ワークシェアリングとは?働き方改革で注目される新たな取り組み

働き方改革によって注目が集まっているワークシェアリング。しかし国内での浸透率はまだ高くなく、疑問点も多くあるかもしれません。例えば、

「ワークシェアリングってそもそも何?」
「デメリットはないの?」
「助成金ってどんな種類があるんだろう」
「ワークシェアリングの導入事例が気になる」

こういった疑問を感じたことはありませんか?そこで今回はワークシェアリングの概要やメリット・デメリットについて詳しく紹介します。また国から受け取ることができる助成金や、国内外の導入事例についてもまとめました。記事を読み進めることで、ワークシェアリング導入の具体的なイメージを持つことができます。導入を検討している方や、詳しく知っておきたい方はぜひ参考にしてください。

1.  ワークシェアリングとは?

ワークシェアリングの概要やメリット・デメリットを紹介します。基本的な考え方について改めて確認してみましょう。

ワークシェアリングの概要

ワークシェアリングとは、これまで1人で取り組んでいた仕事を複数人で分け合う仕組みです。目的としては、1人当たりの仕事量を減らし、全体の雇用者数を増やす雇用機会の創出にあります。国内で注目を集めた背景には、働き方改革の推進があります。長時間労働の是正や柔軟な働き方を推し進める働き方改革に対して効果的な手段として注目されました。実際に欧米では失業率が大幅に低下した報告もあり、国内でも導入する企業が増えてきています。

ワークシェアリングのメリット

代表的なメリット2つを紹介します。

1つ目は「労働状況の改善」です。仕事を複数人で分担することで労働時間は短縮されるため、無駄な残業が抑えられます。企業にとっては人件費や光熱費の抑制につながり、その分職場の環境整備や企業の成長に費用や時間を充てられるため、働く環境の改善が期待できます。

2つ目は「従業員満足度の向上」です。社員は労働時間の短縮で、プライベートの時間が増えワークライフバランスを保てた働き方を実現できます。また十分な休暇の取得にもつながるため、仕事へのモチベーション向上や企業への貢献意識の高まりに期待できるでしょう。

ワークシェアリングのデメリット

考えられるデメリットは、導入当初における一時的な生産性の低下です。

仕事を複数人で分け合う働き方は、様々な人とコミュニケーションを取る必要性があります。また働き方の変化によって業務の煩雑性が高まることが考えられるため、生産性の低下が起きる可能性があります。そのため予め綿密な計画を立て導入前から取り組みを始めると良いでしょう。

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2. ワークシェアリングの分類・種類

ワークシェアリングには内容によって分類される以下4つの種類があります。

  • 雇用維持型(緊急避難型)
  • 雇用維持型(中高年対策型)
  • 雇用創出型
  • 多様就業型

1つずつ具体例を含めて紹介します。

雇用維持型(緊急避難型)

雇用維持型(緊急避難型)は、社員の数を減らすことなく1人当たりの労働時間を短縮する方法です。具体的な状況としては、急激な業績の悪化により人員削減をせざるを得ない状況が挙げられます。その一方で、「業績の回復が見られた際にスムーズに業務を行いたい」「人材流出を防ぎたい」という目的から、社員を解雇せず雇用を維持したまま業績の回復を目指すワークシェアリングです。

雇用維持型(中高年対策型)

雇用維持型の中でも中高年対策型は、中高年の労働時間短縮・雇用機会の創出を目的としています。中高年とは定年以上を指し、具体的には定年退職した社員を再雇用する仕組みが挙げられます。中高年にとっては活躍の場の提供によって、生きがいを感じられることや老後の資金確保というメリットがあります。企業にとっても経験や知識が豊富な定年退職者は仕事を任せやすく、業務の効率化が期待できます。

雇用創出型

雇用創出型は既存社員の労働時間の短縮によって、新たな労働者に雇用機会を与える方法です。具体的には、休職者がいる場合に複数のパートタイムや短時間労働者を採用し業務を分担させ、休職者の業務を補います。失業者を増やすことなく、雇用機会を創出する取り組みです。

多様就業型

多様就業型は、社員に対しパートタイムやフレックスタイム、在宅勤務など多様な働き方で雇用する方法です。具体的には、育児や介護でフルタイム勤務が難しい社員に対し状況に適した働きやすい就業形態をとります。そのため社員にとっては生活の変化に関わらず雇用の維持を確保でき、企業の利点としては優秀な人材の流出を防ぐことが挙げられます。

3. ワークシェアリングに関わる助成金

ワークシェアリングに関わる助成金

日本ではワークシェアリングを運用する企業に対し、国から助成金を受け取ることができます。ワークシェアリングに関わる助成金は以下3つです。

  • 時間外労働等改善助成金
  • 雇用調整助成金
  • 人材開発支援助成金

1つずつ概要を紹介します。

時間外労働等改善助成金

時間外労働改善助成金は、働き方改革に取り組む中小企業や小規模事業者に支払われる助成金です。取り組む内容によって5つの助成コースに分かれています。適用条件もコースによって異なるため、詳しくは厚生労働省のホームページを参考にしてください。

