのはどのような仕事かなどの判断に役立ちます。

面接だけで応募者について知ろうとすると、担当者が面接に慣れているか否かでどこまで深掘りできるか変わります。適性検査は応募者の特徴が数値化されるため、面接担当の経験による差を小さくできます。

客観的なデータによって判断できる

応募者の性格などを客観的な資料から確認できるため、面接官の感覚や面接官によって判断に差が生じてしまうのを避けられます。

複数の担当者が共通の基準で判断できるので、採否の判断に納得しやすいです。

ミスマッチによる離職を防止する

データが残れば、どのような特性の従業員が活躍しているか、定着しているかなどもチェックできます。職場・配属予定の部署のメンバーとの相性などを分析し、入社後に「職場の雰囲気が合わない・人間関係に悩む」などの理由で退職する可能性のある人をスクリーニングすることで、ミスマッチによる離職防止につながります。

採用活動以外にも期待される適性検査の応用

適性検査の結果は、応募者の特徴を知るため以外にも活用できます。たとえば、既存従業員の異動を考える時などにも参考になります。

採用活動以外で適性検査を使える3つのシーンを紹介します。

既存社員の配置転換・異動に応用できる

仕事に求めることやコミュニケーションのとり方なども分かる検査のおかげで、従業員のスキルや実績だけではなく、内面や既存のメンバーとの相性なども考慮して配属を決められます。

たとえば「周囲を巻き込む力がある」ならリーダー候補が欲しい部署へ、「アイデアを形にするのが得意」なら企画開発へ、というように検査結果を参考にできます。

応募者の裾野を広げる

応募者の振り分けというより、自己分析に活用してもらったり、接触機会を増やすためのきっかけとしても使えます。

「自分の長所・短所を知りたい」など、適性検査の結果を知りたい人は多いです。しかし、結果は教えてもらえないことが一般的です。

担当者がフィードバックしたり、フィードバック機能のあるサービスを導入すれば、自己分析に活かしてもらえると期待できます。直接フィードバックするのは、応募者への理解を深める貴重な機会にもなります。

適性検査の結果が分かることを理由に、応募する人もいるでしょう。応募者が増えれば、自社に向く人材と出会える可能性が高まります。

「もっと自分の得意を活かせる所で働きたい」人には、転職の方向性を定める参考になります。

面談の補助ツールとして活用する

客観的なデータから従業員の理解が深まるので、従業員の適性や仕事で大切にしていることなどに基づくキャリアを考えたりアドバイスできるキャリア面談に活かせます。

従業員は、自分を分かってもらえているという安心感を抱きます。自分を理解してくれる上司の存在は、会社への信頼にもつながります。

適性検査の種類と受験方法

検査の回答方法から2種類に分かれます。

  • ノーマティブ方式
  • イプサティブ方式

受験方法は3種類あります。

  • Web受験
  • 紙受験
  • センター受験

それぞれの特徴をまとめました。

<H3>ノーマティブ方式とイプサティブ方式

     ノーマティブ方式イプサティブ方式
答え方の特徴質問に対して「はい・いいえ」または「そう思う・思わない」などに分かれた3~5段階程度の回答の程度に当てはまる答えを選ぶ方式複数の選択肢から自分に当てはまる・当てはまらないものを選ばせる方式
メリット簡単に答えられる答えを操作しにくい
デメリット「こう答えた方が良いだろう」と意図的に回答を変えられるリスク回答に悩みやすい(あせって答えることで、本当に思う・思わないものを冷静に選べない可能性があるため)

<H3>受験方法

Web受験     紙受験センター受験
受験方法自宅のパソコンなどから受ける方法企業や企業が指定した会場に来て紙のテスト用紙に回答する方法テスト専用の会場からパソコンで回答する方法
メリット◎インターネットに接続していればどこでも受けられる
◎期間内ならいつでも受験可
◎企業の会場用意や会場に行く従業員の手間などの時間・コストの削減
不正を防げる外部にテストの実施を任せられる
デメリット身代わり受験のリスク◎Web受験ほど時間と場所が自由でないので、スケジュールを理由に選考を辞退される可能性
◎結果が出るまで時間がかかる
委託コストがかかる

導入時の注意点

適性検査の結果を効果的に活用するには、自社の欲しい情報が分かるサービスを導入することはもちろん重要です。同時に、検査の実施目的と重視する検査項目などを明確にすることも大切です。

適性検査を導入する際の3つのポイントを紹介します。

客観的自社で導入する目的とゴールを明らかにする

適性検査のサービスは、30種類近くあります。

何を知るために検査を実施するか明確にしないと、導入にかけるコストがもったいないです。

たとえば、新卒選考のために実施するなら新卒採用向けに開発されたサービス、人員配置のためなら相性の良い性格や考え方をするメンバーの組み合わせや、今のチームに足りない人材が分かるサービスを選ぶべきと分かるでしょう。

検査を実施して実現したいことによって、多くのサービスの中から特に自社に適したものが見えてきます。

選考基準を明確にする

客観的な評価を上手に活用するには、合否の基準がポイントです。

たとえば、能力検査は最低〇点、性格検査は〇〇の特徴を備えている(逆に△△の特徴が見られたら注意)といった共通の判断基準を設けましょう。

求める人材像を明確にするには、既存従業員の特徴の把握も大切です。今いる従業員にも検査を受けてもらうことをおすすめします。

不正行為が起こりにくいツールや実施方法を選ぶ

どこでも受けられるWeb受験は、電卓の使用、インターネット検索やカンニング、替え玉受験などのリスクがあります。

Web受験に限らず性格検査は、本心ではない回答をする受検者が想定されます。

カンニングなどの不正ができない仕組みや、嘘をついている可能性の分かるサービスなどもあるので、不正の起こりにくさを確かめ、信頼度の高いサービスをご検討ください。

まとめ

能力検査と性格検査から成る適性検査は、書類や面接だけでは分からない求職者の特徴を、客観的なデータで明らかにします。採用時だけではなく、人事異動の時にも活用できます。

検査の種類は多く、実施スタイル・導入費用・検査時間はサービスによって異なります。

なぜ検査を実施するかを明確にし、不正の起こりにくさや正確性の高さも確かめながら、自社にとって効果的なサービスを導入しましょう。

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