ベースアップとは?賃上げについて分かりやすく解説

ベースアップは、企業にとっても従業員にとっても大きな効果をもたらしうる賃上げの一種です。 こちらの記事では、ベースアップを実施することで期待できる効果や、ベースアップの具体的な種類と計算方法、企業で実施する際の注意点などについて解説しています。是非参考にしてみてください。

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ベースアップとは

ベースアップとは、全従業員の給与の基準、つまり基本給(ベース)を一律に引き上げる(アップ)ことです。

英語の「base up」に由来した和製英語で、「ベア」と略されることもあります。

労働組合が企業に対して要求を行う交渉をする「春闘(春季闘争)」が1955年に開始されて以降、ベースアップは春闘の大きな主題のひとつとされてきました。

賃上げ/定期昇給との違い

ここで、ベースアップと似た給与にまつわる言葉を整理しておきましょう。

企業が給与を引き上げること全体を「賃上げ」と言います。ベースアップ、定期昇給はともに賃上げに含まれます。

「定期昇給」(定昇)は、就業規則などの制度に基づき、勤続年数や営業成績などによって定期的に実施される賃上げを意味します。

一方、ベースアップは勤続年数や成果など個人的な背景とは関係ありません。企業の業績などに応じて全ての従業員に一律に実施される賃上げがベースアップです。

ベースアップの目的

それでは、なぜ企業はベースアップを実施するのでしょうか?

厚生労働省の「令和5年版 労働経済の分析 ―持続的な賃上げに向けて―」によれば、2022年にベースアップを行った企業の主な実施理由は次の通りです。

1位「社員のモチベーション向上、待遇改善」(73.8%)

2位「社員の定着・人員不足の解消のため」「最低賃金の引上げに対応するため」(46.1%) 

3位「業績(収益)の向上」(24.8%)

上記の他にも、採用活動における人材確保に向けて賃金を上げるため、物価上昇への対応をするため、などの理由が挙がっています。

こちらの資料から、多くの企業は従業員の仕事に対するモチベーションを上げ、彼らの生活水準を向上させるためにベースアップを実施していることが分かります。

また、同じ資料にある賃上げを実施しない理由の第1位は「業績(収益)の低迷」で、賃上げ未実施の企業のうち70.0%がこちらの理由を挙げています。

以上のことから、企業は自社の利益を従業員に分配することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上を期待してベースアップを実施していることが分かります。さらにベースアップによって昇給できる仕組みがある企業には収入増が見込めるため、求職者にとって魅力的に映り、人材確保につながることも、実施理由のひとつとなっています。

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ベースアップをめぐる現状

上でも見てきた通り、ベースアップを実施するか否かは企業の業績に応じて大きく変わります。好景気の時代には、多くの企業がベースアップを行うようになりますが、景気が低迷している時代には実施がなかなか難しくなります。

例えば近年の状況を見てみると、厚生労働省の「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によれば、ベースアップを行う企業の割合は2016年以降緩やかに増加していましたが、2019年を境にコロナ禍の期間は年々減少傾向に転じました。ベースアップ実施率は2021年以降回復し、2023年は次の数値にまで増加しています。

【管理職のベースアップ】

実施する(予定)43.4% 実施しない(予定)21.0%

【一般職のベースアップ】

実施する(予定)49.5% 実施しない(予定)18.2%

ベースアップの実施は労使交渉によって決まることが多いため、非組合員にあたる管理職は対象とならない場合があります。実際2023年の数値を見てみると、管理職と比べて一般職の方がベースアップの実施が多いことが分かります。

ベースアップの種類と計算方法

ベースアップの計算方法

ベースアップには、一定の金額をもとにする場合と一定の昇給率をもとにする場合の2タイプがあります。

一定の金額に基づくベースアップ

一定の金額を基本給に上乗せする方法です。

基本給が低い人ほど、昇給率は高くなります。また全員の給与が一定の金額プラスされるだけなので、基本給が高い人と低い人との間での給与の差は変わりません。

例(一定の金額2万円のベースアップの場合)

・月給20万円の場合 20万円 + 2万円=22万円(昇給率 およそ9%)

・月給40万円の場合 40万円 + 2万円=42万円(昇給率 およそ5%)

→ 給与差は20万円

一定の昇給率に基づくベースアップ

一定の昇給率を基本給に掛ける方法です。

ベースアップ額=基本給×昇給率

基本給が高い人ほど、昇給率は高くなります。その結果として、基本給が高い人と低い人との間での給与の差は大きくなります。

例(一定の昇給率5%のベースアップの場合)

・月給20万円の場合 20万円 + 20万円×5%=21万円 (昇給額 1万円)

・月給40万円の場合 40万円 + 40万円×5%=42万円 (昇給額 2万円)

→給与差は21万円

ベースアップ実施時の注意点

ベースアップは従業員全員の給与を区別なく上げるものです。そのため、実施するタイミングやベースアップの種類によっては、長年勤務していたり大きな成果をあげていたりする社員のモチベーション低下につながる可能性があります。ベースアップ実施時には、自社の現状をふまえて、タイミングや実施方法を十分に見極めることが重要です。

また、ベースアップを含め企業が賃金を引き上げる際には、「同一労働同一賃金」の法則にのっとって行う必要があります。同一労働同一賃金とは、同一企業・団体において正規雇用労働者(正社員)と非正規雇用労働者(パートタイム社員、派遣社員など)の間の待遇に存在する格差を解消するため、不合理な待遇差を禁止する制度です。

まとめ

ベースアップは、従業員のモチベーションを高めたり、採用活動において求職者を集めたりするうえで重要な役割を果たします。実施を検討する際には、自社の状況に適したベースアップの種類を選択することが重要です。

従業員のエンゲージメントを高めたい、採用活動の母数を増やしたいとお考えの経営陣・人事部の方は、是非こちらの記事を参考にしてみてください。

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