グループワークのメリット、事前準備、グループディスカッションとの違いも解説
採用担当者であれば耳にすることも多い「グループワーク」ですが、実はどのようなことを実施するのか・どのようなメリットがあるのか知らない人も少なくありません。正しいやり方を理解することで、より有意義なグループワークを実施できます。
グループワークとは
そもそもグループワークとはその名の通り、複数の人間(=group)で作業(=work)することです。特に採用試験・研修・インターンシップなどで実施されることが多くなっています。4~6人程度のグループに分かれてディスカッションまたは作業を行い、その結果を発表します。制限時間は企業によってさまざまですが、一般的には20~40分程度です。どれくらいの人数・時間であれば評価しやすいかを考えて、グループワークを設計することが重要と言えるでしょう。
採用試験においてグループワークが注目されている理由は、応募者のさまざまな要素をまとめて評価できるからです。具体的には他者と協力するコミュニケーション力、グループを指揮するリーダーシップなどが挙げられます。これは1対1の面接では見られない、グループワークならではの評価ポイントです。実際に仕事に就いた際、社員やクライアントなど多くの人と関わります。グループワークによって「チームで動いた時にどのような行動をとるか」対人力を確認できるため、採用している企業が増加しています。
また、研修においてグループワークを採用した場合、コミュニケーション力・リーダーシップなどを養うことも可能です。新たな能力を養うだけではなく、社員本来が持っているスキルを発揮する場としても活用できます。グループワークのやり方によって身に付く、または発揮できるスキルはさまざまです。そのため社員の特性に応じて、適切なグループワークを実施する必要があります。
グループワークとグループディスカッションの違い
グループワークと同じような言葉に「グループディスカッション」があります。明確な違いが定義されている訳ではありませんが、厳密に言えば意味合いが異なります。目的に合った活動を実施したいなら、グループワークとグループディスカッション、それぞれの特徴をしっかり理解しましょう。
まず、グループワークには2つのプロセスが存在します。1つ目は結論を導き出すディスカッション、2つ目は結論を第三者に伝えるプレゼンテーションです。ディスカッションでは1つのテーマに対してグループ内でどのように意見をまとめるのか、思考力やコミュニケーション力を確認できます。ディスカッションを行った後、グループワークではその結果を第三者に発表するのが一般的です。この時、成果物として営業資料・チラシ・アプリなどを制作することも少なくありません。結論を導き出すプロセスだけではなく、「発表」というゴールまで評価対象に含めているのがグループワークの特徴と言えるでしょう。
最終的には成果物を制作することを想定しているので、ある程度分かりやすいテーマを設けていることが多くなっています。
一方のグループディスカッションは、議論するプロセスのみに重点を置いていることが特徴です。1つのテーマに対して個々がどのような意見を出し、グループ内でどのような議論が展開されているのかが評価対象です。また、グループ内で賛成派・反対派に分かれて、ディスカッションをする方法もあります。成果物に重きを置いていないので、「人生において重要なことは?」など結論が出ないテーマを設定することも多いです。
グループワークのメリット
グループワークには実際どのようなメリットがあるのでしょうか?グループワークは以下のような目的で実施されることが多くなっています。
協調性やコミュニケーション力を評価・育成できる
グループワークでは他人と協力する能力が必要不可欠です。そのため採用試験に取り入れることで、協調性やコミュニケーション能力を見極められるメリットがあります。どのような職業においても、チームでプロジェクトを運営する機会は数多く存在します。他人とどのように協力して課題に取り組むのか、リアルな姿を確認することが可能です。
ですが仕事をする上で、他人の意見ばかり尊重する訳にもいきません。時には自分の意見も伝える必要があります。グループワークでは自己主張力と協調性、そのバランスを見極められます。さらに、グループワークで見られるコミュニケーション力は実際のミーティングでも発揮されます。その人が自社で働いた場合にどのような能力を発揮するのか事前に把握できるため、ミスマッチの少ない人材確保につながります。
また、研修として実施すればコミュニケーション能力を養えるので、自分の意見を相手に伝える能力を向上させることが可能です。
積極性を評価・育成できる
通常のミーティングと比較すると、グループワークの方が参加者の主体性を促します。参加者が自由に意見を述べ、他者の意見を聞けるため、積極性を評価・育成できます。
