マイクロマネジメントとは?部下へ及ぼす悪影響や改善策も紹介


「マイクロマネジメント」という言葉を聞いたことがありますか?この記事では、マイクロマネジメントをする人の特徴や、部下に及ぼす悪影響のほか、マイクロマネジメントの改善策も紹介します。

マイクロマネジメントとは

マイクロマネジメントとは、上司やリーダーが部下や新人の行動を細かく管理・チェックし、過干渉してしまうマネジメントのことです。

具体的な例として、

  • 業務の進捗状況について頻繁に細かな点まで報告を求める
  • 電話のかけ方やメールの文面について口出しをする

などが挙げられます。上司がマイクロマネジメントをしてしまう理由には、主に2つあると考えられます。

マイクロマネジメントをしてしまう理由:不安

1つ目に、不安が理由でマイクロマネジメントをしてしまっているケースです。上司という立場上、部下への管理監督責任があるため、部下がミスをしてしまうと、自身の管理監督責任が問われてしまいます。「部下がミスをしないか」、「部下のミスが原因で自分に対する評価も下がってしまうのではないか」という心配から部下の行動に常に目を配るようにしているかもしれません。特に若いころに大きな失敗をしたことがある人は、部下に同じ失敗をさせたくない心理から、マイクロマネジメントしてしまっている可能性が高いと言われています。

不安から生まれるマイクロマネジメントの例は以下の通りです。

  • 状況確認をしつこく頻繁に行う
  • メールのCCに常に自分を追加するように追求する

どちらも、ミスを防ぐために、細かな進捗状況や部下の行動を見張っている行動です。

マイクロマネジメントをしてしまう理由:自己顕示欲

2つ目の理由として、自己顕示欲が挙げられます。過去に大きな成功体験がある場合など、自分に絶対的な自信があるためにマイクロマネジメントをしてしまうことが考えられます。自分の力でプロジェクトを成功に導き、部下からの信頼や尊敬を手に入れたい、周囲から評価を受けたいという思いが強い人にみられる理由です。

自己顕示欲を示したマイクロマネジメントの例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 自分がやっている方法を強要する
  • 服装や持ち物、デスクの整理整頓にまで口出しする

自己顕示欲を理由にマイクロマネジメントをしている場合、自分のやり方や方法が正しいと思い込み、その方法を部下に強要しているケースが多くあります。

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マイクロマネジメントが注目される背景

テレワーク・リモートワークの普及

近年マイクロマネジメントが注目される背景には、テレワーク・リモートワークの普及が大きく関係しています。従来のように同じオフィス空間にいれば、いつでも様子をチェックしたり声をかけたりすることが可能でしたが、テレワーク・リモートワークが増えた現在では困難です。それをきっかけに「在宅でもサボらず仕事を進めているだろうか」と不安に感じ、過度に干渉してしまうケースが増えています。

例えば、ウェブ会議システムを使って業務時間にカメラオンを強要したり、メールやチャットで30分置きに進捗報告を義務付けたりなど。また、本来は成果で判断すべき業務を、部下に信頼を置けない上司がプロセスまで細かく確認してしまうケースも増えています。

中途採用や多様な働き方の増加による人材の多様化

人材の多様化もマイクロマネジメントの増加に大きく影響しています。中途採用や多様な働き方が増えるなかで、多様なキャリアや経験を積んで入社する部下が増えています。

介護や子育てと両立させながら勤務する時短勤務社員や、再雇用によるシニア社員など、様々なバックグラウンドや年代の部下を持つ機会が広がっているのです。

すると、同様の方法で全員とコミュニケーションを取るのが難しくなります。「Aさんには伝わっていてもBさんには伝わっていない」といったケースが頻繁に起きてしまうのです。そのため一人一人の状況をより細かく確認したくなり、結果として過干渉に陥ってしまいます。

あなたは大丈夫?マイクロマネジメント型の上司の特徴5例

自分がマイクロマネジメントをしていないか、不安になった人もいるかもしれません。ここでは、マイクロマネジメントをしてしまう傾向のある上司の特徴を以下の5つ紹介します。

