【マネジメントサイクル】上手く回すコツとは?種類や重要性を解説

【マネジメントサイクル】上手く回すコツとは?種類や重要性を解説

マネジメントサイクルとは、企業が目標達成を行うための管理システムを指します。

取り組む重要性を理解しつつも、「どんな風に取り組んだらいいんだろう」「なかなかうまくいかない」と頭を抱えている方も多いかもしれません。
そこで今回はマネジメントサイクルの5つの種類、上手く回すポイント、成功事例を中心に解説します。業務やプロジェクトの運営に関わる方や、効率の良い目標達成法を学びたい方はぜひ参考にしてください。

マネジメントサイクルとは

マネジメントサイクルとは、企業が目標達成を目指す上で必要である業務を円滑に進めるための管理手法です。具体的には、企業が組織として更なる成長を見据えた際に「目標を達成するためにどのような過程で業務を回せば効率が良いか」と検討する際に活用します。

マネジメントサイクルの代表的な手法としてPDCAサイクルが挙げられます。耳にしたことがある方も多いかもしれません。

第二次世界大戦後に、アメリカのウォルター・シューハート博士による提唱を参考に、弟子であるエドワーズ・デミング氏が統計的品質管理について講演を行いました。この講演を聞いた日科技連の幹部によってPDCAが提唱したとされており、PDCAサイクルは長きにわたって組織で用いられているマネジメントサイクルの1つです。

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マネジメントサイクルの歴史

フランスの鉱山経営者アンリ・ファヨールは『管理過程論』を唱え、マネジメントサイクルの歴史を築いた人物の1人です。管理過程論とは、管理機能を6つの機能に分類することで経営管理における過程を理論化した論理です。

6つの機能はどのような企業においても経営活動を行う上で不可欠な機能であり、この経営管理の過程を踏むことで経営活動が成功することを主張しました。その6つの機能は以下の通りです。

  1. 技術活動:生産、製造、加工
  2. 商業活動:購買、販売、交換
  3. 財務活動:資本調達と運用
  4. 保全活動:資産と従業員の保護
  5. 会計活動:財務目録、貸借対照表、原価、統計など
  6. 管理活動:計画、組織、命令、調整、統制

中でも6番目の「管理活動」は経営に欠かせない行動として捉え、5つの管理原則を提唱します。

  • 計画
  • 組織化
  • 指揮、指令
  • 調整
  • 統制

この5つの管理原則がマネジメントサイクルの理念となり、現代においても経営活動における不可欠な概念として認知されています。

代表的なマネジメントサイクル

代表的な5つの種類がこちらです。

  • PDCAサイクル
  • PDSサイクル
  • OODAループ
  • CAPDサイクル
  • PDRサイクル

1つずつ特徴や使い方を確認しましょう。

PDCAサイクル

PDCAサイクルはマネジメントサイクルの代表例とされています。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つの過程を回し業務管理を行います。

具体的にはまず、課題解決のために達成すべき目標に対する計画を立て実行します。次に実行した内容を目標と照らし合わせ、行動の評価を行います。評価結果を元に行動内容を改善し、再度計画、実行とサイクルを回していくのです。PDCAサイクルは短期間でサイクルを回していく特徴があるため、業務効率の改善に期待できます。

ただし問題点として下記の事柄が考えられます。

  • 計画が非現実的な内容であるとその後のサイクルが回りにくい
  • 4つの過程に囚われてしまうと目の前のチャンスを逃す可能性がある

対策として下記の事柄に注意し、取り組みましょう。

  • 目標だけでなく現状も考慮しそのギャップを埋める計画を立てる
  • 大きな目標を細分化した小さな業務でPDCAを用いて柔軟な行動を起こしやすい状態を心がける

PDSサイクル

PDSサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、See(評価・見直し)の3つの過程を回し業務管理を行うことです。PDCAとの違いは、PDCAにおけるCheck(評価)とAction(改善)が、See(評価・見直し)に集約されたサイクルであることです。取り組み方としては目標を元に計画を立て、実行後に評価と見直しを同時に行います。特徴としてより短いスパンでサイクルを回せるため、短期的な目標や小さい業務を行う際に適しているでしょう。

問題点としてはPDCAと同じように、計画内容が現実的で実現可能なものでなければサイクルが回りにくくなります。目標と現状を照らし合わせ差を埋めるような計画を立てるよう努めましょう。

OODAループ

OODAループとは、Observe(観察)、Orient(仮説構築)、Decide(意思決定)、Act(実行)の4つのステップから成ります。代表的なPDCAサイクルとは目的が異なります。PDCAでは業務効率の改善が目的とされますが、OODAループの目的は意思決定です。具体的には、目標に対し現状を踏まえた上で最善の判断は何かを検討し決定の上実行に移ります。そのため、「新規事業の立ち上げ」や「新たな部署の設立」など課題に対する最善の方法を検討し行動する際に役立てられます。
注意点としては、組織としての意思決定が行われるため経営陣や部署におけるトップの存在が必要です。個人やチームリーダーでは決定が難しい場面が考えられるため、経営層を巻き込み取り組みを行いましょう。

