昨今の企業組織内における人材の多様化や流動性に高さに伴い、チームマネジメントの重要性が叫ばれています。
一昔前に比べると、現代では会社員の転職が当たり前になりました。また、IT産業が加速度的に発達していく中で、多様な人材が同じコミュニティで仕事を行うことが当たり前の時代となりつつあります。
そんな多様的かつ流動性の高いチームをまとめ上げるには、前時代的なマネジメント手法は通用しません。
そこで今回は、組織内における人材の多様化に合わせたチームマネジメントの必要性や、組織運営を円滑に進めていく上でのマネジメント手法について紹介していますので、是非参考にしてください。
1.今なぜ企業の組織運営にとって「チームマネジメント」が必須なのか
チームマネジメントとは、チーム内の個々のメンバーをまとめ上げ、チームとしての生産性を高めることを指します。
昨今、チームマネジメントの重要性がことさらに叫ばれているのは、組織における人材の多様性・流動性が高まってきているからです。
具体的にいえば、転職によってメンバーが頻繁に入れ替わったり、外国籍の社員・非正規社員・シニア社員などが増加しています。
こういった流動的で、多様性に富んだチームをまとめるために、新しい時代のチームマネジメントが必要とされています。
2.リーダーやマネージャーが直面している課題
チームのリーダーやマネージャーは、現在多くのチーム課題に直面しています。
もし、あなたが「課題はない」と思っているなら、それは見て見ぬふりをしているだけかもしれません。以下に挙げる課題と、あなたの企業の現状を照らし合わせてみてください。
チームメンバーの生産性の低下
だらだらと長い仕事をやめ、生産性を高めようという動きがどの業界・企業でも加速しています。
しかし、生産性を高めようとするあまり、実際のところは生産性が低下しているというケースも少なくありません。
なぜなら、部分的な生産性を高めることに注力してしまって、全体の生産性を考えていないことが往々にして起こっているからです。
例えば、生産性の高い人に仕事を回せばもちろん生産性は上がります。しかし、給料が据え置きの場合、早く仕上げる意味がないので生産性の高い人までも仕事をゆっくり進めるようになってしまうのです。こういった生産性の低下を打開することも、マネージャーの課題の1つだといえます。
リーダーの多重債務化
マネージャーはチームのマネジメントにおいて、多重債務を抱えてしまっています。
なぜなら、プロジェクトのスムーズな遂行という短期的な目的を持つ一方で、若手社員の育成や組織改革といった中長期的な目標を抱えているからです。
業務が増えることでマネージャー自身も手を動かさなければならなくなり、さらにマネジメントに専念できなくなるという悪循環が起こります。マネージャー自身、首が回らなくなってしまい、チームマネジメント手法の改善どころではなくなってしまっているというのが現状です。
コミュニケーション不足による目的共有の不備
チーム内でチームの目的が、細かく共有できていないことも課題の1つです。
その主な原因の1つが、コミュニケーション不足によるものでしょう。コミュニケーション不足は、具体的には以下のような状況によって引き起こされます。
- 部署ごとに業務が切り離されている
- 経営層と一般社員が顔を合わせる機会がない
- 社員同士がコミュニケーションを取る場所がない
こういったコミュニケーションの分断が、チーム全体の士気に大きな影響を与えています。コミュニケーション不足による目的共有の不備は、どの企業、どの部署でも起こっていることではないでしょうか。
3.今、リーダーに求められる能力
では、こういった現状を打開するために、リーダーには何が求められているのでしょうか?
ここでは、リーダーに必要な能力について解説します。あなたが以下で示す能力を十分に身に付けているかどうか、自分の胸に手を当てて今一度確認してみてください。
コミュニケーション能力
チームマネジメントには、基本的なコミュニケーション能力が必要です。
ただ単純に話ができるだけではマネージャーとしては不十分で、意図したことを齟齬が生まれないように適切に伝えられなければなりません。
「コミュニケーションができる」と思っている人でも、部下との間で話がかみ合っていなかったという経験のある方は多いのではないでしょうか?
