業務の見える化は、これまで見えることがなかった個々が受け持つ仕事の内容や流れについて他社員も取り組めるように仕組みを整えることです。近年耳にする機会が多いものの、
「具体的にどんなメリットが得られるんだろう」
「業務以外にも見える化すべきものはあるのだろうか」
このような疑問が浮かんでいる方も多いかもしれません。そこで今回は業務の見える化の概要や4つのメリット、見える化させるべき内容について紹介します。この記事を読むことで業務の見える化への知識を深め、具体的な導入イメージを掴むことができます。業務改善の1つの方法としてぜひ参考にしてくださいね。
1. 業務の見える化・可視化の違いとは
業務の見える化の概要ついて、下記2項目に沿って解説します。
- 業務の見える化は仕事の属人化を改善
- 見える化と可視化の意味は根本的に異なる
業務の見える化は仕事の属人化を改善
業務の見える化とは、社員個々の仕事の内容や流れを見えるようにする取り組みで、仕事の属人化を改善する目的があります。業務の見える化が実現されると、ある業務の内容や流れを特定の人だけが把握しているのではなく、周囲の社員も把握できている環境が整います。そのため特定の人が不在の場合でも滞りなく業務を進めることが可能です。業務の見える化は、それまで特定の人がいなければ進められなかった業務を他の人でも取り組めることによって、仕事の属人化の改善に期待できます。
見える化と可視化の意味は根本的に異なる
見える化と可視化は同じように使われる言葉ですが、それぞれ意味は異なります。まず見える化とは単に見やすい状態を作ることではなく、意識せずに目に入ることや取り組みやすいような仕組み作りを意味します。
一方で可視化は、見えにくいことを見やすくするという意味です。具体的には、個々の仕事内容や流れを他社員から見えにくかった状態から、単純に見やすい状態にするのが可視化と言えます。しかし業務改善を目指す場合であれば、仕事内容や流れが見やすいだけでは改善とは言えないでしょう。
業務改善を実現するには、根本の問題解決のために適切な労働環境を整える必要があります。そのため特定の人だけでなく周囲の人が代わりに仕事ができるような仕組みを作る、仕事の見える化が適切でしょう。
2. 企業が知っておくべき業務の見える化のメリット4つ
業務の見える化で期待できる代表的なメリットが以下4つです。
- ワークフローを改善できる
- 業務の質を平準化できる
- 業務全体を俯瞰できる
- 社員間で業務への相互理解が深まる
1つずつ具体例を含めて紹介します。
1. ワークフローを改善できる
業務の見える化によって、業務の流れや取り組む上での必要事項をわかりやすく理解でき、ワークフローの改善に期待できます。例えばこれまで担当者によって取り組み方が異なっていた状態から統一された業務プロセスを設定するため、他社員へ担当変更となってもスムーズに業務を開始することが可能です。そのため、担当者交代による抜け漏れなどのミスを最小限に抑えることに期待できます。また無駄な作業を省けることによって、一人当たりの生産性が向上されるメリットも得られるでしょう。
2. 業務の質を平準化できる
業務が見える化されることで、社員個々の能力に偏ることなく業務の質を平準化できます。平準化によって、社員が平等に休暇を取得でき時間を有効活用することが可能です。例えばある業務が特定の社員のみしか扱えない場合、特定の社員が休むことになった場合は業務が滞る可能性も考えられます。これでは特定の社員へ負担が大きく偏ってしまうでしょう。しかし平準化できた場合は社員に依存せずに業務の質を保つことができるため、社員全員が自らのタイミングに合わせて休暇を取得できます。また業務プロセスが統一されていることで、業務に取り組む時間の短縮にもつながります。その分社員は新たなスキルを学ぶ機会やリフレッシュする機会など、有効的に時間を使うことが可能です。
3. 業務全体を俯瞰できる
業務の見える化によって、より広い視点から全体の状況を把握できる俯瞰能力が身につき、判断力の高まりや新たなアイデアを生み出しやすくなるという利点が得られます。広い視野で全体を捉える姿勢は、効率よく理解を深めていくことが可能です。その分知識や情報量も増えていくため、より精度の高い判断ができます。また幅広い視点によってさまざまな気づきを得られ、新たな発想も浮かびやすくなります。業務全体を俯瞰できることによって、質の高い社員が生み出されやすくなるでしょう。
4. 社員間で業務への相互理解が深まる
業務の見える化は、社員が互いの業務を理解しやすく相互理解が深まります。深い相互理解によって、社員それぞれの強みを活かした業務への取り組みが可能です。例えば営業において新規開拓の方法を他社員に相談した際に、相談された相手が既存の方法を把握しているとスムーズで的確なアドバイスができるでしょう。相談する社員は既存の方法を説明する手間も省けるため相談しやすく、社員同士の協力体制が整いやすくなります。
3. 企業が見える化させるべき主な代表例
見える化を行う際には、具体的にどんなことを見える化させるべきかを明確にしましょう。企業が見える化させるべき主な4つの代表例がこちらです。
- 会社方針を見える化