  1. 部下への口調や態度が横柄
  2. 部下の考えを尊重しない
  3. 問題ばかり指摘して褒めない
  4. 些細なミスでも追究する
  5. 部下に権限移譲しない仕事の進め方を必要以上に細かく指示する

これらの特徴に当てはまる人は、マネジメントをするときに注意が必要ですので1つずつ解説します。

1. 部下への口調や態度が横柄

1つ目の特徴として、部下への口調や態度が横柄であることが挙げられます。部下を従わせるため、高圧的な態度をとったり、乱雑な言葉遣いをしたりしているのは、部下の恐怖を煽り無理やり従わせているにすぎません。また、部下に自身の力をアピールしたい、自分の方が立場が上ということを強調したいなどといった思いから、間違った叱り方をしてしまうことがあります。人前で叱りつけることや部下の人格を否定するような言い回しには特にきをつけましょう。

2. 部下の考えを尊重しない

2つ目の特徴として、部下の考えを尊重しないという特徴があります。自身の考えや方法が正しいと思うあまり、部下に自分の価値観を押し付けている場合は注意が必要です。自身の考えや方法が必ずしも正しいとは限りませんし、部下へのアドバイスとして適していないかもしれません。部下の考えを尊重すると、部下自身で考えて行動するスキル身につき、部下の成長や思いがけずいい結果につながることもあります。また、部下の考えが間違っている場合にも、真っ向から否定すると部下のモチベーションを下げてしまいます。指摘をする前に「〜ではそれも正しいとは思うけれど…」などと一言付け加えて、意見を尊重していることが部下に伝わるように配慮する必要があります。

3. 問題ばかり指摘して褒めない

3つ目に、部下の問題ばかり指摘して褒めないという特徴が挙げられます。問題を指摘するのは大切なことですが、褒めることは必要不可欠。指摘ばかりすることで、部下は自分のことを肯定されていないと感じ、部下は心理的負担から萎縮してしまいます。また、部下への教育のつもりで指摘をしていても、部下を肯定することがなければ、単に仕事のやり方を押し付けているだけになってしまうこともあります。マイナス部分と併せて部下の業務への向き合い方などの長所を伝えることで、「上司はきちんと自分と向き合ってくれる」と部下は感じるので信頼を築くきっかけにもなります。を無意識のうちにマイクロマネジメントをしている可能性もあるため、日頃から褒めることを意識しましょう。

4. 些細なミスでも追求する

4つ目の特徴としては、些細なミスでも追求することが挙げられます。大きなミスにつながらないようにと、些細なミスを追求してしまうことはありますが、追求しすぎるとマイクロマネジメントにつながります。些細なミスを事細かに内容まで追求することは、問題の指摘のみをするのと同じように部下のモチベーションの低下を引き起こします。上司からの極度の追求を避けるために部下が次第にミスの報告を怠ったり、隠したりするようになると大きなミスにもつながります。ミスの追求のしすぎにはメリットがないので今すぐ改善する必要があります。

5. 部下に権限移譲しない仕事の進め方を必要以上に細かく指示する

部下の出すメールやチャットにまで細かく口出ししたり、部下の提案書や企画書を隅々までチェックし粗探しをするのもマイクロマネジメントにあたります。

また、部下が担う業務に自分のやり方を強要したり、メールのCCに必ず自分の名前を入れるよう強要することも要注意。業務内容やフローに対して自分のやり方を押し付けてしまうと、部下のやる気をそぐだけでなく成長機会を奪ってしまいます。