ただし、ここで言う積極性は単純に発言回数が多いことではありません。自分の意見を主張しながら、積極的に相手の意見を聞いて取り入れる能力も求められます。重要なのは積極的にチームに貢献しようとする姿勢です。単なる発言量に囚われず、チームのために行動しているかに着目してください。
論理的思考力を評価・育成できる
チームワークだけではなく、個々の思考力を見極めることも可能です。仕事をしていれば、いつかは課題にぶつかります。その際、課題に対して考えを整理し、解決策を導き出す論理的思考力が必要不可欠です。グループワークで提示された複雑なテーマに対して、どのように論理的思考力を発揮するのか評価できます。
臨機応変な対応力を評価・育成できる
筆記試験や面接はある程度対策を練れますが、グループワークはそうはいきません。実際にグループワークに参加するまで何が起きるか分からず、その場の臨機応変な対応力が問われます。1人で解決できない課題に直面した時やトラブルに見舞われた時、どのように切り抜けるのかとっさの柔軟力を評価できます。
対応力をチェックしたい場合、グループ内で話が滞っているシーンに着目するのがコツです。話が行き詰った時にどのような打開策を出しているのかを見極めれば、対応力があるのか判断できます。
大人数を一斉に評価・育成できる
一般的にグループワークは同時刻に複数のグループで行うことが多いです。1対1で面接するよりもはるかに大人数を一斉に評価できます。グループワークのやり方次第では時間・コストともに削減できる可能性があり、運営側の負担を軽減できます。特に大規模な企業であれば応募者が非常に多いので、グループワークを取り入れればより多くの応募者と接触できるかもしれません。
グループワークの種類
一言でグループワークと言っても種類はさまざまです。どのようなグループワークの種類があるのか見ていきましょう。
①プレゼン型
最もオーソドックスなグループワークの種類として、「プレゼン型」が挙げられます。ディスカッションをした後、資料などに考えをまとめて発表するスタイルです。実際のビジネスシーンに非常に近く、ビジネススキルや表現力を評価・育成できます。
また、プレゼン型にはテーマによって課題解決型・自由討論型・選択型・ビジネス型の4パターンがあります。「自社の売上アップ対策」「残業時間を減らす対策」などのテーマが課題解決型です。与えられた課題の原因を探り、解決策を見いだします。
参加者の自由な発想を評価できるのが自由討論型です。「良い会社の条件」「理想の上司」など、捉え方によってさまざまな案が出るテーマが設定されます。自由な案が出やすい分、グループ内で意見をまとめるのが大変です。発想力に加えてリーダーシップまでチェックできることが自由討論型のメリットと言えるでしょう。
選択型は「高齢者が飼い始めるなら犬と猫どちら?」というように、選択肢から回答を選んだ上でグループワークを実施します。例えばグループ内で犬派と猫派がいた場合、意見を取捨選択する必要があります。意見が対立した時にどのように対処しているのか、リーダーシップを見極めることが可能です。
ビジネス型ではよりビジネス現場に近づけるため、実際に自社で取り扱っている商品や課題を利用します。「新商品のPR方法」「会員登録数増加の方法」などが具体的なテーマとして挙げられます。事前に客層・商品の特徴などをまとめた資料が配布されるケースも少なくありません。その人が自社で働いた場合にどのような能力を発揮するのかリアルな成果が見られるので、非常に有意義なグループワークと成り得ます。
②作業型
ディスカッションに加えて、作業がプラスされているのが「作業型」のグループワークです。作業の内容としてホームページ案の作成・アプリ開発などが挙げられます。限られた時間で議論・作業をする必要があるので、計画性を評価したい場合に便利です。パソコンなどを使う場合は、どれくらいの実務スキルがあるか判断できます。
③ゲーム型
研修で用いられることが多いのは、楽しさを重視した「ゲーム型」です。ゲームを通して参加者同士のコミュニケーションを図り、発想力などを見極めます。代表的な例に「紙コップでできるだけ高いタワーを作ってください」というテーマがあります。紙コップの積み方によって、タワーの形はさまざまです。ただ積むだけではなく、切ったり貼ったり…自由な発想が求められます。
また、プレゼン型・作業型に比べてその人の素が出やすい特徴があり、ビジネススキル以上に人となりを見て人材を確保したい場合に最適です。
グループワークの役割
グループワークにおける役割配分にはどのようなものがあるのでしょうか?以下で紹介します。
進行・リーダー
実はグループワークにはさまざまな役割があり、進行を務めるのが「リーダー」です。結論を出すだけではなく、議論をうまく展開させる能力が求められます。発言していない人がいれば「○○さんはどう思いますか?」と話を振ったり、話がずれていれば軌道修正する必要があります。また、他者の意見を聞くだけではなく、自分の意見を述べることも重要です。自己主張と聞く能力、バランスのよいコミュニケーション能力が最も問われる役割と言えるでしょう。
