リーダーをサポートしながら組織に良い影響を与える一員になるには、フォロワーシップが欠かせません。
フォロワーシップを持つメンバーで構成される組織で期待できるのは、活発なコミュニケーション、強い信頼関係などで会社の発展のために仕事に前向きになれることです。
本記事は、フォロワーシップの定義・注目される理由・効果と併せて、身につける方法を解説します。
フォロワーシップとは
フォロワーシップとは、チームワーク向上を目的にリーダーや他のメンバーに積極的に働きかけることです。「リーダーを率先して支援する」「自らの意志で組織に貢献する」などの意味を含みます。
フォロワーと聞くと、リーダーを補佐する役割のある部下・メンバーを思い浮かべることから、フォロワーシップは一部の従業員に求められるものと考える方もいるでしょう。
しかし、フォロワーシップは全ての従業員に求められます。より良い組織づくりにチーム全員の協力が欠かせないためです。
例えば、立場・役職に関係なく、リーダーに意見できることが求められます。時には、リーダーがリーダー的役割を担う部下に提案や批判など、フォロワーのような働きをすることも必要です。
また、フォロワーシップと似た言葉に「メンバーシップ」があります。フォロワーシップもメンバーシップも、チーム・組織を良くするためのものである点は共通です。違いはどのようにサポートするかです。
フォロワーシップはチームの機能を果たすためにリーダーをバックアップするのに対して、メンバーシップは自分の役目を果たしたり目標を達成したりしてチームを支えます。
フォロワーシップが注目される理由
リーダー以外に意思決定に関わるメンバーの重要性が認知されてきたことで、フォロワーシップが注目され始めています。
リーダーを支え、チームを導く存在の必要性
顧客に満足してもらえる、社会からのニーズが高い、といった商品の開発や提案にリーダーを支える人材は欠かせません。
ビジネス環境が変わるスピードは速く、時代の変化に合う業務展開が必要です。リーダー以上に現場で仕事をする機会の多いメンバーの視点は、顧客・社会から求められる新規事業に活かせると期待できます。
またリーダーは、メンバー管理以外にも仕事を担っていることが多く、チームを引っ張るのがたやすくない点でも、リーダーを助けるメンバーは大切な存在と言えるでしょう。
「メンバー」が及ぼす影響力
カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授の調査で、リーダーが組織に与える影響力は10~20%なのに対し、メンバーが組織に与える影響力は80~90%との結果が出ています。
メンバーの占める割合は組織の中でも多く、日頃現場に近いところで実務を行っていることが理由といえます。
メンバーのフォロワーシップが高いほど、組織で高い成果を発揮できるでしょう。
リーダーシップとフォロワーシップの関係と相乗効果
組織を動かすのに、フォロワーシップと切り離せないのがリーダーシップです。
リーダーシップは組織のビジョン・方向性を示す、意思決定することで発揮されます。
またフォロワーシップに基づく行動は、組織の目標達成のため具体的な計画に基づいて業務を進める、リーダーの設定した目標や意思決定に問題がある場合は代案を進んで持ちかける
といったことです。
リーダーシップとフォロワーシップ、どちらかだけでは効果が低く、相互に働きかけられることで一体感のある組織となります。
フォロワーシップ理論の5つのタイプ
ロバート・ケリー教授は、「批判的思考」「積極的関与」の2つの軸を基にフォロワーを5つのタイプに分けました。
2つの軸の定義は以下の通りです。
- 批判的思考:リーダーの指示・決定に対し、自分から批判や提言ができること
- 積極的関与:リーダーの指示・決定を前向きに捉え、組織を良くするための行動を積極的にとれること
タイプ①:模範的フォロワー
理想的なフォロワーとされるのが模範的フォロワーです。積極的に意見を言え、他のメンバーのことを考えながら行動にも移せます。
リーダーシップも持っているので、メンバーをまとめるような仕事も任せられ、将来的にはリーダーとして活躍できる素質を備えています。
タイプ②:孤立型フォロワー
意見は言うものの、組織への貢献度が低いため行動力はありません。ですが、意見を言えるのは物事を冷静に見ているからとも捉えられ、チームにメリットの大きい意見を持っていることも多いです。良い案や改善策はないか聞くようにし、評価していることが伝わるようにしましょう。
実行力も高めるには、信頼しているからこそ手本となるような行動を示してほしいことも伝えるのがポイントです。
タイプ③:順応型フォロワー
自分から意見を言うことは少ないですが、言われたことはこなせるタイプです。指示に従ってくれる、チームの和を乱すような態度をとらない点では一緒に働く上で困ることはないですが、自らのアイデアを共有したり自分から動いたりするのは苦手です。
主体性を持てないのは、反対意見を述べたり自分なりに仕事を進めたりすると、評価が下がると思い込んでいる可能性も考えられます。
考えを共有する機会や、チャレンジできる環境で自分の考え方が悪く評価されないと分かると、主体性を持てるようになるでしょう。
タイプ④:消極的フォロワー
意見もなく自分から動こうともしない、フォロワーとは言い難いタイプです。自分の考えや行動でチームに迷惑がかけることを恐れ、積極性や主体性を失っているとも考えられます。
