メンタルヘルスケアを仕組み化する3つのステップ|取り組む意義と重要性とは?

ストレス社会の現代では、仕事でストレスを感じる人が増え続けています。
厚生労働省の調査では、仕事に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じる人の割合は、54%を越え、2人に1人がストレスを抱えています。職場でメンタルヘルスケアを実践することは、本人の幸せだけでなく、企業にとっても生産性の向上、コスト削減、リスクマネジメントなど重要な意義があります。
この記事では、メンタルヘルスケアの意義と実践ステップを解説します。

メンタルヘルスケアとは?

厚生労働省は、以下のように定義しています。
全ての働く人が健康で活き活きと働けるための配慮・サポートをすること
従業員へのサポートがスムーズに行われる仕組みづくりと実践ストレスで不調を感じている人だけではなく、従業員全員を対象に取り組むべきとされているのがポイントです。

  • 仕事・会社が原因で強いストレスを感じている
  • ストレスが原因で心身に不調をきたしている
  • 心身ともに健康に働けている

上記全ての人を巻き込む対策が求められます。

メンタルヘルスが重要視されるようになった背景

きっかけの一つは、新型コロナウィルスの感染拡大です。新型コロナウィルス対策でテレワークを導入したところ、孤独感や運動不足などでメンタル面に不調を感じる人が増えました。
対面で仕事をしていれば、元気がないなどに気付きやすいです。しかし、意識しないとコミュニケーションが少なくなりがちなリモートワークは、従業員の様子から心身の状態を推測しにくいなどの課題を浮き彫りにしました。

厚生労働省の労働安全衛生調査によると、メンタルヘルス対策に取り組む企業は平成30年は59.2%でしたが、令和2年は61.4%と増えています。
メンタルヘルス対策に取り組む企業は増えましたが、4割近くの企業が対策していないとも言えます。メンタルヘルスの不調で休職・退職した従業員は、平成30年の10.3%から令和2年は9.2%と減った結果から、メンタルヘルスケアの重要性を認識し、興味を持った企業もあるでしょう。

「仕事・職業生活に強いストレスや不安を感じる」と回答した人は54.2%にのぼり、多くの方は仕事量や内容が原因と答えています。メンタルヘルス不調の改善は、仕事量の調整など企業で対策できることもあると分かり、取り組みたいと考える企業が増えているのではないでしょうか。

メンタルヘルスケアを実践する意義

従業員が心も身体も健康であることは、高いパフォーマンスを発揮できる、仕事への高いモチベーションを持てるなどのメリットがあります。従業員がポジティブに働けると、生産性アップ、新しいアイデアが生まれやすいなど、会社にも良い影響を与えます。

企業間の競争が激しくなっていることや、SDGsに関連する目標を掲げる企業が増えたことで、「従業員の健康と、幸せを感じながら働ける環境を守る企業こそ成長が続く」「働きやすさと従業員の幸福度が業績を左右する」という見方も出てきました。
新しい社会の動きとともに、世界の投資家たちも、企業が環境・社会・企業統治(ガバナンス)に配慮しているかという点で投資先を選ぶESG投資も見られるほどです。

メンタルヘルスケアの実践で従業員と企業にどのようなメリットがあるのか、ご説明します。

生産性の向上

全ての従業員のために行うメンタルヘルスケアは、従業員の不満の原因を特定し、職場環境の改善、新しい仕組みづくり(たとえば人事評価方法の見直し)などをします。
労働環境の改善などは、ストレスを感じていない人にも働きやすい会社になります。働きやすい職場では、モチベーションや生産性アップなどを期待できます。

2022年5月1日日経新聞朝刊に掲載されたパーソル総研と慶応大学の前野隆司教授の調査結果によると、仕事を通じて幸せを感じる従業員が多い企業ほど業績アップを期待できそうです。調査によると、働くことを通じて幸せを感じる社員の多い企業の約34%は、売上高が増えました。幸せを感じる社員の少ない企業で売上高が増えたのは、25%にとどまりました。

リスクマネジメント

メンタルヘルス不調を抱えた状態で働くのは、従業員にも企業にもデメリットをもたらします。
たとえば、やる気が起きない、集中力の低下でミスが増えるなどです。運転や機械の操作をする仕事だと、大きな事故を起こしかねず、本人以外も危険に巻き込まれる恐れがあります。

従業員の健康問題に適切な対応をしないと、心身の状態が悪化するリスクが高まります。仕事が原因のストレスによる不調を理由に、労災請求や民事訴訟を起こされることも想定されます。

メンタルヘルスの不調が引き起こす従業員と企業へのリスクを最小限にするために、従業員がストレスを蓄積しないための取り組みが求められます。

離職防止によるコスト削減

メンタルヘルス不調が悪化すると、休職や離職に至る前に、仕事への意欲がなくなる、判断が遅くなる、遅刻が増えるなどが見られるようになります。調子を整えないでいると、休職や離職が懸念されます。
従業員の休職・離職は、貴重な戦力を失うということ。従業員のスキルや経験は、他の人にそのまま引き継げるものではありません。故に、会社は大切な知識や技能を失ってしまいます。

離職のデメリットとして、採用から育成に費やしたさまざまな資源が無駄になることも挙げられます。
新卒採用は、求人広告の掲載などのコストがかかります。育成には、多くの時間を費やします。たとえば、新入社員が1人で仕事ができるまで、担当者は教えながら自分の仕事を進めることになるので、生産性の低下が懸念されます。