視野が広く話を聞き出すことが上手な人はリーダーに向いています。全員とコミュニケーションをとる必要があるので、初対面の人と話をするのが苦手な人には不向きと言えます。
書記
リーダーの補佐に位置するのが、「書記」です。ディスカッションの内容をメモし、時には現在の状況を全員に共有します。意見をまとめて全体像を把握しながら、自分の意見も述べる必要があります。
相手の趣旨を汲み取るのが得意な人は話の内容をまとめやすいので、書記に向いています。メモしながら相手の話を聞いたり意見を述べるため、1度に2つのことを同時にできない人は不向きと言えるかもしれません。
タイムキーパー
他のポジションに自信がない人に向いているのが、比較的負担の少ない「タイムキーパー」です。その名の通り、ディスカッションにおける時間を管理します。グループワークでは最初の1~2分で時間配分を決定します。そのスケジュールに沿ってディスカッションが進んでいるか、時間を確認するのがタイムキーパーの仕事です。
時間配分が苦手な人には向いていませんが、時計を見ながら「5分」「10分」と経過時間を伝えるだけでも十分に役割を果たせます。
監査
「監査(監視)」はリーダーとタイムキーパーを兼ね備えたような役割です。冷静に判断できる人向きで、なかなか判断できない優柔不断な人には向いていないと言えます。ディスカッションの内容がテーマから逸脱していないかをチェックするのが主な仕事です。その人の意見がテーマに沿っているか、常に客観的な視野が求められます。
フォロワー
これまで述べたどの役割も担わなかった場合、全てのポジションの「フォロワー」としてアピールすることも可能です。書記のメモが間に合っていないなら聞き逃しを補填するなど、他の人が困っている時に助け船を出します。特別な役割がない分、積極的に意見を述べやすいことが特徴です。さらにアピールしたいなら、プレゼンテーターに立候補する方法もあります。
観察力のある人は他の人が困っていることに気づきやすいので、フォロワーに最適です。自由度が高い分、「自分で考えて動くのが苦手」と感じている人は仕事が決まっている他のポジションの方が向いています。
グループワークの事前準備
グループワークを成功させるためには、以下のような点に注意して事前準備を行う必要があります。
評価基準を明確にしておく
参加者を平等に見るために、評価基準を明確にしておくことが非常に重要です。評価基準はポジション別・項目別に細かく設定しておきます。例えば「コミュニケーション能力」を評価項目にした場合、「発言数」「他の人に意見を求めているか」など細かく設定した方がその人の特性を理解しやすいです。自社が求めている人材確保につながるので、できるだけ具体的な評価基準をメンバー全員で共有してください。
段取りは入念に行う
参加者によいイメージを与えられるように、細かい部分まで段取りを行うことも大切です。スペース・備品など必要なものは事前に準備し、必要であれば社員を相手に最終チェックを行う方法もあります。最終チェックでテーマの難易度や進行の仕方を確認してもらえば、質の高いグループワークに仕上がります。
やりっぱなしにしない
新卒採用などの採用試験であれば、グループワークを毎年実施するケースもあります。やりっぱなしで終わらず、来年に向けて振り返りをしてください。必要であれば、参加者へのアンケートを活用してブラッシュアップする方法もアリです。
アイスブレイクを実施する
参加者の緊張をほぐして本来の力を発揮してもらうために、アイスブレイクを実施するのも有効な手段と言えるでしょう。グループワーク前に簡単な自己紹介の時間を設けることで、活発なディスカッションにつながります。
自己紹介の際、「最近あった嬉しい話」「座右の銘」などの一言を含めるように指示を出せば、初対面でも簡単に仲を深められます。
社員の状態把握の可視化に役立つツール ラフールサーベイ
「ラフールサーベイ」は、社員の状態把握の可視化に役立つツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。
社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
まとめ
グループワークは実際の仕事に必要な能力を評価できるので、採用試験や研修で活用するメリットが豊富です。ただし、さまざまなやり方があるため、グループワークを実施する目的を明確にした上で最適の方法を見つける必要があります。実際に取り入れる場合はPlan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)のPDCAサイクルを意識し、念入りに準備した上で挑んでください。