自分で考えて動くのが苦手なので、仕事を頼む時は、やってほしい業務内容と業務の目的・お願いした理由なども説明することがポイントです。
スムーズに業務をこなせるようになるまで大きなリターンを期待せず、伝えたことができていたら評価するくらいの姿勢が求められます。
業務中に不明点やトラブルがあっても、相談・報告しないことがあるので、困ったことはないか定期的に聞くことも大切です。
タイプ⑤:実務型フォロワー
適度に意見を述べたり行動に移します。また、仕事は仕事と割り切っています。
限られた範囲内でも主体性と積極性を発揮できるので、頼んだ仕事をしっかりこなせていたら評価し、新たな仕事を依頼するというように、責任ある仕事を少しずつ任せることでフォロワーシップの発揮が期待できます。
フォロワーシップに期待できる効果
フォロワーシップは、組織全体はもちろん、メンバー一人ひとりの働き方の意識を変えるのにも有効です。
組織的効果
部下が自発的に動き、積極的にリーダーをサポートできるようになると、以下のような効果を期待できます。
- リーダーの考えをチーム全体で共有・理解した上で、目標達成のための行動に移れる
- コミュニケーションが活発になる
- 現場の情報を上層部に伝えやすくなる
- 決定に誤りがある時は方向性を正したり、滞っている業務を分担したりして上司をフォローできる
- チームで目標や仕事の目的が共有されることで、一体感が生まれる
個人的効果
一人ひとりが良い人間関係を築きながら率先して仕事ができるようになると、キャリアアップにもつながり、以下のような変化が見られます。
- メンバー間の結束が強まり、信頼関係が生まれる
- 指示を待たずに自分から動けるようになる
- 若手の時から上司に提言する機会が多いおかげで、権限のある仕事ができる可能性が広がる
- 上司の立場に立って仕事をすること自体が、人材育成の一環になる
フォロワーシップで組織を動かす行動例
7つのポイントを押さえて、フォロワーシップを組織で活かしましょう。
意見・アイデアを積極的に提案
自分なりの考えを持つことはフォロワーシップに欠かせません。新しい視点は組織の発展に役立ちます。
ただし、斬新であったり、今までのやり方・考え方を変えたりするのが良いとは限りません。実践には、顧客・リーダー・チームのニーズを満たし、社会で必要とされる意見・アイデアを提案することがポイントです。
雑務でもきちんとこなす
どのような仕事にも真面目に取り組むことが組織への貢献になります。
例えば、データ入力や資料作成といった、自分らしさを出すのが難しい業務にやりがいを感じるのは難しいかもしれません。しかし、業務内容に関係なく、期日までにミスなく仕事をこなす姿勢はチームに良い影響を与えます。
報連相を怠らない
フォロワーシップを発揮できるメンバーは報連相を怠りません。
信頼関係や強いつながりはチームの現状把握から生まれます。また、リーダーが現場状況を知れるとマネジメントもしやすくなり、サポートにつながります。
上司も完璧でないことを理解する
上司が常に正しいとは限りません。上司の間違った判断や不適切な仕事の進め方を指摘し、チームを正しい方向性に導くためにフォロワーがいます。リーダーの指示・決定に疑問があれば、メンバーから訴えることも重要です。
上司の最終決定を支持する
リーダーは最終決定の権限や責任を持ちます。フォロワーシップを持つメンバーは、決定が下されるまでに、リーダーとこまめにコミュニケーションをとりながら目標や途中経過を共有しているため、最終決定を受け入れられます。
また上司も、組織の中ではフォロワーの一人です。部下からの信頼を得るには説得力ある言葉で伝える必要があります。
前向きな姿勢を貫く
仕事で失敗した時、立ち止まっているだけでは状況は良くなりません。失敗を悪いことと捉える代わりに、メンバーを励ましながら状況を打破するためのアイデアを考えたり、行動をとることが必要です。
いつも前向きに仕事に取り組むメンバーは、周囲に良い影響を与える点でフォロワーの素質があります。
未来志向
フォロワーシップが高いと、チームの目標・ミッションを理解した上で、会社や社会に貢献できることを積極的に発信します。今やるべきことだけではなく、将来のためにできることを考えながら行動します。
フォロワーシップ研修
部下のフォロワーシップを高めるには、外部のセミナーや研修をを受けるという方法もあります。
提供する会社によってプログラム内容は異なりますが、1~2日間の講義やグループワークの受講というケースが多いです。
研修では、
- リーダーの考えを理解した上で適切な行動をとれる
- チームがより良くするための試行錯誤を続けられる
- 周囲を巻き込んで動ける
などといった力が身につくことを期待できます。
社員の精神状態の可視化に役立つツール ラフールサーベイ
「ラフールサーベイ」は、社員の精神状態を可視化することのできるツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。
社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
まとめ
フォロワーシップは、リーダーを支えながらチームを良くするために、メンバー全員が身につけるべきスキルです。
メンバーの主体性と積極性を高めるには、チームの目標・決定事項を共有しながら、メンバーのアイデアを聞く機会を増やす、指示したことをクリアしていたら評価するといったことが求められます。
また、仕事で使えるまでのフォロワーシップを効率的に身につけるのに、外部研修の参加もおすすめです。