マイクロマネジメントが部下に及ぼす悪影響

マイクロマネジメントは部下に多大な悪影響を及ぼしてしまいます。ここでは具体的な部下に及ぼす悪影響を解説します。

部下のモチベーションを下げる

マイクロマネジメントが及ぼす悪影響に、部下のモチベーションを下げることが挙げられます。マイクロマネジメントをしている上司のもとで働くと、部下にとっては業務のすべてを細かく管理されていることになります。上司に確認してからでないと行動できず、自身が信頼されていないという意識を持ってしまい、モチベーションを低下させてしまいます。部下の発想や思考が仕事に活かされない、ただ上司の指示に従うだけの作業は、部下の仕事に対するやりがいどころか苦痛すら与えてしまうでしょう。マイクロマネジメント型の上司がいることで、部下個人のモチベーションはもちろん、職場全体のモチベーションも低下することになり、会社としても成長できない可能性が高いので注意が必要です。

自分で考えられる人材が育たない

自分で考えられる人材が育たないことも、マイクロマネジメントの悪影響の1つです。マイクロマネジメントでは、部下は全てを細かく管理され、指示に従うだけなので、いつまでも部下自身で判断する力がつきません。上司からの指示に従えばいいという考えが定着してしまい、上司からの指示を待ち、指示に従って行動するだけの人材しか育たなくなってしまいます。また、優秀な人材がいたとしても、マイクロマネジメントが行われていると分かった時点で、見切りをつけて退職・転職してしまう可能性が非常に高いです。そのため、結果的に自分で考えられない、上司の指示待ちの人材しかいない会社になってしまいます。

部下のキャリア形成を妨害してしまう

悪影響の3つ目として、部下のキャリア形成を妨害することが挙げられます。マイクロマネジメントをする上司のもとで、ただ指示に従って仕事をしているだけでは、部下が成長する機会が失われてしまいます。マイクロマネジメントにより成長する機会が奪われてしまえば、部下が思い描いていたキャリアを積むことができず、キャリア形成を妨害してしまうことになります。上司の立場として部下のキャリア形成を支援することは必要不可欠です。もし思い当たる節があるのであれば、マイクロマネジメントの改善をおすすめします。

メンタルヘルスへの悪影響

マイクロマネジメントや部下のメンタルに大きく悪影響を及ぼします。上司による過度な介入がされる、業務の細かい進め方まで強要される、褒めることなくミスを追求されるなどが重なると、部下の精神面に負荷がかかってしまうのです。

また、それが長期化すると部下が抗うつ状態になるリスクもあります。最悪の場合パワハラやモラハラとして訴訟問題に発展する可能性も考えられるため、注意が必要です。

マイクロマネジメントによる組織への悪影響

離職率の上昇

マイクロマネジメントは離職率の上昇に繋がってしまいます。自分のやることすべてを否定された部下はモチベーションを持てず、キャリアアップを望めないことを確信して退職を転職を考えてしまうでしょう。

採用・育成コストをかけた社員の離職は、組織全体にも悪影響を及ぼします。優秀な若手が同業他社に転職したり、人手不足に陥り企業の成長が鈍化したりなど、各市場での競争優位性が落ちてしまうでしょう。

上司の役割を果たせなくなる

本来上司の仕事は戦略や方針を考えて組織の今後を作っていくことです。しかし、部下の業務に過度に介入し自ら現場の業務をこなすと、上司がプレイングマネージャーとなります。すると、業務全体を俯瞰して捉えられなくなり、生産性やパフォーマンスが低下してしまいます。

部下の成長に役立つ!マイクロマネジメント改善策

部下の成長に役立つ!マイクロマネジメント改善策

マイクロマネジメントを改善するためには、どのようなことを心がければいいのでしょうか。ここでは、部下の成長を手助けできるマイクロマネジメントの改善策を以下の3つ紹介します。

  • オープンクエスチョンで質問する
  • 「これくらいの仕事はできて当たり前」という思い込みをなくす
  • 報告のタイミングを決める

それでは1つずつ詳しく解説していきます。

オープンクエスチョンで質問する

部下に質問をするとき、オープンクエスチョンを使いましょう。オープンクエスチョンとは、「はい」「いいえ」で答えられない、自由な回答を求める質問のことです。「はい」「いいえ」で答えられない質問をすることで、部下は自身の頭で考えるようになります。どうすればいいのかをきちんと自身で考えられるようになることで、部下の成長にも役立ちますし、上司としても部下を知るきっかけになります。オープンクエスチョンから部下の考え方を知ることで、過干渉せずとも部下がミスをしそうなことに事前に気づくことができます。部下の成長のきっかけにもなるので、部下に質問をする際には意識的にオープンクエスチョンをしましょう。