従業員の変化にいち早く気付いて対処し、休職・離職を防ぐことは、離職などに伴うコストを抑えながら、働きやすい会社づくりにつながります。働きやすい会社なら、長く働きたいと思ってもらえるでしょう。

組織の活力を生む

人間関係は働きやすさを左右します。メンタルヘルスの不調によって退職した人の理由では、人間関係に関する内容が多く挙げられます。
従業員は、職場の人との関係やハラスメントに対処してくれない会社では安心して働けません。不安などネガティブな感情が募り、心身に悪影響を及ぼすリスクが高まります。心身の不調を理由に、休職・離職を検討する方もいるでしょう。

相談窓口の設置、社内イベント、コミュニケーションをとることを目的としたスペースの設置など、何かあったらすぐに相談できる体制を整えながら、従業員間のコミュニケーションが活発になる仕組みをつくりましょう。コミュニケーションのおかげで新しいアイデアがどんどん生まれるなど、誰もが活き活きと働ける職場となるでしょう。

産業医に相談する従業員のイメージ写真

メンタルヘルスケアの3つのステップ

メンタルヘルスの状態によって、適切な対処が異なります。

一次
予防
ストレスが原因の不調が起きる前に防ぐ段階。
ストレスチェックやストレスマネジメント研修の実施など
二次
予防
メンタルヘルス不調が表れた従業員を早めに見つけ、悪化しないための対処が求められる段階。
相談窓口の設置、産業医といった専門家との面談など
三次
予防
職場復帰を支援する段階。
職場復帰支援プログラムや復帰後のサポートなど 何をしたら良いのか段階ごとに解説します。

未然に防ぐ(一次予防)

従業員のストレスの状態を把握するストレスチェックや、ストレスを感じにくくするための考え方・感じた時の対処を学べる研修の導入がおすすめです。 ストレスチェックとは、従業員自身で質問票に回答し、結果の分析を通じて、ストレスの状態が分かる検査です。2015年12月から、従業員50人以上の事業所で義務化されています。ただし、契約期間1年未満、所定労働時間3/4未満の従業員は対象外です。
厚生労働省の令和2年の調査で、1,000人以上の企業の実施率は99.1%に対し、30~49人の企業で62.4%、10~29人の企業は52.7%と、義務化されている規模の企業とされていない希望の企業で、実施状況に大きな差がある現状が判明しました。 ストレスマネジメント研修などは、外部機関に依頼しても良いでしょう。従業員のストレスの原因を洗い出し、ストレスの要因をなくすために労働環境を改善することも、予防になります。
たとえば、人員配置やレイアウト変更、進捗を共有できるツールを用いた作業分担といった残業時間を減らす仕組みづくりなどです。

早期に発見する(二次予防)

休職・離職に至らないためには、メンタルヘルス不調にいち早く気付き、悪化させない対処が重要です。
産業医との面談、外部機関への相談などを従業員に勧めましょう。 従業員の中には、産業医などに相談しにくいと思う方もいます。不安や悩みを抱えた時、上司や同僚にいつでも相談できる雰囲気も大切です。どこ・誰に相談するか、相談したい旨をどのように伝えるかなどが分かることがポイントです。 従業員に以下のような状態が見られたら、困っていることはないか聞いてみると良いでしょう。

  • 遅刻や欠勤が増える
  • 無断欠勤
  • 集中力の低下、ミスが増える
  • コミュニケーションが減る
  • 服装の乱れ、清潔感がなくなってきた

など

職場復帰を支援する(三次予防)

メンタルヘルス不調で休んでいた従業員の復職は、貴重な人材を失わずに済むということです。適切なサポートは、再発防止も含みます。
ポイントは、休職中の従業員の不安を和らげる、職場復帰後に少しずつ仕事に慣れさせるなどです。

  1. 休職中の経済補償、不安・悩みの相談先などの情報提供
  2. 従業員との連絡
    • 従業員が休職中に孤独感を覚えないようにすることと、復帰をあせらないようゆっくり治してほしいことを伝えるのが目的です。連絡頻度の目安は、1ヶ月に一度です。
  3. 復職の希望を伝えられ、主治医や産業医から復帰可能な旨の診断が出たら、職場復帰のためのプランを立てる
    • 従業員の気持ちや専門家の意見を考慮しながら、勤務時間や業務の負担などを考えましょう。
  4. 職場復帰後は、不調が起きていないか、業務を進めるにあたり問題が発生していないか(たとえば新しい仕組みやツールを活用できているかなど)、職場環境や組織のメンバーの配慮は適切かなどを確かめながら、徐々に仕事・会社に慣れてもらう


従業員の状態によっては、復職プランを変えてください。

まとめ

メンタルヘルスケアは、経営層・マネージャー・人事などの管理部門はもちろん、現場の従業員を含め全ての従業員が目的・重要性を理解することが求められます。
ストレスを完全になくすことはできません。しかし、ストレスを感じた時の対処法や強いストレスを抱えた人のサポートを学べる機会を提供することで、休職・離職のリスクを減らせます。
研修や不調を抱えた時の相談先として、外部の専門家に頼っても良いでしょう。
従業員の心身の健康を守るさまざまな取り組みで、大切な人材の流出を防ぎましょう。

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