現代社会ではHRBPが求められるようになってきました。様々なデジタル化に伴い、激しい変化を遂げる現代では、人事の組織体制についても見直す会社が増えています。そんななかで、より先進的な人事機能の1つとしてHRBPが着目されています。本稿では、HRBPの詳しい基本内容の解説と共に、HRBPが求められる背景や導入について紹介しています。
社風へのマッチ度で採用候補者の定着率・活躍度がわかる!
適性検査「テキカク」の資料ダウンロードはこちら
HRBP(HRビジネスパートナー)とは?
HRBP
HRBP(HRビジネスパートナー)とは、「Human Resource Business Partner」に由来する言葉であり、経営者や責任者のパートナーとして事業成長を2つの観点から考える人事機能のことです。
HRBPは様々ある人事機能のうちの1つであり、この概念は、アメリカのデーブ・ウルリッチ教授によって提唱されました。
そして、HRBPは人事観点とビジネス観点の2つから事業成長をサポートする役割であるため、実際の現場を観測することで、各部署等に対し、必要な人材かつ組織課題に対応できる人材を考慮し、配置することで、問題解決を図ることがHRBPの機能であると定義されています。
HRBPが求められる背景
今までは、HRBP自体が日本では少なく、需要も高くありませんでした。
しかし近年では、日本企業においてもHRBPの考え方が求められるようになってきました。
その背景として、以下の二つがよく挙げられています。
- 社会環境の変化
- 人材獲得競争の激化
社会環境の急激な変化・人材獲得競争の激化
新型コロナウイルス感染症による社会への影響に対する対応でもあったように、昨今は特に社会環境の変化に迅速に対応することが求められる社会となっています。
そのため、社会情勢の様々な変化に迅速に対応できない企業は、その後の事業に大きく負の影響を被る事となります。
こういった迅速な対応を行うためには、人事による先を見越した機動的な課題対処が必要となると言えるでしょう。
この様に、人事による対応が必要である一方で、人材獲得の競争が激化していることも近年の傾向であると言えます。
特に、デジタル化による社会や生活様式の変化に伴い、AI、IoT、ビッグデータ解析等に携わるデジタル人材の必要性が高まっており、人事ではこれに対応した人材確保が課題となっています。
また、一部業界においては人材不足による売り手市場の現状が続いているため、各企業間でも人材獲得競争が激化していると言えるでしょう。
この様に、人事に求められるものが以前にも増した戦略的な人事機能および、現場との密接な連携、人材確保と多岐にわたった事で、従来の人事ではなくHRBPが求められるようになりました。
HRBPと従来の人事・CHROとの違い
次にHRBPと従来の人事やCHROとの違いについて紹介します。
従来の人事では、労務管理が中心業務であり、経営とは独立した振る舞いをすることが一般的です。また、組織の仕組みや制度の作成等を行い、効率的な運用が求められる他、給与や福利厚生計算なども人事の一般的な業務であると言えます。
HRBPと従来の人事
一方で、HRBPは従来の労務管理(シェアード・サービス)だけでなく、経営者に対し人事的側面から提言するなど、経営戦略とマネジメントを行うことが求められます。
具体的には、企業の経営方針を理解した上での人材育成や現場と経営をつなぐような人事管理が必要です。つまり経営における業績の向上のための人材育成や採用ができる能動的な人事を行う必要があります。
よって、従来の人事機能だけでなく、センター・オブ・エキスパタイズ(CoE)としての側面やデリバラブルという発想がHRBPには求められているとも言えます。
*デリバラブル:人事・HRBPにおいては、研修・採用において個人や組織が誰かに何かを提供して役に立つこと等を指す
*センターオブエキスパタイズ:組織を横断した取り組みを継続的に行う際の中核となる部署、組織、研究拠点のこと
HRBPとCHRO
また、HRBPに類似したCHROという言葉もあります。CHROとはChief Human resource Officer:最高人事責任者という意味を持ち、概念的には近いものとされています。経営者の一員として人事機能の統括を担うのがCHROで、この役割によって経営的な視点を踏まえた人事戦略が検討され、HRBPはこのCHROの戦略を理解し、現場に落とし込む能力が必要であるとされています。