伝えたいことをそのまま伝えることができなければ、チームを意図したとおりに動かすことはできません。
統率力
統率力というと簡単ですが、実は思っているほど単純な話ではありません。
なぜなら、権力や立場といった見せかけの力では、チームメンバーは動いてくれないからです。動いているように見えたとしても、心は全く動いていません。
具体的には、日ごろからの信頼関係が重要です。この人の言うことなら間違いない、と部下に思ってもらわなければいけません。これは一朝一夕に身に付く能力ではないので、日々の積み重ねが重要です。
メンバーの価値観を受け入れる柔軟性
現代のチームマネジメントにおいては、メンバーの価値観を受け入れる柔軟性を持つことは非常に重要視されます。なぜなら、若い世代を中心に価値観が多様化しているからです。
プライベートを大事にしたい、成長できる環境に身を置きたい、実力を発揮できる仕事がしたい、など仕事に求めることも個々人で異なります。
そして、現代ではこのように価値観が多様であることは当たり前です。
前時代的な強力なトップダウンのみに頼るマネジメントでは、チームの生産性を向上し成果を上げることは、もはや現実的ではありません。
4.リーダーが意識すべき「チームマネジメント」の取り組み
上では、マネージャー個人が身に付けておくべき能力についてお話ししました。
では、そういった能力を持ったうえで、具体的にどんな取り組みを行えば良いのでしょうか?ここでは、より良いチームマネジメントを行うための具体的な施策を紹介します。
風通しの良い職場の雰囲気を作る
まずは大前提として、風通しの良い職場の雰囲気を作ることが挙げられます。
なぜなら、風通しの良くない環境ではハラスメントが起こったり、社員のストレスが醸成されてしまったりするからです。
具体的にいえば、陰湿なモラルハラスメントやパワーハラスメントに気付くのが遅れたり、社員の抱えているストレスに気付けなかったりします。
社員へのアンケートを実施するなどして、社員が抱えている問題を把握できるようにしておくことが求められるでしょう。
メンバー間で意見交換を積極的に行う体制をつくる
メンバー間で意見交換を積極的に行いやすい体制、環境を作ります。
メンバー間で意見交換が行われるようになれば、その中から自然と業務生産を向上させるための意見なども交わされるようになるでしょう。
例えば、チーム内での意見交換を活性化するために、若手社員が上司のメンターになる「リバースメンター制度」を取り入れている企業があります。
これによって、普通なら言えない意見を上司に言うことができ、また、上司が部下の気持ちを理解することで意見交換がしやすくなります。
こういった施策を取り入れながら、メンバー間での意見交換が積極的に行われる体制を作っていくことが重要です。
会社や組織に対するエンゲージメントを高める
「エンゲージメントを高める」とは、メンバーに対して「このチームに、この会社に貢献したい」と思って働いてもらうことを指します。
メンバーをエンゲージメントの高い状態にマネジメントできれば、メンバーが自主的にチームのために動いてくれるでしょう。
メンバーのエンゲージメントを高めるための施策として、以下のものが挙げられます。
- チームと個人のビジョンの擦り合わせ
- ワークライフバランスの推進
- メンバーが納得できる人事評価制度の構築
メンバーが納得してチームの業務にあたれることが第一です。メンバー個々人を大事にしたチーム運営を心がけましょう。
5.チームマネジメントを実践的に学べる研修一覧
チームマネジメントに関しては知識を得ることも大事ですが、それ以上に実践を積むことが重要といえます。
ここではチームマネジメントを実践的に学べる研修を紹介します。本格的にマネジメントを学びたいのであれば、こういった研修を利用するのも手でしょう。
リクルート マネジメントスクール
リクルートマネジメントスクールの「管理職研修・マネジメント研修」では、マネジメントノウハウを職場実践型で学べます。
具体的には、以下のような流れを3ヶ月間回すことで強いチームを作れるマネージャーを育てます。
- GAP分析
- セルフPDCA
- グループPDCA
- リ・デザイン
これによってマネージャーのマネジメント行動が根本から変わるので、チーム内のコミュニケーションを改善することができるでしょう。
SMBC コンサルティング
SMBC コンサルティングのマネジメント研修では、管理職として必要なマネジメントの考え方と手法の基礎を学べます。
研修プログラムは、具体的には以下のような流れで進みます。
- 管理職に求められる役割を理解する
- 目標達成のための業務マネジメントと部下育成の進め方を学ぶ
- 自部署の問題解決のスキルを身に付ける
基本の流れは上記のとおりですが、企業の要望によって内容はカスタマイズが可能です。
インソース
インソースのマネジメント研修は、規模や企業の成長段階に照らし合わせて、企業が現在抱える課題に焦点を当てて実施されます。