- 勤怠状況を見える化
- 業務プロセスを見える化
- 生産性の変動を見える化
1つずつ理由や方法を含めて解説します。
会社方針を見える化
1つ目は、会社方針の見える化です。会社方針は経営陣やマネジメント層にとっては周知の内容で他社員にも同じように浸透していると思われがちですが、実はそうとも言えません。社員によって受け止め方が異なったり、そもそもきちんと把握されていない可能性も考えられます。そのため見える化することで、社員は会社の方針を確認でき、同じベクトルを向いて業務に取り組むことが可能です。
具体的な方法としては、社員個々の目標設定の際に会社方針を振り返り、目標の内容に含めるよう取り組みます。目標は目の前にある業務や自らの成果に目を向けやすくなりますが、その際に会社が目指す姿やビジョンを伝え、その上で目標の内容を決めると良いでしょう。目標設定の際に会社方針を伝えられることで、社員にとっては会社からの期待を感じられます。そのため同じベクトルを向いた取り組みで成果を上げようとする、前向きな姿勢に期待できるでしょう。
勤怠状況を見える化
2つ目は、勤務状況の見える化です。勤務状況が見える化されることによって、残業の削減やコストの抑制に期待できます。社員個々の勤務状況の全体を把握できると、働きすぎている社員を正確に確認し管理することが可能です。そのため全員が適切な勤務時間となるよう業務量を振り分けることや、無駄な業務が発生していないか見直しを行うこともできます。その結果、残業の削減や、人件費などのコスト抑制といったメリットが期待できるでしょう。
具体的な取り組み方としては、個々に付与されているPCの利用時間から勤務状況を可視化する方法があります。また勤務状況を管理するツールなどもあるため、自社に合った適切な方法を選ぶと良いでしょう。
業務プロセスを見える化
3つ目は、業務プロセスの見える化です。得られるメリットとして、作業ミスやエラーを検出できる点が挙げられます。個々のやり方であった業務プロセスが統一化されることでミスが起こりにくく、エラーが起きた際でも何が原因かを特定しやすくなります。また統一された業務プロセスはさまざまな社員が取り組むことで業務のムラも把握しやすく、その際には修正を加えることが可能です。
具体的な方法としては、業務の流れや取り組み方をフローチャート方式でまとめます。この方法によって誰でも業務全体を把握しやすく、後から何度も見直しやすいため、社員にとっても受け入れやすい見える化となるでしょう。
生産性の変動を見える化
4つ目は、生産性の変動です。生産性の変化を捉えられることによって、自分たちの成長を客観的に把握できます。生産性が向上されていない場合は業務を見直すなど、成長のために必要な取り組みを判断することが可能です。
具体的な方法としては生産性の変化を折れ線グラフで図式化します。生産性指標の%は狭い範囲で表記すると変動が見やすくなるため、例えば0〜140%ではなく80〜140%といった数値で設定すると良いでしょう。
4. 組織課題の特定に役立つツール
ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、組織課題の特定に最適なサーベイツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態なども可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。
社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、組織の課題を特定して具体的にどの業務を見える化させるべきか明確にしましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック
スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。
適切な対策案を分析レポート化
調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。
部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化
集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。
- 部署
- 男女
- 職種
- テレワーク
対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。
5. まとめ
今回は業務の見える化について、概要やメリット、見える化させるべき内容について紹介しました。業務の見える化は仕事の属人化を防いだ労働環境を作り上げ、長時間労働の是正につながります。不要な業務の削減によって、企業にとってはコストを抑えられるメリットも得られるでしょう。
しかし業務の見える化には社員の協力が不可欠であるため、突然の導入では社員に混乱を引き起こす可能性もあります。そのため導入の際には少しずつ見える化を取り入れ、現場の声や現状を確かめながら推進すると良いでしょう。まずは自社における導入イメージを検討し、取り組みを始めてみてくださいね。