つまり、CHROとHRBPは仕事内容と立場に違いがあると言われています。
HRBPの仕事内容・キャリアパスについて
HRBPの仕事内容
HRBPの仕事は事業成長のための問題解決を行うことです。
そのために、必要な4つのことが主に仕事内容と言えるでしょう。
- 従来の人事業務・労務管理
- 企業の目標及び経営について理解、また現場状況の把握を行う
- 現場状況と2を踏まえた人事戦略の策定及び実行(人事異動・採用等)
- 経営者のパートナーとして従業員との信頼を構築するとともに組織変革の推進を行う
主にこの4つがHRBPの仕事です。
HRBPからのキャリアパス
HRBPとしてのキャリアパスは、HRBPを採用したい企業にとっても、HRBPを目指す人にとっても知っておく必要がある要件です。
まず、HRBPになるためには一般的にタレントマネジメントや、人材開発をメインにCoE(センターオブエクセレンス)として5年以上経験を積むことが好ましいとされています。
他にも、タレントアクイジション、組織開発、後継者育成計画、パフォーマンスマネジメントの分野で経験を積むとHRBPとして成功するのに必要なスキルを習得できるとされています。
また、JrHRBPのように新卒採用された後に、5~7年の経験とキャリアを積むことで、HRBPとしての価値ができるでしょう。
人事部長の経験があるなど、人事業務に優れている事が1つの要件となっている場合が多くあります。更に、経営者に助言できるようなスキル、経験がある事も重要とされています。
HRBPに必要なスキル
今までの日本企業で培われた人事としてのスキルに加えHRBPに必要なスキルは複数あります。特に重要なのが、高いコミュニケーションスキル、自社ビジネスやその市場に関する知識とそれに関する課題分析力・経営スキルの2つであるとされています。
必須の資格ではありませんが、キャリアコンサルタント、ビジネス・キャリア検定、メンタルヘルス・マネジメント検定、産業カウンセラーなどを持っているとHRBPとして働く際に役立つでしょう。
また、大学院修士課程を卒業し、経営学の修士号を取得することも経営的な視点を持つことに役立ちます。
HRBPに必要とされるスキルは、運用スキルではなく、主に戦略的なスキルであり、他の社員や経営者がHRBPに対して常に相談できるような環境ができることが理想とされています。
HRBPの導入方法
では、実際にHRBPを導入する際の一般的な順序について紹介します。
人事戦略の検討・決定
自社のHRBPの役割について検討し、どの様な成果を目標とするのかを設定することで、スムーズな導入と運用を行うことができます。
また、導入に伴う人材の確保、育成についても検討し長期的な計画を立てることが好ましいとされています。
戦略実行における方法について検討
次に、設定した目標に対して、どの様な方法でアプローチを行うのかを検討することで、HRBPの必要性について議論する必要があります。
ここで、検討した戦略が適切であるのか、HRBPを用いた業務として適切なのかを考えることで、導入自体について検討しましょう。
テスト導入
そして検討の結果、導入することになった場合には、すぐに全体に導入するのではなく、部分的なテスト導入を行う事でHRBPの働きを画一化することがその後の運用に重要です。
また、従来の人事制度を変更するだけでなく、HRBPとして必要な人事戦略や経営視点を持った人材を確保し、少しずつ移行することが組織に負担のないHRBPの導入において必要であると言えます。
この様な順序を経て、HRBPの役割を他従業員に知ってもらうほか、信頼関係を築いたうえで本格的な運用を行う必要があります。
まとめ
今回は、HRBPの詳細について解説しました。
近年の、変化の激しいVUCA時代では、環境の変化にいち早く対応することが重要であり、そのような経営を行ううえではHRBPは欠かせない存在となってきつつあります。
HRBPとなる人材は、人事的かつ経営的なスキルが必要であるため、なかなか即戦力を採用するだけでなく、人材育成も重要となります。
特に、HRBPとしての適性を持った人を採用するためには、能動的でかつスキルを持った人材を選別する必要があります。
テキカクは組織を成長させる革新人材を選別するために最適な適性検査です。このようなツールを用いた採用を行うことで、よりHRBPとして適切な人材を集めてみて下さい。