具体的な例を挙げると、以下のような研修コンテンツが用意されています。
- 部下とのコミュニケーション実践研修~多様化する部下への関わり方
- 段取り研修 管理職としての基本的マネジメントスキルを理解する(1日間)
- 管理職研修 ~5つのマネジメントスキル編(2日間)
ここに挙げたのは用意されたプログラムのほんの一部です。目的によって多種多様なプログラムがあるので、気になる方はホームページを覗いてみてください。
ダイヤモンド社
ダイヤモンド社のマネジメント研修は「ドラッカー塾」という名前がついている通り、ピーター・ドラッカーのマネジメント理論を学ぶ研修です。
具体的には、ピーター・ドラッカーの経営論の核を捉えながら分かりやすく解説し、実戦の場でどのような視点で考え、適用していくのかを学んでいきます。
ピーター・ドラッカーの理論を中心に据えながらも、複数のコースを設け、企業の状態に合わせた研修を提供しているのがダイヤモンド社のマネジメント研修の特徴です。
グロービス マネジメントスクール
グロービス マネジメントスクールは、幅広い業種・年代のビジネスパーソンが集まり、基礎から応用まで必要なスキルが習得できるビジネススクールです。
具体的には、ビジネスパーソンとして必要な基礎知識、ビジネスリーダーとして組織を扇動できる総合的なマネジメントスキルなど、幅広い対象者をカバーしています。
実際の企業事例を用いた科目がグロービスマネジメントスクールの特徴です。その事例に対して、受講生は発表、議論、検証を求められるため、実戦的なスキルが身に付きます。
6.チームマネジメント力向上に役立つツール
チームマネジメントにおいて重要なのは、例えば、「部下のモチベーション管理」「チーム内のコミュニケーション」などです。
ラフールサーベイは、「社員の状況の把握・分析」や「職場/チームの状況に応じた改善策提案」をしてくれる、チームマネジメント力向上に最適なサーベイツールです。
通常、把握することの難しい企業内部の状況を可視化でき、職場の風通しを良くする上で、ラフールサーベイのサービスは多いに役に立つでしょう。
ラフールネス指数による可視化
組織・個人の「健康度合い」から算出したラフールネス指数により、企業が抱えているメンタルヘルスの課題を可視化します。
個人ラフールネス、職場ラフールネス、総合ラフールネスの3つの指数を、他社・時系列比較で把握できます。また、全国平均や各業界と比較することも可能です。
これによって自社が、どれくらい健康に経営が行えているのかを、客観的な視点で把握できます。
直感的に課題がわかる分析結果
上記の分析結果は、グラフや数値で確認できます。部署や男女別にデータをソートし、細分化された項目とのクロス分析も可能です。
ひと目で分かる見やすいデザインのインターフェースで、直感的に課題が見つかります。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
数値による分析結果から、自動でフィードバックをコメントを表示してくれる機能を搭載しています。良い点・悪い点が簡単に分かるので課題解決に大いに役立つでしょう。
重視したい項目もピックアップすることが可能です。
154項目の質問項目で多角的に調査
ラフールサーベイのストレスチェックには、154の項目が設けられています。154項目の構成は以下のとおりです。
- 厚生労働省推奨の57項目
- 独自の84項目
従来のストレスチェックでは把握できなかった「受験者の性格」「衛生要因(給与・福利厚生)」「エンゲージメント(エンプロイー・ワーク)」などを追加しています。多角的な調査により、より詳細な状況を把握することが可能です。
19の質問項目に絞り、組織の状態を定点チェック
19の質問項目に絞ったショートサーベイで、組織の状態を定点チェックすることも可能です。月次での変化を負いながら、課題への対策効果がどれぐらい上がったか可視化します。
こちらは月一回の実施を推奨しています。
適切な対策案を分析レポート化
細かい分析結果により、課題を把握し、リスクを見える化できます。
部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化
ラフールサーベイでは、部署や男女、職種別にデータ分析をすることが可能です。他部署・男女・職種での比較ができるだけでなく、危険ゾーンとなる箇所が直感的にひと目で確認できます。
また、「テレワーク属性」を追加したことで、テレワークを行っている社員を含めたデータ分析をできるようになりました。テレワークを行う社員の状況までも可視化することが可能です。
7.まとめ
チームや社員全員のことを考えた上で、社内の課題にマッチした業務を効率化するための対策を行うことができれば、管理職や社員の生産性向上、ストレス低下、離職率低下など様々なメリットを享受することが可能です。社内の課題にあった的確な対策を見つけるための方法もいくつかありますが、ラフールサーベイを使うことで効率的にその作業を行えます。