「従業員の生産性を高め、優秀な人材を定着させたい」と考える人事担当者は多いのではないでしょうか。
社内アンケートをうまく活用すれば、社内の状況がくわしく把握できるため、従業員のモチベーション向上や、離職率防止にも役立ちます。
本記事では、社内アンケートの定義やメリット・デメリット、実施の手順やポイントを解説しています。生産性の向上や離職防止のため、社内アンケートの導入をお考えの人はぜひ参考にしてください。
社内アンケートとは?
社内アンケートとは、「組織状態の見える化」を目的として実施されるアンケート調査のことを指します。代表的には、従業員満足度調査、ストレスチェック、エンゲージメントサーベイ、360度評価(多面評価)などがあげられます。
社内アンケートが注目される背景には「人材の流動化」による影響があります。終身雇用・年功序列といった従来型の人事制度が崩れ、多くの企業にとって人手不足が課題になっています。そんな中、優秀な人材を確保するために、従業員エンゲージメントを高める取り組みが進められており、その手段として社内アンケートが導入されているのです。
社内アンケートの目的は経営・組織課題を見つけること
社内アンケートの目的は、組織の状態や経営課題を可視化し、効果的な対策につなげることです。具体的には、以下のような活用方法があげられます。
人事制度や福利厚生の改善
「人事評価のどういった項目が不満か」「どういった観点で評価を求めているのか」などを調査することで、従業員の意見が反映された人事制度や福利厚生を設計できます。また、すでに実施している人事施策の反応を調べることも可能です。
職場環境の改善
社内アンケートは、通常では把握しにくい社内の状況が明らかになります。従業員1人ひとりが職場環境への意見や要望、不満点を回答することで、人事や経営層にまでその声が届きます。このように組織全体で現状の課題を考えられるため、効果的な組織改革につながります。
経営理念やビジョンの浸透度合いを確認
「会社の経営理念を従業員が理解できているか」「経営者が認識している企業の実態と、現場の実態にズレはないか」を調べることで、今後の経営方針を策定する際の判断材料の1つとなります。
社内アンケートのメリットとデメリット
社内アンケートを実施することで得られるメリットには、どういったものがあるのでしょうか。デメリットとあわせて紹介します。
メリット
期待できる効果は、以下の3点です。それぞれの詳細をみていきましょう。
- 生産性の向上
- 人材流出の防止
- 社内の状況を把握できる
生産性の向上
組織状態を把握することで、組織の改善すべき点が見つけられます。従業員が働きやすい環境になれば、仕事に対する満足度ややりがいが高まり、以前よりも高いパフォーマンスを発揮する従業員が増えるでしょう。その結果、生産性の向上が期待できます。
人材流出の防止
社内アンケートによって組織改善が進み、従業員の生産性が高くなれば、エンゲージメントも向上し、離職率の低下が見込めます。また定着率が高まることで、採用コストの削減にもつながります。
社内の状況を把握できる
通常業務の時間内では、従業員1人ひとりに意見や要望を聞く時間はとれないでしょう。たとえ話す機会があったとしても、上司にたいして本音で意見はしにくいものです。
社内アンケートであれば、対面に比べて本音が書きやすいため、より深く社内の状況を把握することが可能です。また周囲から見ているだけではわかりにくい人間関係の問題なども明らかにすることができます。
また社内アンケートの結果を分析することで、組織の課題が定量的に把握できるのもメリットといえるでしょう。社内の状況を正しく把握できるため、より効果的な施策が打てるようになります。
デメリットは回答率が低いと調査の精度が悪くなること
回答率が低いと、正確な分析結果を出せないことがデメリットとしてあげられます。一部の従業員の意見のみが反映されている可能性があるからです。
アンケートを取る際は、特定の部署や属性(性別・年代)に偏らないようにし、全体で6〜8割以上の回答率を目指しましょう。
データの精度を高めるには、「選択式にする」「質問を多くしすぎない」「質問文をわかりやすくする」など、回答者が答えやすいアンケート作りを心がけてください。また提出がしやすいようWeb形式のアンケートにすることも、回答率を高めるポイントです。
社内アンケートを実施する流れ
ここからは、社内アンケートを実施する手順について説明します。
準備
有効な情報を集めるためには、まずは目的を明確にする必要があります。目的が定まっていなければ適切な質問項目が設計できず、必要な情報収集ができません。
現状どのような組織課題があるのか、会社としてどのように改善を行っていく必要があるのか、仮説を立ててから、データの分析・活用を行いやすい目的を設定しましょう。
企画
社内アンケートの目的が明確になったら、対象者や調査方法、実施日を決定します。全従業員に実施するのか特定の部署に限定するのか、紙媒体なのかWebを利用するのかなど、アンケートの目的にあわせて決めていきましょう。
設計
続いては、質問項目の設計に入ります。ポイントは、目的に対して「どんな情報があれば、データ分析がしやすいか」を考え、設計することです。
定量的な質問項目だけでなく、自由記述式の設問を加えることで、組織課題がイメージしやすく、より深い分析につながります。回答形式は、選択式を8〜9割、自由記述式を1〜2割にすると回答しやすいバランスになります。
