働き方改革の成功事例5選|成功させるためのポイントも紹介

残業時間削減などの法整備が急速に進んでいる近年、多くの企業が働き方改革に取り組んでいます。この記事では、働き方改革の成功事例を業界別に紹介するほか、働き方改革を成功させるためのポイントを紹介します。

1. 働き方改革成功事例:建設業

働き手の減少が問題となっている建設業の成功事例を紹介します。

成功事例①長岡塗装店

長岡塗装店は、島根県松江市にて塗装業を営んでいる企業です。建物などの塗装を行っているほか、防水工事や建築・リフォームなども幅広く手がけています。女性社員はおろか男性社員すら応募が少なく、人員の確保に苦戦していました。さらに、せっかく入社した社員も短期間で退社していく人が多く、人が定着しないという問題も抱えていました。

取り組み内容:女性でも柔軟に働きやすい環境整備に注力

長岡塗装店は働き方改革として働く男性社員はもちろんですが、女性社員にも長期的に働いてもらうことを目的に、以下のような取り組みを行っています。

  • 時間単位の有給取得
  • 子ども手当や子どもの看護休暇を充実
  • 保育料やベビーシッター等の利用料3分の1を助成

育児を行っている社員も働きやすいよう、時間単位の有給取得を可能にしたり、急な子どもの発熱などにも対応できるよう子どもの看護休暇制度を充実させています。保育料などを負担することで、子どもを預けて働くことができる制度を整えました。また、上記のような制度を利用しやすい環境をつくるため、外部講師を招いた講習や外部セミナーへの参加を促し、意識改革も積極的に行っています。

取り組みの結果:8年間退職者ゼロを達成

さまざまな取り組みの結果、8年間退職者ゼロを達成しました。従業員数も1.6倍に増加しています。長岡塗装店が働き方改革に成功したポイントは、制度の充実と社員の意識改革を同時に行ったことです。社員全員が制度を積極的に利用できる環境を整えたことが8年間退職者ゼロを達成したと言えるでしょう。

2. 働き方改革成功事例:IT業界

働き方改革成功事例の2つ目は、IT業界です。

成功事例②メンバーズ

成功事例の2つ目は、デジタルマーケティング分野でのサービスを展開しているメンバーズです。デジタルマーケティング市場が急速に拡大していく一方、インターネット専門職の人材不足が深刻化していました。優秀な人材確保ができるようにと、働き方改革を進めています。

取り組み内容:委員会を立ち上げ長時間労働の是正に注力

残業時間を削減するために「時短推進委員会」という委員会を立ち上げ、徹底したノー残業デーや残業時間のモニタリングを行うなど、長時間労働の是正に注力しています。さらに、経営層からは顧客企業に対し、残業削減の施策を実施していることを説明。顧客への理解促進にも取り組みました。また、残業を減らすことで残業代が減ることを不安に思う社員も多いことから、給与のベースアップも実施。残業代の減少を心配せず、残業時間を減らせる環境をつくっています。

取り組みの結果:3年間で50%の残業時間削減に成功

働き方改革を行ったことで、3年間で50%の残業時間を削減することに成功しました。メンバーズが働き方改革を成功させたポイントは、残業時間の削減施策だけでなく、給与の確保も行っている点です。給与の心配をせず、残業時間を減らすことだけに集中できる状況を作り出せたことが、働き方改革を成功させたと言えるでしょう。

3.  働き方改革成功事例:医療業界

3つ目の働き方改革成功事例として、医療業界を紹介します。

成功事例③MSD

MSDは、アメリカのメルク社の日本法人で、医療用医薬品やワクチンなどの研究開発から製造、販売までを手がけています。働き方改革に至った背景は、MRの休暇取得率が他部署に比べて低いことです。MRは社員一人ひとり顧客先が異なるため、チーム内での埋め合わせがしづらく、休暇が取りにくいという事情がありました。

また、女性社員が増えてきたことから、出産や育児のライフイベントを越えて、長期的に働ける環境を確保したいことも、働き方改革に至った理由の1つです。

取り組み内容:育児休暇などの休暇制度の充実に注力

育児休暇などの育児制度をさらに充実させ、休暇が取りやすい制度を整える取り組みを行いました。既存の休暇制度をブラッシュアップし、以下の制度を設けています。

・育児休暇の開始後5日間を有給化
・介護休暇、看護休暇を30日間付与
・所定理由があれば利用できる積立休暇制度の、所定理由を追加

完全無償だった育児休暇を開始5日間有給化することにより、女性だけでなく男性も育休取得を促しています。介護休暇や看護休暇も法律上の5日付与から30日付与に増加しました。また、2年で失効する年休を積み立て、限られた理由で利用できる積立休暇制度は、「妊娠時の体調不良」や「父母学級への参加」という理由でも休暇を利用できるように制度を変更しました。

取り組みの結果:ワーク・ライフ・インテグレーションを実現

働き方改革を行った結果、ワーク・ライフ・インテグレーションを実現しました。これは、ワークとライフの双方を充実させることで、相乗効果が得られる働き方のことです。仕事だけでなく、私生活を充実させようという社員の意識が芽生え、ワーキングママの増加や育休を取得する男性社員も増加しています。

MSDが働き方改革に成功した理由は、制度の充実と、仕事と私生活の充実を促したことです。「ワーク・ライフ・インテグレーション」を促進した結果、私生活を充実させることに意識を向ける社員が増加し、休暇取得が進んでいます。