CAPDサイクル

CAPDサイクルとは、Check(評価)、Action(改善)、Plan(計画)、Do(実行)のステップで構成されています。代表的なマネジメントサイクルであるPDCAと4つのステップは同じものの、取り組む順番が異なります。具体的には初めに現状の評価を行い改善に取り組んだ上で計画に移るため、改善がスムーズに進みやすい特徴があります。現状をよく理解していないまま計画を立てるのはなかなか困難ですが、CAPDサイクルでは予め評価や分析を行います。そのため現状を理解した上で計画内容を検討でき、改善に近づきやすくなるのです。
注意点としては、初めに行う評価や分析の精度を高めることです。評価内容の精度がその後の計画に影響するため、適切な評価・分析方法を検討し実行すると良いでしょう。

PDRサイクル

PDRサイクルとは、Preparation(準備)、Do(実行)、Review(評価)から成ります。代表的なPDCAと比べ少しの過程でサイクルを回せるため、トラブルや変化に迅速に対応できる特徴があります。手順としても準備をした上で行動を起こし評価するという、シンプルで取り組みやすいため幅広い業務に用いることが可能です。しかし取り組みやすいゆえに問題点として、3つのステップが混同しやすいことが挙げられます。準備と行動を並行して行うことや、実行している途中で評価を行わないよう注意しましょう。

マネジメントサイクルの重要性 

マネジメントサイクルのメリットは、業務効率改善による企業の成長だけでなく人材の流出防止も挙げられます。なぜならマネジメントサイクルによる継続的な取り組みによって、目標や改善すべき点が明確化され公平な評価が行われるため、従業員のモチベーションが向上されるのです。マネジメントサイクルの種類によっては短いスパンで結果や成果を積み重ねることも可能であり、従業員は成功体験を感じやすくなるでしょう。企業にとっては業務効率改善という経営的な側面に加え、人材の流出防止や定着を実現することで更なる生産性向上にもつながります。そのためマネジメントサイクルは組織全体の成長を目指す上で重要な取り組みと捉えられます。

マネジメントサイクルが上手くいかない理由 

マネジメントサイクルが好転しない理由について、代表的なPDCAサイクルを例に解説します。サイクルの回し方に悩んでいる方や、これからマネジメントサイクルを取り入れる方も確認しておきましょう。

Planに問題がある場合

Planに問題がある場合には、企画や計画内容が困難であることが当てはまります。目標に囚われ取り組みが非現実的な内容である場合や、仮説に誤りがある場合が考えられるでしょう。計画が立案された経緯や現場における現状を確認してみましょう。

Doに問題がある場合

Doに問題がある場合には、行動指標や取り組み内容が現場社員に伝わっていない可能性があります。行動内容が漠然としていることや目標が大きすぎる場合も、行動しにくく問題が生じてしまいます。そのため行動を起こしやすいよう目標を短期的なものに置き換えることや、具体的な行動内容を伝えるよう改善しましょう。

Checkに問題がある場合

Checkでの問題の原因は評価基準にあります。評価基準が曖昧なことやわかりにくいものであると、公平で正確な評価は行えません。基準を数値化することや、誰でもわかりやすい指標を設けるなど評価基準の見直しを行いましょう。

Actionに問題がある場合

Actionでの問題は改善策の内容に問題があると捉えられます。改善策が最適なものでなければ次の計画に活かすことが難しく、サイクルが進みにくくなる原因となり得ます。評価内容を改めて確認し分析を実施するなど、改善策が最適な内容となるよう取り組みましょう。

マネジメントサイクルを上手くまわすには

マネジメントサイクルを上手く回すポイントを紹介します。内容によっては他のマネジメントサイクルでも活用できるため、今一度確認してみましょう。

目標の明確化

マネジメントサイクルを通しどのような目標を達成するのか具体的に定めましょう。目標が抽象的であると計画内容は曖昧なものとなり、実行する際にも迷いが生まれてしまいます。そのためサイクルは上手く回転せず、PDCAを取り入れた意味を感じられないでしょう。目標は具体的な内容を検討し、さらに売上金額など数値化した目標を設定することでサイクルを回しやすくなります。

プロセスを記録

実行のステップにおいて行動のプロセスを記録すると、成果や結果を明確に振り返れ評価・改善に取り組みやすくなります。例えば実行する中で発生した課題やそれを乗り越えた方法など、具体的な行動の過程を記録しましょう。計画の段階では予想できなかった問題や成功事例が情報として蓄積されると、その後の評価や改善に活かせます。ノウハウが蓄積された評価や改善は次の計画に役立てられ、サイクルのステップアップが可能となるのです。

