離職防止ツール導入のメリットと選び方のポイント

離職防止ツール

自社の離職率を下げたい、または職場環境を改善したい、定着率を上げたいと考えている企業に役立つのが「離職防止ツール」です。優秀な人材をせっかく採用できても、離職されると採用コストが高くなってしまいます。

こうした中で最近は離職防止ツールを導入する企業が増えています。各社からさまざまなツールが出ていますが、導入するにあたって、そもそも離職防止ツールとは何なのか、どんなメリットがあるのか、また、ツールを選ぶ際のポイントについてわかりやすく解説します。

昨今の日本企業の離職率事情

厚生労働省が発表した2020年の雇用動向についての調査レポートでは、離職率が9年ぶりに入職率を上回るという結果がアナウンスされました。

具体的な数字によると、2020年に企業が採用した人は710万人(入職率13.9%)で、離職者は727万人(離職率14.2%)でした。コロナ禍による環境変化での離職が増えたと分析しています。

参照:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/gaikyou.pdf

確かにコロナ禍による影響が離職率を高めていますが、「個人要因」での離職理由に関しては対策が可能です。

離職率が高い企業は、企業イメージの悪化につながり人材確保も難しくなるため、できる離職防止策は早めに講じましょう。ここからは個人要因にフォーカスして詳しく解説していきます。

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離職を招く代表的な要因

従業員が離職する理由は、それぞれの従業員の事情によって異なりますが、厚生労働省の「雇用動向調査」によると、以下が代表的な理由として挙げられています。

人間関係

上司や同僚といった社内での人間関係や、クライアントとの人間関係が理由による離職です。具体的には、上司に気軽に相談しにくい、従業員同士が非協力的な環境である、クライアントが高圧的であるなどが挙げられます。こういった問題はデリケートで、従業員側から会社に相談がしにくいケースも多々あります。

人間関係が悪いと、ストレスが溜まり、労働意欲も低下します。会社側はこういった従業員のストレスをできる限り取り除く必要があります。原因となる人が特定できれば、部署を変えるといった対策も解決の1つです。

適正な評価がされていない

評価と一口に言っても、会社側ではいくつかの指標がありますが、従業員側は自分の働きぶりが給与に反映されていないと感じ、離職の判断をすることが多いです。なかなか昇給しない、昇給金額が低いといった不満や、評価をする上司が自分の仕事内容を把握していないといった場合もあります。

会社側は、正しい評価システムや従業員のやる気に結びつくインセンティブなどのシステムを導入すると良いでしょう。

教育やフォロー体制が整っていない

やる気のある従業員は、仕事に対して「キャリアアップ」ができるどうかを考えます。これまで学んだことが活かせる職場かどうか、さらにスキルが高まる仕事内容かどうかは重要な要素です。

会社は、教育プログラムを用意したり、将来につながる仕事であることを、従業員に説明する研修や、上司と部下の定期的な面談をするなどの取り組みが大事です。また、フォロー体制とは、従業員が今どんな悩みを抱えているか企業側が把握し、従業員が離職を考える前に対策を講じることなどを指します。アンケートを取ったり、面談を通じてヒアリングの機会を整備しましょう。

労働時間が長い

せっかくやる気があって働ける環境だったとしても、労働時間が長すぎると従業員は身体を壊します。最悪なケースは、体調を壊して、給与が医療費へと代わり、最終的には働けなくなるといった事態に陥ります。長時間労働の常態化や、休日出勤が多い職場は、離職を引き起こしやすくなります。

企業側は労働基準法に則って、従業員の労働時間をしっかりと管理し、規定以上に働かせない、有給休暇を確実に取得させるように働きかけましょう。

実務で成長を感じない

毎日変化の無い仕事内容や、上司から指示された雑務をこなすことがメインとなってしまう仕事内容だと、従業員のモチベーションが下がり、離職理由に結びつきます。従業員一人一人のキャリアを考えた仕事の割り当てが必要です。

離職防止ツールとは

離職防止ツールとは、従業員の離職を防ぐために、従業員のエンゲージメントを可視化するためのアンケート機能や情報分析機能が備わったツールを指します。離職につながる原因は大きく、「職場環境」、「労働条件」、「人間関係」の問題が挙げられます。導入することで、従業員の本音を吸い上げ、モチベーションを管理し、離職を未然に防ぐ効果が期待できます。