参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金」

5つの助成コースの内容は以下の通りです。

  • 時間外労働上限設定コース 
    長時間労働の是正に向け、時間外労働の短縮を実現する取り組みを行う場合
  • 勤務間インターバル
    働き過ぎを防ぐために、終業から始業までの間に一定時間の休暇を設ける取り組みを行う場合
  • 職場意識改善コース 
    ワークライフバランスを保つために、労働時間や有給休暇の取得率の改善に取り組む場合
  • 団体推進コース
    中小企業団体や事業者団体を対象に、長時間労働の是正や職場環境の改善に向けた取り組みを行う場合
  • テレワークコース
    育児や介護などの生活と仕事の両立を目指し、自宅勤務などの多様な勤務形態の推進に取り組む場合

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、景気変動に伴う事業縮小による失業を防ぐために、社員の休業や出向を行った事業主に支払われる助成金です。助成対象となる「休業」とは、労使間の協定により所定労働日の全一日に渡って実施されるものとされています。受給額は、休業を実施した場合は事業主が支払った休業手当負担額に対し中小企業は2/3の助成率を乗じた額となります。中小企業以外は1/2の助成率を乗じた額です。

参考:厚生労働省「雇用調整助成金」

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、社員のキャリア形成の推進を目的として、必要な職業訓練を行った場合に支給される助成金です。以下4つのコースに分類されます。

  • 特定訓練コース
    労働生産性向上に活用できる訓練や、若手向けの訓練など効果が高い10時間以上の訓練の助成
  • 一般訓練コース
    特定訓練コース以外の20時間以上の訓練の助成
  • キャリア形成支援制度導入コース
    セルフ・キャリアドック制度や教育訓練休暇等制度を導入し実施した場合の助成
  • 職業能力検定制度導入コース
    技能検定合格報酬金制度、社内検定制度、業界検定制度を導入し実施した場合の助成

参考:厚生労働省「人材開発支援助成金」

4. ワークシェアリングの導入事例

日本においてワークシェアリングの導入で成果を上げる企業は徐々に増えています。その一方で海外では、国として導入を進めている事例もあることを知っていましたか?ここからはワークシェアリングの導入事例として、欧米諸国と国内企業の取り組みを紹介します。

フランス

フランスでは「週35時間制」を導入し新しい働き方の浸透という効果が得られています。法定労働時間を週35時間と定め、企業に対し労働時間の短縮を推進するために早期実施へのインセンティブを設ける取り組みを行いました。その結果、雇用者数は大きく増える一方で労働投入量は変化が少ないワークシェアリングの成功がみられました。また新たな価値観として短時間労働という新しい働き方が国内に浸透していったことが伺えます。

アメリカ

アメリカでは国として多様な勤務形態に対応する制度はありません。しかし各企業や事業体ごとに、雇用主と労働者の契約としての導入が進んでいます。例えば、近年スタートアップ企業が取り入れているスーパーフリーの働き方は、働く場所や時間も労働者が自由に選び定めます。業務の繁忙期に合わせて働く時間を増やすことや、育児や介護に合わせて在宅勤務を行うことで、社員それぞれが互いの業務量や時間を補い合いバランスを保っています。柔軟で多様な働き方は社員にとってモチベーションの向上や帰属意識の高まりとなり、人材定着にも期待できるでしょう。

マツダ自動車

マツダ自動車では2009年、雇用維持の代わりに勤務時間と給与を減らすワークシェアリングを導入しました。背景には新車販売の業績不振に伴う、人件費の削減をせざるを得ない状況がありました。対象は工場に勤務する約1万人の社員であり、従来の昼夜2交代制から夜間操業を取り止めることで、1人当たりの労働時間の短縮を実施。人材流出を防ぎながら業績回復を目指す取り組みは、他企業にとっても参考にしたいワークシェアリングの方法です。

5. 社員の心理状態把握に役立つツール 

ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、社員の心理状態把握に最適なサーベイツールです。仕事量や労働時間に対する満足度も測定できるため、ワークシェアリングを導入すべきかどうかの判断の際に、お役立ちいただけるデータも取得できます。

また、従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

154項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック 

スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。

適切な対策案を分析レポート化

調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。

部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化

集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。

  • 部署
  • 男女
  • 職種
  • テレワーク

対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。

6. まとめ

今回は以下の項目に沿ってワークシェアリングの概要や事例をまとめて紹介しました。

  • ワークシェアリングとは?
  • ワークシェアリングの分類・種類
  • ワークシェアリングに関わる助成金
  • ワークシェアリングの導入事例

ワークシェアリングは、従来1人で行っていた仕事を複数人に分担にして取り組む新しい働き方です。メリットとしては、労働状況の改善や従業員満足度の向上が期待できる一方で、生産性低下というデメリットの可能性もあります。そのため導入に際しては、社員への影響や自社の詳細な経営状況を含めた検討をおすすめします。まずは現状として導入の必要性があるかどうか、専門家に相談しながら検討してみましょう。

https://survey.lafool.jp/
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