4.  働き方改革成功事例:飲食業界

働き方改革成功事例:飲食業界

働き方改革の成功事例4つ目は、飲食業界の企業です。

成功事例④すかいらーく

飲食業界の成功事例は、すかいらーくホールディングスです。ファミリーレストランのガストやジョナサンなどを展開しています。その他の外食チェーンと同様に、すかいらーくも人材不足が深刻化していたため、働き方改革を実施しました。

取り組み内容:労働環境を大幅に変化させ、雇用の拡充に注力

すかいらーくでは、労働環境の改善を行うとともに、雇用制度の拡充させ人材不足改善に取り組みました。

1つ目に、24時間営業を廃止。夜間の営業を止め、従業員の健康が確保できる環境を整備しました。2つ目として、メニュー改定の頻度を削減。メニュー改定に伴う対応方法の変更などを減らすことで、現場で働く従業員の業務負担を減らしました。さらに、すかいらーくを退職した人が再度働ける環境を整えるための採用制度「おかえり採用」を開始しました。

取り組みの結果:従業員満足度の向上を実現

働き方改革を行った結果、従業員満足度の向上を実現しました。採用制度を見直したこともあり、社員の定着率も上がっています。レストランの運営方法を変えることで、従業員負担を減少し、健康で長期的に働ける環境を整えたため働き方改革が成功しました。従業員が働きやすい職場づくりを徹底して行ったことで、従業員満足度が向上したと言えるでしょう。

5. 働き方改革成功事例:宿泊業界

働き方改革の成功事例として、最後に宿泊業界を紹介します。

成功事例⑤ばさら邸

ばさら邸は、三重県伊勢市にある日本旅館です。ばさら邸では、優秀な人材が育たず、育ったとしても給与の低さを理由に辞めてしまう従業員が多かったため、働き方改革をはじめました。

取り組み内容:子育てサポートやITツール導入に注力

給与の向上はもちろんですが、優秀な人材を定着させるため、子育てサポートやITツールの導入に注力しました。子育てしながら勤務する女性社員が多いため、子供を預けて働くことができるよう事業所内に託児所を設置しています。

また、ITツールを導入することで従業員負担を軽減。顧客の食事の好みや細かな希望をシステムで管理することで、従業員に負担をかけず顧客に気遣いができるようにしました。その他にも、研修施設を建て、従業員同士が切磋琢磨できる環境を整えることで、やりがいのある職場を作っています。

取り組みの結果:やりがいのある職場環境の提供を実現

働き方改革を行うことで、やりがいのある職場環境の提供を実現しました。優秀な人材の確保や、客単価アップ、業績向上にもつながっています。接客スキルは向上させつつも、個別の顧客へのサービスはITシステムを使うことで従業員の負担を増やさない体制があることが成功のポイントと言えます。また、子育てと仕事の両立をサポートする制度を整えたことも、働き方改革が成功した一因です。

6. 働き方改革を成功に導くためのポイント3つ

それでは、働き方改革を成功に導くためのポイントを3つ紹介します。これらのポイントを押さえ、働き方改革を進めていきましょう。

現状を把握したうえで企業のゴールイメージを設定する

働き方改革を始める前に、現状を把握し、ゴールイメージを設定します。月平均の残業時間や年次有給休暇の取得率などの客観的なデータと、従業員へのアンケートなどで主観的なデータを収集しましょう。データを照らし合わせることで、自社が抱えている問題を明確にすることができます。

ゴールイメージでは、従業員目線でどのような会社が理想なのかを考えることが大切です。例えば「従業員が働き続けたいと思う会社を作る」といった抽象的なゴールイメージから、「残業時間を20%減少させる」などの具体的な目標に落とし込んでいきましょう。

目標達成に必要な方法を選定する

次に、目標達成に必要な方法を選定することです。制度の構築をしつつ、新しいツールを導入するなど、複数の手段を組み合わせて働き方改革を進めましょう。

「残業時間を20%削減させる」という目標を達成したい場合、まずはノー残業デーなど制度の構築を進めます。それに加え、労働時間を減らせるよう、日常業務の簡素化ができるツールを導入しましょう。また、制度の構築やツールの導入を行うだけでなく、その制度やツールをきちんと活かしてもらえるよう、従業員への呼びかけも行います。

導入成果の検証と取り組みの改善を行う

制度の構築やツールの導入をした後は、定期的に導入成果の検証と改善を行うことがポイントです。働き方改革前の現状把握と同様に、数値による客観的データと従業員へのアンケートによる主観的データを集め、導入前後での変化を検証しましょう。課題解決につながらなかった場合にも事例として参考にし、改善方法を考えます。さまざまな施策をしながら、自社に合った取り組みを見つけ出しましょう。

7. 組織状態の可視化に役立つツール

上でご説明したように、働き方改革をはじめる前にまずは会社の現状を把握することが重要となります。現状とゴールを照らし合わせた上で自社に合った取り組みを検討しましょう。

ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、組織状態の可視化に役立つツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

154項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック 

スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。

適切な対策案を分析レポート化

調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。

部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化

集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。

  • 部署
  • 男女
  • 職種
  • テレワーク

対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。

https://survey.lafool.jp/

8. まとめ

近年、急速に進んでいる働き方改革。この記事では、働き方改革の成功事例5つと働き方改革を成功させるためのポイント3つを紹介しました。成功事例や成功させるためのポイントを参考に、働き方改革を進めていきましょう。

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