徹底的に原因を突き止める

評価のステップでは、実行における結果の「原因」を深堀りすることが大切です。
具体的には
「達成できなかった原因は何なのか」
「できた結果はなぜ実現されたのか」
「その結果に至った理由は何か」
など原因や経緯を洗い出します。ここで注意したい点は、事実を元にした客観的かつ定量的な評価を行うことです。あくまでも人材の評価ではなく目標に対する評価であるため、主観的な意見ではなく事実を深堀し原因を突き止めましょう。

改善を行う

評価内容を確認した上で計画の改善を行いましょう。どんな改善策が必要かを検討し取り入れなければ、次なる計画がより良いものにはなり得ません。サイクルは一度だけで成功するとは限らないため、評価内容から導き出される改善を行う必要があります。改善を行うことは継続してサイクルを回すことにもつながるため、停滞することのないよう有効な改善策を検討しましょう。

マネジメントサイクルの具体例 

マネジメントサイクルを業務に活かした具体例を紹介します。実際にどんな風に役立てられるのか、気になる方は内容を確認してみましょう。

営業が契約件数を伸ばす

営業職における目標は売上や契約数など数値が設定されている場合が多く、マネジメントサイクルを活用しやすい職種です。具体的には、まず今期の大きな目標を達成するためにこの1ヶ月で達成すべき目標数値を検討します。目標数値が決まったら、達成するために必要な行動計画を練り実行しましょう。実行後、結果の評価を行い上手くいった要因や上手くいかなかった原因を整します。「飛び込み営業を増やした」、「既存顧客のフォローが不足していた」など具体的な原因を突き止め、良い点を継続して行うことや改善策を盛り込んだ新たな計画を立てましょう。このように営業は数値目標に対し期間を定めサイクルを回すことで、契約件数を伸ばす活動の実現に近づきます。

Webサイトのアクセス数を増やす 

この場合にはアクセス数を具体的な数値で目標として設定しサイクルに取り組みましょう。例えば、1ヶ月間のアクセス数を現状から5倍に増加させることを目標とします。計画として「新たなジャンルのコンテンツを導入する」、「毎週参加型のキャンペーンを実施する」など目標達成を見込める内容を検討しましょう。評価のプロセスでは目標と結果を照らし合わせ、アクセス数の伸び率を確かめます。結果の原因を振り返ることで、引き続き行うべき活動の確認や実行内容の改善を図りましょう。このようにサイクルに当てはめ目標に向かうことは取り組むべき行動が具体化され、目標達成できなかった際でも次に起こすべき目標や行動を明確に捉えられます。

マネジメントサイクルの成功事例

企業におけるマネジメントサイクルの成功事例を紹介します。独自の手法や成功の要因について解説するので、ぜひ参考にしてください。

無印良品

無印良品のブランドで有名な株式会社良品計画では、あらゆる仕組みにPDCAを取り入れ成長率を伸ばしています。組織における仕組みやマニュアルは一度作成すれば未来永劫有効なものではないと捉え、現場で根付き機能するものとするべく繰り返し改善を行うよう取り組み始めました。
具体的には、店舗を回すノウハウを収めた業務マニュアルとして作成した「MUJI GRAM」の内容を改善提案を参考に毎月全体の約1%改訂していったのです。結果として改善され続けるマニュアルによって市場の変化をいち早く察知し対応でき、業績向上の成果に大きく貢献しました。

マネジメントサイクルを活用したISMSについて 

情報セキュリティを管理する枠組みとして、情報性キュリティマネジメントシステム(ISMS)に注目が高まっています。ISMSとはマネジメントサイクルをセキュリティに活用する動きであり、適切な情報管理によって組織の資産である情報を守る仕組みです。従来マネジメントサイクルは業務を円滑に進める手法として、対象はヒトやモノ、カネだったものの、近年では情報も対象として含まれ始めています。

社員の状態把握の可視化に役立つツール ラフールサーベイ

ラフールサーベイ」は、社員の状態把握を可視化することのできるツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

154項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

まとめ

マネジメントサイクルの代表的な手法や上手く回すポイント、成功事例について紹介しました。マネジメントサイクルは、目的に応じた種類を選択しコツを掴んだ取り組みを行うことで適切な経営管理に貢献します。場合によってはなかなか上手くいかず、悩んでしまう場面も多いかもしれません。しかしサイクルは1度の実践で成功するとは限らず、継続的に取り組むことで精度を高めていくことが可能です。まずは現状の課題を見極め具体的な目標を検討してみましょう。

https://survey.lafool.jp/
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