離職防止ツールのメリット

離職防止ツールを活用すると、離職を防ぐ効果はもちろん、その他にもさまざまなメリットがあります。詳しく見ていきましょう。

エンゲージメントの可視化

エンゲージメントとは、従業員が仕事に対し自発的に貢献意欲を持って取り組んでいるかを示す指標です。これを可視化(見える化)することで、従業員の離職を未然に防ぎます。

具体的にどう可視化するかと言うと、定期的に従業員に向けてアンケートを実施し、「今の仕事に満足しているか?」、「評価は適切に行われていると思うか?」といったさまざまな質問を従業員に対して投げかけます。これにより従業員の満足度がわかります。

不満が高い項目がわかれば、改善することができます。

モチベーションの向上

離職防止ツールには、ポイント付与機能などもある場合があります。例えば、なかなか普段の仕事で従業員ががんばっているところを褒めたり感謝を伝える機会がない中、このポイント機能を使って、「感謝」や「賞賛」をポイントにして送り合い伝えることができます。

これにより、従業員のがんばりが見える化し、承認欲求が満たされ、やりがいにも繋がります。

コミュニケーションの活性化

従業員は不満があっても、それらを吐き出す機会がないと解消できません。1人で悩みを抱え、結果的に離職を考え退職へと行動に移してしまいます。離職を防ぐには、上司と部下や従業員同士のコミュニケーションの活性化が有効です。

不満が積もってしまう前に、コミュニケーションをとる中で何が不満か、どんな悩みがあるかを早い段階で把握し、改善策を打つことが大事です。

定期的な上司と部下の1 on 1ミーティングや、横の繋がりを深める交流会の開催など、オープンで話しやすい職場環境作りに取り組むと良いでしょう。

人事担当者の工数削減

従業員のフォローは簡単なことではありません。従業員の人数が多い場合、きめ細かなフォローが難しい場合もあります。

また、社内に適切なフォローができるスキル保持者がいなければ、せっかく離職の兆候や要因が把握できたとしても、改善できないといったケースも生まれてしまいます。

離職防止ツールでは、そういったフォローもカバーする機能やシステムが含まれている場合があります。例えば、オンラインカウンセリングシステムや、従業員のセルフケアを促す実践動画といったコンテンツ提供が挙げられます。

離職防止ツールの選び方・ポイント

それでは、離職防止ツールを選ぶにあたって、どんなことに重点を置くとよいかについて解説します。

機能性・デザイン

離職防止ツールは、人事担当者はもちろん、一般従業員も触れるツールとなります。そのため、操作がわかりやすく機能的なデザインであることが大切です。

多機能になると、操作が複雑になる場合もあるので、使う用途をある程度絞り込み、シンプルなツールの方が使いやすい傾向があります。

導入費用

導入費用はさまざまなものがありますが、単純に高い・安いで選ぶのではなく、離職防止につながり、費用対効果が良いか十分に検討する必要があります。

また、会社に合ったツールを選ぶためには、従業員の人数や特徴などを踏まえると良いでしょう。

フォローや研修サービスの有無

離職防止ツールを使いこなすためには、離職防止ツール会社からのフォローも重要な判断材料となります。

離職防止ツールの導入後、わからないことや困ったことがあった際は、問い合わせができたり、事前に研修サービスがある会社が良いでしょう。

人事の負担にならないツール選びも大事な要素です。

同業他社の事例を参考に

各社が出している離職防止ツールの公式サイトには、導入事例を紹介しています。どんな会社が導入しているか、また、自社と同じ分野の企業が導入しているかなど、参考にしてみましょう。

同業他社が導入していると、導入から運用までスムースな可能性が高く、また、安心感もあるでしょう。

まとめ

以上、離職防止ツールについて、特徴や選び方、メリットを解説してきました。従業員の離職には必ず何かしらの理由があります。従業員の離職の原因を正しく把握するために、離職防止ツールは役立ちます。離職防止ツールを使うことで、従業員が抱える悩みや不満にいち早く気づき、労働環境を改善する対策を講じましょう。従業員が活き活きと働く職場作りは、従業員の満足度も高くなり、生産性もアップし、会社の業績にも良い影響をもたらします。

今は各社からさまざまな離職防止ツールが出ています。

プランも多いため、導入を検討されたい方は、製品のトライアル期間を有効活用しながら、本記事で紹介した選び方のポイントを参考に、できる限り複数の離職防止ツールに触れて比較検討してみてください。

自社に最も最適な離職防止ツールを選び、人材流出を食い止めましょう。

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