「これくらいの仕事はできて当たり前」という思い込みをなくす

改善策の2つ目として、「これくらいの仕事はできて当たり前」という上司の思い込みをなくすことが挙げられます。誰にでも得意・不得意はあるものですし、人によって得意なこと・不得意なことはそれぞれ違います。また、仕事における成長のスピードも人それぞれです。そのため、「自分はできたから部下もできて当たり前だ」という考えはなくしましょう。上司自身ができたことが部下はできていないからという理由で、部下を厳しく追求することは、モチベーションの低下につながります。部下が苦手なことは少しでもできるように成長の機会を与え、得意なことはさらに伸ばせるよう、一人ひとりに寄り添ったマネジメントを心がけましょう。

報告のタイミングを決める

報告のタイミングを決めることも、マイクロマネジメントの改善策の1つです。上司から部下に進捗状況を聞いたり報告を求めるのではなく、報告のタイミングを決め、部下から報告に来てもらうようにしましょう。時期的なタイミングだけでなく、進捗の度合いや、トラブル発生時など上司に報告すべき適切なタイミングを設定することが大切です。報告のタイミングをあらかじめ決めておくことで、過干渉になりすぎず、必要なタイミングで報告をしてくれるという安心感を持って、部下に仕事を任せることができるようになります。また、部下は日々のスケジュールを組みやすくなるので生産性が上がり、上司としても結果に集中できるという利点もあります。

進捗の確認や報告のルールを見直す

進捗の確認や報告の頻度を改めることで、マイクロマネジメントの改善に繋がります。実際にルールを見直してみると、短いスパンでの必要以上の報告頻度は不要な場合がほとんどです。むしろ部下にとってもプレッシャーや業務負荷になったり、上司にとっても確認作業に本来業務の時間を取られたりなど、デメリットが多く見受けられます。

ルールを見直すポイントは、始業時に1日の業務予定を報告する、終業時に進捗と課題・相談事項、翌日の予定を報告するなどです。部下にとって適切な報告タイミングはいつ、どのような方法なのか意向をヒアリングしましょう。

部下に権限を委譲する

達成すべき目標や、業務の目的など大枠を部下と共有し、具体的な業務プロセスは部下に任せましょう。

権限移譲の事例①

上司の判断を仰がなくても行動できるよう、ある程度の裁量を与える。

一部の判断を部下自身に任せることで、自ら考え仕事に取り組むようになります。また、その仕事や業務が成功するために、どのようなスケジュールでどのように進行するのか、自ら進んで考えるようになるため、部下自身の成長にもつながるでしょう。

権限移譲の事例②

役職やポジションにかかわらず、自由な発言ができる場を設ける。

自由な発言をする場を設けて議論を活発にすることで、社員の働く気持ちを高めたり貢献意識を培うことができます。また、役職やポジションに関わらず、仕事や業務の目的・目標を明確にしたうえで任せることで、フラットな会社組織を実現できます。

まとめ

マイクロマネジメントとは、上司やリーダーが部下や新人の行動を細かく管理し、過干渉することです。マイクロマネジメントをすることで、部下のモチベーションを下げ、優秀な人材が育たないなど企業としての弊害もあります。

オープンクエスチョンを活用したり報告のタイミングを決めることでマイクロマネジメントを改善に期待ができます。この記事を参考に部下の成長を手助けできる上司になりましょう。

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自分がマイクロマネジメントをしてしまっていないかと不安に感じる人もいるかもしれませんが、部下の精神状態を把握することは自身のマネジメントを見直すきっかけにもなります。定量的に組織状態を把握して人材定着と組織改善に繋げましょう。

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