また質問数にも注意が必要です。質問数が多くなりすぎると、適当に回答する人が増えるため、アンケートの精度が低くなる可能性があります。モレやダブりをなくし、なるべく少ない設問数にまとめましょう。
実施→分析
アンケート調査を実施する際は、告知だけでなく「実施の目的」や「アンケートの必要性」「従業員にどんなメリットが得られるか」を事前に説明しましょう。従業員の理解が得られると、アンケートの回答率も高まるはずです。
アンケートの回答がそろったら、集計して分析を行います。統計の知識も重要ですが、数値や傾向だけにとらわれて少数派の意見を見逃すことがあってはいけません。アンケートに埋もれて、重大な問題を見逃してしまう可能性もあります。もし自由回答の質問で気になる内容を見つけたら、裏づけるために各部門へのヒアリングなども実施できるとよいでしょう。
対策の立案・分析結果のフィードバック
アンケートを実施するだけで終わらないよう注意が必要です。分析結果にもとづき、具体的なアクションを促す施策を立案する必要があります。
またアンケートの結果は、従業員に共有するようにしましょう。結果の報告がなく、社内の改善も見られなければ、従業員は「アンケートは意味がなかった」「会社はなにも対応してくれない」と、会社の信頼の低下につながります。
アンケートの結果を従業員に共有する際は「どんな課題を把握し、会社としてどのような対応をしていくか」をあわせて伝えるようにしてください。
自分の意見が実際に組織改善に役立つことがわかれば、積極的に意見を出す従業員が増え、今後のアンケートの回答率にも反映されるはずです。
社内アンケートを作成するポイント
続いては、社内アンケートを作成するうえで気をつけておきたいポイントを紹介します。
質問文はできるだけ明瞭に
適切な回答を得るためには、誰が読んでもわかりやすい質問文を作成する必要があります。専門用語やあいまいな表現は回答者のストレスになり、回答の正確性にも影響します。
たとえば、「仕事を進めるうえで、十分なバッファを設けていますか」ではなく、「仕事を進めるうえで、十分なゆとり(予備日など)を設けていますか」としたほうが伝わります。質問文では、なるべくわかりやすい単語を使いましょう。
またアンケートの質問は、「はい」か「いいえ」で答えられる簡単なものからはじめるのもポイントです。文章が長く読み取るのに時間がかかるものや、自由記述式の質問はあとに設置してください。質問の順序を工夫することで、回答者の負担を減らせます。
匿名で社内アンケートを実施する
人間関係や不満に感じる点など、デリケートな内容については、匿名でアンケートを実施することをおすすめします。記名制の場合、「回答によっては、自分の立場が不利になるのではないか」と本音で回答しない従業員が出てくる可能性があるためです。
答えにくい質問やネガティブな意見を含めた声を収集したいときは、アンケートは匿名制で行いましょう。従業員には、あらかじめ個人が特定される可能性がないことを伝え、不安を払拭しておくことも大切です。
9.社員のエンゲージメントを高めるために役立つツール
ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、社員のエンゲージメントを可視化・向上に役立つサーベイツールです。
従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態も併せて可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。
社員が安心して働ける環境づくりは、社員のエンゲージメントを高めるためのいわば土台です。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック
スマートフォンで回答ができるアプリ版では、特に状態変容として現れやすい19の質問項目を抽出。質問に対しチャットスタンプ風に回答でき、従業員にとっても使いやすい仕組みです。こちらは月に1回の実施を推奨しており、組織の状態をこまめにチェックできます。
適切な対策案を分析レポート化
調査結果は細かに分析された上で適切な対策案を提示します。今ある課題だけでなく、この先考えられるリスクも可視化できるため、長期的な対策を立てることも可能。課題やリスクの特定から対策案まで一貫してサポートできるため、効率良く課題解決に近づくことができます。
部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化
集められたデータは以下の4つの観点別に分析が可能です。
- 部署
- 男女
- 職種
- テレワーク
対象を絞って分析することで、どこでどんな対策を打つべきか的確に判断できるでしょう。また直感的にわかりやすいデータにより一目で課題を確認でき、手間をかけずに対策を立てられます。
まとめ
社内アンケートとは、組織改善を目的として行われるアンケート調査のことを指します。従業員満足度調査、エンゲージメントサーベイなどさまざまな種類があり、目的にあわせて使いわけが可能です。
自社の課題について仮説を立て、目的をしっかり定めたうえで、効果的な社内アンケートを実施しましょう。質問文の読みやすさや質問の順番を工夫するなど、従業員が回答しやすい配慮も大切です。