アクティブリスニングとは、アメリカの臨床心理士カール・ロジャース博士が提唱した「傾聴姿勢」のことです。この記事では、アクティブリスニングについて実践方法やトレーニング方法などを紹介します。
1. アクティブリスニングとは?
アクティブリスニングとは、どのようなことを指すのでしょうか。ここでは、アクティブリスニングの概要やメリット、またアクティブリスニングに必要な心構えについて解説します。
アクティブリスニングの概要・メリット
アクティブリスニングとは、「傾聴姿勢」と言われるコミュニケーション技法の一つです。1957年にアメリカの臨床心理士カール・ロジャース博士が提唱しました。話し手の話を受動的に聞き流すのではなく、会話の中から事実や話し手の感情を主体的に把握していくことで、問題の本質を明確にする聞き方です。話し手が自ら問題解決できるように支援するため、企業の管理者やリーダーに求められる能力と言われ、社内のより良い人間関係を構築することを目的として活用されます。
上司や管理職がアクティブリスニングを行うことで、以下のようなメリットも期待できます。
- 会議での意見が積極的に出るようになる
- 社内のスムーズなコミュニケーションにつながる
- ハラスメントの防止になる
アクティブリスニングに必要な心構え
アクティブリスニングには、必要な心構えが3つあります。
- 自己一致
- 無条件の肯定的配慮
- 共感的理解
以下でそれぞれ解説します。
「自己一致」とは、行動と思考、感情が一致し、心が統一された状態のことです。聞き手が話し手に対して、真摯な態度で正直であることが求められます。「無条件の肯定的配慮」は、話し手の年齢や性別、また相談内容などに関わらず、話し手のありのままを受容することです。話し手の言動や思考に対して、否定や評価を行わない姿勢を指します。「共感的理解」とは、話し手の立場に立ち、話し手と同じ視点で物事を理解しようとする姿勢のことです。「相手の目で見て、相手の耳で聞き、相手の心で感じる」と表現されることもあります。
これらを実践することで、話し手との信頼関係を構築することができ、「話し手に気持ちよく話してもらう」ことができます。
2. ビジネスに役立つ!アクティブリスニングの実践方法
ビジネス面では、アクティブリスニングをどのように実践したらいいのでしょうか。ここでは、バーバルコミュニケーション、ノンバーバルコミュニケーションに分け、具体的な実践方法を解説します。
実践方法①バーバルコミュニケーション
アクティブリスニングの実践方法として、バーバルコミュニケーションを2つ紹介します。バーバルコミュニケーションとは、言語によるコミュニケーションのことです。
パラフレーズ
パラフレーズとは、いわゆる「オウム返し」のように、相手の言葉を繰り返すことです。アクティブリスニングをする上では、ただ話し手の言葉を繰り返せば良いわけではありません。相手の話の中で重要なポイントを見つけ、「今の話は〇〇という認識で間違いないですか?」などと、話し手に振り返りの機会を与えるように意識して行いましょう。
オープンドクエスチョン
オープンドクエスチョンとは、「はい」「いいえ」で答えられない質問のことです。話し手に共感しつつ、適切なタイミングで質問を投げかけることで会話を広げれます。「そのときどのように言ったのですか?」「その原因は何だと考えていますか?」など、5W1Hを意識して質問をするようにしましょう。
実践方法②ノンバーバルコミュニケーション
アクティブリスニングを実践する方法の二つ目は、ノンバーバルコミュニケーションです。ノンバーバルコミュニケーションとは、非言語的コミュニケーションのことを指します。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によると、話者が聴者に与える要素のうち、言語情報は約7%でその他の視覚情報や聴覚情報といった非言語の情報が93%程度を占めていると言われています。そのため、アクティブリスニングにおいても、非言語のコミュニケーションは重要な要素の一つと言えるでしょう。
聞く姿勢
聞く姿勢はアクティブリスニングにおいて大切な要素です。リラックスした状態で、相手に体を向けて会話をするようにしましょう。距離感は近すぎず、離れすぎない程度にして、正面、もしくは斜め前に座ることがベストと言われています。お互いのパーソナルスペースを守り、話し手もリラックスした状態で話すことができるでしょう。逆に、脚や腕を組むのはNGです。相手に不快感を与えてしまい、話しにくい環境を作ってしまうことになります。
目線
相手とは、なるべく目線を合わせるように意識しましょう。目線を合わせることによって、心の距離が縮まったような感覚になり、話し手も話しやすくなります。ただし、目線を合わせすぎてしまうことで緊張感が増す可能性もあります。相手と目線を合わせようと必死になるのではなく、適度に目線を合わせることを意識するようにしましょう。
話を聞く時の表情
表情から得られる情報は非常に多くあります。話し手の表情に合わせ、笑顔や困った顔をすると、相手に理解されている安心感を与えることが可能です。話し手が困ったことを話しているのに笑顔で聞くなど、相手の話と合わない表情をしてしまうと、話し手は理解されないと感じ、話したいことを飲み込んでしまうことがあります。話し手のことを理解していると伝わるよう、話し手の感情に合わせた表情を意識しましょう。
声のトーン
アクティブリスニングをする上では、声のトーンにも気を配りましょう。聞き手が相手と同じトーンで相槌を打ったり、話すことで、共感していることが伝わり、相手も話しやすくなります。真剣に困ったことを話しているのにハイテンションなトーンで話すなど、相手のトーンと違うトーンで話してしまうと、話し手は真剣に話を聞いてもらえていないと感じてしまいます。話し手の温度感に合わせて相槌を打つようにしましょう。
3. アクティブリスニングのトレーニング方法
ここでは、アクティブリスニングについてのトレーニング方法を2つ紹介します。
自己主張を我慢して傾聴に専念する
トレーニング方法の一つ目は、自己主張を我慢して傾聴に専念することです。仕事のできる上司や管理職ほど、自分の意見を主張するのがクセになっている場合があります。そのため自分の意見を押し通そうとするのではなく、話に耳を傾けることを意識することで、アクティブリスニングの基本となる「傾聴」が身についていくでしょう。
研修に参加する
研修に参加することも、トレーニング方法の一つです。研修に参加することで、実践での練習ができるため、管理職としての実務に活かすことができるようになります。また、研修ではフィードバックがもらえることも多いため、実務に活かす前の不安を払拭することも可能です。
4. 社内の人間関係構築に役立つツール
ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、職場の現状可視化と改善に役立つツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、よりよい人間関係構築のお手伝いをします。
社員がいきいきと働ける環境づくりにおいては、人間関係が良好であることは欠かせない要素の一つでしょう。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック
スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。
適切な対策案を分析レポート化
調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。
部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化
集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。
- 部署
- 男女
- 職種
- テレワーク
対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。
5. まとめ
アクティブリスニングとは、「傾聴姿勢」と呼ばれるコミュニケーション技法の一つです。本記事ではアクティブリスニングをする時の心構えや実践方法について紹介しました。トレーニング方法を活用して、社内のより良い人間関係の構築に役立てましょう。